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5. 知識創造オフィスによる知識業務プロセス支援の研究

5.5 知識創造オフィス実験

5.5.2 実験結果

(A) シンクライアントログによるWP利用実績調査結果

(i)シンクライアントログによるWPの利用傾向の確認

まず,知識創造オフィスの評価にあたりシンクライアントの利用が定着していることを 確認する目的で,WPに配置したシンクライアントの利用傾向を調査した.図5-6は共用エ リアに置かれたシンクライアントの平均利用回数を時系列に分析したものである.WPごと にばらつきはあるものの,各シンクライアントとも平均して毎日3回程度の利用があり,

利用回数は安定している.定常的に利用されていることから,シンクライアントの利用は 日常の業務のなかに定着しており,その利用状況を分析することでWPの分析が可能なこ とがうかがえる.

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(ii)ユーザーごとのシンクライアントの利用回数分析

図5-7に共用エリアに置かれたシンクライアントの利用回数の順位分布を示す.グラフの 縦軸はユーザーごとの利用回数を示し,グラフの横軸の左から利用頻度の高いユーザーが 示されている.この結果,3.5ヶ月の期間で,30回程度のログイン実績(およそ2日に1回) がある上位20名程度のユーザーをコアユーザーとする.上位20名から60名は,15回程 度のログイン実績(週1回)があるためアクティブユーザーとする.ログイン20回以下の上 位60名以下のユーザーは,ノンアクティブユーザーとする.

0 20 40 60 80 100 120 140

1 11 21 31 41 51 61 71 81 91 101 111 121 131 141 0 500 1000 1500 2000 2500 3000

ログイン回数 ログイン回数累積

利用頻度別ユーザー順位 利用回数

図 5-7 ユーザーごとの共用エリアのシンクライアント利用回数分析

(iii)WPごとの分析

・利用回数分析

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

2002/10/15 2002/10/22 2002/10/29 2002/11/5 2002/11/12 2002/11/19 2002/11/26 2002/12/3 2002/12/10 2002/12/17 2002/12/24 2002/12/31 2003/1/7 2003/1/14 2003/1/21 2003/1/28

シンキング・スペース プレゼンテーション・ルーム コ・クリエーション・エリア 会議室

図 5-6 共用エリアに置かれたシンクライアントの利用回数

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図5-8にWPごとのシンクライアントの利用回数を示す.一台当たりの利用回数はコ・

クリエーション・エリアが最も多く,次にプレゼンテーション・ルームとなっている.コ・

クリエーション・エリアのシンクライアントが多く活用されていることは,複数人でアイ デアを醸成する共創のプロセスで情報システムが活用されていると判断できる.また,会 議室のシンクライアント利用が最も少ないことから,会議室で行われる組織外の来訪者と のミーティングでは情報システムが効率よく活用されていないことがわかる.

利用回数/台

200 4060 10080

会議室 コ・クリエー ション・エリア プレゼンテー ション・ルー ム シンキング・ スペース

利用回数/台

図 5-8 ワークプレイスごとのシンクライアントの利用回数

・利用時間分析

図5-9にWPごとのシンクライアントの利用時間を示す.シンキング・スペースのシン クライアント利用が一回2時間程度と最も長く使われているが,これはシンキング・スペ ースが想定された利用仮説よりも長い時間で利用されていることを表している.ユーザー が知識創造オフィスに基づいた設計思想よりも長い時間集中して作業をした結果である.

利用時間(分)

200 4060 10080 120140

会議室 コ・ ショ プレテー ショ シン スペ

利用時間(分)

図 5-9 ワークプレイスごとのシンクライアントの利用時間

また,ログの詳細な分析結果から,プレゼンテーション・ルームにおいては毎週決まっ た時間に2時間程度の定例会議があり,利用時間を増加させていることが分かった.その

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他のシンクライアントの利用時間は1時間強であり,アイデアを出し合う会議の時間とし ては適切な利用がされていると考えられる.

(B)アンケート調査結果

利用者に対するアンケートの実施結果を報告する.

(i)WS:アイデアのライフサイクルの認知度

オフィスデザインをするにあたって構築したWSコンセプトである「アイデアのライフサ イクル(着想―共創―出現―体感)」に対する認知度を示したものを図5-10に示す.

20.3 43.5 27.5 8.7

今回 (n=69)

内容をよく知っている 内容を多少知っている コンセプト名を聞いたことがある 知らない

n=69

図 5-10 WSコンセプト:アイデアのライフサイクルの認知度

69名の回答者のうち「内容をよく知っている」と「内容を多少知っている」とを合わせ

た回答は63.8%となり概ね理解が得られている.コンセプト名の認知は91.3%に及んでい

た.しかし「知らない」という回答も8.7%存在した.

(ii)利用者によるWPの利用意識調査

アイデアのライフサイクルの「着想」,「共創」,「出現」,「体感」をどのWPで最も 実施しているかの回答結果を図5-11に示す.図5-11の網掛けになっているエリアは,WP 設計時に,アイデアのライフサイクルのプロセスで利用を想定したエリアを示す.

80

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

自席 キンース ラウB クリエーションエリ 喫煙室 その 着想はし クリエーションエリ 自席 会議室 コラ ラウA その 共創はし 自席 キンース 実験室 コ・ その 出現はし 自席 ショー 会議室 コ・ プレテー その 体感はし

着想(n=67) 共創(n=66) 出現(n=60) 体感(n=51)

回答率(%) ラウB コ・エーション・ キング・ース 実験室 ショールーム 会議室 プレゼンテルー

図 5-11 利用者によるWPの利用意識

アイデアのライフサイクルのプロセスを最も実践しているWPは,着想については自席 (71.8%),共創についてはコ・クリエーション・エリア(68.2%),出現については自席(78.3% ) が突出して多い.体感については,自席(21.6%),ショールーム(17.6%),会議室(13.7%),

プレゼンテーション・ルーム(7.8%),コ・クリエーション・エリア(7.8%)と他のプロセスに 比べ回答が分散している.

(iii)代表的なWPの利用頻度に関する意識調査

5.4で説明したアイデアのライフサイクルの実現のための代表的なWPである,ラウンジ,

コ・クリエーション・エリア,シンキング・スペース,プレゼンテーション・ルームの利 用頻度意識を図5-12に示す.

8.7 11.6 5.8 11.6 42.0 20.3 0.0

今回 (n=69)

ほぼ毎日 週に2~3回 週に1回程度 月に1~3回

月に1回未満 利用したことがない 無回答

ラウンジB (着想)

4.3 8.7 14.5 24.6 46.4

1.4 今回 0.0 (n=69)

20.3 50.7 20.3 5.8

2.9 0.0

0.0 今回

(n=69) コ・クリエーション・エリア

(共創) シンキング・スペース

(出現)

8.7 27.5 31.9 27.5 4.3

0.0 今回 0.0 (n=69) プレゼンテーション・ルーム

(体感)

図 5-12 代表的なWPの利用頻度意識

利用頻度意識については,「ほぼ毎日」,「週2-3日」,「週1回程度」を利用頻度の 高い回答として扱った.利用頻度の高い回答は,ラウンジB(26.1%),コ・クリエーション・

エリア(91.3%),シンキング・スペース(14.4%),プレゼンテーション・ルーム(36.2%)とな っており,コ・クリエーション・エリアの利用頻度意識が極めて高いことがわかった.

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(iv) WP利用意識の詳細分析

今回のオフィスレイアウトのなかで,特徴的なWPであるコ・クリエーション・エリアと シンキング・スペースの利用仮説に基づいた従業員の利用意識について詳細な分析を行う.

(a)コ・クリエーション・エリア

コ・クリエーション・エリアの作業内容について利用者の意識を調査した結果の上位5つ を図5-13に示す.

複数人で画面を共有しての文書参照

複数人で画面を共有しての文書作成

複数人で画面を共有してのWeb閲覧

個人での文書参照

メールの閲覧

図 5-13 コ・クリエーション・エリアの作業内容

コ・クリエーション・エリアでは「複数人で画面を共有しての文書参照」が83.7%と突 出して多く,次いで「複数人で画面を共有しての文書作成」,「複数人で画面を共有して のWeb参照」が続く.

次にシンクライアントの利用実績に基づくコ・クリエーション・エリアの一日当たりの 平均利用時間の分布を図5-14に示す.実験期間中にはほぼ平均して利用されていることが わかる.平均利用時間が60分,最大利用時間も2時間程度となっている.

コ・クリエーション・エリア利用時間(分)

0 50 100 150 200 250 300

2002/10/15 2002/10/22 2002/10/29 2002/11/5 2002/11/12 2002/11/19 2002/11/26 2002/12/3 2002/12/10 2002/12/17 2002/12/24 2002/12/31 2003/1/7 2003/1/14 2003/1/21 2003/1/28

図 5-14 コ・クリエーション・エリアの一日当たりの平均利用時間

コ・クリエーション・エリアの壁面をガラス張りにし,会議の様子を参加者以外に見え るようにすること(可視性の確保)についての意識を調査した結果を図5-15に示す.自分が

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参加する以外の打合せへの興味については20.3%の回答がある.一方,打合せの内容を他 者に知られたくないという意識は43.5%と高かった.コ・クリエーション・エリアの可視 性により,参加予定のない打合せに参加する意識は2.9%と非常に低い.

20.3

43.5 27.5

39.1

24.6

21.7

52.2

17.4

72.5

75.4 2.9

2.9

0.0

0.0

0.0

0.0 1)自分の参加していない打ち合わせに興味をもつことがあ

(n=69)

2)打ち合わせしている内容を他の人に聞かれたくないこと がよくある

(n=69)

3)参加予定のない打ち合わせに参加することがある (n=69)

4)打ち合わせ場所のシンクライアント端末が邪魔になって いる

(n=69)

そう思う どちらともいえない そう思わない 無回答

図 5-15 コ・クリエーション・エリアの可視性に関する意識

(b)シンキング・スペース

シンキング・スペースの作業内容について,利用者の意識を調査した結果の上位5つを 図5-16に示す.

図 5-16 シンキング・スペースでの作業内容

シンキング・スペースでは「個人での文書作成」が62.9%と突出して多く,次いで「個 人での文書参照」,「メールの送信」,「メールの閲覧」,「個人でのWeb参照」が続く.

図5-17にシンクライアントの利用実績に基づくシンキング・スペースの一日当たりの平均 利用時間の分布を示す.

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シンキング・スペース利用時間(分)

0 20 40 60 80 100 120 140 160

2002/10/15 2002/10/22 2002/10/29 2002/11/5 2002/11/12 2002/11/19 2002/11/26 2002/12/3 2002/12/10 2002/12/17 2002/12/24 2002/12/31 2003/1/7 2003/1/14 2003/1/21 2003/1/28

図 5-17 シンキング・スペースの一日当たりの平均利用時間

シンキング・スペースは恒常的に利用されているが,12月になると利用時間が増加して いる.また,メリハリをつけて集中して作業をするというシンキング・スペースの利用仮 説についての意識調査の結果を図5-18に示す.自席の作業とメリハリをつけることと集中 して作業を行うことについては,6割近くの回答が好意的である.一方,「見られたくない 作業を行うことができる」についての好意的な回答は4割以上あった.

59.5

43.2

64.9

24.3

43.2

24.3 13.5

10.8

5.4 2.7

2.7

5.4 1)居室での作業とメリハリをつけて作業することができる

(n=37)

2)見られたくない作業を行うことができる (n=37)

3)集中して作業することができる (n=37)

そう思う どちらともいえない そう思わない 無回答

図 5-18 シンキング・スペースの利用者のメリット