5. 知識創造オフィスによる知識業務プロセス支援の研究
5.6 知識創造オフィス実験の考察
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シンキング・スペース利用時間(分)
0 20 40 60 80 100 120 140 160
2002/10/15 2002/10/22 2002/10/29 2002/11/5 2002/11/12 2002/11/19 2002/11/26 2002/12/3 2002/12/10 2002/12/17 2002/12/24 2002/12/31 2003/1/7 2003/1/14 2003/1/21 2003/1/28
図 5-17 シンキング・スペースの一日当たりの平均利用時間
シンキング・スペースは恒常的に利用されているが,12月になると利用時間が増加して いる.また,メリハリをつけて集中して作業をするというシンキング・スペースの利用仮 説についての意識調査の結果を図5-18に示す.自席の作業とメリハリをつけることと集中 して作業を行うことについては,6割近くの回答が好意的である.一方,「見られたくない 作業を行うことができる」についての好意的な回答は4割以上あった.
59.5
43.2
64.9
24.3
43.2
24.3 13.5
10.8
5.4 2.7
2.7
5.4 1)居室での作業とメリハリをつけて作業することができる
(n=37)
2)見られたくない作業を行うことができる (n=37)
3)集中して作業することができる (n=37)
そう思う どちらともいえない そう思わない 無回答
図 5-18 シンキング・スペースの利用者のメリット
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2)WPの利用傾向と利用意識,3)知識創造オフィスの利用傾向と利用意識の詳細分析を実施 した.
5.6.1 WP 活用レベル 0 の評価
・アイデアのライフサイクルの認知度調査より(図5-10)
WSの認知を確認するレベル0を満たす利用者へのWSコンセプトの理解はクリアして いると考察する.これは,図5-10の結果でアンケート回答者の6割以上がWSコンセプト の理解に対して肯定的な回答をしているからである.しかし,「知らない」という回答も,
わずかながら存在することから,組織全体としては完全に認知が浸透しているとは言いが たい状態にある.
5.6.2 WP 活用レベル 1 の評価
・シンクライアントログによるWPの利用傾向の確認(図5-6)
WPの利用傾向を図5-6で把握した結果,共用エリアに配置されたシンクライアントの利 用は,日常業務内に定着しているといえる.これは,WPに配置されたシンクライアントが 利用されていることから,WSが認知されていることを示していると考える.プレゼンテー ション・ルームのログイン回数が多い理由は,定期的な会議があることと,他のWPに比 べ多くの台数のシンクライアントが存在することが原因と思われる.
・ユーザーごとの共用エリアのシンクライアント利用回数分析(図5-7)
約200名の従業員のうち,およそ1/3にあたる60名前後のメンバーが共用エリアのシン クライアントを日常的に利用していることが,図5-7で明らかになった.WPに配置されて いるシンクライアントを60名程度が恒常的に利用していることから,およそ1/3の従業員 がWSを理解しWPを利用していることが推測される.
・利用者によるWPの利用意識調査(図5-11)
WPの利用意識について,着想をラウンジで,共創をコ・クリエーション・エリアで,出 現をシンキング・スペースで,体感をプレゼンテーション・ルームで行うと仮定し,WPを 設計した.図5-11に示したように,共創と体感は利用仮説に基づいた利用がされていた.
共創する場としてのコ・クリエーション・エリアの意識は特に高い.体感については,プ レゼンテーション・ルーム,ショールーム,会議室など,当初体感の実施を想定したエリ アに分散している.着想,出現については,自席での実施が最も多く,知識創造オフィス デザインの仮説との相違が確認された.自席によるインターネット,イントラネットでの 情報収集や自席周辺でのメンバーとの会話が,アイデアの着想の出発点となっていること が推測される.出現についても,資料作成や調査などを自席で行うという意識が強く,シ ンキング・スペースでの実施が少ない状態にある.
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・代表的なWPの利用頻度に関する意識調査(図5-12)
図5-12からコ・クリエーション・エリアについて,利用頻度がたいへん高く図5-11の WP利用意識調査と合わせても,頻繁な利用がなされている.プレゼンテーション・ルーム は,利用頻度が低いという意識が現れているが,組織の幹部が利用することも多いので利 用人数が限られると推測される.よって図5-12に示したプレゼンテーション・ルームの利 用頻度の意識は妥当であると考えられる.ラウンジBおよびシンキング・スペースの利用 頻度の低さは,図5-11に示すWPの利用意識調査結果とも合致している.しかし,図5-12 のすべてのWPにおいて一部ではあるが恒常的に利用するユーザーの存在が確認された.
・WPごとのシンクライアントの利用回数分析(図5-8)
図5-8から,コ・クリエーション・エリアの利用回数が高いことが確認されている.プレ ゼンテーション・ルームとシンキング・スペースの利用動向も図5-11の意識調査結果と符 合している.
・WPごとのシンクライアントの利用時間(図5-9)
図5-9から,利用意識,利用人数,利用回数が少ないとされていたシンキング・スペース の利用時間が他のWPよりも長いことが確認された.これは,個人で一定の時間に集中し て作業を行うというシンキング・スペースの仮説に基づいた利用の仕方が実施されている と考察できる.他のWPについても,ほぼ利用仮説に基づいた利用時間が得られている.
上記を総合すると,実験対象の組織はWP活用レベル1にあると考察できる.
5.6.3 WP 活用レベル 2 および 3 の評価
利用頻度が高く,利用仮説に基づいた利用が行われているWPであるコ・クリエーショ ン・エリアと,利用頻度が低いながらも利用仮説に基づいた利用が行われているWPであ るシンキング・スペースの利用動向の詳細を分析する.分析の目的はWP活用レベル2,3 の達成度と,一部のユーザーでありながらも当初想定された形態で利用されているかを考 察することである.
・コ・クリエーション・エリアの詳細分析について
コ・クリエーション・エリアでの利用仮説は,複数人が共同で文書作成や文書閲覧を行 うものである.図5-13のコ・クリエーション・エリアの作業内容の回答結果では,複数人 で同時に行う作業が作業内容の上位を占めているため,利用仮説に基づいた共創を実施し ていると言える. シンクライアントの利用実績に基づくコ・クリエーション・エリアの利 用時間の分布を示す図5-14からは,実験期間中にはほぼ平均して利用されていることがわ かる.また,平均利用時間も60分,最大利用時間が2時間程度となっており,利用仮説と も合致している.しかし,図5-15に示したエリアの可視性についての利用者の意識は,秘
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匿性を重視する意見が多い点や,参加予定のない打合せへ参加するという意見が少ないこ とから,仮説に基づいた利用が十分には行われていない.この結果から,作業内容と利用 時間については,想定された利用がなされているが,直接関係のない打合せへの参加とい う利用仮説については,十分に浸透していないことを確認した.
・シンキング・スペースの詳細分析について
シンキング・スペースは利用人数および利用頻度が低いながらも,知識創造オフィスの 仮説に基づいて利用されている.これは図5-16に,個人で行う作業がシンキング・スペー スでの作業内容の上位に上がっていることから言える.利用時間については,図5-17にあ るように,特に12月に入り利用時間が増加している.これは繁忙期であったことと,秘匿 性のある作業などに多く利用されたことがうかがえる.図5-18では,自席から離れ気分を 変えて作業をすることや作業の集中性という観点についても6割が有効と回答している.
また,作業の秘匿性という効果についても4割以上が有効であると回答している.
5.6.4 知識創造オフィス実験についてのまとめ
研究開発部門のオフィスに配置されたシンクライアントの利用状態とアンケートによる 利用者の意識調査により,知識創造オフィスの利用実態を把握することができた.その内 容を以下に示す.
1)WS&WPのコンセプトに対する従業員の理解度をアンケート結果により評価できた.利
用者の知識創造オフィスについての理解度については,一定の割合で認知されているため WP活用レベル0をクリアしたと評価する.しかし,組織全体に対し十分な認知を広げる必 要性は残る.
2)WPごとの利用意識のアンケート調査から,週1回以上の回答を利用意識の高い回答と した.またWPごとのシンクライアントの利用結果から,WPの利用者数を推定すること ができた,WPの利用意識とシンクライアントの利用結果から,WPにより恒常的な利用者 数の偏りはあるものの,WP活用レベル1に達していると評価する.
3)WPごとの利用意識のアンケート調査から,利用者の多いWPを選定することができた.
また,WPごとのシンクライアントの利用時間と利用状態の意識調査から,利用仮説として 想定された形態での利用を把握することができた.WSに合致したWPの利用傾向と利用 意識の詳細分析では,コ・クリエーション・エリアの「共同で作業を行う」という利用仮 説についてはレベル3の状態にある.多くの利用者がWSの利用仮説を実践し,有効な利 用を行っていることがその根拠となる.ただし,「通りがかった打合せに参加する」とい うコ・クリエーション・エリアの可視性に関する仮説については,レベル1の状態である.
また,シンキング・スペースでは,利用者数はごく一部に限られているが,その一部の利 用者が,WSの利用仮説を実践し,有効な利用を行っているという結果にある.この状態で は,シンキング・スペースのWP活用レベルは1の状態である.この一部の先進的な利用