第 3 章 研究課題・研究方法
3.4 発音タスクの母語話者評価
拗音「ヨ」、アクセント融合型複合名詞
シツナイヨウ:長(母)音、アクセント融合型複合名詞
(4) 最近の室内照明は、明るさに応じて自動的に電気の明るさを変える機能があったりと、
省エネをアピールしたものが主流ですが、こちらの商品は特定のニーズにこたえたも のと言えますね。
サイキンノ:撥音の後続子音が歯茎鼻音[n] オウジテ:長(母)音 キノウ:長(母)音 アッタリ:促音 ショウエネ:拗音「ヨ」、長(母)音、外来語の略語
アピール:語中無声破裂音[p]、長音、外来語
シュリュウ:拗音「ユ」、長(母)音 ニーズ:長音、外来語
文章の発音タスクも、短文同様、主にイントネーションの生成力を測るものであるが、中 国語母語話者にとって困難だと指摘されている日本語音を含んでおり、イントネーション 以外の項目に関する生成力も測ることができる。文章の発音タスク作成にあたっては、2018 年度発行のJLPT公式問題集 N2の聴解問題26のうち、問題2の6番を使用した。本研究の 対象者はN2以上の日本語能力を持つので文章の理解に問題はなく、中国語母語話者にとっ て難しい項目を含んでいるため、この文章を選んだ。
13名である。一般の日本語母語話者を評価者に選んだ理由は、1つ目に日本語教育の経験が ある日本語母語話者には「教師特有の基準(渡辺・松崎, 2014: 71)」があり、学習者の「発 音に対する慣れによって評価が寛大化(渡辺ほか, 2014: 71)」する可能性があるからであ る。2つ目に、学習者が教室場面以外でコミュニケーションをとる日本語母語話者のほとん どは一般の日本語母語話者であるからである。以下の表7に評価者の詳細を示す。評価者は 11 名が女性で、2 名が男性である。出身地は、福岡県が9名、大分県が 1名、大阪府が1 名、静岡県が1名、長野県が1名である。評価者の選定は、日常生活における活動場所にば らつきが出るように行った。表内のこれまで最も長く居住した地域は、必ずしも現在居住し ている地域と一致しているわけではない。使用方言は、8名が普段方言を使用しないと回答 し、博多方言話者は2名、北九州方言話者は2名、筑豊方言話者は1名である。学習者が日 常生活でコミュニケーションをとる日本語母語話者の年齢が幅広いことを考え、幅広い年 齢層の日本語母語話者に依頼した。
表 7 評価者の詳細 評価者 性別 出身地 今まで最も長く
居住した地域
現在の
居住地域 使用方言 年齢 A 女 福岡県 福岡県 福岡県 筑豊方言 25〜35 B 女 大分県 大分県 東京都 使用しない 25〜35 C 女 福岡県 福岡県 福岡県 博多方言 25〜35 D 女 福岡県 静岡県 静岡県 使用しない 55〜65 E 女 福岡県 福岡県 福岡県 使用しない 55〜65 F 女 大阪府 福岡県 福岡県 北九州方言 55〜65 G 女 東京都 東京都 東京都 使用しない 15〜25 H 女 長野県 東京都 東京都 使用しない 55〜65 I 男 福岡県 福岡県 長崎県 使用しない 15〜25 J 男 福岡県 福岡県 熊本県 使用しない 25〜35 K 女 福岡県 福岡県 福岡県 博多方言 55〜65 L 女 福岡県 福岡県 山口県 北九州方言 15〜25 M 女 静岡県 静岡県 東京都 使用しない 15〜25
発音タスクの評価は、それぞれの項目に対する日本語としての「自然度」で測った。"1"
が「不自然」、"5"に近づくほど「自然」である。「上手である」や「母語話者のようだ」な ど評価の基準は多くあるが、「自然かどうか」という評価基準は一般の日本語母語話にとっ
ても評価しやすいもの(渡辺ほか, 2014)だと考え、この評価基準を設定した。評価回答欄 には、"1"の横に「不自然」、"5"の横に「自然」と併記したのみで、2〜4は数値のみを示し た。単語は単語の発音に対してのみの評価、短文は、感情表現を含む何文かについては「そ の意図通りに伝わるかどうか」も含め自然度を評価、文章は全体の印象を評価してもらっ た。評価の際は、googleフォームを用いて作成した評価シートのリンク、音声ファイルのリ ンク29をメールで送付し、評価を依頼した。
29 発音タスクデータは、評価のためにgoogleドライブ上に保存し、リンクを知っている評価者のみが聞くことができ るようにした。