第5章 外資制度の概要 6
XIII. 為替管理・貿易管理
新外国為替管理法(Ordinance No.28/2005/PL-UBTVQH11)が2005 年12月に制定さ れ、2006年6月1日より発効している。また、同法の施行細則(Decree No.160/2006/ ND-CP)
は、同年12月に公布された。
主要な改正点は、経常取引の完全自由化(実需原則)を目指していることである。なお、
同法は、①経常取引、②資本取引(含む:ベトナムへの対内直接投資、ベトナムからの対 外直接投資、対外借入・貸出、国内外での証券発行)、③外国為替市場(含む:為替レート 制度、金の輸出入)、④国家為替準備基金、⑤金融機関の為替業務・サービスの提供、等の 分野をカバーしている。
1.国内銀行での外貨口座の開設
ベトナム国内での企業間取引の決済は、ベトナムドン、米ドル、日本円、ユーロなどが 認められている。
外資系企業は、ベトナム国内の銀行等(外銀支店を含み、外銀駐在員事務所を除く)に おいてベトナムドン口座および外貨建て口座を開設し、国内で外貨による決済を行うこと が可能である。
口座の種類には、資本金口座、経常口座、定期預金口座があり、このうち、資本金口座 は、原則1社1銀行に限定されている。また、資本取引(直接投資(資本金送金)、配当金 送金、期間 1 年超のオフショア借入)や返済、利息支払い送金等においては、必ず資本金 口座を使用することが義務付けられている。
2.海外銀行口座の開設
ベトナム国外の銀行等での口座の開設については、特別に中央銀行であるベトナム国家 銀行(SBV)の許可を得れば、中長期借入関連以外の目的でも可能である。
3.国内銀行からの外貨購入
2000年までは、外資系企業は、外貨バランスを維持することが義務付けられ、外貨収入 の範囲内でしか外貨支出ができなかった。現在では、経常取引と一定範囲の認められてい る取引については、国内の外国為替公認銀行から必要な外貨を購入して、その支払いに充 当することが可能である。また、インフラ整備やその他の重要プロジェクトに必要な外貨 については、政府によって外貨供給が保証されている。なお、従来、外資系企業等は、取
引から得た外貨の一定割合を外国為替公認銀行へ売却する義務が課せられていたが、2003 年4月以降はこのような義務はなくなった。
4.海外送金
外資系企業は、中央銀行の交換レートに 基づいて、右の内容に関し、外貨(米ドル、
日本円等)での海外送金を行うことが可能 である。なお、送金する際は、銀行へ実需 取引の裏付けのある書類の提出が必要であ る。また、外資系企業で働く外国人従業員 は、給与その他の合法的な収入について、
個人所得税等を負担した後、それを海外へ 送金することが出来る。
5.為替相場
ベトナムの外国為替相場は、管理フロート制が採用され、中央銀行によって厳格に管理 されている30。SBVは、為替市場の自由度を高めるため、2002年7月1日から、ドルレー トの為替取引変動幅を上下 0.25%の範囲内で認めている。ただし、現在、外貨需要が強ま り、越僑送金やFDI資金流入も増加傾向にある中で、SBVはインフレ抑制の観点から、為 替相場の日中変動許容幅を序々に拡大している。2007年9月末現在、1ドル=16,000ドン 近辺で推移している。
図表 5-32 ドンの対ドルレート
0 5,000 10,000 15,000 20,000
1990 1991
1992 1993
1994 1995
1996 1997
1998 1999
2000 2001
2002 2003
2004 2005
2006 年
(単位:100 万ドン)
(出所)IMF, IFS
30 為替の売却・交換に関する規制は1999年以降緩和されており、外資系企業の経常支払いについても、
2001年1月からベトナムドンからドルに為替を交換する権利が付与されている。
許容される海外送金 1.事業からの取得・配分利益
2.技術・サービス供与に対する支払い 3.海外債務の元本の返済、利息の支払い 4.外国投資法等に基づく投資事業で得
た利益の海外送金
5.投資家が合法的に所有している現金・
その他の財産の海外送金
6.企業活動の終了・解散時の適法な財産 等
6.貿易管理制度
改正商法(The Commercial Law)が2005年12月に国会を通過、2006年1月1日から 施行されている。同法は、①国内商業(物品の売買と各種サービスの提供)、②貿易(輸出 入)、③外国企業のベトナムにおけるあり方(駐在員事務所、支店)とその許容事業・活動、
④販促の為の展示・展覧会、見本市、販促行事の推進、⑤物品加工の委託と受託(含む外 国との間の委受託)、⑥物流関連、⑦物品の賃貸・借用等の分野をカバーしている。
輸出入に関する許認可権限は基本的には商業省が所管している。
輸出入管理制度は、輸出入禁止品目、輸出入管理品目、供給調整品目に区分され、具体 的品目が指定されている。
このうち、輸入に関しては、輸入禁止品目として武器・弾薬・爆薬・軍事技術設備、花 火、右ハンドル車等 9 品目が、輸入管理品目としてはバイク・オート三輪、スポーツ用機 器等が、供給調整品目として塩、卵(鶏、鴨)、精製糖、葉巻原料等4品目が、それぞれ指 定され、規制の対象となっている。
輸出に関しては、輸出禁止品目として骨董品、丸太および製材、希少水産用食品等 8 品 目が、輸出管理品目として(国内自然林を源泉とする木材や薪からつくった)薪および木 炭、出版物全般等が、それぞれ指定され、規制の対象となっている。