第5章 外資制度の概要 6
VI. 主要投資インセンティブ 1.法人所得税の優遇制度
3.投資禁止分野
共通投資法の第30条に、投資禁止分野が列挙されている(図表 5-13)。
図表 5-13 投資禁止分野
Ⅰ. ベトナムの国防、国家安全および公共利益を侵害する事業
Ⅱ. ベトナムの歴史遺跡、文化、道徳、習慣を損なう事業
Ⅲ. 国民の健康を害したり、資源・環境を破壊したりする事業
Ⅳ. ベトナムに持ち込まれた有害廃棄物を処理する事業、国際条約で禁止された有害化学物質を製造・使用 する事業
Ⅴ. その他、法律で禁止されている事業
(出所)共通投資法 第 30 条、具体的な項目は共通投資法の施行細則(Decree No.108/2006/ND-CP)
Appendix Ⅳを参照
VI.主要投資インセンティブ
図表 5-14 新規投資企業の法人税の優遇措置
法人税率 分類 適用期間
(営業開始後)
免税期間
(課税所得 発生後)
減税期間
(50%減税)
(免税期間終了後)
28% 標準税率
(優遇税率が適用されない全ての企業に 適用)
全期間 2年間注 2 2年間注 2
20% ・奨励された投資分野に投資する企業 10年間 2年間 3年間
・社会経済的に困難な地域に投資する企業 10年間 2年間 6年間 15% ・奨励投資分野で、且つ、社会的経済的に
困難な地域に投資する企業
12年間 3年間 7年間
10% ・「特に」社会経済的に困難な地域に投資 する企業
15年間 4年間 9年間
・「特に」奨励された投資分野に投資する 企業注 1
15年間 4年間 9年間
(注 1)このうち、プロジェクトが経済や社会に大きな効果を与える場合、財務省は首相に対し、事業全
期間にわたり10%の優遇税率を適用するよう提案する(実施は首相決定如何)。
(注2)対象は、承認された開発計画に基づき都市から移転した企業など(Decree24、第35条第1項)。
(出所)法人所得税法の施行細則(Decree No.24/2007/ND-CP)の第5章(第33〜43条)
既に事業を行っている企業については、新規生産ライン、規模拡張、技術革新、環境改 善、生産力向上などの投資によって発生した追加収入に対し、法人所得税の免税・減税措 置が講じられる。なお、同措置の適用年数は、奨励投資分野・奨励投資地域の分類により 異なる(Decree 24、第36条)。
さらに、科学研究、技術開発などの契約を実施することによる収入、試験生産の期間中 に生産された製品の販売による収入などに関し、法人税の免税措置が受けられる場合があ る(Decree 24、第36条)。また、女性労働者の数や全労働者に占める割合によっては、減 税措置を享受することができる(Decree 24、第40条)。
2)輸出実績に連動した優遇措置の廃止
ベトナム政府はWTO加盟時の公約として、輸出実績と連動した補助金を廃止する方針で あったが、施行細則Decree 24によってそれが明確となった。つまり、2007年の会計年度 より、繊維・縫製の輸出実績に連動した税制上の優遇措置は廃止される(Decree 24、第46 条第2項)。
一方、Decree 24によって差替えられるDecree 164およびDecree152に基づき享受して いた優遇措置は、引き続き適用される。なお、それらが Decree 24 で定められた優遇措置 より低い水準であった場合、現在享受している優遇措置の残りの期間につき、Decree 24の 優遇措置を適用することができる(Decree 24、第46条第3項)。
2.輸入関税の優遇措置
共通投資法第33条に、輸出入関税法の規定に従い、ベトナムにおけるプロジェクト実施 のための設備、材料、運送機械およびその他物資に対する輸入関税を免除されると定めら れている。具体的には、輸出入関税法の第16条に輸出入関税が免除されるケースが挙げら れている(実際には、輸出関税が課せられるのは一部のわずかな品目に限られるので、こ こでは輸入関税についてのみ言及する)。
輸入関税の免税・減税の詳細は、以下に挙げる施行細則や関係省庁の文書などで規定さ れている。
・2005年12月8日付 政府の輸出入関税法の施行細則
(Decree No.149/2005/ND-CP、第16条第15項)
・2005年12月15日付 財務省の輸出入関税の施行ガイドライン
(Circular No.113/2005/TT-BTC)
・2007年2月2日付 上記Decree 149の規定に基づき輸入関税の免除対象となる原材 料と付属品の決定に関する商業省のガイダンス
(Circular No.02/2007/TT-BTM)
・2007年2月29日付 輸入関税の免税対象に半製品を追加した税関総局の文書
(Official Letter 7496/TCHQ-KTTT)
・2007年6月14日付 財務省の輸出入関税の施行ガイドライン、輸出入の関税評価と関 連する条項を除き上記Circular 113と差替え
(Circular No.59/2007/TT-BTC)
輸入関税の免税・減税の具体的事例としては、以下のようなものがある(図表 5-15)。
図表 5-15 輸入関税が免除されるケース(例)
①貿易フェアや展示会出品のため、一時的に輸入された物品。
②委託加工契約のもと、輸出加工用に輸入された物品(原材料、生産や加工工程での必需品、
加工品サンプルとして使用されるもの、加工のため使用される機械・設備等)。
③「特別奨励投資分野」、「奨励投資分野」、または「特に社会的・経済的条件が困難な地域」、
「社会的・経済的条件が困難な地域」注 1への投資プロジェクトやODAプロジェクトにつ いて、固定資産形成のために輸入された物品(例:設備・機械、科学技術省より認可を受 けた技術ラインなどで使用される特殊な輸送用手段、労働者の移動用機器、それら設備・
機械の部品・原材料、ベトナムで生産できない注 2建設資材など)
④BOT企業やそのサブコントラクターによって輸入される物品。
(③、④についてはプロジェクトの拡張や技術更新についても適用される)
⑤石油ガス事業のサービスのために輸入される物品(設備・機械、石油ガス事業に必要なベ トナムで生産できない供給品、医療機器、事務機器など)。
⑥科学研究や技術開発活動で直接使用するために輸入される物品(ベトナム国内では生産で きない機械・設備・部品・供給品・輸送手段、科学的資料、書籍、新聞、雑誌、関連する 電子情報源)。
⑦「特別奨励投資分野」または「特に社会的経済的な条件が困難である地域」へのプロジェ
クト、機械・電気電子部品の製造プロジェクトにおいて、生産のために輸入される原材料、
供給品、部品は、輸入関税が生産開始から5年間免除される。
⑧「奨励投資分野」のプロジェクトの生産のために輸入される、ベトナム国内では生産でき ない原材料、供給品、半製品は、輸入関税が生産開始から5年間免除される。また、「特 別奨励投資分野」または「特に社会的・経済的条件が困難な地域」へのプロジェクトの生 産のために輸入される、ベトナム国内では生産できない半製品については、輸入関税が生 産開始から5年間免除される。
(注 1)対象となる奨励投資分野・地域は、共通投資法の施行細則(Decree No.108/2006/ND-CP)の
Appendix I、IIに基づく。
(注2)MPIの2006年8月15日付Decision No.827/2006/QD-BKHで国産品目一覧が発表されており、
これが輸入関税や輸入にかかる付加価値税の免除可否基準となっている。
(出所)輸出入関税法第16条、同法の施行細則(Decree No.149/2005/ND-CP、第16条)、 施行ガイドライン(Circular No.59/2007TT-BTC、Part D)
3.付加価値税の優遇制度
1997年の付加価値税法に条項の追加・修正を行った法律が2004年1月1日より発効し た(Law No. 07/2003/QH11、以下、改正付加価値税法とする)。これにより、ベトナムで
は0%、5%、10%の付加価値税が課されている(付加価値税の概要については「第5章 Ⅷ.
3. 付加価値税と特別消費税」を参照)。付加価値税の課税対象は、内国の事業体が生産、商 業、サービスなどの提供で得た対価、および輸入貨物である。
付加価値税に関する最新の施行ガイダンスは財務省の 2007 年 4 月 9 日付 Circular
No.32/2007/TT-BTCで、この中で付加価値税の非課税品目(Part AのII)と課税0%の品
目(Part BのII)が例示されている。輸入品のうち、非課税あるいは課税0%となってい る物品、サービスには次のようなものがある。
非課税品目・固定資産を形成するために輸入が必要な、技術ライン用の機械・設備・特別な 輸送手段、国内生産できない建設資材
・国内生産できず、科学調査や技術開発活動の直接的使用のために輸入される機 械・設備・輸送手段
0%課税 ・輸出用に加工される物品、輸出加工企業の建設活動
(注:「輸出」には定められた代理店経由での外国への輸出、輸出加工企業への 販売、政府規定に示された輸出とみなされるケースを含む)
・輸出加工企業に輸出される物品、あるいは提供されるサービス12
12 輸出加工企業および輸出加工区(EPZ)へ提供される物品・サービスについては、改正付加価値税法の
施行細則Decree No.158/2003/ND-CPで0%課税の対象外とされたが、その後公布された施行細則
Decree 148/2004/ND-CPで、0%課税することが明記されたという経緯がある。付加価値税に関しては、
Decree 148に加え、2006年1月1日に発効した改正付加価値税及び特別売上税法(No.57/2005/QH11)
にかかる施行細則(Decree No.156/2005/ND-CP)がある。
4.土地使用に関する優遇措置
共通投資法第36条に、土地の使用に関する優遇措置が規定されている。投資プロジェク トの土地使用期間は50年を超えないものとされるが、投資額が大きく資本の回収に時間が かかるプロジェクトや、「社会的経済的条件が困難な地域」および「社会的経済的条件が特 に困難な地域」への投資プロジェクトについては、70年を超えないものとされている。
共通投資法ではさらに、奨励投資分野または奨励投資地域に投資する企業は、土地法と 税法に従い、土地賃料および土地使用料の減免措置を受けることができると規定している。
また、BOTプロジェクトに関しては、事業実施期間中、土地使用料または土地賃料が免除 される(2007年5月11日付Decree 78/2007/ND-CP、第37条)。