(ASEANでは第2位)を持つ市場は魅力的である。全国の平均年齢が25歳と、若年世代 が購買層の一角を占めつつある。また、越僑からの送金も多い一方、外資の進出を受け、
ホーチミンやハノイ等の高度成長によって国内市場が拡大しつつある中、消費者の購買力 は大きくなりつつある。
II.留意点
1.突然の政策変更と頻繁な法改正
朝令暮改的な法律改正が多い。法律や制度が突然変更されたり、承認されたものがひっ くり返ったりすることがよくあるため、進出企業が振り回されることも少なくなかった。
また、法律にしても施行細則にしても、制定はしたものの、担当者レベルまで浸透するに は時間がかかり、運用面で不必要なトラブルが発生している例も見られた。しかし、2007 年1月にWTO加盟が実現したことから、本点については、今後改善されることが見込まれ る。なお、昨今、政府は環境面に配慮した政策を導入しており、今後、環境への影響が懸 念されるプロジェクト等については政策が厳しくなる可能性がある。
2.インフラの未整備(特に電力事情)
インフラは、北部中心に改善が進んでいるものの、物流関連やエネルギー分野で遅れが 目立っている。特に、道路(大都市以外は未整備で物流効率化の障害)、鉄道(老朽化がひ どく運行に不安が伴い、荷物の取扱にも不慣れ)、港湾(河川港故の土砂堆積や大型船の入 港困難)などの面で遅れが見られる。特に、電力については、近年の急速な経済発展に伴 い需要が急増しているが、水力発電に大きく依存する北部・ハノイ周辺では近年にも計画 停電が実施されており、供給体制や老朽化した送電インフラの整備が大きな課題となって いる。
3.ビジネス経験の不足と国際慣行への不慣れ
徐々に改善の方向にあるが、ハードインフラと並んでソフトインフラ、即ち、金融、会 計、貿易事務等の分野でのビジネス経験が不足し、国際慣行にも不慣れである。金融面で は、為替市場の不在、企業間信用の欠如、個人口座の未発達などの問題があり、また、数 年前に導入されたベトナム会計システムは、国際基準とは異なっている。
4.不透明なコスト等不公正な取引
公的部門(特に税関窓口など)では、正規料金以外にも不透明な支出が発生することが あり、また公的部門だけでなく、民間企業同士でも同様の問題にしばしば直面するとの指 摘がある。
5.裾野産業、地場産業の脆弱さ
地場産業が未発達で、裾野産業(サポーティング・インダストリー)が成熟していない。
外資系企業、特に日系企業は、100%外資形態で輸出加工区や工業団地に入り、原材料は全 量輸入、製品は全量輸出という形で事業を営んでいるケースが多いが、これではベトナム に技術が蓄積せず、いつまでも裾野産業が育たないとの懸念がある。最近では、日系企業 の中にはベトナムに進出してきた台湾・韓国企業から部品を調達する企業も出てきている。
6.中間管理者・技術者・熟練労働者の不足
長年の戦争により、全国の平均年齢が25歳程度であり、中高年齢層の人口が少ないとい う人口構成の歪みがあり、中間管理者として期待される労働者の採用に困難が伴う。また、
ドイモイ政策後の歴史が浅いこともあって、非熟練労働者が生産年齢人口の約 9 割を占め ている。熟練技術者は慢性的に不足しており、同層の賃金が上昇している。
7.国際経済への統合に伴う影響
2006年ASEAN自由貿易圏(AFTA)への本格的な参加、中国・ASEAN自由貿易協定
や米越通商協定、そして世界貿易機構(WTO)加盟等、国際経済への統合に伴うベトナム 市場の開放により、関税が引き下げられ、非関税障壁が撤廃されていく。このため、タイ
などの ASEAN 諸国や中国などの製品がベトナム市場に大量に流入する可能性がある。ベ
トナム市場での販売を目的として進出しようとする場合、分野によっては、ローカル企業 に加え、近隣諸国からの低価格品との厳しい競争に直面する可能性もある。
ひとくちメモ③:ASEAN 諸国との比較でみたベトナム
「中国+1」の投資先を検討する中で、ASEAN 諸国との比較でベトナムをみてみると、シンガ ポールはすべてにコスト高、マレーシアは労働力が少ない(人口約 2,000 万人)、インドネシア とフィリピンは政治的に不安定、タイはすでに多数の日本企業が進出し「ローリスク、ローリタ ーン」という状況であり、自ずとベトナムが投資対象国として注目される。また、このような消 去法的な考え方とは別に、ベトナムは地政学的には中国と ASEAN 諸国の接点に位置し、中国華南 地方のみならず、ASEAN 諸国へ製品輸出を考える際の拠点としてふさわしいとみる向きもある。