• 検索結果がありません。

I 32 9,315km , ,

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "I 32 9,315km , ,"

Copied!
119
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)
(2)

第1章 ベトナムの概要

I.ベトナムの社会

・面 積 32 万 9,315km2(日本の約90%) ・人 口 8,420 万人(2006 年) ・人口成長率 1.33%(2005 年) ・首 都 ハノイ(314.5 万人)(2005 年) ・民 族 キン族(越人)90%、中国系 3%、その他 53 の少数民族 ・言 語 ベトナム語(公用語)等、他に多種の山岳民族語 ・宗 教 大乗仏教(80%)、カトリック教(10%) (宗教の自由は憲法(第70 条)で保障されている) ・教 育 教育制度は5(小)、4(中)、3(高)制、義務教育は小学校のみ ・識字率 男性95.7%、女性 91.0% ・気 候 北部:亜熱帯(短い冬と春がある) 南部:熱帯モンスーン(四季がなく、雨季と乾季がある) ・通 貨 ベトナムドン(1 ドル=16,086 ドン、07 年 9 月末現在) ・文 化 ・ 「稲作文化」に社会の基盤…ベトナム社会では、「稲作文化」が社会の基盤をな し、社会主義的生産体制の導入にもかかわらず、農村共同体が依然として緊密 な結びつきを保っている。しかし、ドイモイ路線以降、諸外国の文化や思想が 数多く流入し、ベトナムの文化を変容させつつある。 ・ 自然条件を反映した国民性…南北に長い地理的特性から、国民性も地方によっ て異なる。北部の人は、自然環境が厳しく、ものが豊かでないため、「経済観念 が発達している」、南部の人は、自然環境に恵まれているため、「おおらかで、 金銭的にルーズ」と言われる。 ・ 儒教的な色彩が色濃く残る…長年にわたる中国支配から中国に対し嫌悪感を持 つ一方で、長幼の序を重んずるなどモラルの面では儒教的なものが色濃く残る。 勤勉を尊ぶ気風があり、向上心、向学心が旺盛である。貧しくとも豊かな心を もつなど民族としての誇りも高く、中国と比べられ、文化や伝統が似ていると 言われることを嫌う。 ・ 家族・親族重視…国民の大部分が農村に生活基盤を持ち、また、戦争経験や社 会主義体験から、信じられるのは家族、親族(血縁)だけという意識が強い。 会社、仕事は二の次で、会社への帰属意識は薄く、家族の病気や子供の事情を 理由に仕事を休むことが多い。

(3)

II.ベトナムの政治

1.概要

・国 名 ベトナム社会主義共和国

(Socialist Republic of Viet Nam) ベトナムの国旗

・建 国 1976 年 7 月 2 日 ・政 体 社会主義共和国(ベトナム共産党の指導による社会主義国) ・政 党 ベトナム共産党(一党体制) ノン・ドック・マイン書記長 (2001 年 4 月就任、2006 年 4 月再任(任期 5 年)) ・元首 グエン・ミン・チェット国家主席(大統領)(2006 年 6 月就任) ・行政権 内閣 グエン・タン・ズン首相(2006 年 6 月就任) ・立法権 国民議会(498 議席、任期 5 年) グエン・フー・チョン議長(2006 年 6 月就任) ・司法権 最高人民裁判所 ・国家機構 党が国家の基本的指針や方向性を決定 それを受けて、行政機関が政策を執行 ・地方行政区画 地方の省級(5 市 59 省)、県級、村級に区分 行政区画毎に、人民評議会(議会)と人民委員会(執行機関) を設置 2.共産党 ベトナム共産党による一党支配であり、共産党が国家を指導する体制になっている。 図表 1-1 共産党の組織図 政治局 政治局員15名 書記長、 国家主席、 首相、等を含む (党の事実上の 政策決定機関) 中央監査委員会 (党の最高規律    検査機関) 中央執行委員会 書記長 ノン・ドック・マイン 中央執行委員150人 6ヶ月に1回定例会 (党の政策を起案・決定) 書記局 書記局員9名 地方省級党委員会 県級党委員会 村級党委員会 指導 選 出 国民議会 議長 グエン・フー・チョン 各中央委員会 全国代表者大会 選出

(4)

3.国家機構 2007 年 7 月に開催された国民議会で、グエン・タン・ズン首相、グエン・ミン・チェッ ト国家主席、グエン・フー・チョン議長が再任された。また、同月には、グエン・タン・ ズン首相のもと、第2 次改造内閣が発足した。 図表 1-2 国家機構の組織図 国家主席 グエン・ミン・チェット 省等国家機関(22) 立法機関 行政機関 司法機関 ・憲法・法律の制定・改正 ・国家主席、首相、議長、最高裁長官等の選出 ・国家経済開発計画、財政予算・決算の審査・承認 地方省級人民委員会 県級人民委員会 村級人民委員会 国民議会 議長 グエン・フー・チョン 内閣 首相 グエン・タン・ズン 最高人民裁判所 (2007 年 7 月末現在) 4.中央政府組織(22 省等機関) 2007 年 7 月に中央省庁再編が行われた。急速な経済発展および国際化への対応を強化す るために「小さな政府」を目指し、重複している権限の統一を図ることを目指したもの。 具体的には、商業省(貿易省)については、解体の上、①国内産業担当部門と工業省を 統合して「商工省」を新設、②投資誘致担当部門を計画投資省へ移管、③外国との経済交 渉担当部門を外務省への移管が行われた(次頁の図表 1-3)。

(5)

図表 1-3 中央政府の組織

Ministry of Defense:国防省 Ministry of Natural Resources and Environment :天然資源環境省

Ministry of Public Security:公安省 Ministry of Information and Communication :情報通信省

Ministry of Foreign Affairs:外務省 Ministry of Labor, War Invalids and Social Affairs :労働傷病兵社会問題省

Ministry of Interior:内務省 Ministry of Culture, Sports and Tourism :文化スポーツ観光省

Ministry of Justice:司法省 Ministry of Science and Technology:科学技術省 Ministry of Planning and Investment

:計画投資省

Ministry of Education and Training:教育訓練省

Ministry of Finance:財務省 Ministry of Health:保健省

Ministry of Industry and Trade:商工省 Ministry of Agriculture and Rural Development

:農業農村開発省

Ministry of Transport:交通運輸省 Ministry of Construction:建設省 State Bank of Vietnam:中央銀行 Government Inspectorate:政府監察院 Committee of Ethnic Minorities:民族委員会 Government Office:政府官房

(出所)各種報道(http://www.thanhniennews.com/politics/?catid=1&newsid=30534 等) 5.地方政府組織 ハノイ、ホーチミン、ハイフォン、ダナン、カントーの5 つの中央直轄市と 59 の省が存 在する(2003 年 11 月の改変によるもの)。その下に県、市、郡、町、村等が置かれている。 図表 1-4 地方行政単位 (注)「村」は主に農村部に位置する「行政村」である。「坊」は都市部に位置する。 (出所)今井昭夫、岩井美佐紀 編著『現代ベトナムを知るための 60 章』(2004 年 6 月、明石書店) 省レベル (第1 級行政区) 県レベル (第2 級行政区) 村レベル (第3 級行政区) 中 央 省 (59) 中央直轄市(5 市) ハノイ、ホーチミン、 ハイフォン、ダナン、カントー 県 町 村 省直轄市 市 坊 村 村 坊 市 県 村 町 坊 村 坊 区

(6)

図表 1-5 行政区画(5 市 59 省)

<北部地域 2 市 24 省>

1 Ha Noi City (ハノイ市、首都) 13 Lao Cai (ラオカイ) 22 Ha Tay (ハータイ) 3 Hai Phong City (ハイフォン市) 14 Bac Can (バッカン) 23 Hoa Binh (ホアビン) 6 Ha Giang (ハーザン) 15 Thai Nguyen (タイグエン) 24 Hai Duong (ハイズォン) 7 Tuyen Quang (トゥエンクアン) 16 Son La (ソンラ) 25 Hung Yen (フンエン) 8 Cao Bang (カオバン) 17 Phu Tho (フトー) 26 Thai Binh (タイビン) 9 Lang Son (ランソン) 18 Vinh Phuc (ビンフック) 27 Ha Nam (ハーナム) 10 Lai Chau (ライチャウ) 19 Bac Giang (バックザン) 28 Nam Dinh (ナムディン) 11 Dien Bien(ディエンビェン) 20 Bac Ninh (バクニン) 29 Ninh Binh (ニンビン) 12 Yen Bai (イエンバイ) 21 Quang Ninh (クアンニン)

<中部地域 1 市 16 省> 4 Da Nang City (ダナン市) 30 Thanh Hoa (タンホア) 31 Nghe An (ゲーアン) 32 Ha Tinh (ハーティン) 33 Quang Binh (クアンビン) 34 Quang Tri (クアンチ)

35 Thua Thien - Hue (トゥアティエンフエ) 36 Quang Nam (クアンナム) 37 Quang Ngai (クアンガイ) 38 Binh Dinh (ビンディン) 39 Phu Yen (フーエン) 40 Khanh Hoa (カンホア) 41 Gia Lai (ザーライ) 42 Kon Tum (コントゥム) 43 Dac Lak (ダクラク) 44 Dac Nong(ダクノン) 45 Lam Dong (ラムドン) <南部地域 2 市 19 省>

2 Ho Chi Minh City(ホーチミン市) 5 Can Tho City (カントー市) 46 Binh Duong (ビンズオン) 47 Binh Phuoc (ビンフォク) 48 Ninh Thuan (ニントゥアン) 49 Binh Thuan (ビントゥアン) 50 Tay Ninh (タイニン) 51 Dong Nai (ドンナイ) 52 Long An (ロンアン) 53 Dong Thap (ドンタップ) 54 An Giang (アンザン)

55 Tien Giang (ティエンザン) 60 Tra Vinh (チャビン) 56 Ben Tre (ベンチェ) 61 Kien Giang (キエンザン) 57 Hau Giang(ハウザン) 62 Bac Lieu (バクリィェウ) 58 Soc Trang (ソクチャン) 63 Ca Mau (カマウ)

59 Vinh Long (ビンロン) 64 Ba Ria - Vung Tau (バリアーヴンタウ)

(注)下線部は中央直轄特別都市。 (出所)アセアンセンターホームページ

北部

南部 中部

(7)

III.ベトナムの歴史と外交

ベトナムは、世界でも長い歴史を有する国であるが、その大部分は外部勢力による再三 にわたる侵略と支配、そしてそれに対する抵抗と独立に向けての戦いの繰り返しであった。 そのような厳しい歴史を乗り越えて、ようやくベトナムは独立と国家の統一を手にしたが、 それはわずか30 年前のことに過ぎない。 外交の基本方針は、全方位外交、対外開放、地域・国際経済への統合の推進であり、旧 社会主義国やフランス語国などとも多角的・多様な国際関係を維持している。 世界潮流の中で課題であったWTO 加盟問題については、2006 年 5 月末、米国との間で 二国間合意に調印後、2007 年 1 月に正式加盟が実現した。さらに、2008 年からは国連安 全保障理事会の非常任理事国(任期2 年)となることが決まっている。 図表 1-6 ベトナムの歴史 歴 史 外 交 出 来 事 (近代以前)中国支 配からの独立 10 世紀 千年を超える中国支配の後独立 しかし、中国文化圏に帰属、朝貢関係を維持しつつ、幾 度か中国王朝の干渉を撃退、次第に南方に進出15 世紀末 中部のチャンバ王国滅亡 18 世紀末 南部のメコンデルタ征服 19 世紀初 グエン王朝による全国統一 (19 世紀から 20 世 紀にかけて)フラン ス の 植 民 地 支 配 か ら独立へ 19 世紀中頃 仏インドシナ攻略開始 1884 年 仏による植民地化 1940 年 日本軍ハノイ進駐 1945 年 ホーチミン独立宣言、ベトナム民主共和国成立、 仏とのインドシナ戦争開始 1954 年 ジュネーブ停戦協定で仏から独立(南北に分割) (1955∼75 年) 対米戦争を経て 統一へ 対 中 ソ 等 距 離 外交 1955 年 南部にベトナム共和国成立 1965 年 米軍直接介入、ベトナム戦争開始 1973 年 パリ協定締結、ベトナム戦争終結への第一歩 1975 年 サイゴン陥落、南ベトナム崩壊 (1976∼86 年) 社会主義国家の 建設と挫折 親ソ路線へ 1976 年 南北統一、ベトナム社会主義共和国発足 1977 年 国連加盟 1978 年 カンボジア侵攻、米日等対ベトナム経済封鎖へ 1979 年 中越戦争、ボートピープル続出 1986 年 ドイモイ (刷新)路線採択(第6 回共産党大会) (1987 年以降) 市場経済化による 経済発展 全 方 位 外 交 路 線へ 1987 年 外国投資法成立 1989 年 カンボジアから撤退 1991 年 カンボジア和平パリ協定、対中国関係の正常化、 最大の援助国ソ連崩壊、全方位外交へ 地域・国際経済 との統合へ 1995 年 WTO 加盟申請、ASEAN 正式加盟、 対米国外交関係樹立 1998 年 ASEAN 首脳会議開催、APEC 加盟

(8)

歴 史 外 交 出 来 事 1999 年 中越陸上国境協定締結 2000 年 中越トンキン湾領海画定協定締結対ロシア(旧ソ連)債務 削減で合意クリントン米大統領訪越、米越通商協定締結 2002 年 中国・ASEAN 自由貿易協定締結包括合意 2003 年 日越投資協定締結 2004 年 アジア欧州会議(ASEM)首脳会議開催 2006 年 5 月末、WTO 加盟に関する米国との二国間合意に調印 2006 年 11 月 APEC 首脳会議開催(開催地ハノイ) 2007 年 1 月 WTO 加盟 2008 年 1 月 国連安全保障理事会・非常任理事国へ(予定) (出所)各種資料よりJOI にて作成

IV.ASEAN の中での位置付け

ASEAN(東南アジア諸国連合)は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポ ール、タイの5 カ国で 1968 年に発足した地域経済統合である。ベトナムは、1995 年に加 盟し、現在はブルネイ(1984 年加盟)、ラオス(1997 年加盟)、ミャンマー(1997 年加盟)、 カンボジア(1999 年)を合わせた 10 カ国体制となっている。 図表 1-7 ASEAN 加盟国 (出所)日本外務省ホームページ

(9)

1.人口(2006 年) 人口は、2.22 億人超のインドネシアが圧倒的に多く、フィリピン(8,700 万人)、ベトナ ム(8,420 万人)と続いている。 図表 1-8 ASEAN の人口 222.1 87.0 84.2 65.2 56.5 26.6 14.2 5.7 4.5 0.4 0 50 100 150 200 250 インドネシア フィリピン ベトナム タイ ミャンマー マレーシア カンボジア ラオス シンガポール ブルネイ (百万人)

(出所)Asian Development Bank, Key Indicators 2007 2.一人当たり GNP(2006 年) 一人あたりGNP はブルネイ、次いでシンガポールがそれぞれ 3.0 万ドル程度と群を抜い て高い。ベトナムは724 ドルと、10 ヵ国中、7 番目である。 図表 1-9 ASEAN の一人当たり GNP 3,289 724 613 512 209 5,891 1,356 1,640 30,159 29,500 0 4,000 8,000 12,000 16,000 20,000 24,000 28,000 32,000 ブルネイ シンガポールマレーシア タイ インドネシア フィリピン ベトナム ラオス カンボジア ミャンマー (ドル) (出所)アセアン事務局ホームページ

(10)

3.貿易(輸出入、2006 年) 貿易額は、輸出入ともにシンガポール、マレーシア、タイの順に多い。ベトナムは10 ヵ 国中6 番目、輸出が 370 億ドル、輸入が 403 億ドルと入超である。 図表 1-10 ASEAN の貿易額 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 シンガポ ール マレー シア タイ インドネ シア フィリピ ン ベトナムブルネ イ カンボジ ア ミャンマ ー ラオス (百万ドル) 輸出 輸入 (出所)アセアン事務局ホームページ 4.日本からの直接投資流入1状況 日本からの直接投資流入状況(1999 年∼2004 年度の累計)は、金額ベースでは、インド ネシアが2.18 兆円と最も多く、件数ベースでは、タイが 2,345 件で最も多い。ベトナムは、 金額は1,741 億円、件数は 289 件で、10 ヵ国中 6 番目である。 なお、2005 年度以降の多くの資金流入があったのは、タイ(2005 年 2,355 億円、2006 年2,302 億円)、インドネシア(同 1,341 億円、同 864 億円)、である。ベトナムは、2005 年168 億円、2006 年 543 億円となっており、前述の国に比して小さい規模に止まっている。 図表 1-11 日本からの直接投資流入状況(1999∼2004 年度の累計) 0 5 ,0 00 10 ,0 00 15 ,0 00 20 ,0 00 25 ,0 00 イン ドネ シ ア タイ シ ン ガ ポー ル マ レー シ ア フ ィリピ ン ベトナム ミャ ン マ ー ブ ル ネ イ カン ボジ ア ラ オス 0 5 00 1 ,0 00 1 ,5 00 2 ,0 00 2 ,5 00 金 額 ( 左 軸 ) 件 数 ( 右 軸 ) ( 億 円 ) ( 件 ) (出所)日本財務省ホームページ 1 公表様式の変更に伴い、2004 年までは届出・会計年度ベース、2005 年は国際収支・暦年ベースで発表。

(11)

5.労働コスト(ワーカークラス) ワーカークラスの労働コストで比較すると、ASEAN 主要地域の中で、ベトナムの 2 都市 は近年労賃が上昇している。2005 年 11 月調査時点では、ヤンゴン(ミャンマー)に次い で安かったが、2006 年同調査では、ジャカルタ・バンコクとほぼ同水準に達した。 図表 1-12 ASEAN の都市別労働コスト(ドル/月) 都市名 (国名) ジャカルタ (インドネシア) シンガポール (シンガポール) バンコク (タイ) マニラ (フィリピン) ①ワーカークラス 177.70 813∼1,254 164 263.23∼303.31 ②中間管理職 548.25 4,003∼5,499 684 842.52 都市名 (国名) ハノイ (ベトナム ホーチミン (ベトナム) クアラルンプール (マレーシア) ヤンゴン (ミャンマー) ①ワーカークラス 87∼198 122∼216 221 19∼31 ②中間管理職 597∼859 681∼1,690 1,638 53∼175 (注)2006 年 11 月時点調査。 (出所)ジェトロホームページ(投資コスト比較表) 6.物流コスト(対日輸出、40 フィートコンテナ当たり) 物流コスト(船便)で比較すると、ハノイはジャカルタに次いでコストが高い。ホーチ ミンは、クアラルンプールとほぼ同程度である。 図表 1-13 ASEAN の物流コスト(船便、対日輸出、40 フィートコンテナ当たり) 1,205 855 685 750 950 1,110 1,800 1,255 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000   ヤンゴン    (ミャンマー)    バンコク    (タイ)   ジャカルタ   (インドネシア)    ハノイ     (ベトナム)   マニラ      (フィリピン)  シンガポール  (シンガポール)   ホーチミン   (ベトナム) クアラルンプール (マレーシア) (ドル) (注)2006 年 11 月時点調査。 (出所)ジェトロホームページ(投資コスト比較表)

(12)

ひとくちメモ①:拡大メコン圏におけるベトナム

インドシナ半島に位置するタイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、中国雲南省の 6 つの国・地域は、1990 年代前半から拡大メコン圏(Greater Mekong Subregion:GMS)を形成 して地域全体の発展に取り組んでいる。GMS 諸国では、アジア開発銀行(ADB)の支援のもと、 国境を越えた道路整備や電力融通などのプログラムが進められている。 ここで、GMS 諸国の動向について少し紹介しよう。 まず、GMS 諸国の中で最も経済発展しているタイだが、労働コストの上昇などを背景に、言語 的にも近いラオスに第二工場を建設したり、工場を移転したりする動きが見られる。また、最近 ではベトナムからも同じような事情でラオスに進出するケースがあるようだ。ラオスといえば、 第一東西回廊でタイとベトナムの中間に位置していることで注目されている。また、同国は水力 エネルギーが豊富で、既にタイに向けに電力輸出を行っている。カンボジアは、内戦の影響で多 くの労働力が失われた。しかし、アンコールワットやシハヌークヴィルなどの観光資源があるほ か、将来、第二東西回廊が活用されれば、バンコク∼ホーチミン間の中継国として発展する可能 性もある。ミャンマーは現在、政治的な事情から国際社会から少し距離を置いた状況にある。魅 力は、約 5700 万人の人口(GMS ではタイの次)と、天然ガスなどの資源に恵まれている点であ る。中国雲南省はこれまで、中国沿岸部に比べて経済発展で後れを取ってきた。南北回廊によっ てタイ、ミヤンマー、ラオスとの経済交流を活発化させ、経済発展に弾みをつけたいとの期待が ある。また、省都・昆明はベトナム北部とも道路や鉄道でつながっている。そのベトナムでは、 中国華南地域との関係に注目が集まっている。2007 年後半には、ハノイと華南地域を結ぶ定期 混載便での輸送(陸路)が始まったそうである。 図表 1-14 拡大メコン圏(GMS)の特徴 ○約5700万人の人口 ○豊富な資源 △国際社会から距離を  置いた対応 ○約6500万人の人口 ○目覚ましい経済発展 ○自動車を中心とした  産業の集積 △労働コストの上昇 ○タイの第二工場の  位置付け ○第一東西回廊の  中継基地 ○増加するタイへの  電力輸出(水力) △人口は約570万人 ミャンマー タ イ ラオス ○約8400万人の人口 ○増加する企業進出 ○豊富な越僑送金 △裾野産業の未成熟 ベトナム ○第二東西回廊により  バンコク、ホーチミンと接続 ○良質な観光資源  (アンコールワット等) △人口は約1400万人だが、  内戦の影響残る カンボジア ○約4500万人の人口 ○ミャンマー、ラオス、  ベトナムと国境を接する ○タバコ、天然ゴムの産地 △中国沿岸部の経済発展  から取り残される 中国雲南省  中国華南地域  (広州、深セン) ○電気・電子産業、  自動車産業における  日系企業の集積 △労働コストの上昇 第二東西回廊 (南部経済回廊) 第一東西回廊 南北回廊 昆明∼ラオカイ∼     ハノイ∼ハイフォン (出所)各種資料より作成

(13)

第2章 最近の政治・経済情勢

I.ベトナムの基本政策

1980 年代に入り、社会主義的経済運営の行き詰まりとソ連をはじめとした友邦国からの 援助の停滞から経済危機に陥ったベトナムは、1986 年 12 月の第 6 回ベトナム共産党大会 において、計画経済路線に代えて、市場経済に則った「ドイモイ政策」(「ドイモイ」はベ トナム語の「刷新」を意味する)と呼ばれる新たな経済改革路線を採択した。この「ドイ モイ(刷新)政策」は、旧ソ連の「ペレストロイカ」に倣ったもので、対外経済開放、企 業自主権拡大、農家請負制導入などの資本主義的な制度を採り入れている点に特色がある。 ベトナムは、この「ドイモイ政策」の下で、急速に経済発展を図ってきたが、1990 年代 に入ると、グローバリゼーションの流れに影響され、東アジアでも国境を越えた経済関係 構築の気運が拡がり始めた。このため、東アジアの中心に位置するベトナムも、この流れ に呼応して、ASEAN などの地域経済への、さらに進んで WTO など国際経済への統合を進 め、国際経済のダイナミズムに乗って将来における自国の経済発展を図る途を歩んでいる。 ・1976 年:ベトナム社会主義共和国誕生。南を含め社会主義国 家建設方針を打ち出す(第4回共産党大会) ・1979 年:「新経済政策」の導入による部分的自由化の実施によ る経済改革を推進 ・1986 年:ドイモイ(刷新)政策を採択(第 6 回共産党大会)、 計画経済から市場経済への移行を指向 ・1987 年以降:農業の自由化、国営企業改革、金融制度改革、 外国投資法制定など制度改革・法律改正の推進 ・1991 年:2000 年までに所得倍増を目指す第 5 次 5 カ年計画 を採択(第7 回共産党大会) ・1990 年代前半:経済が好転するなか、各般の制度改革など改 革路線を一層強力に推進、対中・対米対立関係を改善、イン ドシナ「東西回廊構想」浮上、日本対ベトナムODA 再開 ・1995 年:民法典の制定、ASEAN 加盟、WTO 加盟申請 ・1996 年:AFTA 加盟 ・1997 年:チャン・ドウック・ルオン国家主席・ファン・ヴァン・カイ首相就任 ・1998 年:APEC 加盟 ・2000 年:米越通商協定締結 ・2001 年:2010 年までに所得倍増を目指す新 10 ヵ年戦略を採 択(第 9 回共産党大会)、ノン・ドック・マイン書記長、グエン・ヴァン・アン 1987∼94 年 ドイモイ政策の採用と 市場経済の枠組みの構築 1995 年∼ 地域経済・国際経済 への統合 1976∼86 年 社会主義国家の建設

(14)

議長就任 ・2003 年:日越投資協定締結 ・2005 年 6 月:ファン・ヴァン・カイ首相来日 ・2006 年:グエン・ミン・チェット国家主席(大統領)、グエン・タン・ズン首相、 グエン・フー・チェン議長就任 ・2006 年:米越二国間合意 ・2006 年 10 月:グエン・タン・ズン首相来日 ・2007 年 1 月:WTO 加盟 ・2007 年 11 月:グエン・ミン・チェット国家主席(大統領)来日 ・2008 年:国連安全保障理事会非常任理事国(任期 2 年)へ(予定) ・2008 年:日越外交関係樹立 35 周年

II.ベトナムの経済(含む中長期経済開発計画の概要)

1.経済発展の歩み 1990 年代以降、ドイモイ政策の効果により経済成長が加速化、90 年代中頃には 9%台の 高成長を達成した。しかし、97 年に発生した東アジア通貨危機の影響を受け、外国投資が 急減、また、輸出面でも周辺諸国との競争が激化、99 年の成長率は 4.8%に低下した。 2000 年以降は新 10 ヵ年戦略(2000∼2010 年)をベースに経済成長優先の経済運営を行 っている。経済指標として、10 年間で GDP を倍増する計画を持ち(2010 年 GDP を 2000 年の2 倍へ、今後は年 7%成長を目指す)、国内貯蓄率は 30%、輸出は GDP の 2 倍の成長 率、経済構造は工業セクターの伸長(GDP シェア:農業 16-17%、工業 40-41%、サービス 42-43%)が目指されている。 さらに、2006 年 4 月に採択された第 8 次 5 カ年計画(2006∼2010 年)では、経済発展 や貧困撲滅に加え、文化と環境保護など社会全体の発展を目標として掲げている。また、 数値目標としては、2010 年の GDP を 2000 年比 2.1 倍の 850∼890 億ドルとすること、ま た、今後 5 年間の経済成長率(年平均)を 7.5∼8.0%とすること、国内外の環境が良好で あればそれ以上の成長を目指すとしている。1 人当り GDP は 2010 年までに 1,050∼1,100 ドルを目指す(参考:2005 年 1 人当り GDP636 ドル)。その他の目標として、2010 年まで に、①電話普及率35%とする、②インターネット加入率 12.6%とする、③全国的に中等教 育を普及させる、④大学進学率を2%とする、⑤全ての生産にクリーン技術の導入等を達成 することが掲げられている。

(15)

図表 2-1 ベトナム経済の発展と所得水準の上昇

(出所)GSO, Statistical Yearbook 各年版等 2.最近の経済動向 ベトナム経済は、貿易の拡大と直接投資流入等を受けて、2000 年以降7%超の安定した 成長を維持してきた。特に、2007 年は、1月に WTO 加盟を実現し、輸出および投資に下 支えられたことから、通年で8.5%成長となった。また、こうした成長を背景にして、人口 8,400 万人を抱えるベトナムも、1人当たり GDP が 2007 年には 809 ドルに達することが 見込まれている。 財政収支は、近年恒常的に赤字ではあるものの、対GDP 比1∼3%と維持可能なレベル に止まっている。金融は、2007年5月時点のマネーサプライ(M2)は対前年比 41%で伸 びている。銀行貸出も民間与信の急速な伸びを反映して同時点で対前年比 35%の伸び率と なった。 国際収支では、原油や繊維製品を中心として輸出(2006 年 398 億ドル)が拡大している ものの、それを上回って輸入(同426 億ドル)も拡大していることから、2006 年の貿易収 支赤字は28 億ドルに拡大している。しかし、南部を中心に越僑からの送金が流入している ため、経常収支赤字は対GDP 比 0.3%と赤字幅は縮小を続けている。一方、資本収支は経

(16)

常収支の赤字を上回る資金流入が、直接投資(FDI)、証券投資でみられ、2006 年は 45 億 ドルと前年26 億ドルを上回る大幅な黒字計上が見込まれている。この結果、外貨準備高は 増加を続け、2007 年5月末は 190 億ドル(対月間輸入比約 4.4 ヶ月分)と 06 年末から 07 年初5 ヶ月間で 7.5 億ドルの増加を記録、03 年末 56.2 億ドル(同 3.0 ヶ月)と比すると約 3.4 倍の大幅増加となっている。 このようにマクロ経済状況は概ね良好であるものの、外貨準備および民間与信の急速な 伸びを反映したマネーサプライの拡大、グローバルな規模での国際商品価格の高騰、そし て、労働力需要の高まりを受けた賃金上昇等を受け、消費者物価上昇率は、2006 年末対前 年同期比 6.6%に対し、2008 年1月末には対前年同月比 14.1%(速報値)にまで加速して いる。ただし、中央銀行は、インフレを懸念して、2007 年 6 月より、預金準備率を引き上 げ、またドン高容認等引き締め策に転じている。 今後も、自由化の流れの中で、市場開放により経常収支の悪化が懸念されるものの、政 府は2007∼08 年も 8∼8.25%の成長を掲げ、堅調な経済成長が続くことを予測している。 図表 2-2 ベトナムの主要経済指標 単位 2003年 2004年 2005年 2006年1) 2007年2) 2008年2) 実質GDP成長率4) 7.3 7.8 8.4 8.2 8.53) 8.2 一人当たりGDP4) ドル 492 553 636 723 809 916 消費者物価上昇率(期末値) % 2.9 9.7 8.8 6.6 12.63) 7.3 財政収支5) 対GDP比 -1.2 0.9 -1.1 -0.4 -3.5 ・・ 歳入および贈与 対GDP比 24.9 26.7 25.9 27.1 24.9 ・・  うち 税収 対GDP比 n.a. 19.3 19.8 21.6 20.5 ・・ 歳出 対GDP比 26.1 25.8 27.0 27.5 28.4 ・・ ブロードマネー % 24.9 29.5 29.7 33.6 36.0 ・・ 信用供与 % 28.4 41.6 31.7 25.4 29.0 ・・ 貿易収支 億米ドル -25.8 -22.9 -24.4 -27.8 -50.6 -59.6 輸出(f.o.b.) 億米ドル 201.5 264.9 324.5 398.3 466.7 555.8 輸入(f.o.b.) 億米ドル 227.3 287.7 348.9 426.0 517.3 615.4 経常収支 億米ドル -19.4 -15.7 -5.0 -1.6 -22.0 -25.6 同上 対GDP比 -4.9 -3.4 -0.9 -0.3 -3.2 -3.2 直接投資(ネット) 億米ドル 18.4 18.2 19.0 23.4 27.5 30.2 証券投資6) 億米ドル -- -- 8.7 13.1 56.0 26.0 外貨準備高(期末値) 億米ドル 56.2 63.1 85.6 114.8 199.3 236.6 同上(対週間輸入比) 週間 8.7 8.4 9.4 10.4 15.2 15.5 為替レート(対米ドル、期末値) ドン/1ドル 15,646 15,777 15,916 16,054 16,0877) ・・ 注1)暫定値 2)IMF 推定値 3)実績値(出所:ベトナム統計局) 5)2008 年値は予算値 6)2005 年に発行されたソブリン債(7.6 億ドル)を含む 7)2007 年 5 月値

出所1)IMF, 2007 IMF Article IV Consultation, December 2007. 2)IMF, Statistical Appendix, December 2007.

3)IMF, IFS.

(17)

3.産業構造の変化 産業別 GDP 構成比を見ると、1986 年ドイモイ政策による市場経済の導入以降は、第 1 次産業(農林水産業)のシェアが低下し、次第に第 2 次産業(工業・建設業)および第 3 次産業(サービス業)のシェアが拡大している。2006 年では、第 1 次産業が全産業の 20.4%、 第2 次産業が同 41.5%、第 3 次産業が同 38.1%であった。なお、就業人口では農業部門の 比率52%と依然として高い。 図表 2-3 ベトナムの産業別 GDP 構成比の推移 20.4 41.6 38.1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 19 8 6 19 8 8 19 9 0 19 9 2 19 9 4 19 9 6 19 9 8 20 0 0 20 0 2 20 0 4 20 0 6 (%) 農林水産業 工業・建設業 サービス業

(出所)GSO, Statistical Yearbook2006

III.ベトナムの貿易

1.ベトナムの貿易構造 (1) 輸出入の推移 ドイモイ政策導入後のベトナムの貿易は、東アジア通貨危機の影響で一時的に停滞した ものの、2000 年以降急速に拡大している。2006 年の輸出総額は 398 億ドル(対前年比 22.8% 増)、輸入総額は449 億ドル(同 22.0%増)となっている。 図表 2-4 ベトナムの貿易額の推移 324 398 82 197 368 449 54 145 150 265 201 167 73 92 94 115 111 116 253 320 162 156 115 117 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 (億ドル) 輸出 輸入

(18)

(2) 主要貿易品目(2006 年および 2007 年 1∼5 月) ベトナムからの輸出品は、原油、食料品(米、水産物、コーヒーなど)等の一次産品と、 繊維・縫製品、履物等軽工業品が多い。輸入品は、輸出製品生産のための機械・機器部品、 加工品原料等が中心である。なお、ベトナムは産油国であるものの、国内での精製機能が 整っていないことから、原油を輸出し、精製設備がないので石油製品を輸入している。 図表 2-5 ベトナムの主要貿易品目(2006 年および 2007 年 1∼5 月) (出所)GSO (3) 主要貿易相手国(2006 年) ベトナムは、各国・地域と活発に貿易を行っている。貿易相手国としては、近年、ASEAN・ 中国の比重が高まり、また、米越通商協定締結を契機に米国への輸出も急増している。2006 年は、中国(シェア12.3%)、日本(同 11.7%)等アジアが過半を占め、米国(同 10.4%) がそれに続いている。 輸出先国としては、米越通商協定が発効した翌年の2002 年以降米国が首位となり、次い で日本、オーストラリアが続いている。2005 年 1 月から WTO の多国間繊維協定(MFA) 撤廃に伴いクォータ撤廃後、2006 年は米国へは繊維・衣料品(シェア 38.9%)を中心に、 原油(同 12.9%)、履物(同 10.3%)、木製品(同 9.5%)等を輸出している。日本へは、 水産物をはじめとして、原油、電線・ケーブル、木材・同製品、履物等が輸出されている。 一方、輸入先国は、中国、シンガポール、台湾、日本が続いている。中国は2003 年以降 首位を維持しているが、中国からは主に鉄鋼、機械設備・同部品、織布・生地等の生産・ 資本財を中心に輸入している。シンガポールへは石油・同製品輸入を依存しているが、昨 年に引き続き、油価高騰の影響を受けて大幅に伸びている。 WTO 加盟が実現した今後、貿易の自由化が進む中で、貿易の流れにも大きな変化が生じ る可能性がある。 輸出品目 (百万ドル、シェア) 輸入品目 (百万ドル、シェア) 2006年 2007年 1∼5月 2006年 2007年 1∼5月 原油 8,323 21.0% 3,083 17.0% 機械・同部品 6,555 14.8% 3,623 17.0% 繊維、衣料品 5,802 14.6% 2,684 14.8% 石油・同製品 5,848 13.2% 2,674 12.5% 履物 3,555 9.0% 1,488 8.2% 鉄鋼 2,905 6.5% 1,704 8.0% 水産物 3,364 8.5% 1,314 7.3% 衣料・靴部品 1,959 4.4% 876 4.1% 木工製品 1,904 4.8% 947 5.2% 生地 2,954 6.7% 1,499 7.0% 電子部品 1,770 4.5% 744 4.1% コンピュータ・電子部品 2,055 4.6% 1,018 4.8% 米 1,306 3.3% 611 3.4% プラスチック原料 1,846 4.2% 896 4.2% ゴム 1,273 3.2% 415 2.3% その他 20,288 45.7% 9,080 42.5% コーヒー 1,101 2.8% 1,122 6.2% 輸入合計 44,410 100.0% 21,370 100.0% その他 11,207 28.3% 5,707 31.5% 輸出合計 39,605 100.0% 18,115 100.0%

(19)

図表 2-6 ベトナムの主要貿易相手国・地域(2006 年)

(出所)GSO, Statistical Yearbook 2006

2.日本との貿易 ベトナムにとって、日本は 2004 年までは最大の貿易相手国であったが、2006 年の貿易 総額では99 億ドルと、中国に次いだ貿易相手国となっている。 (1) 日越貿易の推移 日本との輸出入は、ともに増加傾向を続けている。2002 年から数年間は対日輸入が対日 輸出を上回っていたが、原油高騰の影響等もあって、2005 年には再び輸出が輸入を上回り、 2006 年は対日貿易黒字幅が拡大している。 主要輸出相手国構成比(2006年) その他 (111億ドル) 36% 中国 (30億ドル) 7.6% 米国 (78億ドル) 19.7% 日本 (52億ドル) 13.1% オーストラリア (37億ドル) 9.2% シンガポール (16億ドル) 4.1% マレーシア (12億ドル) 3.0% ドイツ (14億ドル) 3.6% 英国 (12億ドル) 3.0% 輸出合計 398.3億ドル (2006年) 主要輸入相手国構成比(2006年) 香港 (14億ドル) 3.2% タイ (30億ドル) 6.8% マレーシア (15億ドル) 3.3% 韓国 (39億ドル) 8.6% 日本 (47億ドル) 10.5% 台湾 (48億ドル) 10.7% シンガポール (63億ドル) 14.0% 中国 (74億ドル) 16.5% インドネシア (10億ドル) 2.3% スイス (13億ドル) 3.0% その他 (105億ドル) 23.5% 輸入合計 448.9億ドル (2006年)

(20)

図表 2-7 日越貿易の推移 14.6 25.8 52.3 43.4 47.0 40.7 9.2 23.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 (億ドル) 対日輸出 対日輸入

(出所)GSO, Statistical Yearbook 2006

(2) 日本との貿易品目(2006 年) ベトナムから日本への輸出品は、水産物(冷凍エビ・イカ、練り物等)、原油、繊維・衣 料品、電線・ケーブル、木材・同製品、コンピュータ・電子部品と多岐にわたる。他方、 ベトナムの日本からの輸入品は機械機器・同部品、コンピュータ・電子部品、自動車・同組 立部品、プラスチック原料等の工業製品を主に輸入している。 図表 2-8 ベトナムの対日貿易(品目別) (出所)ベトナム関税局 木材 ・同製品 5% その他 37% 電線 ・ケーブル 11% 繊維 ・衣料品 12% 原油 14% 水産物 16% コンピュー タ ・電子部品 5% 輸出 総額52.3億ドル 機械機器 ・同部品 29% コンピュー タ、 電子機器 ・同部品 11% 鉄鋼 10% 生地・織布 6% プラスチック 原料 3% その他 38% 四輪車・ 同組立部品 3% 輸入 総額47.1億ドル

(21)

第3章 外国直接投資流入状況

I.ベトナムの外国直接投資流入状況

1.外国直接投資流入状況 ベトナムへの直接投資は、90 年代以降、外国投資法の制定(1988 年)、米国の経済制裁 解除(1992 年)などを背景に増加、1996 年には 85.0 億ドル(新規許可ベース)までに達 した。しかし、1997 年以降は東アジア通貨危機などの影響により投資は減少し、1999 年に はピークの5 分の 1 程度の 15.7 億ドルまで低下した。 その後、政府による法制度の整備、制度の見直しのほか、工業団地建設等、ベトナム側 での外国企業受入態勢の整備が進んだことに加え、投資家からも中国一極集中回避のため のリスクヘッジ先として注目を浴びるようになった。さらに、2007 年初頭には WTO 加盟 が実現し、世界的な潮流の中で、直接投資流入額は増加基調を続けており、第 2 次ベトナ ム投資ブームと呼ばれるほど活況を呈している。 図表 3-1 ベトナムへの外国直接投資流入状況 17 40 59 130 193 261 340367325 417 228 308 374 518 697 752 723 914 922 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 新規許可額 実行額 投資件数(右軸) 金額(億ドル) 投資件数(件) (出所)MPI

(22)

2.国別外国直接投資流入状況 国別外国直接投資流入額(新規認可ベース)をみると、2006 年(総額 88.3 億ドル)は、 韓国を筆頭に、香港、英国と続いている(図表 3-2 ①)。トップの韓国は、鉄鋼最大手ポス コによる大型製鉄所建設(バリアブンタウ省、投資総額 11.3 億ドル)や大宇建設等大手 5 社のコンソーシアムによるハノイ市西湖西区の新都市開発(同3.1 億ドル)等の大型案件を 抱え、投資総額28.1 億ドルと同年シェアの約 3 割を占めた。2 位の香港は米国資本インテ ルによる半導体工場(同6.1 億ドル)投資により、投資総額 11.8 億ドルと急浮上している。 日本は総額10.6 億ドルで 4 位となっているが、アイデン(1.2 億ドル)、ユー・エム・シー・ エレクトロニクス(1.0 億ドル)、イリソ電子工業(0.8 億ドル)や松下電器産業(通信機器 製造、0.8 億ドル)等、北部での大型案件が目立つ。なお、拡張投資ベースでは総額 3.6 億 ドルであり、北部でのキヤノン(0.7 億ドル)、ヤマハ(0.4 億ドル)や、南部での味の素(0.1 億ドル)、YKK(0.1 億ドル)等が行われている。 国別外国直接投資額を1988∼2006 年の累計で見ると、韓国、シンガポール、台湾、日本 という順位になっている(図表 3-2 ②)。ただ、件数ベースでは台湾がトップとなっている。 なお、投資実行ベースでは日本が1 位で、投資実行率は 90%を超えている。 図表 3-2 国別外国直接投資流入額 ①2006 年 ②1988∼2006 年累計 米国 8.7% 台湾 2.6% シンガポール 5.0% 中国 3.9% その他 9.7% 韓国 31.8% 香港 13.4% 英国 12.9% 日本 12.0% (225件、28億ドル) (24件、12億ドル) (39件、11億ドル) (146件、11億ドル) (53件、8億ドル) フランス 3.7% オランダ 3.5% マレーシア 2.7% タイ 2.5% 香港 8.2% その他 19.0% 韓国 13.6% シンガポール 13.5% 台湾 13.4% 日本 12.3% 英国 4.0% 米国 3.7% (1,289件、81億ドル) (459件、81億ドル) (1,544件、80億ドル) (746件、73億ドル) (384件、49億ドル) (注)構成比は金額ベース。 (出所)ジェトロ資料

(23)

3.業種別外国直接投資流入状況 2006 年の動向を見ると、工業への投資が 55 億ドルと最も多く、全体の 6 割以上を占め た。次に、ホテル・観光業、運輸・通信業への投資が上位に入っている(図表 3-3 ①)。 1988∼2006 年の累計でも工業が最大シェア(5 割弱)を占めている。第 2 位に建設業が 入っている(図表 3-3 ②)。 図表 3-3 業種別外国直接投資流入額 ①2006 年 ②1988∼2006 年累計 その他 14.4% 農林業 1.8% 建設業 1.4% 石油・ ガス 1.2% サービス業 3.3% 運輸・ 通信業 7.0% ホテル ・観光業 9.1% 工業 61.8% (537件、55億ドル) (20件、8億ドル) (22件、6億ドル) 建設業 6.9% 農林業 6.1% 運輸・ 通信業 5.9% サービス業 2.5% その他 23.3% ホテル ・観光業 7.2% 石油・ ガス 3.3% 工業 45.9% (3,984件、275億ドル) (359件、41億ドル) (184件、37億ドル) (注)構成比は金額ベース。 (出所)ジェトロ資料

(24)

II.日本の対ベトナム直接投資

1.日本の直接投資の推移 日本からのベトナム向け直接投資は、90 年代以降ベトナム外資法が制定され、日本から のODA も再開されたことなどを契機に増加した。1995 年以降は、急激な円高による海外 生産シフトなどもあり、セメント、家電、自動車、バイク、コンピュータ部品等の分野で 大手メーカーの進出が集中し、早くも1997 年に対ベトナム投資流入額についてはピークを 迎えている。1998 年は、円安、日本経済停滞の影響もあり、対ベトナム投資は大型案件が 減少し、機械金属部品、縫製業、雑貨等の分野の中小規模投資が主流となった。 1998 年以降はアジア通貨危機の影響もあり、投資家の意欲自体も減退したことから、そ の後しばらくは投資流入が低迷していたが、2001 年頃から回復し、その後順調に増加して いる。 2001 年以降は、日系の工業団地が整備されるなど、日系企業の受入態勢が整備されたこ となどが呼び水となったほか、中国一極集中リスクヘッジのための「中国+1」の投資先 として、ASEAN の中で、政治的にも安定しているなど魅力の多いベトナムが注目されるよ うになっており、投資家の関心が高まっている。北部に向けて新規投資が増加する一方、 第1 次投資ブーム時(1995 年以降 1997 年アジア通貨危機後まで)に進出した日系企業に よる拡張投資が進み、南部へは増資が増えていることが最近の特徴である。 なお、今後については、日越投資協定が発効され、日越共同イニシアティブ等を通じて 政府間での投資環境整備等も進んでおり、ベトナム向け投資の増加が見込まれている(日 越投資協定についての詳細な内容は第4 章参照)。 図表 3-4 日本からのベトナム向け直接投資動向 52 359 381 110 97 117 202 437 192 177 65 24 73 79 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 年 (億円) 0 10 20 30 40 50 60 70 (件) 金額(左目盛) 件数(右目盛) (注)公表様式の変更に伴い、2004 年までは届出・会計年度ベース、2005 年以降は国際収支・暦年ベー スであることに留意を要する。 (出所)日本財務省、日本銀行ホームページ

(25)

2.日系企業の業種別直接投資状況 日本からの業種別直接投資状況は、1989 年から 2004 年までの累計(届出ベース)でみ ると、件数が289 件、総投資額が 1,741 億円となり、件数、額ともに製造業が 8 割となっ ている。製造業の内訳をみると、電機が404 億円(全体に占めるシェア 30%)とトップ、 次いで輸送機169 億円(同 12%)となった(図表 3-5 ①)。 2006 年(国際収支ベース)は 543 億円となり、業種別では製造業比率が 8 割以上と非常 に高い。さらに製造業の内訳をみると、最大シェアの電気機械器のほか、精密機械器具、 輸送機械器具、一般機械器具など、機械類が製造業の56%、全体の 45%を占めている(図 表 3-5 ②)。 図表 3-5 日本からのベトナム向け業種別直接投資2 ①1989∼2004 年累計 (件数) (金額) (金額・業種別内訳) 製造業 72% サービス業 ほか 28% 食糧 5% 繊維 4% 機械 4% 輸送機 12% その他 25% 鉄・非鉄 10% 化学 10% 電機 30% サービス業 ほか 20% 製造業 80% (出所)日本財務省ホームページ 2 同統計は、公表様式の変更に伴い、2004 年までは届出・会計年度ベース、2005 年は国際収支・暦年ベ ースで発表されている。このため、①で用いる1989∼2004 年の累計値は届出・会計年度ベースのデー タを累計したもの、また、②で用いる単年値は国際収支・暦年ベースのデータを記載する。

(26)

②2005 年および 2006 年 (億円) 2005 2006 製造業 計 202 437 食料品 3 20 繊維 15 △ 1 木材・パルプ × 16 化学・医薬 28 40 石油 × ゴム・皮革 6 15 ガラス・土石 △ 1 △ 6 鉄・非鉄・金属 21 44 一般機械器具 25 37 電気機械器具 △ 61 115 輸送機械器具 105 38 精密機械器具 18 53 その他 n.a. n.a. 非製造業 計 △ 34 106 農・林業 △ 1 × 漁・水産業 0 鉱業 △ 2 △ 16 建設業 △ 3 18 運輸業 0 9 通信業 × 卸売・小売業 △ 7 13 金融・保険業 63 不動産業 2 0 サービス業 6 18 その他 n.a. n.a. 合計 168 543 (注1)日本のネット流出額(つまり対外投資額、原典ではマイナス表示)をプラスで表示している。 (注2)空欄はゼロ、「×」は 3 件以下のため原典に金額表示がないもの。 (注3)製造業計と非製造業計には「×」およびその他の金額がそれぞれ加算されているため、個別業種 の合計とは一致しない。 (注4)右側の円グラフは、左表より作成。 (出所)日本銀行ホームページより作成 ベトナムへ投資している主要日系企業は、ホンダ、トヨタ、ヤマハ、スズキ等の自動車 組立・部品メーカーや、キヤノン、松下電器産業といった大手電気電子メーカー等、製造 業が中心である。その一方で、ギソンセメント(太平洋セメント、三菱マテリアル)、ビナ・ キョウエイ・スティール(共栄製鋼、三井物産、伊藤忠商事)など、素材産業の中にも成 功している企業がある。 2006 年の進出企業については、図表 3-6 にまとめる。 電気機械器具 21.2% 精密機械器具 9.8% 鉄・非鉄・金属 8.1% 化学・医薬 7.4% 輸送機械器具 7.0% 一般機械器具 6.8% 食料品 3.7% その他 16.6% 非製造業 19.5% 製造業 非製造業 (2006 年の業種別内訳)

(27)

図表 3-6 ベトナム進出済み日系主要企業リスト(製造業) 1)新規許可ベース(2006 年) 地域 件数 総投資額 (百万ドル) ベトナム法人名 投資額 (百万ドル) 北部 70 811.8 Aiden Vietnam 120.0 UMC Vietnam 100.0 Iriso Vietnam 80.0

Panasonic Communications Vietnam 76.4

Thang Long II 51.0

中部 10 17.4 P&I 5.0

Ngoc Trai Sai Gon 5.0

南部 66 227.2 Mitsui Vietnam 30.0

Yakult Vietnam 25.8

Furukawa-sky aluminum 18.0

Tokyo Rope Vietnam 18.0

TPR Vietnam 14.0 合計 146 1,056.4 2)拡張許可ベース(2006 年) 地域 件数 総投資額 (百万ドル) ベトナム法人名 投資額 (百万ドル) 北部 42 263 Canon Vietnam 70.0

Yamaha Motor Vietnam 43.1

Sumidenso Vietnam 26.7

Nissei Vietnam 19.0

Rhythm Precision Vietnam 12.7

中部 2 7.5 Qui Nhon Vietnam 6.6

南部 47 84.7 Ajinomoto Vietnam 12.0

YKK 10.0

Furukawa Automotive Parts Vietnam 9.0

Wonderful Sail Gon 6.6

GAS Vietnam-Japan 5.8

合計 91 355.2

(28)

3.日本からのベトナム向け直接投資動向(地域別) 日本からのベトナム向け直接投資は、2001 年以降、特に北部向けが増加している。図表 3-7 の通り、2002∼2006 年にかけて、件数では北部と南部は同水準で推移しているが、近 年、北部への大型投資が増えているため、金額では北部が南部を大きく上回るようになっ てきた。しかし、日本商工会の会員数は、まだ南部の方が多い(図表 3-8)。 図表 3-7 日本からのベトナム向け直接投資動向(新規許可、地域別) 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 0 10 20 30 40 50 60 70 80 北部 (金額) 中部 (金額) 南部 (金額) 北部 (件数) 中部 (件数) 南部 (件数) (百万ドル) (件数) 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 件 数 投資 額 一 件 当 た り 金 額 件 数 投資 額 一 件 当 た り 金 額 件 数 投資 額 一 件 当 た り 金 額 件 数 投資 額 一 件 当 た り 金 額 北部 25 101 4.0 28 141 5.1 52 294 5.7 70 812 11.6 中部 1 2 1.5 5 7 1.4 5 58 11.5 10 17 1.7 南部 26 20 0.8 30 105 3.5 50 99 2.0 66 227 3.4 全体 52 123 2.4 63 253 4.0 107 451 4.2 146 1,056 7.2 (注)投資額、1 件当たり金額の単位は百万ドル。 (出所)ジェトロ資料 図表 3-8 日本商工会の会員企業数の推移 (社) 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2007.4 ベトナム日本商工会 109 124 133 145 166 189 246 (前年からの増減) -6 +15 +9 +12 +21 +23 +57 ホーチミン日本商工会 255 241 256 264 277 281 358 (前年からの増減) +42 -14 +15 +8 +13 +4 +77 合計 364 365 389 409 443 470 604 (前年からの増減) +36 +1 +24 +20 +34 +27 +134 (注)ダナンにも日本商工会支部設立が進められている(2007 年時点)。 (出所)ジェトロ資料、ベトナム日本商工会およびホーチミン日本商工会のホームページ

(29)

第4章 外資導入政策

I.外資に対する基本姿勢

ベトナムは、1988 年の外資導入開始以来、米越通商協定締結(2000 年)、アジア自由貿 易地域(AFTA)への本格的参加を実現し、さらに、2007 年には世界貿易機構(WTO)へ の加盟が認められた。 2000 年に改正された外国投資法では、外資系企業は国有化されないこと、外国投資家の 資産も没収されないことを保証するなど、外国投資家に対しベトナムへの積極的な参入を 促しており、ベトナム市場開放に向けて着実な実績を積み上げている。2005 年までに延べ 7,000 余のプロジェクトに対して 662 億ドル以上の外資を受入れた。さらに、2006 年 7 月 1 日には内資企業と外資企業が同一環境下で投資事業展開出来ることを目的とした共通投 資法・統一企業法が発効している。ベトナム政府は、今後も、引き続き外資を受入れ活用 していくことを長期開発戦略の最優先課題としている。 日本との関係においては、2003 年 4 月、日本企業の投資を促進することを目的に、「競 争力強化のための投資環境改善に関する日越共同イニシアティブ」(いわゆる「日越共同イ ニシアティブ」)を立ち上げ、同年12 月に、44 項目からなる投資環境改善のための具体的 な行動計画を策定した(詳細は、以下1.参照)。また、同年 11 月には、日越投資協定を締 結し、ベトナムに投資する日本企業に対する最恵国待遇・内国民待遇の付与及び一連のパ フォーマンス要求の廃止について同意し、日本企業の権利の保護を約束している(詳細は、 以下2.参照)。なお、日越共同イニシアティブについては、2006 年 7 月に第 2 フェーズ が始動している(詳細は、以下1.参照)。 1.日越共同イニシアティブ 日越共同イニシアティブは、2003 年 4 月のカイ・小泉(日越首相、当時)会談の合意に 基づき、外国投資促進戦略の構築・実施、投資関連規制の見直し、投資関連政府機関の能 力向上、投資関連ソフトインフラの改善、経済インフラの開発等を目的として署名された もので、44 項目(うち 40)、41)は継続協議案件)からなる(図表 4-1)。同イニシアティ ブにより、ベトナム政府は、日本の支援の下で投資関連規制の見直し、投資関連ソフトイ ンフラ等の整備、物流等経済インフラの整備、成長を支える人材の育成、国有企業改革、 中小企業・民間セクターの振興などの諸改革に取り組んでいる。 日越共同イニシアティブのこれまでの成果は、日本からの短期ビザの廃止(2004 年 1 月 1 日から)、個人所得税の最高税率の引き下げ(50%から 40%へ)が実現したほか、一括払 いによる外資が取得する土地使用権の譲渡、リース、担保なども可能となった。 2004 年 12 月、全 44 項目(細目 125 項目ベース)の実施状況にかかる確認・評価が行わ れたが、概ね 70%にあたる項目が実施済み、ないしはスケジュール通りに進捗が認められ

(30)

るとの評価を受けている。さらに、2006 年 7 月に開催された合同委員会では、細目 125 項 目のうち 85%の達成が確認され、本イニシアティブは第 2 フェーズとして 2007 年末まで 継続されることが合意された。 2006 年 7 月に行われた本イニシアティブ第 2 フェーズ合同委員会では、2007 年末まで に実施すべき46 項目の行動計画が合意された(図表 4-2)。これらに対し、2007 年 11 月に 実施された最終評価では約 93%の項目において達成が認められている。解決されずに残っ た「輸出入禁止・制限品目の公表」「中古車輸入の基準設定」等の項目については、第3 フ ェーズにて議論されることとなった。 図表 4-1 日越共同イニシアティブ第 1 フェーズ要求 44 項目 1)裾野産業の育成・誘致・活用 2)外資系企業向けの法人税優遇 措置の明確化 3)個人所得税の改善 4)外国投資促進活動の拡大(ワ ンストップ・サービスなど) 5)主要産業の発展戦略と M/P の策定 6)短期滞在ビザ免除の導入 7)市場参入スケジュール(日越 投資協定)の遵守及び外資系 商社への市場開放 8)不当な投資ルールの廃止 9)100%外資が認められる分野の 明確化 10)労働法 11)土地法 12)部品・原材料などの輸入計画 申請制度の廃止 13)技術移転の促進 14)広告宣伝費などのキャップ制 度の廃止 15)30%以上出資の合弁企業の入 札方式義務付けの廃止 16)金融機関の資金・資産の海外 運用規制の廃止 17)資本規制の廃止 18)固定資産輸入に関連して起こ る総投資資本の定義の問題 19)税関実務の透明性・信頼性・ 調和化・迅速化・簡素化など 20)税務行政の適正な執行 21)知的財産権業務改善 22)知的財産権権利執行の強化 23)汚職撲滅 24)不正輸入の規制 25)法規範の適正化 26)法執行の適正化 27)法曹人材育成 28)競争法整備 29)国際会計基準への移行 30)手形・小切手決済制度の整備 31)工業標準・計量制度の整備 32)人材育成(IT 人材、職業訓練 など) 33)経済統計の整備 34)都市交通・都市機能 35)運輸の効率化 36)電力分野 37)通信環境の改善 38)廃水処理・産業廃棄物処理 39)経済インフラへの JBIC 国際 金融の積極活用 40)四輪産業育成 41)二輪産業育成 42)電気産業および電子産業の育 成 43)セメント JV 追加投資時最低 出資比率規制(40%)の廃止 44)ベトコンバンクの長期延滞債 権問題 (出所)在越日本国大使館ホームページ

(31)

図表 4-2 日越共同イニシアティブ第 2 フェーズ要求 46 項目 項 目 項 目 投資促進 1) 取締役会の決議ルールの改善 2) 合弁企業の入札に関する意思決定の改善 3) 投資に関する制限の明確化 4) FS が企業活動を制約しないことの明確化 (◎) 5) 外国投資家による株式保有の円滑化 6) 外国投資の窓口機関の強化 税制 1) 優遇税制改正時の意見聴取 2) 法人税の損金項目の拡大 3) 移転価格税制の改善 4) 個人所得税(外国人)の引下げ 5) 個人所得税所得控除制度の導入 6) 自動車の部品輸入関税(トラックのみ△) 7) 電機電子部品の税制 8) 決済制度の整備(◎) 9) 税法・会計法の法令遵守(◎) 10) 法人税申告書類の提出期限の延長 11) 個人所得税申告書類の提出期限の延長(◎) 労働 1) 違法ストライキに対する厳正な対処 (◎) 2) 外資企業および国内企業の最低賃金統一(◎) 3) 外国契約者の最低賃金廃止(◎) 4) 時間外労働の上限拡大 5) 強制無期限労働契約の廃止 6) 賃金テーブルの登録情報の適正な扱い(◎) 税関 ・物流 1) 輸入計画登録制度の廃止(◎) 2) 通関書類の簡素化 3) 保税貨物の通関手続きの簡素化 4) 合理的な貨物検査の導入 5) 通関手続きに関する見解の統一 6) 国際間陸路輸送の円滑化措置 7) 物流基幹道路の安全性向上 8) 国際貨物ターミナルの改善(△) 9) 輸出入禁止・制限品目の公表(P) 10) 不正輸入の防止 11) 中古車輸入の基準設定(P) 法 整 備 ・ 法執行 1) 環境規制の適切な執行 2) 技術移転契約の基準の明確化(◎) 3) 知的財産権侵害の取締強化(◎) 4) 法律相談窓口の強化 産業 1) 電子産業マスタープランの策定(P) 2) 裾野産業マスタープラン・二輪車産業マスタ ープランの策定(◎) 3) 自動車産業発展のための計画策定 4) 製造業で活躍出来る技術者の養成(△) イ ン フ ラ 整備 1) 通信サービスの向上(◎) 2) 電力供給の安定(◎) 3) 電源開発への民間参入促進(◎) 4) 都市内交通の安全性の向上 個別事項 1) 商社活動の拡大 2) 完成車輸入販売の外資開放 3) 物流事業の外資開放 4) 合弁企業のパートナーとの意見の不一致 5) 鉱業権の付与 6) ベトナム船籍取得の船齢 15 歳制限の廃止 (注)2007 年 11 月に開催された合同委員会最終評価において、評価が高かった項目(◎)、評価が低かっ た項目(△)、日本側とベトナム側で認識の不一致があった項目(P)を下線で記した。 (出所)在越日本国大使館ホームページ

(32)

2.日越投資協定 日越投資協定(2003 年 11 月調印、2004 年 12 月発効)は、日本の投資家、投資企業保 護の法的裏付けとしての意味を持っており、本協定では、①内国民待遇および最恵国待遇 の原則供与、②パフォーマンス要求(輸出義務、現地調達義務、役員の国籍制限、技術移 転制限、等)の原則禁止、を定めている。また、知的財産権の保護や紛争解決のための手 続きが規定されているほか、通信、金融、タバコ等の例外分野もこの協定に盛り込まれる など、ベトナムへの投資促進に向けて高いレベルの内容になっているとの評価がある。 本協定により、不透明とされてきたベトナムの投資規制運用が明確になることが期待さ れている。 3.米越二国間合意 米国との関係においては、1994 年に経済制裁解除後、1995 年 7 月米越国交正常化が実 現した。2000 年 10 月には米国クリントン大統領が初めてベトナム訪問し、米越二国間通 商協定32001 年 12 月発効したが、米越間の真の通商取引正常化には、1974 年通商法・ ジャクソン-ヴァニック修正条項の撤廃4について米国議会の承認が必要であった。2006 年 5 月、米国通商代表部(USTR)とベトナム商業省は、ベトナムの WTO 加盟交渉を契機とし て、工業製品、IT/サービス、農産品の各分野で関税・非関税障壁の撤廃ないし大幅削減、 通信・金融・流通サービスを含む投資自由化・環境整備による市場アクセス改善や知的所 有権保護など二国間合意に達した(図表 4-3)。WTO 加盟については、2005 年に米国議会 の反対で断念した経緯あるが、米越二国間合意によって大きく前進したと言われている。 4.各国との FTA 締結状況 WTO 加盟に向けて各国と二国間で通商協定締結を進めてきたが、FTA については、 ASEAN 内での FTA 交渉・締結に限定されている。 現在、AFTA の他、中国、韓国と締結済みであり、ASEAN 域内・中国とは 2015 年、韓 国とは2016 年までに関税を撤廃することが予定されている。特に、中国・ASEAN 包括的 経済協力枠組み協定(ACFTA)を控え、ベトナムと華南経済圏と結びつきが強化されるこ とから、日本企業の関心も高まっている。特に、北部は投資環境の良好さに加え、部品調 達先、そして消費市場としての中国への期待もあり、2001 年頃から本格的な大型製造業の 進出が相次いでいるとのことである。 日本とは、2005 年 11 月 APEC 会合時に EPA に関する検討会合の立上げが合意され、 2007 年 1 月から交渉が開始されている。 3 モノ、サービス、投資、財産権など包括的な内容を含むもの。 4 市場経済が導入されていない、或いは人権抑圧的な特定の国との正常な通商関係を禁止するもの。米国 大統領はこの条項適用を免除する権限があり、ベトナムについては1998 年以降毎年免除適用を繰り返し てきた。

(33)

そのほかでは、インド、豪州・ニュージーランドと交渉中、チリとは交渉を開始した。 また、米国、EU とは検討が進んでいる。 図表 4-3 米越二国間合意内容(抜粋) 1.農業分野 項目 内容 現行 WTO 加盟後 関税率引下げ 平均関税率27% 同 15%(対象品目は綿花、牛肉、豚肉、骨なし牛肉、乳 製品等米国からの全食糧輸入品3/4 以上) 食品衛生検査 WTO 基準に則した食品衛生検査の手法を導入。米国との 関係では、ベトナムは米国の食品安全検査システムを同等 と認め、新しい食品衛生基準や技術を導入するに際し、米 国に事前相談する等。 2.工業分野 項目 内容(WTO 加盟後) 関税率引下げ 米国からの工業製品輸入の94%以上の品目について、WTO 加盟後 15%以下への 関税率引下げを実施。 製品(例) IT 製品 関税率ゼロとする。 化粧品、医薬品 化粧品に関して現行44%から 17.9%まで直ちに引下げ。 医薬品に関して5 年以内に 2.5%まで引下げ。 民間航空機 民間航空機とエンジンについて7 年以内に関税撤廃。 航空機部品に関して7 年以内に関税率を 9%以下まで引下げ。 自動車および部品 米国の自動車、特にSUV に関する関税率の 50%引下げを実施。 自動車部品に関し、現行19%から 13%まで引下げ。 大型バイクに関し、56%引下げ、バイク部品に関して 32%まで引下げ。 国営企業 国営企業は、国際取引においては商業ベースの売買を行うことを確認。 3.サービス分野 項目 内容 市場開放 業種(例) 現行 WTO 加盟後 銀行・証券 外 国 銀 行 は支 店 設置 を認められているが、 現地法人は 49%まで の マ イ ナ ー出 資 しか 認められていない。 外 国 証 券 は駐 在 員事 務 所 の 開 設の み が認 められている。 ①2007 年 4 月 1 日時点、米国及び他の外国銀行は 100%出資 の現地法人設立が認められる。当該現地法人は完全な内国民 待遇を得る。 ②WTO 加盟時、外国証券は 49%までの出資による J/V 設立が 認められる。さらに、5 年後には 100%出資の現地法人設立 が認められる。 ③銀行証券以外の金融分野の外資系現地法人は内国民待遇を 得る。 ④国際金融資本取引はOECD 加盟国並もしくはそれ以上の水 準とする。 保険 外 国 の 保 険会 社 は支 店 設 置 を 認め ら れて ①外国保険会社100%出資の現地法人設立が認められる。5 年 後には生命保険以外の保険業務を扱う支店設置が認められ

(34)

いない。現地法人設立 はJ/V 形態のみで、各 種制限がある。 る。 ②外国の保険会社が行う業務は法令に定められた分野のみだ が、1 年後には業務制限を撤廃する。 ③外国の保険会社は完全な内国民待遇を得る。 テレコミュニケ ーション 外資マジョリティの現地法人設立を許可。該当分野は①基本的 な固定電話、移動電話、②インターネットサービスのデータ処 理、③衛星通信サービス、④地下ケーブル通信サービス等。 エネルギー 国内市場を開放し、米国企業が石油ガス探査、開発、コンサル タント、技術検査と分析、修理補修等の分野で活動出来ること とする。 外国のエネルギー関連会社のJ/V 設立を認め、3∼5 年後には 100%出資の現地法人も認める。 国際宅配便 まずJ/V 設立を認め、5 年後に 100%出資の現地法人設立を 許可。 運輸 まずJ/V 設立を認め、5 年後に 100%出資の現地法人設立を 許可。 (出所)米国通商代表部(USTR)ホームページ 5.WTO 加盟に伴う投資環境の変化 ベトナム政府は、WTO 加盟に伴い、国内法を順次改正している。ベトナムへ既に進出し た外資系企業、およびこれから進出する外資系企業に関連する主な項目として、次の 3 点 が挙げられる。なお、WTO 加盟に伴う法改正や、今後の優遇措置については次章(第 5 章) を参照のこと。

①輸出加工企業(Export Processing Enterprise、以下 EPE)に対する優遇

従来、EPE に対しては、輸出実績に応じて様々な税制上の優遇措置を提供してきた。し かし、WTO 加盟後は、こうした優遇措置は廃止の方向にある5 ②関税 WTO 加盟に伴い、多くの輸入原材料や部品の税率が減少する方向にある。 ③サービス分野の開放 今後 5 年以内に、金融・商業・運輸など多くのサービス分野が外資系企業に開放される 計画である。ただし、一部業種については、外資 100%での参入が認められなくなるなど、 開放に逆行したものも見受けられる。 5 例えば、繊維・衣料業界の EPE に対する優遇措置は既に撤廃されている。

参照

関連したドキュメント

事業セグメントごとの資本コスト(WACC)を算定するためには、BS を作成後、まず株

3 諸外国の法規制等 (1)アメリカ ア 法規制 ・歯ブラシは法律上「医療器具」と見なされ、連邦厚生省食品医薬品局(Food and

2008年 2010年 2012年 2014年 2016年 2018年 2020年

2-1 船長(とん税法(昭和 32 年法律第 37 号)第4条第2項及び特別とん 税法(昭和 32 年法律第

[r]

・関  関 関税法以 税法以 税法以 税法以 税法以外の関 外の関 外の関 外の関 外の関係法令 係法令 係法令 係法令 係法令に係る に係る に係る に係る 係る許可 許可・ 許可・

2019年 8月 9日 タイ王国内の日系企業へエネルギーサービス事業を展開することを目的とした、初の 海外現地法人「TEPCO Energy

[r]