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労働事情

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第5章  外資制度の概要 6

X. 労働事情

1.ベトナムの労働事情21 

  2006年の就業者数は4335万人で、2000年と比較すると約574万人増加しており、年平

均2%、年間約100万人弱の新規労働力が生まれている。このうち、国有部門の就業者数が

401万人(全体の9%)、非国有部門が3864万人(同89%)、外国投資部門が70万人(同

2%)となっている。経済活動別では、就業者の52%が農林業部門に従事しているものの、

年々減少傾向にある。次に多いのは 14%を占める工業部門で、近年は、建設業やサービス 業の就業者数が増加している(図表 5-24)。

  ベトナム全体の失業率は2000年6.4%から徐々に低下し、2006年には4.8%となった。

地域によって多少の差はあるが、現地進出日系企業によると、工場近くで労働者が集まら ない場合は周辺地域や地方からの出稼ぎ者を採用するなどして、今のところ労働力の確保 は可能である。ただし、企業で働いた経験のないベトナム人も少なくなく、そうした面の 教育も必要との指摘がある。

20 ただし、客観的に土地の担保価値を評価することが困難なため、実際に同制度を活用することは困難と いう指摘もある(現地邦銀)。また、土地使用目的の変更には許可が必要な場合もあるので、土地法の施 行細則で確認が必要。

21 ベトナムの労働事情に関しては、財団法人海外職業訓練協会(OVTA)のホームページも参考となる。

(http://www.ovta.or.jp/index.html)

図表 5-24  ベトナムの就業構造 

(千人)

2000

構成比

2006

構成比

年平均増加率

(01〜06年)

合計 37,610 100% 43,347 100% 2%

農林業 23,492 62% 22,567 52% −1%

工業 3,889 10% 6,199 14% 8%

商業 3,897 10% 5,072 12% 4%

建設 1,040 3% 1,994 5% 11%

文化・衛生・教育 1,353 4% 1,806 4% 5%

漁業 989 3% 1,556 4% 8%

輸送・倉庫・通信 1,174 3% 1,127 3% −1%

ホテル・レストラン 685 2% 783 2% 2%

その他サービス 1,090 3% 2,244 5% 13%

(出所)GSO, Statistical Yearbook 2006

2.ベトナム人の雇用  (1) 従業員の募集 

  労働法(Law No.35/2002/QH11)第16 条によると、雇用主は、直接あるいは職業紹介 機関を通してベトナム人を採用することができる。採用した労働者については、労働行政 を担当する地域の関係機関に報告する。雇用者と被雇用者の合意により、試用期間を決め ることができる。試用期間は、専門的あるいは高度な技術を要する職種の場合は60日、そ の他の場合は30日を超えてはならない。また、この期間内であれば契約の取消が可能であ る。試用期間中の賃金は、類似した職位の賃金の少なくとも70%とされている。

(2) 雇用契約の締結 

  雇用契約は従業員と雇主間で、労働傷病兵社会問題省(MOLISA)指定の様式で締結す る。雇用契約には次の3種類がある(労働法第27条)。

  ①期限の定めのない労働契約

  ②12ヶ月から36ヶ月までの期限付き労働契約

  ③季節労働又は特定業務に係る12ヶ月未満の期限付き労働契約

  このうち、②、③の期限付き労働契約の場合、契約期間が終了した後も従業員が継続雇 用を希望するときには、契約終了の日から30日以内に新しい労働契約を結ばなければなら ない。新しい雇用契約を結ばない場合、既に締結していた期限付き労働契約は、「①期限の 定めのない労働契約」となる。

  また、期限付き労働契約の更新は 1 回のみ可能で、被雇用者がその後も引き続き雇用を

望む場合は「①期限の定めのない労働契約」を締結しなければならない。

(3) 雇用契約の終了 

  労働法第36条によると、雇用契約は次の場合に終了する。

  ①契約期限の満了

  ②契約に書かれた業務の完了

  ③雇用者・被雇用者、双方による合意

  ④被雇用者が契機に服する場合、または裁判所の決定により職務復帰が出来ない場合   ⑤被雇用者の死亡、または裁判所が失踪を宣告した場合

  労働法第 37条では被雇用者による一方的な労働契約の終了について、同法第38条では 雇用者による一方的な労働契約の終了(解雇)について規定されている。雇用者が一方的 に労働契約を終了することができるのは、次の場合である(解雇についての詳細な規定は、

政府発行の2003年5月9日付Decree No.44/2003/ND-CPを参照のこと)。

  ①被雇用者が労働契約に従った業務を繰り返し遂行出来ない場合   ②労働法第85条の規定に従い、被雇用者を懲戒解雇する場合   ③被雇用者が病気のため、一定期間経過しても就労が不可能な場合

  ④自然災害、火災、その他の不可抗力から回復するためあらゆる措置を講じたにもかか わらず、雇用を生産の減少を余儀なくされた場合

  ⑤企業あるいは組織が活動を中止する場合

  雇用者が、上記のうち、①、②、③の理由で一方的に労働契約を解除する場合は、事前 に労働組合の幹部会の合意を得なければならない。雇用者と被雇用者の間で合意ができな ければ、最終的に法律に基づいて労働紛争の解決を図ることになる22

22 2006年、労働法の中の労働紛争解決に関する第14章が改正・補足され、200771日より発効し

た(20061129日付、Law No. 74/2006/QH11)

夜勤明けで工場から出てくるベトナム人たち  (ハノイ) 

3.外国人の雇用23  (1) 外国人労働者数の規制 

  国有企業、外資系企業を含め、企業は原則として全従業員数の3%を超えない範囲で外国 人労働者を採用することができる。ただし、特別な業種に属する雇用人数の少ない企業や、

生産体制が安定する前段階にある企業のうち、総従業員数の3%を超える外国人従業員を雇 用したい場合は、所轄の人民委員会による事前承認が必要である。また、職階を満たすベ トナム人従業員がいないことを理由に、上限を超えて外国人従業員を雇用したい場合も、

雇用主は事前に所轄の人民委員会の認可を受ける必要がある24

(2) 外国人労働許可証(ワーク・パーミット)の取得義務 

  ベトナム国内で就業(3ヵ月以上)する外国人は、労働許可証の取得が義務づけられてい る(申請は所在地の労働局で行う)。労働許可証の有効期限は最大36ヵ月である。ただし、

ベトナムの企業法のもとで設立された企業の役員会メンバー(取締役、役員、代表取締役 など)となっている外国人、ベトナムにある駐在員事務所所長や支店長などは労働許可証 の取得が免除されている。

4.労働条件 

(1) 労働報酬・最低賃金 

  労働報酬には、基本給与、出来高賃金、時間外労働手当、失業手当等の各種手当、賞与 などが含まれる。このほかに、企業は、失業保険、医療保険等の社会保険料の企業負担分、

福利厚生費、労働組合費などを人件費として負担する。

23 外国人の雇用や就業規則、雇用枠などについては、MOLISA発行の2003917日付Decree No.105/2003/ND-CP、それを修正する政府発行20057月13日付Decree No.93/2005/ND-CPを参照。

24 以前は採用可能な外国人労働者数に上限(50人未満)があったが、現在は撤廃されている。また、外国 人の「3%枠」を撤廃してはどうかという議論がなされている。

図表 5-25  労働報酬の内容 

労働報酬

賃金・給与 給与(基本給・出来高給)、奨励金、賃金性手当

(残業手当等)

各種手当 時間外労働手当、失業手当、離職手当、地域手当、

危険手当、通勤手当など

賞    与 特に支払い義務はないが、事業業績に応じて支給し ているところもある

  労働法では、労働時間、時間外労働手当について、以下の通り定められている。

図表 5-26  時間外労働手当の料率 

・ 残業手当(通常勤務日の時間外労働) :通常賃金の少なくとも150%

・ 休日出勤手当(週休日の労働) :通常賃金の少なくとも200%

(ただし、代替休暇を与える場合は差額を支給)

・ 祝祭日や有給休暇日の出勤手当 :通常賃金の少なくとも300%

・ 深夜勤務手当(深夜労働) :通常時賃金の少なくとも30%増し

(出所)労働法第61

  賃金は雇用契約の当事者間の合意によって決定されることになっているが、外資系企業 で働くベトナム人の賃金水準は、労働法の中で、国の定める法定最低賃金を下回らないも のでなければならないとされている。現地日系企業では、この法定最低賃金水準を上回っ ているようである。

  現在の外資系企業の法定最低賃金は、図表 5-27の通り、2006年2月1日改正分に則っ ているが、2007年11月16日にDecree No 168/2007/ND-CPが公布され、2008年1月1 日よりさらに引き上げられることとなった。その結果、外資系企業の法定最低賃金は、現 状よりさらに13〜15%上昇することになる。一方、ベトナム企業の法定最低賃金は、外資 系企業を上回る23〜30%で上昇し、月額54〜62 万ドンとなる。なお、ベトナム企業につ いては、これまで全国一律であったものが外資系企業と同じく地域別に 3 つに分類される ことになった。

図表 5-27  外資系企業の法定最低賃金水準  適  用  地  域 

最低賃金(月額) 

前回改定 

(99 年 7 月 1 日〜) 

現在 

(06 年 2 月 1 日〜) 

今後 

(08 年 1 月 1 日〜) 

1. ハノイ市、ホーチミン市の区部 62.6万ドン

(約45ドル)

87万ドン

(約55ドル)

100万ドン

(約62ドル)

2. ハノイ市、ホーチミン市の郡部、

  ハイフォン市区部   クアンニン省ハロン市、

  ドンナイ省ビエンホア市、

  バリア・ブンタウ省ブンタウ市、

  ビンズン省南部(トゥーザウモット町、トゥアン     アン県、ジーアン県、ベンカット県、タンウエン県)

55.6万ドン

(約40ドル)

79万ドン

(約50ドル)

90万ドン

(約56ドル)

3. その他の地域 48.7万ドン

(約35ドル)

71万ドン

(約45ドル)

80万ドン

(約50ドル)

(注 1)国営企業や外資系以外の民間企業、協同組合などについては、別の施行細則により、上記よりも低い

水準に定められている。

(注2)これまで「3. その他地域」に分類されていたクアンニン省ハロン市とビンズン省の一部は、2006

2月改訂時より中堅都市のレベルに分類されることになった。

(出所)各種報道より作成

  ところで、ベトナム企業の法定最低賃金は、外資系企業よりも低く設定されており、外 資系企業とベトナム国内企業の最低賃金の統一が課題の一つに挙げられてきた。この点は 日越共同イニシアティブ第 2 フェーズの要求項目に含まれており、統一に向けたスケジュ ールを早期に策定するよう、日本側は労働傷病兵社会問題省(MOLISA)に提案していた。

このほど、MOLISAは首相に対し、2007年から12年までの最低賃金統一スケジュール案 を提出した模様で、計画では早くて2010年、遅くとも2012年の統一を目標としている25

工業団地の掲示板で採用募集の張り紙をチェックする人々(賃金水準には敏感) 

25 ジェトロ「通商弘報」2007628日付。

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