第6章 物流・インフラ
III. 港湾 1.主要港湾
南北に長い海岸線を持つベトナムには、多数の港湾が点在し ている(図表 6-5)。ベトナム港湾協会のメンバーとなっている 34の港湾についてみると、取扱貨物量の50%を南部が占め、
38%を北部、12%を中部が占めている。2000〜2006 年の間、
取扱貨物量は年平均 15%で増加したが、最も増加したのでは 北部で、同20%増であった。コンテナ取扱量について見ると、
南部が全体の67%を占めている。
港湾別では、ホーチミンのサイゴン新港が取扱貨物量の19%、
コンテナ取扱量に至っては 50%を占め、他を圧倒している。
サイゴン新港に次いで重要な港湾は、北部のハイフォン港と南 部のサイゴン港である(図表 6-6)。
(出所)サイゴン港のHP、ベトナム港湾協会のHPより作成
ハ イ フ ォ ン港
ダ ナ ン港
ニ ャ チ ャ ン港 ゲ テ ィ ン港
ク イ ニ ョ ン港 カ イ ラ ン港
サ イ ゴ ン港 サ イ ゴ ン新 港 ベ ン ゲ港 国 際 コ ン テ ナ港 ブ ン タ ウ港
カ ン ト ー港
図表 6-5 ベトナムの主な港湾
図表 6-6 ベトナムの主な港湾の貨物取扱量(2006 年)
港名 取扱貨物量(1,000トン) 取扱コンテナ量 入港船舶数
2000 2006 2006 2006
(シェア) (シェア) 輸入 輸出 国内分 (TEUs) (シェア) (隻) 北部 13,029 29% 38,544 38% 9,405 18,110 11,029 790,856 28% 5,863
ハイフォン港 7,645 17% 11,151 11% 5,199 2,825 3,127 464,000 17% 2,056 カイラン港(クアンニン省) 1,533 3% 3,499 3% 884 1,158 1,457 113,360 4% 443
中部 4,637 10% 12,435 12% 1,185 4,638 6,612 100,669 4% 7,739
クイニョン港(ビンディン省) 1,462 3% 2,671 3% 641 1,303 727 51,946 2% 1,091
ダナン港 1,411 3% 2,371 2% 415 892 1,064 37,404 1% 1,312
ニャチャン港(カインホア省) 549 1% 1,078 1% 6 157 915 4,819 0% 658
南部 26,774 60% 51,275 50% 27,439 13,530 10,306 1,864,842 67% 8,285 サイゴン新港(HCM) 4,642 10% 20,000 19% 9,192 9,958 850 1,400,000 50% 1,914 サイゴン港(HCM) 9,701 11% 11,127 11% 6,286 2,016 2,825 220,569 8% 1,905
ベンゲ港(HCM) 2,708 6% 3,680 4% 1,033 223 2,424 191,048 7% 797
フーミー港(バリアブンアウ省) 950 2% 2,633 3% 2,124 51 458 - - 419
ドンナイ港(ドンナイ省) 723 2% 1,814 2% 712 165 937 - - 625
合計 44,440 100% 102,566 100% 38,164 36,455 27,947 2,777,219 100% 21,987
(出所)ベトナム港湾協会のホームページより作成
(1) 北部
北部の代表的な港湾はハイフォン港(ハイフォン市)とカイラン港(クアンニン省)で、
その他に石炭積出港としてビナコミン(石炭公社)が管理するカムファ港がある。
ベトナム北部最大の商業港であるハイフォン港は、河川港のため大型船は入れない。航
路水深は5.7〜7.8mで、4万DWT(積荷重量トン数)の船が限度である。現在、同じハイ
フォン市のディンブー地区では、ベトナム造船グループ(ビナシン)による港湾の建設が 進められており、2007年末までに1バース、3バースが2010年までに完成予定である。
カイラン港は、ハイフォン港を補完する国際商業港とするために建設された、北部で最 初の深海港である。航路水深は8.1〜13mで、最大3,000 TEU級の船舶まで入港可能であ る(ハイフォン港の約3倍)。2004年6月にコンテナ・ターミナルが開業したが、コンテナ の取扱規模はハイフォン港のまだ3分の1 である。カイラン港への期待は大きいが、近く に世界遺産に指定されたハローン湾があるため、さらなる拡張は難しいとの指摘もある。
海上輸送の中心は南部だが、東京船舶(親会社は日本郵船)では日本からカイラン港、
ホーチミン港へ直航サービスを行っている。
(2) 中部
中部の中心的な港湾は、北から順にダナン港(=ティエンサ港、ダナン市)、クィニョン 港(ビンディン省)、ニャチャン港(カインホア省)である。ニャチャン港は南部に近く、
ホーチミンとの距離は約320kmである。以前はダナン港の方が貨物やコンテナの取扱量が 多かったが、2004年頃よりクィニョン港の取扱量がやや上回るようになってきた。
ニャチャン港のあるカインホア省では、ベトナム海運総公社(ビナラインズ)によるバ ンフォン国際港の計画がある。2010 年完成予定で、取扱貨物量は 70 万トン(現在のニャ チャン港の約7割)が見込まれている。
(3) 南部
南部には多数の港湾があるが、中でもサイゴン新港、サイゴン港、ベンゲ港が最も需要 である(これら3港にベトナム国際コンテナターミナル(VICT)を加えて「サイゴン港」
と呼ぶこともある)。貨物やコンテナの取扱量は非常に多いが、いずれも河川港であるため、
3万トン級の船しか入れない。
南部では多くの港湾開発計画が浮上している。日本のODA支援を受け、現在、ホーチミ ン市の南、バリア・ブンタウ省のカイメップ・チーバイ地区に国際港を建設中で(2010年 竣工予定)、将来的には5万トン級以上の船舶が入船できるようになる。また、サイゴン港 の川下、ヒエップフオック地区でもコンテナ港の建設が進められている。
2.海上輸送の所要日数
海外主要港への所要日数は図表 6-7 の通りである。ベトナムと日本とを結ぶ航路は、シ ンガポールや香港経由が主流のため、日数がかかる。2006年7月から、東京船舶が北部カ イラン港への直行配船(週 1便)を開始、所要日数は 6日間である。なお、積み替え作業 をローカル事業者が行う場合、当初予定以上に時間がかかる場合もある点に注意が必要で ある。
図表 6-7 主要港への所要日数
香港
カ イ ラ ン ハイ フォ ン
ハノイ
ホーチミン バンコク
ダナン
シンガポール 2日
日本(東京)
8〜11日
(SP、HK経由)
6〜10日
(SP、HK経由)
4日
(直行)
2日 2日
2日
(注)SP=シンガポール、HK=香港
(出所)郵船航空サービス資料、東京船舶および商船三井のHPを元に作成。