第5章 外資制度の概要 6
V. 投資奨励・規制分野
1.奨励投資分野・奨励投資地域 (1) 奨励投資分野
共通投資法の第27条に、奨励投資分野が列挙されている(図表 5-9)。
図表 5-9 奨励投資分野
1. 新素材、新エネルギー、ハイテク製品、バイオテクノロジー、情報技術、製造機械 2. 農林水産品の養殖および加工、製塩、人工孵化、苗木の生産
3. 環境にやさしい高等かつ近代的技術の応用、科学技術の開発研究への投資 4. 労働集約的事業
5. インフラおよび重要かつ大規模工業プロジェクトの建設・開発 6. 教育・訓練・医療・体育・スポーツおよび民族文化の事業の開発 7. 伝統的産業の発展
8. その他の奨励する生産・サービス分野
(出所)共通投資法 第27条
奨励投資分野の詳細は、共通投資法の施行細則(Decree 108)で規定され、特別奨励投 資分野(リストA)と奨励投資分野(リストB)に分かれている(図表 5-10)。
「BOT、BTO、BTプロジェクト」は、旧外国投資法では特別奨励投資分野に含まれてい たが、共通投資法ではリストから外され、2007 年 5 月 11 日に公布された Decree
78/2007/ND-CPにより、実施分野や税制上の優遇措置などが規定されている。
図表 5-10 奨励投資分野 (詳細)
特別奨励投資分野(List A) 奨励投資分野(List B)
I. 新素材、新エネルギー、ハイテク製品注 1、バイオ技術 製品の製造、IT、機械製造(検査、制御、工業用ロボ ット等)
Ⅱ. 養殖、飼育、農林水産物の加工(植林、未開発耕地で の飼育や農産物の生産、未開発水域での水産物の生 産、製塩等)
Ⅲ. ハイテク技術や先進技術の適用、自然環境保護、ハイ テク技術の調査・開発(ベトナムで使用されていない 高度技術・新技術の適用、環境汚染の処置、環境保護 等)
Ⅳ. 労働集約型産業(常時5,000人以上雇用)
Ⅴ. 工業区のインフラ建設・運営、重要プロジェクト注 2
Ⅵ. 教育、訓練センター(スポーツ強化、障害者用等)、 ヘルスケア関連
Ⅶ. その他の製造・サービス(R&D投資、工業区内の従 業員用アパート等)
Ⅰ. 新素材、新エネルギー、ハイテク製品、バイオ 技術製品の製造、IT、機械製造(防音や電気・
熱の絶縁素材、非鉄金属、鋳型、医療設備等)
Ⅱ. 養殖、飼育、農林水産物の加工(医薬頻用植物 の育成、果物飲料の生産、家畜飼料の生産等)
Ⅲ. ハイテク技術や先進技術の適用、自然環境保 護、ハイテク技術の調査・開発(石油流出に対 応する設備、廃棄物処理設備の生産等)
Ⅳ. 労働集約型産業(常時500〜5,000人雇用)
Ⅴ. インフラ施設の建設(協同組合事業や地方のコ ミュニティに貢献するインフラの建設、一般 用・工業用の浄水・水供給システム、橋・道路・
ターミナル等の建設・改良工事等)
Ⅵ. 教育、訓練センター、ヘルスケア関連、ベトナ ム文化の発展(普通校・職業訓練校・大学教育 施設の建設、病院建設、スポーツセンターの建
特別奨励投資分野(List A) 奨励投資分野(List B)
※全部で26項目の具体的分野が示されている。 設、観光開発等)
Ⅶ. 伝統的産業の発展
Ⅷ. その他の製造・サービス(奨励地域におけるイ ンターネット接続サービス等の提供、公共輸送 の発展、都市部以外への生産拠点の再配置等)
※全部で53項目の具体的分野が示されている。
(注1)科学技術省の2006年12月18日付Decision No.27/2007/QD-BKHCNで、ハイテク製品の生産の クライテリアが定義されている。
(注2)「Ⅴ. 工業区のインフラ建設・運営、重要プロジェクト」は共通投資法の下で新たに追加。
(出所)共通投資法の施行細則(Decree No.108/2006/ND-CP)Appendix I
また、2007 年 4 月 23 日付で、2020 年を展望した 2007〜2010 年における優先業種
(priority industry)と先端業種(spearhead industry)リスト、およびその発展を促進す るいくつかの政策を規定した首相決定Decision No.55/2007/QD-TTgが公布された。対象分 野は以下の通り。
優先業種:繊維・縫製、皮革・靴、プラスチック、農林水産加工・鉄鋼、
アルミボーキサイトの採掘・加工、化学品
先端業種:機械工学(自動車、造船ほか)、電子・通信・情報技術、新技術関連製品
Decision 55によると、優先業種に対しては、優先的な土地の割り当て、ブランド構築の
ためのプログラム、R&Dに関しては技術移転やキャパシティ・ビルディングのための予算 支援などによるサポートを行うこととされている。他方、先端業種には優先業種と同様の 政策が適用されるとともに、生産活動における環境保護については部分的な国家支援の対 象とされている。
(2) 奨励投資地域
共通投資法および同法施行細則(Decree 108)では、奨励投資地域を次のように規定し ている(図表 5-11)。
図表 5-11 奨励投資地域
1. 特に社会的経済的な条件が困難な地域(優先的とされたハイテク工業団地、経済区を含む)
2. 社会的経済的な条件が困難な地域(工業団地を含む)
(注)共通投資法の施行細則(Decree No.108/2006/ND-CP)、Appendix Ⅱの中で、省ごとに具体的地名 が示されている。
(出所)共通投資法 第28条、同法の施行細則(Decree No.108/2006/ND-CP)Appendix Ⅱ
上記の奨励投資分野および奨励投資地域に該当するプロジェクトは、共通投資法と関連法
律に規定されている優遇制度を受けることができる。例えば、法人所得税については法人所 得税法の、輸入関税については輸出入関税法の規定に従い、税の優遇を受けることができる。
また、Decree 108によれば、工業団地も奨励投資地域に含まれており、工業団地内に進出 した場合も上記のような優遇措置を享受することができる。
2.条件付き投資分野
共通投資法の第29条に、条件付きで投資が認められる分野が列挙されている(図表 5-12)。 外資系企業が条件付き投資分野に投資する場合、投資証明書を取得するには管轄官庁の審 査を受ける必要がある。また、外国投資については、共通投資法の施行細則の中でも条件 付き投資分野が示されている(図表 5-12)。
図表 5-12 条件付き投資分野 内外資共通
(共通投資法 第29条第1項)
外国投資対象
(施行細則No.108/2006/ND-CP、Appendix Ⅲ)
a)国防・国家安全、治安、社会安全に影響 を与える分野
b)金融・銀行
c)公共保健・衛生に影響を与える分野 d)文化、情報、新聞、出版
e)娯楽サービス f)不動産事業
g)天然資源の調査、探査、開拓並びに生態 環境保護
h)教育・訓練
i)法律の規定に従うその他の分野
1. 放送、テレビ
2. 文化的製品の生産、出版、流通 3. 鉱物資源の探鉱・採掘
4. 通信ネットワーク・インフラの構築、インターネットや 通信サービスの提供
5. 公的郵便ネットワークの構築、郵便・速達サービスの提供 6. 港湾、ターミナル、空港の建設・運営
7. 鉄道、空路、道路、海路での物資・顧客の輸送、国内海運 8. 漁業
9. タバコ製造 10. 不動産事業 11. 輸出入・流通業 12. 教育・訓練 13. 病院、クリニック
14. その他(ベトナムが締結している国際条約で、外国投資 家への市場開放を制限しているもの)
(出所)共通投資法および同法の施行細則
施行細則(Decree 108)には、優遇措置や条件付き投資分野の審査に関し、ベトナムの 加盟する国際条約において条件が定められている場合はこれに従う、との記述がある。図 表 5-12に示したいくつかの分野は、WTO加盟に際して市場開放が求められており、今後、
WTO加盟の合意文書に基づき、即時あるいは段階的に市場開放される予定である。ベトナ ムによる市場開放のコミットメントについては、「第 5章 I. WTO加盟と法改正 3. サー ビス分野の市場開放スケジュール」を参照のこと。
3.投資禁止分野
共通投資法の第30条に、投資禁止分野が列挙されている(図表 5-13)。
図表 5-13 投資禁止分野
Ⅰ. ベトナムの国防、国家安全および公共利益を侵害する事業
Ⅱ. ベトナムの歴史遺跡、文化、道徳、習慣を損なう事業
Ⅲ. 国民の健康を害したり、資源・環境を破壊したりする事業
Ⅳ. ベトナムに持ち込まれた有害廃棄物を処理する事業、国際条約で禁止された有害化学物質を製造・使用 する事業
Ⅴ. その他、法律で禁止されている事業
(出所)共通投資法 第 30 条、具体的な項目は共通投資法の施行細則(Decree No.108/2006/ND-CP)
Appendix Ⅳを参照