XV. 岩谷産業株式会社殿訪問インタビュー調査報告
2. 水素・燃料電池関連の取り組みについて
(3) 水素供給ステーション関連の取り組み状況
① 1999年から水素供給ステーションの取り組みを開始した。WE-NETにおいて,2001 年の大阪の日本で最初の水素ステーション建設に参画した。その後 2002 年に WE-NETで鶴見に,JHFCで有明ステーションの設置運営に参画している。
② 移動式の水素ステーションについては,高圧ボンベタイプ(図XV-4)や,液体水素の コンテナを使ったタイプ(図XV-5)の開発も行っている。
③ 高圧ボンベタイプのものは,圧力差で自動車に流し込むタイプで,全国各地でFCVの 充填に用いられている。
④ 液体水素タイプについては,2,000 リットル液体水素コンテナから液体水素のままポ ンプで昇圧して,気化し,ディスペンサーからガスで充填する(有明ステーションの ミニ版)。圧縮機やディスペンサーをステーションに設置しておき,必要に応じて液体 水素コンテナを交換することが可能である。
⑤ 当社の水素ステーション関連のビジネスとしては,将来の可能性として,水素ステー ションの建設や経営事業に取り組むことが考えられる。オフサイト型が多いとなれば,
大きなプラントを建設事業に乗り出すことも考えられる。
図 XV-4 高圧ボンベタイプの移動式水素ステーション
(4) 水素供給ステーションに関する課題
① 最大の課題はステーションの建設コストである。現状の JHFC のステーションでは 30m3/hや50m3/hの能力で改質器込みで3億円程度である。これでは,ステーション の建設費だけで水素価格が50円/m3以上になり,目標の40円/m3の達成は不可能であ る。
② 技術面にも課題はあるが,それよりも充填方法など各社各様の考えによる部分があり,
統一が取れていないなど課題が大きい。
③ 液体水素の輸送中のボイルオフはない。1%/dayであれば3週間程度は大丈夫と考えら れる。タンクローリーから貯蔵タンクなどへの移し替えの時にボイルオフが発生する ことが課題である。
④ 制度面に関しては,今は過渡期であり,新しい技術基準もできたが,まだ完全ではな い。安全重視には異存はないが,安全確保に対して多少過剰なところもあると考えら れるので,もう少し試行錯誤しながら無駄な部分をなくしていければよいと思う。
⑤ 将来の水素供給方法については,初期には副生水素を利用し,その次には,ハイドロ エッジがモデルになると考えている。LNGから効率良く液体水素を作り,液体水素の 形で供給する形式である。
(5) 定置用燃料電池システム
① NEF大規模実証第2期から10台の東芝燃料電池システム製のLPG改質形PEFCを 設置する。将来的には,家庭用PEFCの分野に進出していきたいと考えている。
② コージェネレーションシステムについては, LPG のガスヒートポンプ(エンジン式 のコジェネ機)の実績がある。大規模では数千kW,小規模では1kW程度のものであ る。
③ 荏原製FC システムと水素のボンベを組み合わせた移動形の電源(非常用等)を開発 した。ボンベもあわせて145kgで,出力は0.8kW程度。最大5台まで直列で繋ぐこ とが可能であり,4kWまでの出力が出せる。水素は35MPaのFRP容器に貯蔵する。
(6) 普及啓発活動等
① 普及啓発活動として,トヨタ,ホンダのFCVをリースしており,展示会などで試乗会 を行っている。
② 2005年6月にはミシュランビバンダムフォーラム(京都国際会議場~愛・地球博会場)
へ参加し,2005年9月にはおおさかFCV推進会議との共催によりわが国初の東京-
大阪間往復という長距離高速走行を実施した。このときは,途中トレーラー搭載の移 動式充填機で充填しながら走行した(図XV-6)。
図 XV-6 FCVと移動式ステーションを運ぶトレーラー