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日産自動車株式会社殿訪問インタビュー調査報告

ドキュメント内 Microsoft Word - 表紙&目次.doc (ページ 44-49)

訪問日時 平成18年2月6日(月)16:00~

場 所 日産自動車株式会社 総合研究所 応対者 先行車両開発本部 FCV開発部

環境・安全技術部 技術渉外グループ

1. 開発中の FCV の要素技術・システム技術について

(1) スタック全般について

① ここ数年の間で,基本的な問題・課題と,全体的なフレームワークは変わっていないが,

技術の到達レベルはそれぞれの分野で着実に進歩している。

② 2005年に従来のUTCFC製から自社製スタックに置き換えたFCVを発表し,順次リー ス車を置き換えていく予定である。06年中には全て置き換える予定である。

③ 耐久性に関しては,改善が進んできているが,いまだ目標へ向けて道半ばである。

④ 自社製スタックは UTCFC 製と比較し,全ての点で秀でているわけではないが,自動 車としての用途を重視して開発した。

⑤ MEAは自社でも開発しているが,現状の自社製スタックでは購入品を用いている。基 本的に良いものを使うということで,現時点では購入品を選択したということである。

将来的には自社開発品に代替したいという希望はある。

⑥ スタックにおける主要課題は,コスト,耐久性,出力密度,低温起動の 4 つである。

この解決のため,MEAとセパレータの両方について重点的に取り組んでいる。

⑦ 低温始動性はまだ十分ではないが,近い将来かなり改善されると思う。

(2) 電解質膜,MEA,セパレータについて

①電解質膜としてフッ素系,ハイドロカーボン系のどちらを用いるかは決めていない。膜 に求められる仕様を満たせばどちらでもよい。現状では一長一短である。それぞれの 短所を改善していくと両者とも似たようなものになるかも知れない。

② 評価している範囲では,現時点でフッ素系膜を上回るハイドロカーボン膜は見当たら ないが,ハイドロカーボン膜だけの歴史をみていくと着実に進歩している。

③ 白金担持量目標については,1台当り10g以下にすることが1つの目処と考えている。

現状の FCVが100gの白金を用いているとすると,少なくともその10分の1以下に することが必要である。この検討は社内でも行っている。また,MEAメーカで良い方 法が開発できればそれを採用する。どちらがやっても構わないと思っている。

④ セパレータは現在カーボン製を用いている。メタルの可能性も検討している。どちら

(3) 水素貯蔵技術について

① すべての可能性を検討しているが,今後10年間で現実的なのは圧縮水素のみではない かと思う。航続距離を増やす1つの手段として70MPaまでの高圧化に取り組んでいる。

ただし,将来的に70MPaが望ましいかは流動的である。タンクにスペースを配分して,

低圧化するほうがコスト的には有利である。

② 水素吸蔵材を用いたハイブリッド型の高圧タンクはそう簡単ではないと思える。

③ 水素吸蔵材の吸蔵率は,材料として5%(重量%)程度が当面の目安である。ただし,

これで5kgの水素を貯蔵するタンクを作っても,全てのデバイスを含めると200kg近 くなる。

④ 液体水素を車に搭載するという選択肢は考えていない。

(4) ガソリン改質について

ガソリン系の改質形FCV は,可能性が低いと思う。あるレベルの車はできることはわ かったが,ハイブリッド車と比べて,有意差が少なすぎる。改質器において大きなブレー クスルーが無い限り,ガソリン改質系FCVは実現しないのではないか。

(5) エネルギーバッファについて

① FCV の航続距離を伸ばすために,2 次バッテリは重要な役割を果たしている。水素を 大量に積むことができれば,コストを考慮して,普通のガソリン車と同様に 2 次バッ テリを搭載しない選択肢も考えられる。効率的には悪化しても,FCVの石油エネルギー からの脱却という意義は残る。

② エネルギーバッファとして何を用いるかこだわりはない。現時点ではキャパシタとの 比較評価で,2次バッテリの方が使いやすく長所が多いと判断している。2次バッテリ は,自社製のラミネートタイプのリチウムイオン電池を用いている。

③ 2次バッテリとして使用する限りは,リチウムイオン電池の耐久性は,現状では燃料電 池よりは長いと思われる。しかし,それが車の寿命に相当するかは実証できていない。

燃料電池の耐久性よりゴールに近づくのは早いだろうと思う。

④ 2次バッテリのその他の課題として大きいのはコストだ。さらに温度管理が非常にシビ アなところも改善が期待される。

(6) 全体システム,補機類等について

① 自社製スタックシステムではブロアではなくコンプレッサを用いている。UTCFC製に 比べ,スタックを小型化しているため圧力を高めている。コンプレッサが大きいと電

(7) エネルギー効率について

① 自社製のスタックシステムの最高効率は運転条件によっては 50%以上の部分もある。

UTCFC のスタックは効率面では非常に優れている。自社製でも今後は 60%以上を目 指して改善したい。

② 車両効率の目標としては,ガソリンハイブリッド車の効率の1.5倍以上にはしたいと考 えている。

③ 効率の向上は,電解質膜に多く依存する。MEAにおける抵抗分極の削減が効率向上の 鍵であると考えている。

④ 水素のWell-to-Tank効率はエネルギー会社の技術開発に期待している。カーメーカと しては,まず車両の技術課題を克服することが役割だと思っている。

⑤ Well-to-Tank について言えば,日本でも目標設定をきちんと行えば,徐々に再生可能 エネルギーの比率が増加すると思う。そうなればCO2削減に寄与できると思っている。

⑥ 日本での再生可能エネルギーは風力,太陽光,バイオの 3 つの組み合わせになると思 う。日本では海岸線が多く,山もある状況を踏まえると,とくに風力利用が拡大できな いものかと思う。ただ消費地で近いところで発電するのが基本なので,その意味では海 岸線の利用に期待している。

2. 水素供給ステーションについて

① 少量普及のうちはオンサイトで,供給量が増えてくればオフサイトに移行していくシナ リオが良いと理解している。

② オフサイトへの水素輸送については,ある距離以上は液体の方が有利だと思う。さらに 量が増えた場合は,短距離では水素パイプラインが活用できるのではないか。

3. 各種クリーンエネルギー車の位置づけ,市場導入までのシナリオについて

① EVの課題は航続距離と充電時間である。また,電池については,経時劣化の改善も課 題の一つだと思う。

② ZEV規制に伴い,2008年MYまでに合計で17台のFCVをカリフォルニアに導入す る計画である。

③ シリーズ型にしろパラレル型にしろ,コミュータではないプラグインHEVはコストが 課題だと思う。ZEV規制での取扱いによっては,状況が変わってくるかもしれない。

④ FCVの本格導入時期については,白紙である。技術開発の観点からは,2010年までに はかなり実用的な事ができると考えている。ビジネスモデルを成立させることが大き な課題である。そのFCVの性能レベルは,全てがガソリン車並とはならないが,航続 距離も実用で500kmに達すると思う。圧縮水素でも現状より効率を向上させるととも に,ガソリン車のレイアウトにこだわらず,車上での水素搭載量を増やせば,達成可 能な目標だと思う。

5. 国に対する要望

① JHFC 以外での国・行政機関に対する要望としては,車については適切な規制の見直 しがされたと思う。ステーションについては日本でもガソリンスタンドとの併設が実 現すると良いと思う。

② 高圧ガス保安協会(KHK)の規制は国際的に見て厳しすぎるという意見がある。これ から実績を積んでデータに基づいた議論ができるようになると良いと思う。

6. JHFC について

(1) 成果

① 最大の成果は,各社が一緒に行動したということだ。各社で同じ目標に向かって協同す ることは,社会に対するコミュニケーションの点で大きな意味がある。その実現の場 としてJHFCの存在価値がある。

② 海外から羨望されていることは,技術データや燃費データが取得されていることであ る。第三者がFCVの効率・燃費の良さを計測し,情報発信することは大きな意味があ る。

(2) 問題点

① 認知度をあげる工夫を期待したい。FCV 技術に対する認知度は,日本は世界的に高い 方だが,JHFCのイベントの認知度はあまり良くないのではないか。車を見に来て,触 れる人を増やす努力をして欲しい。カーメーカの立場からすると,技術が世の中のお客 さまに受入れられる素地を作ることを期待している。

② JHFCパークの場所的な問題もある。立地場所から交通の便があまり良くない。JHFC パークをみなとみらい地区のような街中に作ることを検討してはどうか。公共の施設で 他のイベントが開催されるような場合に,共同でイベントを行うことも検討してはどう か。

③ イベントや広報の専門スタッフが必要である。広告代理店などから人材を登用してはど うか。

④ 燃料会社の自主的な取り組みが海外の積極的な企業と比較すると,やや消極的に感じ る。

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