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三菱自動車工業株式会社殿訪問インタビュー調査報告

ドキュメント内 Microsoft Word - 表紙&目次.doc (ページ 58-62)

訪問日時 平成18年2月7日(火)14:00~16:00 場 所 三菱自動車工業株式会社 本社

応対者 環境技術部

1. FCV の開発状況について

(1) 取り組み概要

① 当社では,FCスタック,水素貯蔵タンク等は,他メーカから購入している。

② 当社のFCV実証車である「MITSUBISHI FCV」(MFCV)のFCスタックはバラード 製であり,高圧水素タンクはダインテック製である。FCシステムはダイムラークライ スラー(DC社)との共同開発であるが,DC社のF-Cellのシステムをそのまま搭載し ている。二次電池もDC社から供給されたニッケル水素電池を搭載している。

③ 今後,EV開発に集中する方針で,JHFC-2への参加は見合わせる予定である。

(2) 水素貯蔵について

高圧化による効率ロス,液体水素の保冷・オフガス処理などいずれも課題があり,実用 化までには大きな技術的ブレークスルーが必要と考えている。

(3) ガソリン系燃料等の改質技術について

① ガソリン系燃料の改質は高温となり,効率の低下等,課題がある。また,排出ガスがゼ ロではないところも問題。

② 将来の石油枯渇を見据えたエネルギーセキュリティの観点からすれば,ガソリン系燃料 より水素搭載の方が良いと思う。

(4) 二次電池等のエネルギーバッファ

① エネルギーバッファ技術については,長年にわたり電気自動車(EV)用としてリチウ ムイオン電池の開発を進めてきたが,リチウムイオン電池の性能向上により,EVとし ての実用化が可能な状況になってきたと考えている。

② リチウムイオン電池は,FCV や HEV にも応用可能な技術であり,電動車両の要素技 術として確立させていきたい。

③ 現在のリチウムイオン電池は,EV用を想定して開発を進めている。

(5) 重点開発項目

① FCV 全般で考えると,コスト,耐久性,インフラ整備及び,水素貯蔵が大きな問題と

(6) MFCVの燃費について

MFCVの10・15モードのガソリン等価燃費は17.3(km/L),ベースのガソリン車は 11.0(km/L)である。(ベース車の出力:121kW,MFCV:68kW。)

2. 将来の水素ステーションのあり方について

① 当面は,天然ガスやガソリン系燃料の改質によって製造される水素や副生水素が主流と なるとしても,長期的には,再生可能エネルギーから製造する水素に徐々に切り替え ていくことが望ましい。

② 現在は,高圧水素ガス等についての専門知識を有したものでないと充填作業ができない が,安全対策等についての技術改善を進めていくことで,将来的にはセルフのガソリ ンスタンドのように素人でも容易に充填できるようにしていく必要がある。

3. 今後の FCV の開発戦略について

① FCVは,まだ解決すべき技術的な問題点が多いことから,一般市販しての普及は2020 年から2030年頃になると考えている。

② 当社としては, EVを開発し2010年頃までに市販化を進めていきたいと考えている。

EVの開発を通じ,EV,HEV,FCV等電動車両の要素技術(バッテリ,インホイール モータ,インバータ等)を発展させ,将来のFCVの実用化に繋げたい。

③ EVの開発を目指す理由は,FCVに比べて早期に実現できる可能性が高く,HEVと比 べ少ない販売台数でも環境負荷低減の貢献度が大きい 等がある。

④ 当社は2003年度からJHFCに参加し,同年度以降におけるJHFC主催の各種イベン トに参画している(走行試験は2004年1月から開始)。リース販売の実績は無い。

⑤ FCVの本格的実用化以降についても,軽自動車や小型自動車クラスではFCスタック,

高圧水素タンク,二次電池等を搭載するスペースの確保が難しく,EVとした方が有利 と考えられる。

将来的には中型車,小型車以上は FCV又はHEV,軽自動車や小型車の一部はEVの ような棲み分けの可能性が考えられる。EVは低速時に高効率であり,車載部品点数が 少なく,より小型車への適性が高いと考えている。

4. EV 開発について

① 当社では,長年にわたりEVを開発してきた。現在,先進インホイールモータと高性能 リ チ ウ ム イ オ ン 電 池 を コ ア 技 術 と し た 次 世 代 型 電 気 自 動 車 MIEV(Mitsubishi in-wheel Motor Electric Vehicle)を開発している。今後,MIEV技術をEVのみでな く,HEV,FCVにも展開していくことを考えている。

② MIEVの実験車としてコルトEV,ランサーエボリューションEVを開発した。

③ コルトEVに搭載するリチウムイオン電池は4セルを直列につないで1モジュールを 形成する。1モジュール14.8Vで,それを22個, 88 セルを直列に接続して325V,

13.5kWhのバッテリーパックを構成する。コルトは1,500ccクラスのガソリン車だが,

その燃料タンクのスペースより,少し大きくなる程度である。

④ リチウムイオン電池は温度変化に弱いが,+40℃から-10℃くらいの間で常温状態と 遜色なく機能するように調整をしている。やはり高温,低温領域では温度性能は落ち ると思う。

⑤当社の既存車や推定車両との比較では,EVの燃料代は,ガソリン車の約1/3,HEVの 約2/3程度であると試算している。夜間電力を用いると更にEVに有利となる。

⑥ 現在,軽クラスのEVを開発中であり,航続距離は10・15モードで200km程度を目 標としている。

⑦ EV充電の基本イメージは,家庭での夜間充電である。軽自動車で走行距離が短いこと を考えると家庭でも夜間6~8時間程度(200V利用の場合)で十分に充電できる。

さらにスーパーマーケット,コンビニエンスストアなどの商業施設に充電インフラを 展開することにより,商業施設を利用中に充電でき,EVの走行範囲も広げることが できるのではないかと考えている。むしろ,既存のガソリンスタンドは使わないとい うことでクルマのイメージを変えたいと考えている。

5. 他社との協力関係

① 三菱重工とは,メタノール改質技術を活用し,メタノール改質方式FCV を98年に共 同開発したという実績がある。

② 現行FCVは,DC社の協力を得て,DC社のF-Cellと同様のシステムを搭載した。

6. 国,行政機関に対する意見・要望

① 高効率で安全な車載用の水素貯蔵技術などの基礎技術についての研究をお願いしたい。

② FCV に限定することなく,電動車両全般についての開発支援もお願いしたい。特にリ チウムイオン電池の開発に関しての資金援助をお願いしたい。

③ 今後のFCVの普及に向けた開発が,さらに長期間にわたり継続されると考えられるた め,FCV試験車両としての公道走行の認可なども継続をお願いしたい。

7. JHFC に参加して

(1) 成果と課題

① 当社のMFCV及びJHFC参加メーカ全体のFCVの燃費の実力が把握できた。さらに 発進加速,追い越し加速に関するそれぞれ具体的な数字を掴むこともできた。

② 各車種の総合効率や CO2 発生量の比較を公平なデータに基づき公表することができ た。これらのデータは客観的なデータとして,今後も最適なシステムを検討する際に 大変役に立つと思われる。

③ 車両故障による修理や整備に時間を費やし,当初計画した期間の走行が行えず,取得 データが少なかった。

④ 普通車,軽といった車格ごとの取得データ量が少なく,車格補正を行ったデータを利 用してまとめたが,補正により偏りが生じているように思えた。例えば軽自動車の燃 費が悪く出る傾向があったように思われる。今後は車格ごとに多くのデータを取得し てまとめるような考慮が必要と考えている。

(2) JHFC2への期待

当面,EVの開発・普及に注力することとしており,JHFC2への参加を見合わせる予定。

(3) JHFCに参加して認識したFCV普及に向けた課題

① 水素安全の確立が必要である。一般の方に水素は危険との認識があり,安全確保に対す るさらなる技術の向上とともに,安心できるエビデンスの提示が必要である。

② 既に言われているコストダウン,低温始動性,水素貯蔵などの課題克服も同様に重要で あることをさらに認識した。

以上

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