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新日本石油株式会社殿訪問インタビュー調査報告

ドキュメント内 Microsoft Word - 表紙&目次.doc (ページ 84-91)

訪問日時 平成18年2月10日(金)10:00~12:00 場 所 新日本石油株式会社 本社

応対者 中央技術研究所 水素・新エネルギー研究所 FC・新商品事業本部 FC事業部

1. PEFC ・水素関連事業の取り組み体制

① 2005年の6月末に組織が改編された。平成17 年度に入って大規模実証事業が本格的 に立ち上がった経緯もあり,実務と研究開発を分離した体制で臨む。FC関連の新組織 は新たにFC・新商品事業本部と研究開発本部の2つから成る。

② FC・新商品事業本部の中にFC事業部がある。これはFCの事業化,実用化を想定し た組織であり,販売部門,サポート部門,研究組織との調整などを担う部門がある。

③ 研究開発本部の中に位置づけられる横浜の中央研究所の中に FC 関連の研究組織とし てFC開発研究所と水素・エネルギー研究所を組織した。後者は,水素インフラに関す る部分で,水素製造や輸送,貯蔵技術の研究組織である。

④ 家庭用PEFCの大規模実証は,FC事業部とFC開発研究所が中心となって活動する。

⑤ 各組織のFC関連従事者の約8割がFC関連の研究開発に従事し, 2割が水素の製造・

輸送・貯蔵の研究開発に従事している。

左:発電ユニット(1×1×0.45)m 右:貯湯ユニット(0.75×1.9×0.44)m

2. PEFC 関連技術・製品の位置づけと開発内容の概要

① 当社ではFC関連技術の開発を最重要課題としている。大規模実証事業が終わる2008 年度以降が本格的な事業化の時期だと見据えて活動している。基本的には2010年くら いが本格的な事業化の時期と想定している。

② 当社のFC製品は,2005年の3月に商品化した「ENEOS ECO LP-1」(図XII-1)と いう家庭用の1kW級のLPG仕様PEFC電熱併給システムがある。さらに2006年3 月20日に商品化予定の「ENEOS ECOBOY」(図XII-2)がある。これは灯油仕様の 家庭用1kW級PEFC電熱併給システムである。

③ これらの商品についても,エネルギー効率,耐久性については継続してステップアップ していく。

④ 灯油仕様業務用の10kW級PEFC電熱併給システムについても現在研究開発を行って いる。2005年に入ってからホテルに設置し実証試験を行っている(図XII-3)。さらに,

2005年9月にコンビニエンスストアに設置して実証試験を開始した。

⑤ 当社が担当するのは,全体システムと改質器,改質器で用いる触媒の部分である。スタッ クはそれぞれ家庭用LPG仕様が三洋電機製,灯油仕様が荏原バラード製,業務用は三 菱重工製を採用し,各社とそれぞれ共同開発を行っている。

⑥ 開発目標としては,どのシステムも10年4万時間稼動,発電効率は36%(LHV),総 合効率は80%(LHV)を目指している。

⑦ コンビニでの実証試験では,お湯を使わないところでの利用を想定し,吸収式冷凍機を 併設している。具体的には廃熱で吸収式冷凍機を動かし,チルドウォータを作って冷 房用に用いる実験を行っている。

⑧ 耐久性は4万時間の見通しが得られるところにはまだ達していない。

⑨ 家庭用の灯油仕様は,寒冷地での使用を想定し,マイナス 10℃に対応できるようにし た。

⑩ JHFCでは,2002年にオンサイトナフサ改質ステーション(旭水素ステーション)を 建設し現在まで運営を行っている。

図 XII-3 実証試験中の10kW級業務用PEFC熱電併給システム

3. FC 用改質器の開発状況

① 改質方式は全て水蒸気改質である。現状の主要課題は耐久性と信頼性である。基本的に コスト低減と耐久性・信頼性の向上はトレードオフの関係にある。

② スタックも耐久性という視点からは改質器と同じような状況にある。

③ LPGについては,市販仕様のLPGをそのまま用いることを前提としている。灯油につ いては,低硫黄灯油を用いることとしている。すべての灯油の硫黄濃度に対応するこ とは現状では難しい。今後の課題と捉えている。

④ 今回の組織改編に併せて,子会社のLPG供給会社であった新日本石油ガスを合併した。

そのため,LPG仕様FCの開発と燃料の流通を完全に一元化することができた。

4. 定置用 FC システムの市場導入に向けた取り組み状況(大規模実証試験)

① NEFの定置用燃料電池大規模実証事業として,LPG仕様のENEOS ECO LP-1を関東 圏を中心に134台導入した。来年度からこれを上回る数を全国に展開する予定である。

② 2006年3月20日の商品化予定の灯油仕様ENEOS ECOBOYは,関東圏の1都10県 と,北海道,東北北陸の人口10万人以上の主要都市で導入していく予定である。

③ いずれも,顧客とは年間 6 万円負担と,システム利用に関する運転データの提供に協 力していただく旨の契約を結ぶ。

④ 設置の希望者は多いが,設置スペースなどの条件を踏まえると,全ての希望にお応えき れないというのが現状である。

⑤ 大規模実証の結果,実際に顧客が運転した結果として CO2の排出削減量の具体的数値 がNEFのHPから公表された。CO2排出削減効果があることが公的な第三者によって 示されたことは大きな成果であると考えている。

⑥ 大規模実証事業での 100 台規模の生産によって,コスト低減の効果が出ている。大量 生産の効果は改質器,スタック,補機類の全てのところで出てきている。2005年度は 1台につき600万円の補助金が出たが,2006年度はこれよりも下がることを想定して いる。

⑦ 商品の最大の課題は,耐久性とコストである。耐久性の目標は10年間4万時間稼動で あり,コスト目標は2010年に100万円である。

⑧ 今後の本格普及に向けての戦略としては,新築一戸建てに最初から設置することを目指 す。継続的な普及につなげる重要なポイントだと考えている。そのため,ハウスメー カへのアプローチを進めている。そのためにはどうしても技術的に耐久性10年間4万 時間の達成が必要と考えている。

⑨ 大規模実証事業では,半年間区切りであるが,新築戸建に設置するには,1年の期間を 要するため,通年での普及交付という制度に換えて欲しいと考えている。

5. 自動車用水素供給ステーション( JHFC )に関する取り組み状況

① JHFCにおいて横浜市の旭水素ステーションを2002年に建設し,2003年4月から運 用を委託され,運用している。オンサイトナフサ改質による水素供給ステーションで ある。

② 主にエネルギー効率の改善に注力して取り組み,運転方法などによる改善を図った。当 初は58.9%(HHV)であったのが,今年度は66.2%まで向上できた。具体的には,改 質におけるS/C比を最適化したり,燃料供給量を最適化したりした。装置自体は建設

6. 水素供給ステーションのあり方について

① 現時点では,オンサイトとオフサイトの供給ステーションの間で優劣をつけるべき段階 ではないと考えている。

② 石油産業における製油所では,脱硫過程において水素を大量に使用している。そのため,

水素を大量に製造しており,この水素がFCV用に供出可能である。この水素の製造に は各種精製過程のオフガスを原料として優先的に用いている。

③ 将来のFCVの導入を考えると,長い期間従来車との共存が想定される。この場合,サー ビスステーション(SS)における水素・ガソリン等併設が重要になってくる。

④ 既存インフラの活用という意味で,SS併設オフサイト水素ステーションは重要であり,

JHFC-2においては,この実証試験を行いたいと考えている。

⑤ 短中期,長期の燃料を考えていくと,短中期の過渡期においては水素を豊富に含んだ化 石燃料を活用することが重要である。環境にやさしくて経済性にも優れたエネルギー として, CO2の分離・回収を含めて化石燃料から大量に安く水素を作ることが,石油 業界の水素社会への対応と考えている。

⑥ 以上から,最初はSS併設オフサイトの圧縮水素輸送方式でスタートし,ある程度の稼 働率が稼げる段階にきたらオンサイトの良いところも活用していくというシナリオを 想定している。そのため,高圧水素の輸送方式は直近の技術課題であると考え,そこ に注力して取組んでいる。

⑦ 製油所の水素をオフサイトステーションを介して提供する場合の水素の値段について は,水素製造コストは安価であり,デリバリーが重要なファクターとなる。FCCJなど で,40~60 円/Nm3 が目標値として出されているが,現状技術だけではその目標に 達しないであろう。輸送方式,SSの建設・運用経費を含めて低コスト化の検討を行う 必要がある。

7. 水素の輸送方法に関する研究・開発状況について

① 製油所とSSを結ぶ水素輸送技術が重要と捉えており,この技術開発に注力している。

② 具体的には,輸送水素の高圧化を想定すると,タンクの軽量化が必要であり,従来の金 属製タンクからFCVで用いられているような複合容器への展開が考えられる。

③ さらには,圧力を上げずに大量の水素を貯めることを考えると,水素吸蔵材と組み合わ せたハイブリッド型のタンクの領域に入っていくであろう。

8. FC 関連の技術開発等における他社との協力関係

① NEFの定置用燃料電池大規模実証事業に参加し,次年度も参加予定である。

② NEDOの産学連携プロジェクトに3テーマ参画している。1つがスタックの劣化の解 析,基盤研究である。もう1つが低コスト化,高性能化のための主要部材の基盤研究,

3つ目が改質系触媒に関する基盤研究である。

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