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第 6 章 日中間の文化差異と企業内コミュニケーションに関するアンケート調査

6.1 本アンケート概要

6.1.1 本 アンケート調査の目的

こ の 章 の 本 ア ン ケ ー ト 調 査 は 、 第 5 章 の プ レ ア ン ケ ー ト 調 査 に 続 い て 中 日 文 化 差 異 が 中 日 企 業 の 異 文 化 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 与 え る 影 響 を 量 的 に 分 析 し て い る 。 こ の 章 の ア ン ケ ー ト で は 、 t 検 定 、 主 成 分 分 析 、 相 関 分 析 な ど の 統 計 的 手 法 を 用 い て い る 。 こ の 章 の ア ン ケ ー ト 調 査 を 行 う 準 備 段 階 と し て 文 献 レ ビ ュ ー ( 第 2~ 4 章 )、 事 例 研 究 と プ レ ア ン ケ ー ト ( 第 5 章 ) を 行 っ た 。 そ こ か ら 得 ら れ た 結 果 を 本 章 で は 統 計 的 に 検 証 す る こ と を 目 的 と し て い る 。

6.1.2 調査方法と手順

本 章 の ア ン ケ ー ト 調 査 は 主 に 、 以 下 の よ う な 以 下 の 5 つ の ス テ ッ プ か ら 構 成 さ れ て い る 。 ス テ ッ プ 1 は ア ン ケ ー ト 設 計 で あ る 。 文 献 レ ビ ュ ー と 事 例 研 究 に 基 づ い て 、 ア ン ケ ー ト の 質 問 項 目 を 作 成 し た 。 ス テ ッ プ 2 は ア ン ケ ー ト 対 象 の 選 定 と 実 施 で あ る 。 本 ア ン ケ ー ト で は ツ ン グ ー ス 色 の 残 る 地 域 に あ る 日 本 と 中 国 に 拠 点 を 有 す る 企 業 の 従 業 員 に ア ン ケ ー ト を 依 頼 し た ( ア ン ケ ー ト 分 析 に 利 用 し た 有 効 回 答 数 は 480 で あ っ た ) 。 ツ ン グ ー ス 色 の 残 る 地 域 に 限 定 し て い る 理 由 は 、 中 国 は 国 土 が 広 く 、 民 族 や 宗 教 も 多 様 で あ る の で 、 日 本 と 比 較 す る 時 に 、 類 似 点 が 多 い 地 域 で な い と 、 根 本 か ら 大 き く 異 な っ て し ま う か ら で あ る

1。 ス テ ッ プ 3 で は 、 質 問 項 目 ご と に 記 述 統 計 を 実 施 し 、 国 籍 、 性 別 、 勤 務 地 、 勤 続 年 数 な ど の グ ル ー プ 間 の 平 均 値 の 差 の 検 定 を 行 っ た 。 ス テ ッ プ 4 で は 、 58 の 質 問 項 目 を 集 約 す る た め に 、 主 成 分 分 析 を 実 施 し 、 国 籍 、 性 別 、 勤 務 地 、 勤 続 年 数 な ど の グ ル ー プ 間 の 平 均 値 の 差 の 検 定 を 行 っ た 。 ス テ ッ プ 5 で

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は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 関 す る 主 成 分 と そ の 他 の 主 成 分 の 相 関 係 数 を 、 全 体 、 国 籍 、 勤 務 地 、 国 籍 別 勤 務 地 別 に 求 め た 。

6.1.3 アンケート項目と実施方法

このアンケートの目的は、日中社会文化と企業文化との差異及び中日企業におけるそ の文化差異が異文化コミュニケーションに対する影響を調べることである。第 2 章から 4 章の文献レビューの中で考察した社会文化の 6 つの側面と企業文化の 4 つの側面に基づ いて、第 5 章で実施したインタビュー結果を反映させた形で個人属性以外の 58 質問項目 を作成した。プレアンケート調査段階では、主に文化差異(行為(コミュニケーショ ン)方式、考え方(異文化への対応姿勢)、管理方法、と異文化交流(交流意識、交流 ルート、交流の雰囲気、交流の質)の 7 項目に関して、30 の質問をしたが、このアンケ ートでは 58 の質問に増やしている。その理由は、より多面的に分析を行うためである。

日中社会文化と企業文化との差異および中日企業におけるその文化差異の異文化コミュ ニケーションは様々な要素の影響を受けているからである。具体的に、社会文化におい て、宗教、風俗と教育に関する質問項目を増やしている。企業文化においては、物質 層、精神層と制度層に関する質問項目を増やしている。

このアンケート調査の質問内容は回答者の属性に関するものと異文化とコミュニケー ションに関するものから構成されている。アンケート対象は多国籍企業で働いている中 国人従業員と日本人従業員である。回答者には、それぞれ性別、国籍、勤務地、在職年 数、職位など属性に関する質問をしている(図表 6-1)。

図表 6-1 回答者の属性に関する質問項目

C1 性別: 男 女

C2 国籍: 中国 日本

C3 勤務地: 中国 日本

C4 在職年数: 5 年以下 6~9 年 10 年以上

C5 職位: 一般従業員 中間管理職 上級管理 職

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続いて、日中間の文化差異と企業内コミュニケーションに関する質問を 58 項目してい る(図表 6-2)。すべての質問は、それぞれに対して「非常に同意する」から「非常に 同意しない」まで、1~5 段階のリッカートスケールでの回答となっている。

図表 6-2 日中間の文化差異と企業内コミュニケーションに関する質問項目

大項目 中 項

目 No. 小項目

社会文化

全体 Q1 中日文化の差異が大きいと思う

価値 観

Q2 国益は家族の利益より重要であると思う

Q3 男性と女性の家族の地位は同等であるすべき だと思う

Q4 結婚した女性は自宅で子どもをフルタイムで 世話する必要があると思う

Q5 のんびりしていることが好きだ Q6 頑張ることが好きだ

宗教 A

Q7 日常生活には宗教が必要であると思う Q8 文化的に儒教の影響を受けていると思う

Q9 生活にはいくつかの宗教的儀式感が必要だと 思う

風俗

Q10 友人との食事は割り勘にする

Q11 食事では、味や雰囲気よりもスピードが大切 であると思う

Q12 食器は食べ物と同じぐらい重要であると思う

Q13 贈り物の包装は贈り物自体と同じぐらい重要 であると思う

Q14 中国(日本)の風俗習慣についてよく知らな い

Q15 中国(日本)の文化と風俗を学ぶ必要はない

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教育

Q16 よく読書する

Q17 誠実さは誰もが持つべきものだと思う

Q18 子供たちは丁寧で礼儀正しくするようにきち んとしつけてと教育されるべきだ

Q19 子供には逆境に負けないような教育を行うべ きだと思う

Q20 子供の独立性を育成すべきだと思う

Q21 日常生活でも必要な礼儀作法は厳守するべき だと思う

Q22 よく図書館や博物館へ行く

思 考 方式

Q23 序列意識が制度化されるべきだと思う Q24 最後まで気を配るべきだと思う

Q25 質問されなければ、自発的に意見を発表した くない

Q26 意見に同意しない時は、すぐそれに反論する

交流 方式

Q27 中国人(日本人)との日常コミュニケーショ ンは難しい

Q28 中国人(日本人)のボディーランゲージが理 解できる

Q29 中国語(日本語)を勉強する必要はない Q30 仕事や生活の中で日常の挨拶が必要だ Q31 人と会った時には挨拶すべきだと思う Q32 知らない人と話すことは非常に失礼だと思う

Q33 友人に手伝いを頼むのは相手に迷惑をかける ことだ

Q34 知らないことでも情熱的に返事し、「分から ない」と言うのはよくないと思う

Q35 相手の目を見ながら話すべきだと思う

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企業文化

物質

Q36 会社の製品品質はマーケティングより重要だ と思う

Q37 従業員はビジネス上の意思決定に参加できる Q38 残業は自発的に行う

Q39 チームワークは個々の分業よりも重要だと思 う

Q40 企業の中で情報を完全に共有することができ る

Q41 企業間の協力が必要だと思う

制度

Q42 終身雇用制度の利は弊よりも大きいと思う Q43 年齢と職歴は個人の能力より重要だと思う

Q44 会社はすべての従業員の意見を尊重すべきだ と思う

Q45 会社は、各従業員の意見と考えを理解したが っていると思う

Q46 上司とのコミュニケーションは難しいと思う Q47 中国人の従業員と比べると昇進が易いと思う

精神

Q48 会社は各社員の仕事と生活に心遣いしている と思う

Q49 企業は各従業員の職業教育に注意を払ってい ると思う

Q50 会社でのストレスが大きい

Q51 社員は完全に企業に忠実すべきだと思う

行為

Q52 集団的利益は個人的利益よりも優位に置かれ るべきであると思う

Q53 勤続時間外であっても社内にいる時に中国人 社員と会話する時は中国語を話す

Q54 仕事場であっても外国人社員とのコミュニケ ーションは必要最小限にしたいと思う。

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Q55 職場外では中国(日本)社員とのコミュニケー ションは必要ではないと思う

Q56 仕事は厳密に標準的に実行すべきで、柔軟性 は必要ではないと思う

Q57 企業ではプライベートな問題について話すべ きではないと思う

Q58 日本人社員は中国人社員に優越感を持ってい ると思う

今回の研究対象は、在日中系企業と在日中国系企業で勤めている中国人社員と日本人社 員である。アンケート調査によく使われるランダムサンプリングという方法による場合、

一般的にデータを 300 以上採取する必要があるので、データ解析結果の有効性と信頼性を 求めるために、今回はデータ総数を 480 に設定した。事前に行ったインタビューでは中日 異文化経験を持つ中国人社員と日本人社員の比率がちょうど 3:1 となったため、今回の定 量化研究における中国人社員と日本人社員のデータ比率も 3:1 に設定した。即ち、360 人 の中国人社員と、120 人の日本人社員を有効なデータとすることにした。今回のアンケー トは、インターネットアンケートの形で行った。参加者はスマホで QR コードをスキャンし て回答すること、あるいはパソコン経由で回答することもできた。