第 6 章 日中間の文化差異と企業内コミュニケーションに関するアンケート調査
6.6 相関分析結果
6.6.3 日本人の相関分析結果
日本人に関するコミュニケーションに関する主成分とその他の主成分間の相関分析結 果を概観する。日本人の場合は、社会文化レベルの影響がコミュニケーションに与える影 響は小さく、その代わり、企業文化レベルや現場レベルがコミュニケーションに影響を与 えると考えられる。
最初に、CPC2(日常的)に関して、SPC1(積極性)と正の相関、EPC5(顧客重視)と負 の相関が確認された(1%有意)。顧客を重視する姿勢が従業員間の日常的なコミュニケー ションを不活性化している点が日本的であると言える。
次に、CPC3(異文化体験)に関して、LPC5(職務上の情報共有)および LPC6(従業員間
SPC1 SPC2 SPC3 SPC4 SPC5 SPC6 SPC7 SPC8 EPC1 EPC2 EPC3 EPC4 EPC5 LPC1 LPC2 LPC3 LPC4 LPC5 LPC6 0.25 0.29 0.22 0.40 0.04 0.29 -0.22 0.28 -0.48 -0.04 0.29 0.22 0.27 0.28 -0.33 0.19 0.21 0.23 -0.17
0.49 0.19 0.22 0.00 0.24 0.32 -0.04 -0.01 -0.22 0.28 -0.22 0.14 0.27 -0.09 -0.24 0.16 -0.12 0.17 0.02
0.09 0.26 0.03 -0.14 -0.16 0.13 -0.03 -0.01 0.09 0.19 -0.14 -0.09 0.17 0.10 -0.12 -0.15 0.25 -0.10 -0.11
-0.24 -0.15 0.02 0.08 -0.19 0.27 -0.21 0.17 -0.37 0.25 0.53 -0.03 0.20 0.18 -0.28 0.28 0.03 0.13 -0.42
*
-0.02 -0.17 0.01 0.07 -0.15 0.19 -0.29 -0.04 0.03 -0.01 0.22 -0.26 -0.36 0.10 0.29 -0.29 -0.14 -0.09 0.22
-0.05 -0.49 0.09 0.10 -0.10 -0.04 -0.07 -0.12 -0.08 0.22 0.27 -0.32 -0.20 -0.18 0.17 0.05 -0.39 -0.16 0.15
0.06 -0.24 -0.24 -0.11 0.42 0.15 -0.06 -0.21 -0.33 0.42 0.33 -0.03 -0.15 0.01 -0.11 0.52 -0.48 0.41 -0.27
*
-0.26 -0.28 -0.12 0.00 0.08 0.14 -0.29 0.26 -0.14 -0.01 0.55 -0.05 -0.08 0.18 -0.29 0.24 -0.14 0.22 -0.54
* *
CPC7
CPC8
母偏相関係数の無相関の検定 [上三角:P値/下三角:*,P<0.05 **,P<0.01]
CPC1
CPC2
CPC3
CPC4
CPC5
CPC6
163
の情報共有)と正の相関、EPC5(顧客重視)が負の相関が確認された(1%有意)。情報共 有と異文化体験の間には双方向の影響があると考えられる。職務上や従業員間の情報共有 が異文化体験につながり、異文化体験が情報共有を活性化するのである。日本人の特徴で もある顧客重視が異文化体験と負の相関にあることも特徴的である。このことは、異文化 体験により顧客重視の姿勢が弱まると考えられる。
最後に、率直生(CPC8)と SPC6(従業員間の情報共有)の間に中程度の負の相関がみら れる。通常、率直なコミュニケーションができている方が、従業員の間の情報共有が進む ように思われるが、日本人は相手の立場や状況を踏まえたコミュニケーションを通して、
情報共有を進めていると考えられる。
図表 6-28 日本人の相関分析結果(n=120)
中国を勤務地とする日本人に関して、コミュニケーションに関する主成分とその他の主 成分間の相関分析結果を概観する。EPC1(営利重視)は CPC2(日常的)と強い負の相関関 係があり、そして CPC3(異文化体験)と強い正の相関が確認された(1%有意)。日本を勤 務地とするより中国を勤務地とする回答者の方が営利重視の傾向がある。異文化体験と営 利重視が強い正の相関があるので、中国を勤務地とした場合、営利を重視する傾向が強ま る。そのような職場にいる日本人は日常的なコミュニケーションが良好でないと言える。
SPC1 SPC2 SPC3 SPC4 SPC5 SPC6 SPC7 SPC8 EPC1 EPC2 EPC3 EPC4 EPC5 LPC1 LPC2 LPC3 LPC4 LPC5 LPC6 0.23 0.16 0.11 0.22 -0.02 0.05 0.12 0.15 -0.13 -0.17 -0.04 -0.22 -0.20 0.20 -0.11 0.08 -0.10 -0.11 0.01
* * * *
0.29 0.15 -0.15 0.12 -0.10 -0.04 0.10 -0.05 0.02 -0.05 -0.01 0.01 -0.35 -0.16 0.21 -0.16 -0.05 0.13 0.15
** ** *
0.05 0.25 -0.18 -0.02 -0.05 0.21 -0.26 0.03 0.05 -0.18 0.15 0.05 -0.28 0.12 0.07 0.04 -0.08 0.28 0.30
* * * ** ** **
0.02 0.02 -0.08 0.08 -0.08 -0.03 0.11 0.09 0.10 0.07 0.03 -0.03 0.05 0.07 0.00 0.07 -0.24 0.12 -0.10
*
-0.15 -0.05 0.10 -0.15 0.09 -0.06 0.00 -0.01 0.04 -0.17 0.12 -0.15 0.22 0.11 -0.07 0.23 -0.23 0.02 -0.02
* * *
-0.11 -0.10 0.15 -0.07 0.07 -0.08 0.12 -0.17 0.04 -0.06 -0.04 -0.07 0.02 -0.09 0.12 0.19 -0.17 0.11 0.23
* -0.07 -0.08 0.04 0.04 0.07 0.10 -0.05 -0.08 -0.11 0.09 0.04 0.10 -0.05 -0.06 -0.01 -0.07 0.22 0.02 -0.09
*
0.09 -0.18 0.22 -0.01 -0.14 -0.44 0.23 0.02 0.14 -0.14 0.07 -0.11 -0.04 -0.13 0.14 -0.01 -0.21 -0.07 -0.21
* ** * * *
母偏相関係数の無相関の検定 [上三角:P値/下三角:*,P<0.05 **,P<0.01]
CPC1
CPC2
CPC3
CPC4
CPC5
CPC6
CPC7
CPC8
164
図表 6-29 中国を勤務地とする日本人の相関分析結果(n=11)
日本を勤務地とする日本人に関して、コミュニケーションに関する主成分とその他の主 成分間の相関分析結果を概観する。CPC2(日常的)に関して、SPC1(尊厳重視)が正の相 関(1%有意)。CPC3(異文化体験)に関して、LPC5(職務上の情報共有)(1%有意)。
率直生(CPC8)と SPC6(従業員間の情報共有)の間の中程度の負の相関関係は日本人全体 でも見られた項目であったが、中国を勤務地とした場合は確認されなくなっている項目で あった。中国を勤務地とする方が、より率直なコミュニケーションを通して、情報共有を 進めていると考えられる。
SPC1 SPC2 SPC3 SPC4 SPC5 SPC6 SPC7 SPC8 EPC1 EPC2 EPC3 EPC4 EPC5 LPC1 LPC2 LPC3 LPC4 LPC5 LPC6 0.58 -0.05 -0.72 0.29 0.39 0.31 0.33 0.29 0.50 -0.51 0.39 0.25 -0.22 0.60 -0.25 0.27 -0.48 0.01 0.13
*
-0.07 0.10 0.11 0.07 -0.66 -0.42 0.17 0.02 -0.75 0.01 0.01 -0.70 0.23 -0.58 -0.59 -0.30 -0.43 0.56 -0.14
* ** *
0.45 0.01 -0.57 0.23 0.34 0.61 -0.01 -0.05 0.82 0.02 0.45 0.33 -0.23 0.73 0.50 0.55 0.27 -0.48 0.30
* ** *
0.28 0.12 -0.59 0.64 -0.39 0.67 -0.12 -0.37 0.40 -0.03 0.37 0.12 -0.23 0.36 0.14 0.34 -0.16 -0.22 -0.09
* *
0.67 -0.33 -0.70 -0.08 -0.10 0.25 0.73 0.21 0.05 -0.57 0.20 -0.03 0.24 0.26 -0.56 -0.04 -0.48 0.30 0.03
* * *
-0.33 -0.27 0.47 -0.17 0.61 -0.01 -0.28 -0.02 0.38 0.43 -0.46 0.71 -0.37 -0.04 0.62 0.24 0.46 -0.43 -0.07
* * *
-0.09 -0.32 0.28 -0.12 0.67 0.17 -0.36 -0.31 0.57 0.50 0.13 0.63 -0.59 0.33 0.62 0.51 0.64 -0.39 0.10
* * * *
-0.22 0.48 0.05 -0.03 -0.47 -0.14 -0.10 0.28 -0.25 0.23 -0.06 -0.62 0.55 -0.31 0.20 -0.33 0.05 -0.16 0.39
*
母相関係数の無相関の検定 [上三角:P値/下三角:*,P<0.05 **,P<0.01]
CPC1
CPC2
CPC3
CPC4
CPC5
CPC6
CPC7
CPC8
165
図表 6-30 日本を勤務地とする日本人の相関分析結果(n=109)