第 5 章 中日間の文化差異と企業内コミュニケーションに関する事例検証
5.3 インタビュー調査
5.3.1 インタビュー調査概要
今回のインタビュー調査は、主に文化差異(行為方式、物事の考え方、管理方法)と異 文化交流(交流意識、交流ルート、交流の効果)の二つの側面から大連小野田セメント有 限会社と THK(中国)投資有限公司において行った。インタビュー調査を実施した時期は 2017 年 1 月~3 月、場所は大連小野田セメント有限会社と THK(中国)投資有限公司の会 議室で行った。インタビュー調査を実施した理由は、アンケートの内容とすべき質問項目 を絞り込む上で有用であり、被質問者にも自分の考えと意見を明らかにし、それらを反映 するためである。
インタビュー調査の対象は、大連小野田セメント有限会社と THK(中国)投資有限公司 の日本人管理者と中国人管理者で、異なる国籍・階級・部門の従業員 37 名に詳細な聞き取 りを行った(表 5-3 参照)。日本人に関しては、上級管理者(部長以上)が大半を占めて いる。上級管理者を多く含めた理由は、多国籍企業において、上級管理者は外国人と直接 接触する機会が多く、社会文化と企業文化の差異に対する観察が必要で、感覚が磨かれて おり、差異の処理に対する思考と理解がより深いと考えられるからである。インタビュー 調査に際し、自由に彼らが会社で感じた文化的雰囲気、文化差異と文化衝突の事例を述べ られるような環境を用意した。
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図表 5-3 インタビュー実施者の内訳
中国人 日本人
対象者 26 11
(中級管理者以上) 8 8
大連小野田セメント有限会社 7 3 THK(中国)投資有限公司 19 8
インタビューの冒頭で、氏名、年齢、会社、勤続年数(当該会社での)職位、(日本 人の場合)中国での滞在年数を質問した。その後、事前に用意した 30 の項目について質 問を行った。
図表 5-4 インタビュー項目の内容
1 何ヶ国語話せますか?それは何語と何語ですか?貴社では主に何語をお使い になりますか?
2 日中間において、言語以外のコミュニケーションの取り方の差異は何だと思 いますか?例えばジェスチャーや表情など。
3 貴社において、業務時、休憩時、社員間では通常何語を使用していますか?ま たこのような異文化交流を行う時どんな障害があると思いますか?
4 貴社の設備、備品、ロゴや販促物等は中国語と日本語のどちらですか?二国間 の文化を考慮して何か特別な措置を実施していますか?
5 中国と日本の環境や風習の差異はどこにあるとお考えですか?例えば気候は どうですか?祭日や休憩時間に差異はありますか?
6 祭日が違う両国の社員に対して、貴社ではどんな休暇の仕組みを採用してい ますか?
7
貴社の社食は中華料理と和食のどちらが多いですか?
会社での集い時は中華レストランと和食レストランのどちらを利用されます か?
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日本の茶道、華道、相撲、柔道はとても有名ですが、貴社でこのような活動を 行うサークルはありますか?
このような文化体験を通して、社員間の交流を深めた事例はありますか?
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9 中国と日本の教育方針、方法の差異は何だと思いますか?お互いを見習うべ き点はありますか?
10 貴社の新人教育において、優れている点は何だと思いますか?また中国企業 が見習うべき点はありますか?
11 中国文化と日本文化の類似点は何だと思いますか?
どんな時にこのように感じますか?
12 貴社は中国人社員に対して、礼儀作法、制度、文化について、トレーニングを 行いますか?どんな事を実施していますか?効果の程はどうですか?
13 中国人社員と日本人社員の思考回路に差異はありますか?例えば序列の認 識、仕事に対する態度、細部に対する対応や自分の意見の発信方法など。
14 貴社の価値観や人材管理理念は中国のローカル企業と差異はありますか?ま たどんな時に感じましたか?
15 他業種は、通常どんな異国間交流方法が必要だと思いますか?
16 異国間交流が生じる企業において、日本人社員は中国人社員に対して、どんな 見方をしていますか?例えば文化の差異など
17 異国間交流が生じる企業において、中国人社員の強みは何だと思いますか?
交流時どのようなチャレンジと対応が必要でしょうか?
18 貴社で働いている時に異文化の壁に当たったことはありますか?具体的な事 例があれば教えて下さい。
19 日本企業ではチームワークが大事にされますが、異国間交流が生じる時、どの 様な調和方法を取られていますか?どんな障壁がありますか?
20 貴社が中国に来た時、日本から先進的な管理体制を持ち込んでいますか?ま た異文化を考慮し、現地に適用するように擦り合わせを行いましたか?
21 貴社は採択時、社員の意見も聞き入れますか?また中国人社員と日本人社員 の待遇は平等だと思いますか?
22 貴社は社員に決められた通りの手順で仕事を終わらせて欲しいですか?それ とも自分で新しい方法を模索して、仕事を完成させて欲しいですか?
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管理職として社員の残業をどのように捉えていますか?
社員のストレスの度合いはどのように感じていますか?
貴社は中国企業に比べて、仕事量は多いと思いますか?
24 管理職として、会社内の異文化交流についてどうお考えですか?このような 異文化交流企業の経営管理のメリット、デメリットは何だと思いますか?
25 異文化交流が必要な企業において、文化の融合と一方の文化のみを取り入れ る方法のどちらが会社を発展させるのに有利だと考えますか?
26 貴社の日中社員の割合はどの位ですか?
中間管理職の日中社員の割合はどの位ですか?
27 昇格や給料、福利厚生において、日中社員は平等だと思いますか?
28 貴社で異文化によって衝突が起きたことはありますか?
あればどのように対応したのかを教えて下さい。
29 異文化交流が必要な状況で生じるメリットとデメリットを教えて下さい。
30 企業の管理職はこのような異文化交流が必要な職場に対してどのような政策 を出すべきだと思いますか?
5.3.2 インタビュー調査対象者
大連小野田セメントでは、10 人の従業員(その中で日本人従業員が 3 人、中国人従業員 は 7 人)に聞き取りを行った。インタビューを行った中国人従業員は会社内の生産部門に ある製造一課と製造二課からそれぞれ二人の中間管理職に加え、設備課、財務部、行政部 から各一人の社員であった。日本人に関しては、上級管理者(部長以上)にインタビュー 調査を実行した。大部分の社員は会社内部で大きな文化差異があると回答し、全部の社員 が会社では文化差異が異文化交流に支障を与えていると考えていた。
THK(中国)投資有限公司には、最高管理者(トップマネジメント)を始め、上級管理者 は主に日本からの派遣されている。そして、中間管理職以下は主に中国現地で募集と研修 を行なっている。THK の 27 人の従業員(その中で日本人従業員が 8 人、中国人従業員は 19 人)に聞き取りを行った。中日の伝統文化の違いのため、社内にも中日文化間の衝突が存 在していて、企業の経営管理に影響を与えていた。
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これらのインタビュー調査を通して、中日両国の社会文化の差異に関するものと中日 企業文化の差異に関するものに分け、分析を進める必要性があることを確認した。具体 的に、企業内の異文化交流を分析するために把握すべき項目として、行為(コミュニケ ーション)方式、考え方(異文化への対応姿勢)、管理方法、交流意識、交流ルート、
交流の雰囲気、交流の質などの 7 項目が挙げられる。