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第 6 章 日中間の文化差異と企業内コミュニケーションに関するアンケート調査

6.4 主成分分析

6.4.1 主成分分析の概要

本アンケートで主成分分析を行う目的は、58 の質問項目を集約することにある。同じジ ャンルに分類した質問項目でも、単純な同一直線上で表せないものも含まれている。主成 分分析を行う際に、質問項目を、社会レベル、企業レベル、現場レベル、コミュニケーシ ョンに関するものに区分し直した。

主成分分析で指標を集約する際に、累積の寄与率が 80%に到達するまでの主成分のみを 採用した。該当する主成分の数を 5~6 に絞り込めない場合は、第 1 成分から第 5 成分ま でに大きな影響与えていない質問項目を外し、主成分分析を再度実行した。その結果、累 積の寄与率が 80%に到達するまでのすべての主成分を指標として採用した。

主成分分析の結果、社会レベルの主成分を、尊厳重視(SPC1)、合理性重視(SPC2)、勤 勉さ(SPC3)、家庭重視(SPC4)、伝統重視(SPC5)、儒教的(SPC6)、利己的(SPC7)、宗教 信仰(SPC8)の 8 つに集約した。次に、企業レベルに関する主成分は、営利重視(EPC1)、

事業重視(EPC2)、能力重視(EPC3)、集団重視(EPC4)、顧客重視(EPC5)の 5 つに集約し た。そして、現場レベルは、上意下達(LPC1)、上下乖離(LPC2)、柔軟性(LPC3)、標準化

(LPC4)、職務上の情報共有(LPC5)、従業員間の情報共有(LPC6)の 6 つに集約した。最 後に、コミュニケーションに関しては、積極性(CPC1)、日常的(CPC2)、異文化体験(CPC3)、 同調性(CPC4)、親密度(CPC5)、最小限(CPC6)、無難さ(CPC7)、率直性(CPC8)の 8 つ に集約した。

6.4.2 社会レベルの主成分

最初に、社会レベルの主成分について説明を行う。社会レベルに関する 20 の質問項目に 対して、主成分分析を行ったが、累積寄与率が低水準であったことから、第 1~5 主成分に 大きな影響を与えていない質問項目を削除した。最終的には、14 個の質問(Q2,Q3,Q4,

Q5,Q7,Q8,Q9,Q12,Q13,Q14,Q15,Q17,Q18,Q20)を用いて主成分分析を再度行った。

図表 6-16 社会レベルの主成分分析結果

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社会文化の第 1 主成分(SPC1)において、Q18(子供たちは丁寧で礼儀正しくするように きちんとしつけてと教育されるべきだ)、Q20(子供の独立性を育成すべきだと思う)、Q17

(誠実さは誰もが持つべきものだと思う)という三つの質問の影響が大きく、それぞれは 0.44、0.44、0.38 であった。そのため、第 1 主成分(SPC1)を「尊厳重視」と命名した。

社会レベルの第 2 主成分(SPC2)において、Q9(生活にはいくつかの宗教的儀式感が必 要だと思う)、Q7(日常生活においては明確な宗教信仰が必要であると思う)、Q4(結婚 した女性は自宅で子どもをフルタイムで世話する必要があると思う)という 3 つの質問の 影響が大きく、それぞれは-0.44、-0.40、0.42 であった。そのため、第 2 主成分(SPC2)

を「合理性重視」と命名した。

社会レベルの第 3 主成分(SPC3)において、Q14(中国(日本)の風俗習慣についてよく 知らない)、Q5(のんびりしていることが好きだ)、Q15(中国(日本)の文化と風俗を学 ぶ必要はない)という三つの質問の影響が大きく、それぞれは-0.49、-0.48、-0.41 であ った。そのため第 3 主成分(SPC3)を「勤勉さ」と命名した。

社会レベルの第 4 主成分(SPC4)において、Q2(国益は家族の利益より重要であると思 う)、Q15(中国(日本)の文化と風俗を学ぶ必要はない)、Q3(男性と女性の家族の地位 は同等であるすべきだと思う)という 3 つの質問の影響が大きく、それぞれは-0.54、-0.50、

PC1 PC2 PC3 PC4 PC5 PC1 PC2 PC3 PC4 PC5 SPC1 SPC2 SPC3 SPC4 SPC5 SPC6 SPC7 SPC8 Q2 0.16 -0.01 0.21 -0.48 0.06 Q2 0.16 0.01 0.21 0.48 0.06 Q2 0.19 -0.00 0.13 -0.54 0.22 -0.34 0.36 -0.06 Q3 0.12 0.23 0.18 -0.08 0.53 Q3 0.12 0.23 0.18 0.08 0.53 Q3 0.14 0.23 0.19 -0.32 -0.51 0.05 0.22 0.45 Q4 0.05 -0.42 -0.15 -0.07 -0.42Q4 0.05 0.42 0.15 0.07 0.42 Q4 0.04 -0.42 -0.21 0.13 0.44 -0.13 0.07 0.13 Q5 0.07 -0.17 -0.46 -0.03 0.08 Q5 0.07 0.17 0.46 0.03 0.08 Q5 0.11 -0.19 -0.48 0.04 -0.04 0.35 0.70 0.06 Q6 0.23 0.01 0.30 -0.12 -0.08Q6 0.23 0.01 0.30 0.12 0.08

Q7 0.22 -0.36 0.08 -0.14 0.11 Q7 0.22 0.36 0.08 0.14 0.11 Q7 0.25 -0.40 0.04 -0.19 0.02 -0.08 -0.23 0.52 Q8 0.19 -0.13 0.32 -0.12 0.21 Q8 0.19 0.13 0.32 0.12 0.21 Q8 0.25 -0.15 0.37 -0.25 0.05 0.41 0.10 -0.53 Q9 0.18 -0.41 0.22 0.02 0.09 Q9 0.18 0.41 0.22 0.02 0.09 Q9 0.22 -0.44 0.26 -0.07 0.06 0.27 -0.21 0.11 Q10 0.16 -0.12 -0.26 0.28 0.02 Q10 0.16 0.12 0.26 0.28 0.02

Q11 0.05 -0.33 0.03 -0.21 -0.25Q11 0.05 0.33 0.03 0.21 0.25

Q12 0.26 -0.18 -0.18 0.24 0.37 Q12 0.26 0.18 0.18 0.24 0.37 Q12 0.33 -0.20 -0.12 0.18 -0.46 -0.26 0.01 -0.16 Q13 0.27 -0.19 -0.10 0.33 0.24 Q13 0.27 0.19 0.10 0.33 0.24 Q13 0.33 -0.21 -0.03 0.31 -0.34 -0.26 -0.02 -0.24 Q14 0.01 -0.00 -0.34 -0.32 0.23 Q14 0.01 0.00 0.34 0.32 0.23 Q14 -0.01 -0.02 -0.49 -0.30 -0.22 0.45 -0.40 -0.07 Q15 -0.09 -0.08 -0.30 -0.53 0.17 Q15 0.09 0.08 0.30 0.53 0.17 Q15 -0.08 -0.07 -0.41 -0.50 -0.02 -0.38 -0.17 -0.26 Q16 0.21 -0.07 0.28 0.15 -0.14Q16 0.21 0.07 0.28 0.15 0.14

Q17 0.33 0.27 -0.17 -0.03 -0.22Q17 0.33 0.27 0.17 0.03 0.22 Q17 0.38 0.30 -0.21 0.10 0.20 0.06 -0.09 0.21 Q18 0.36 0.28 -0.11 -0.03 -0.16Q18 0.36 0.28 0.11 0.03 0.16 Q18 0.44 0.31 -0.09 0.07 0.22 0.04 -0.08 -0.09 Q19 0.30 0.09 -0.09 -0.10 -0.08Q19 0.30 0.09 0.09 0.10 0.08

Q20 0.38 0.25 -0.07 -0.07 -0.10Q20 0.38 0.25 0.07 0.07 0.10 Q20 0.44 0.27 -0.04 -0.01 0.16 -0.03 -0.10 -0.02 Q21 0.30 0.04 -0.05 -0.05 -0.11Q21 0.30 0.04 0.05 0.05 0.11

固有値 3.83 2.09 1.69 1.43 1.25 固有値 2.92 1.92 1.50 1.31 1.19 0.86 0.78 0.72

寄与率 0.19 0.10 0.08 0.07 0.06 寄与率 0.21 0.14 0.11 0.09 0.09 0.06 0.06 0.05

累積 0.19 0.30 0.38 0.45 0.51 累積 0.21 0.35 0.45 0.55 0.63 0.69 0.75 0.80

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-0.32 であった。そのため、第 4 主成分(SPC4)を「家庭重視」と命名した。

社会文化の第 5 主成分(SPC5)において、Q3(男性と女性の家族の地位は同等であるべ きだと思う)、Q12(食器は食べ物と同じぐらい重要であると思う)、Q4(結婚した女性は 自宅で子どもをフルタイムで世話する必要があると思う)という 3 つの質問の影響が大き く、それぞれは-0.51、-0.46、0.44 であった。そのため、第 5 主成分(SPC5)を「伝統重 視」と命名した。

社会レベルの第 6 主成分(SPC6)において、Q14(中国(日本)の風俗習慣についてよく 知らない)、Q8(あなたの民族は儒教の文化思想の影響を受けていると思う)、Q15(中国

(日本)の文化と風俗を学ぶ必要はない)という 3 つの質問の影響が大きく、それぞれは 0.45、0.41、-0.38 であった。そのため、第 6 主成分(SPC6)を「儒教的」と命名した。

社会レベルの第 7 主成分(SPC7)において、Q5(のんびりしていることが好きだ)、Q14

(中国(日本)の風俗習慣についてよく知らない)、Q2(国益は家族の利益より重要であ ると思う)という 3 つの質問の影響が大きく、それぞれは 0.70、-0.40、0.36 であった。

そのため、第 7 主成分(SPC7)を利己的と命名した。

社会レベルの第 8 主成分(SPC8)において、Q8(あなたの民族は儒教の文化思想の影響 を受けていると思う)、Q7(日常生活においては明確な宗教信仰が必要であると思う)、

Q3(男性と女性の家族の地位は同等であるすべきだと思う)という 3 つの質問の影響が大 きく、それぞれは-0.53、0.52、0.54 であった。そのため、第 8 主成分(SPC8)を「宗教信 仰」と命名した。

6.4.3 企業レベルの主成分

次は、企業レベルの主成分について分析を行う。企業レベルに関する 17 の質問項目に対 して、主成分分析を行った。企業レベルでは、8 個の質問(Q36,Q39,Q41,Q42,Q43,Q48,

Q49,Q52)を用いている。

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図表 6-17 企業レベルの主成分分析結果

企業文化の第 1 主成分(EPC1)において、Q48(会社は各社員の仕事と生活に心遣いして いると思う)、Q49(企業は各従業員の職業教育に注意を払っていると思う)、Q41(会社 はアフータサービスを重視していると思う)という 3 つの質問の影響が大きく、それぞれ は-0.44、-0.44、0.41 であった。そのため、第 1 主成分(EPC1)を「営利重視」と命名し た。

企業文化の第 2 主成分(EPC2)において、Q48(会社は各社員の仕事と生活に心遣いして いると思う)、Q49(企業は各従業員の職業教育に注意を払っていると思う)、Q39(コー ポレートロゴは会社の企業文化を代表できると思う)という 3 つの質問の影響が大きくそ れぞれは-0.51、-0.52、0.45 であった。そのため、第 2 主成分(EPC2)を「事業重視」と 命名した。

企業文化の第 3 主成分(EPC3)において、Q43(年齢と職歴は個人の能力より重要だと思 う)、Q42(終身雇用制度の利は弊よりも大きいと思う)、Q39(コーポレートロゴは会社 の企業文化を代表できると思う)、それぞれは-0.77、-0.58、0.21 であった。そのため、

第 3 主成分(EPC3)を「能力重視」と命名した。

企業文化の第 4 主成分(EPC4)において、Q42(終身雇用制度の利は弊よりも大きいと思 う)、Q52(集団的利益は個人的利益よりも優位に置かれるべきであると思う)、Q43(年 齢と職歴は個人の能力より重要だと思う)という 3 つの質問の影響が大きくそれぞれは-0.67、0.84、0.41 であった。そのため、第 4 主成分(EPC4)を「集団重視」と命名した。

EPC1 EPC2 EPC3 EPC4 EPC5

Q36 -0.33 0.36 -0.11 0.40 -0.70

Q39 -0.37 0.45 0.21 -0.05 0.29

Q41 -0.42 0.30 0.12 -0.19 0.43

Q42 -0.18 0.21 -0.58 -0.67 -0.23

Q43 0.00 -0.04 -0.77 0.41 0.42

Q48 -0.44 -0.51 -0.03 -0.11 -0.07

Q49 -0.44 -0.52 0.04 -0.06 -0.05

Q52 -0.41 0.00 0.02 0.41 0.09

固有値 2.61 1.23 1.16 0.84 0.72

寄与率 32.6% 15.4% 14.5% 10.5% 9.0%

累積 32.6% 48.1% 62.6% 73.1% 82.1%

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企業文化の第 5 主成分(EPC5)において、Q36(会社の製品品質はマーケティングより重 要だと思う)、Q41(会社はアフータサービスを重視していると思う)、Q43(年齢と職歴 は個人の能力より重要だと思う)、それぞれは-0.70、0.43、0.42 であった。そのため、第 5 主成分(EPC5)を「顧客重視」と命名した。

6.4.4 現場レベルの主成分

現場レベルの主成分について説明を行う。現場レベルに関しては、8 個の質問(Q37,Q38,

Q40,Q44,Q45,Q50,Q51,Q56)を用いて主成分分析を再度行った(図表 6-18)。 現場レベルの第 1 主成分は、Q45、Q44、Q51 などのマイナスの影響が大きいので、上意 下達(LPC1)と命名した。そして、第 2 主成分は Q50 はプラスの影響、Q38 はマイナスの 影響が強いので 上下乖離(LPC2)と命名した。第 3 主成分は Q56 の影響が突出して大きい ので、柔軟性(LPC3)と命名した。第 4 主成分は、Q38 と Q50 のマイナスの影響が大きい 反面、Q 56 の生の影響も大きかったので、標準化(LPC4)と命名した。そして、第 5 主成 分は、Q37 と 40 のプラスの影響が大きいので、職務上の情報共有(LPC5)と命名した。最 後の、第 6 主成分は、Q37 と 40 のプラスの影響が大きい反面、Q44~46 のマイナスの影響 も大きかったので、従業員間の情報共有(LPC6)と命名した。現場レベルはこれらの 6 つ に集約した。

図表 6-18 現場レベルの主成分分析結果

LPC1 LPC2 LPC3 LPC4 LPC5 LPC6

Q37 -0.36 0.25 0.27 -0.29 -0.44 0.61

Q38 -0.17 -0.56 -0.10 -0.68 0.40 0.09

Q40 -0.38 0.22 0.05 0.27 0.61 0.42

Q44 -0.48 -0.08 0.16 0.23 0.01 -0.35

Q45 -0.50 -0.08 0.17 0.15 0.08 -0.31

Q50 -0.08 0.74 -0.25 -0.46 0.21 -0.35

Q51 -0.41 -0.10 -0.20 -0.18 -0.46 -0.21

Q56 -0.18 -0.07 -0.87 0.24 -0.08 0.23

固有値 2.51 1.11 1.01 0.93 0.76 0.66

寄与率 31% 14% 13% 12% 10% 8%

累積 31% 45% 58% 69% 79% 87%

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6.4.5 コミュニケーションに関する主成分

コミュニケーションに関する主成分について説明を行う。コミュニケーションに関する 15 の質問項目に対して、主成分分析を行ったが、累積寄与率が低水準であったことから、

第 1~2 主成分に大きな影響を与えていない質問項目を削除した。最終的には、13 個の質 問(Q25,Q26,Q27,Q28,Q30,Q31,Q32,Q33,Q34,Q35,Q46,Q53,Q54,Q55,Q57)を 用いて主成分分析を再度行った。

コミュニケーションの第 1 主成分(CPC1)において、Q54(仕事場であっても外国人社員 とのコミュニケーションは必要最小限にしたいと思う)、Q55(職場外では中国(日本)社員 とのコミュニケーションは必要ではないと思う)、Q25(質問されなければ、自発的に意見 を発表したくない)、それぞれは-0.50、-0.50、-0.30 であった。そのため、第 1 主成分

(CPC1)を「積極性」と命名した。

コミュニケーションの第 2 主成分(CPC2)において、Q30(仕事や生活の中で日常の挨拶 が必要だ)、Q31(人と会った時には挨拶すべきだと思う)、Q35(相手の目を見ながら話す べきだと思う)という 3 つの質問の影響が大きくそれぞれは 0.53、0.53、0.32 であった。

そのため、第 2 主成分(CPC2)を「日常的」と命名した。

コミュニケーションの第 3 主成分(CPC3)において、Q28(中国人(日本人)のボディー ランゲージが理解できる)、Q32(知らない人と話すことは非常に失礼だと思う)、Q27(中 国人(日本人)との日常コミュニケーションは難しい)という 3 つの質問の影響が大きく それぞれは 0.48、-0.48、0.46 であった。そのため、第 3 主成分(CPC3)を「異文化体験」

と命名した。

コミュニケーションの第 4 主成分(CPC4)において、Q26(意見に同意しない時は、すぐ それに反論する)、Q34(知らないことでも情熱的に返事し、「分からない」と言うのはよ くないと思う)、Q46(上司とのコミュニケーションは難しいと思う)という 3 つの質問の 影響が大きくそれぞれは-0.61、-0.51、0.41 であった。そのため、第 4 主成分(CPC4)を

「同調性」と命名した。

コミュニケーションの第 5 主成分(CPC5)において、Q35(相手の目を見ながら話すべき だと思う)、Q53(勤務時間外であっても社内にいる時に同国籍社員同士は母国語を話す)、

Q31(人と会った時には挨拶すべきだと思う)という 3 つの質問の影響が大きくそれぞれは 0.54、0.45、-0.43 であった。そのため、第 5 主成分(CPC5)を「親密度」と命名した。