第 5 章 中日間の文化差異と企業内コミュニケーションに関する事例検証
5.5 インタビュー調査結果
5.5.1 大連小野田セメントの企業文化差異と社内交流の現状
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曲解された事例が少ない
上司の命令は常に迅速に、正確に実行できる 社員の意見と不満は常に比較的満足させるよ うに解決できる
仕事中、出した考え方あるいは提出した報告が 曲解された事例が少ない
5.4.2 プレアンケート調査の回答状況
アンケート回答者について説明する。158 部のアンケート調査票を配布した。その内訳 は 6 部が最高管理職レベル、21 部は中間管理職レベル、131 部は一般従業員レベルを対 象にしたものであった。回収した有効アンケート数は 158 で、回収比率は 100%であった
(図表 5-7)。
図表 5-7 アンケート回答者の内訳
会社 国籍 職員 全体
中国人 日本人 中間管理職 以上
現場従業員
小野田セメント 115 8 19 104 123
THK 35 0 8 27 35
合計 150 8 27 131 158
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差し障るどころか、仕事の効率が高まると考えられていた。大部分の中国人社員は日本本 社の規定をそのまま適用することを快く思っていない。現地の具体的な状況に適応できて いないからである。
会社での日本人社員の仕事は真面目である傾向が見られた。生産部門においては利用す る機械を複数回調整する必要がある。ところが、実際の仕事現場では、便利のために、機 械を一回で最終的に調整していた。現場の管理者ですらこのことに気づかなかったが、あ る日本人の技術部長は巡回中にこの問題に気づき、直ちに生産部にこのことを通報した。
また関係者全員にこのことに関する調査と対策を実行した。この作業に関連する全社員と 管理者に育成訓練とリスト記録の必要性を周知させるようになった。
上記のことは問題処理における中国人と日本人の相違であるとも言える。日本人は発生 したことと処理の結果を記録してまとめるのを得意とし、中国人は状況により方式と方法 を変えるのを得意とすることの表れである。日本人の仕事ぶりは謹厳で、それに対し中国 人は敏活である。仕事効率の「速い」と「精」の二つの面でいうと、中国人社員は「速い」
を重んじるが、日本人は「精」を重んじる。もし「精」のために多くの時間がかかると、
退勤後の時間を利用して仕事をする必要が生じることがある。日本の企業は細かいところ から仕事を考えるのに慣れていて、細部に至るまで問題発生を防ごうとしている。これに 対し、中国人はいつも大を重んじ小を捨てる傾向があり、日本人は細かいことを気にしす ぎると思っている面がある。しかし、日本企業の製品の競争力は「精」にあるので、両者 の歩み寄りは不可欠である。
(2) 管理方式における差異
会社では毎朝、始業前に本部に全員を集め、朝礼をする。本部のリーダーは主に昨日の 状況を振り返り、また今日の仕事を手配する。日本人管理者はいつも自分の手帳を見なが ら、昨日の出来事を知らせ、また誰が何を担当するとか、いつまでに結果を必要とするか とかを周知させ、今日の仕事を大体手配するのが一般的である。一般的な中国企業では、
特別なことがない限り、朝礼のようなことは行わない。一般的な中国企業では、重大な問 題が出てきてから、報告対処を迅速に行おうとするので、仕事では計画性があまりなく、
仕事の情のミスが多い。
会社での給料体系は日本本社の給料体系を引用している。中国国内で簡単な修正の上で 出来たもので、会社では毎年一回の昇給をすることになっている。新入社員には等級の低
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い給料制度が採用され、勤続年数の増加に伴い、給料も上がる。2011 年、国内の物価は急 激に上がり、社員の給料に対する要求もどんどん高くなった。国内の生活水準の上昇に適 応するために、会社は給料体系に修正を加えた。新入社員と入社一年間二年間の社員は給 料基数が低いので、昇給 20%も達成できる。それに反して、古参社員は元々給料基数も高 いので、昇給の比例度合は低い。このような昇給体系が発表されると、勤続年齢が長い多 くの古参社員から不満が生じた。毎月の懇談会で何度もこの件について議論された。他社 で、は同じ仕事をしているものは、同じ給料をもらえることを宣伝した。従業員の中には
「なぜ新入社員は古参社員より昇給が多い、新入社員は会社に対する貢献が古参社員より 大きいのか?品質と仕事効率で新入社員は古参社員より優秀なのか?」と疑問を持つもの もいた。これに対し、日本総経理は、「我社では古参社員の給料水準は既に高いので、相対 的に言えば、新入社員の給料より随分高いと言える。今は物価の上昇が急激なため、新入 社員の生活は辛いであろうし、また政府の最低給料標準の影響も受けるから、新入社員に 対する昇給の調整幅は大きいのである」と回答した。
日系企業では、経験と年功序列を重視しているが、新入社員に対し、短期的評価をして おらず、古参社員と新入社員の給料格差は他の先進国ほど大きくない。会社で働く社員を 社内に留めるために、相応な待遇と福利を提供すべきと認識している。日本の年功序列制 と終身雇用制は存続の危機にあり、日本企業が中国に会社を設立した場合、能力により給 料を決める方法で社員の仕事効率を高めることを考えるべき時期になっていることを考 慮すべきである。各社員に明白な目標を設定し、目標を達成したら相応な給料をもらえる ようにし、明白な給料と目標の関係を明確にし、管理するべきである。
(3) 考え方の相違について
大連小野田セメントでは社員ハンドブックの中に会社内部の物を勝手に外に持ち出さ ないという規定がある。社員の仕事後の清潔衛生のために、会社が毎月社員に一瓶のソフ トソープを配り、社員はそれを自分で保管することになっている。ところが、ある女性社 員が自分の使い切っていない 2 瓶のソフトソープを工場の外に持ちそうとした時、検査を するガードマンによって発見され、総務部に報告された事件があった。日本の総務部経理 は細かく事情を聴取した後、会社の全社員は会社の一切の財物を外に持ち出さないように 通知した。で、日本人は適量を業務遂行の目的のために配布していると考えているのだが、
この件の処置について会社の大部分の中国人社員は非常に不満に思っていた。なぜなら
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元々ソフトソープは社員に与えられたものであり、使いきれない物の処理は自由だと思う からである。
この背景には、日本文化においては、公私の区別がはっきりしている点が挙げられる。
会社の物は全部会社に属する。社員は自覚的に会社の利益を維持すべきで、勝手に会社の 物品を勝手に処分してはならない。中国企業で、「公私の区別がはっきりしている」と強調 しても、これはただの形だけの説教であり、中国の伝統文化では、「個人が集団を服従させ る」ことが強調され、中国人の公私の区別に影響を与えている。このような考え方を逆に すると、ソフトソープをなぜ会社から持ち帰るかを容易に説明できる。これらのソフトソ ープは元々私たちに配られた物であり、今私は使用しないから、節約して寮に持ち帰って もいいと思う。これは中国人の典型的な考え方で、もし使い尽くしたら、これはあなたの 物であるが、もし使い尽くさないと、これはまだ会社の財産に属するというようなソフト ソープの意味は理解できないのである。
会社では毎月一人の管理者は生産現場に 5S の安全監査をする。5S とは整理、整頓、清 掃、清潔と躾(素養)である。会社は生産現場が良好な仕事環境であることを維持するた めに様々な制度化や標準化を行っている。生産効率と製品の品質を高めるために、毎月検 査を行う。また各生産現場の看板を使用して巡回で気づいた問題点を知らせ、また学習す る。しかしながら、毎月の実際の巡回過程で、常に同じ問題が何度も出るのに気づく。出 来た位置が違う。製品をどこにでも散らかし、良品と不良品の間ではっきりとした区分標 識がない。消防通路に物を置き、電線ケーブルは規定通り配置されていない、電線の接続 は乱れている。中国人社員は仕事をするとき、正確と過失を問わず、製品を生産するとき に残った原料はどこにでも置き、要求通りに置かない。最後に仕事ができたかどうかを確 認する。それに対し、日本人社員は仕事をするとき、先を急がず一つの段取りをしたら一 度確認し、その効果をも確認する。製品の生産過程が終わったら、絶対にその付属品を置 くべき所に置き、それから次の作業場に行く。こうすると、中国人と日本人が一緒に仕事 をするとき、問題が出てくる。中国人は日本人が「機械的」で「糞真面目」すぎて敏活で はないと思う。製品の品質に影響がないなら、こんなに細かくする必要がない、また仕事 効率にも影響すると思う。それに反して、日本人社員は中国人社員をこう思っている。中 国人が仕事をするとき、規律がない、仕事の過程がよく分からない、また物事の根源を追 究できないと思う。また物をどこにでも散らすが、こんな環境では優秀な製品を生産でき ない。毎回の 5S の安全巡回をするとき、いつも同じ問題が出る、自分の問題を修正し、改