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第 1 章 ミンダナオに関する基礎情報

1.4 日系企業の進出動向と今後の進出可能性の高い地域・都市

1.4.3 日系企業進出のための課題

1.4.3.1 フィリピン進出における課題

(1)電気料金の高さ

フィリピンの電力料金はアジアでも最も高い水準にあり、進出企業のコスト高の一因 となっている。また、電力供給が不安定な場合があることから、工場で自家発電設備が必 要とされるケースが多く、投資効率を押し下げる傾向がある。

【スリガオ市】

人口:154,137人(2015)

面積:245.34km2 人口密度:628.2/km2 主な産業:鉱業、農業、漁業 平均世帯収入:126,000PHP/年 主な宗教:カトリック教(79%)

【ブトゥアン市】

人口:337,063人(2015)

面積:817.28km2 人口密度:412.4/km2 主な産業:農業、漁業(エビ、ミルクフィッ シュ)、林業(木材加工)

平均世帯収入:126,000PHP/年 主な宗教:カトリック教(79%)

【ダバオ市】

人口:1,632,991人(2015 面積:2,444km2 人口密度:668.1人/km2 主な産業:農業関連産業及び工業、

情報技術産業

平均世帯収入:143,000PHP/年 主な宗教:カトリック教

【カガヤンデオロ市】

人口:675,950人(2015)

面積:488.86km2 人口密度:1382.7/km2 主な産業:教育

平均世帯収入:137,000PHP/年

【イリガン市】

人口:342,618人(2015)

面積:775.76km2 人口密度:441.6人/km2 主な産業:工業

平均世帯収入:137,000PHP/年

【ザンボアンガ市】

人口:861,799人(2015)

面積:1,483.38km2 人口密度:580.9人/km2 主な産業:農業、漁業 平均世帯収入:119,000PHP/年

【コタバト市】

人口:299,438人(2015)

面積:176.0km2 人口密度:1,701.3人/km2 主な産業:稲作、農業 平均世帯収入:119,000PHP/年

【ジェネラルサントス市】

人口:594,446人(2015)

面積:492.86km2 人口密度:1,206.1人/km2 主な産業:農業、漁業 平均世帯収入:119,000PHP/年

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図表1-28 電気料金の国際比較(指数)(2015年)

(出所)JETROの統計を基に調査団作成

注:2015年のフィリピンの値を1として相対化している。

(2) 脆弱な物流インフラ

マニラ市内を始めとする大都市における慢性的な交通渋滞、道路舗装率の低さ等、全 般的に物流インフラが脆弱であると言われている。特に、フィリピンの貿易伸長に伴い、

マニラ港を始めとする港湾の処理能力不足が大きな問題となっており、港での滞留貨 物が発生している(最大1か月程度の遅延)。このため、進出製造業企業には、生産ス ケジュール遅延、販売在庫不足等の悪影響を与えており、日系企業の生産拠点としての フィリピンのボトルネックになっていると言われている。

(3) 現地調達率の低さ

フィリピンは、アジア他国と比較すると製造業の裾野産業の発達が進んでおらず、日 系企業が部品調達できるようなサプライヤーが不足しているケースが多い。そのため、

材料を輸入に頼らざるを得ないことから、原価の割合が高い業種の場合はコスト面の メリットがそれほど多くは享受できない可能性がある。JETROの最近の調査によると、

フィリピンの現地調達率は31.6%に留まっており、ASEANで最も低い国の一つである

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5 JETRO「2016年アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」

Index(Price/GDP per Capita PPP) As of 2015

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

Seoul Beijing Shanghai Guangzhou Singapore Bangkok Kuala Lumpur Jakarta Batam Island Manila Cebu Hanoi Ho Chi Minh Da Nang Yangon Vientiane New Delhi Karachi Colombo Mumbai Dhaka Yokohama

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図表1-29 原材料・部品の現地調達率の比較(2016年)

(出所)JETRO(2016)

(4) VAT還付に係る問題

フィリピンでは、付加価値税(Value Added Tax: VAT)の還付に関して、アウトプット VAT額(企業が物品やサービスを購入した際に支払ったVATの金額)がインプットVAT 額(顧客に物品やサービスを販売した際に課した付加価値税の金額)を上回った場合、

差額の還付を受けることができることとなっている。特に輸出企業では、顧客への販売 時に VAT を課さないことから還付対象となる VAT 金額が大きくなる傾向があるが、

VAT 還付には数年を要しており、輸出志向型製造業が多いフィリピンにおいて重要な 懸案事項の一つとなっている。

(5) 撤退困難

フィリピンは国際的に見て企業の清算・破産処理がしにくい国であると言われてい る。特にフィリピンにおいて会社を清算する場合の手続きで最も時間がかかるのが過 去3年分の税務監査への対応であり、撤退手続完了までには平均2年、最長で3年かか るとも言われている。

(6) 人材

人材に関しては、英語人材が豊富な一方で日本語人材の確保・育成は困難であると言 われている。また、他のアジア諸国同様に、時間・納期・品質に関する一般的なフィリ

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ピン人の意識は日本人とは大きな差がある点にも留意が必要である。

1.4.3.2 ミンダナオ進出における課題

日系企業がフィリピンに進出する際には前項にて記載したような課題に直面することが 多いが、これらの課題には、ミンダナオに進出する際にも基本的には共通課題として直面す ることが多い6。他方、ミンダナオ進出にあたっては、安全面を始めとして、ルソン・ビサ ヤへの進出とは異なる独特の課題が存在している。これらのミンダナオ特有の課題を整理 すると以下のとおりである。

(1) 安全面への懸念

ミンダナオでは、外務省の危険情報のレベル2以上の地域が大半を占めており、レベル 1の地域はダバオ、カガヤンデオロ、ジェネラルサントス等の一部の大都市に限られてい る。多くの日系企業では、外務省の危険情報でレベル2以上の地域には進出することが難 しいため、ダバオやカガヤンデオロ等のレベル1の限られた都市に進出企業が集中して いる。例えば、日系企業のヒアリングにより、以下のようなコメントが聞かれた。

・ レベル2の地域への出張申請は本社の承認が下りない。

・ レベル 2 の地域に出張する場合は宿泊が禁止されており日帰りで出張せざるを得な い。

・ レベル 1 以外の地域での陸路移動は会社の規定により禁止されているため、空路で 移動せざるを得ない。

・ インフラ案件のうち、道路・鉄道などの長物になると、安全確保が難しくなるため社 内決裁を取るのが難しいだろう。他方、港湾や空港等、限られた範囲内で施工を行う 案件であれば対応可能性は高くなるだろう。

このように、ミンダナオでは、安全面が企業の進出にあたっての大きなボトルネックと なっている。日系企業の進出を加速するためにも、このような状況の一刻も早い改善が求 められるところである。

(2) 脆弱な通信インフラ

ミンダナオでサービスを提供している大手通信会社は、Globe Telecom社とPLDT社の 2社のみであり、通信回線が遅く不安定なため、電話およびインターネットが切断される ことが多い。また、市内全体でインターネットが半日から1日使えなくなることもある。

ダバオ、カガヤンデオロ等の大都市を中心として、最近はミンダナオにもコールセンター

6 ただし、道路交通状況はマニラに比べるとミンダナオの大都市のほうが相対的によく、また港湾の混雑 状況もマニラほどではない。電気料金も、ルソン・ビサヤに比べるとミンダナオは平均値は相対的に安 い等、ミンダナオのほうが他地方よりも状況がよい事項もある。

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を始めとするIT-BPO分野の企業が進出する動きが増加しつつあり、今後はいっそう通信 インフラが重要になることが想定される。このため、今後の IT-BPO 産業振興に向けて、

通信インフラの増強はミンダナオにおいて今後ますます重要になるだろう。

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