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第 3 章 インフラ整備の現状、課題および優先プロジェクト

3.1 各都市別の状況

3.1.1 ダバオ

3.1.1.1 インフラの現状

ダバオは人口163万人(2015年現在18)の都市であるが、地勢的な制約により限られた平 地部に人口が集中し、道路網整備もこの平地部の人口密集地域に集中している。しかし、計 画的な整備がなされてきていないことから、無秩序で複雑に絡み合った連続性に欠ける道 路網が形成されている。近年になって急激に自動車交通量が増加したことに伴い、市街地内 では慢性的な渋滞が発生している。また、市街地内での駐車スペースが限られていることか ら、路上駐車が街路を埋め尽くしており、道路の交通容量を低下させる要因ともなっている。

加えて、現地調査では、ダバオの街路は夜間の街路灯が少なく暗いことを確認した。

ダバオにおける公共交通手段は、フィリピンの他の都市と同様に、ジープニーやミニバン、

タクシーなどのパラ・トランジットのみが運行されており、組織的な都市内公共交通システ ムの運用がなされていない。ADB支援のプロジェクトによりBRT (Bus Rapid Transit)路線 の整備計画が、NEDAによりタグム~ダバオ~ディゴス間の鉄道整備の検討(F/S調査)が 進められているが、市街地内での深刻な渋滞状況を鑑みても、このようなマス・トランジッ トシステムを早急に整備する必要がある。

3.1.1.2 既存の産業

ダバオ周辺では、農業、畜産、鉱業、IT-BPO、観光、不動産が主要産業である。DTI地方 事務所へのインタビューによると、特に高付加価値農作物の生産や鉱山開発の推進が重要 であるとの見解が聞かれた。なお、ダバオには、東京の築地をモデルとした食料ターミナル

(Food Terminal)を建設する構想があり、アラカン(Alacan)地区がその候補として挙がっ ている。

データで見ると、ダバオの属するRegion XIのGRDPは、2013年以降は年率約11%の水 準で伸びている。また、同地域の主要産業である農業では、特にバナナとココナッツの生産 量(トン数)が多い。

18 2015年人口統計調査によると、ダバオ市の人口は1,632,991人である。

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図表3-1 ダバオ地域(Region XI)の産業の状況(2013年~2015年)

地域別GDP(Region XI) Region XIでの主要農作物収穫量

(出所)フィリピン統計局(PSA)を基に調査団作成

3.1.1.3 プロジェクトニーズ

(1) 今後の計画プロジェクト

ダバオにて計画されている主要なプロジェクトは、次のとおりである。

・ ダバオ市バイパス建設(トンネル区間を含む起点側区間が、円借款の対象として事 業実施中)

・ 上記バイパス道路の内側にもう一つのバイパス道路建設

・ ダバオ~サマール島間連絡道路(橋梁もしくはトンネルでの建設が考えられる。橋 梁案のみ経産省調査を実施済み。)

・ BRT整備

・ 鉄道整備(タグム~ダバオ~ディゴス間)

(2) プロジェクトニーズ

① 民間セクターのニーズ

ダバオでの民間セクターのインフラ整備に対するニーズについて、ダバオ商工会議所 への聞き取り調査を行ったところ、同商工会議所のメンバー企業(80 社)は、独立色の 強い団体であり、フィリピン商工会(Philippine Chamber of Commerce and Industries: PCCI)

とは政治的に一線を画しているとの発言があった。これは、かつてダバオとは直接ビジネ スの関係のない役員がダバオ地区の統括を行う人事がなされたためと言われている。商 工会会員のビジネス基盤はダバオ市の南側にあり19、今後の投資や開発の意向もダバオ~

ディゴス~ジェネラルサントスを軸としたダバオ南部にある。

19 ダバオ~カガヤンデオロ間のバレンシア、マライバライ、ブキッドノンにはそれぞれ独立した商工会が 設立されており、それぞれ地元の農業をビジネスの基盤としている。またカガヤンデオロの商工会のメ ンバーはこの地域にもプランテーションや木材生産を始めとするビジネス基盤を持っている。一方、ダ バオ商工会メンバーの基盤はこの地域の外側のダバオ~ジェネラルサントス道路に沿った両側の地域に ある。

94 105 107

129 150 168

237 264 289

0 100 200 300 400 500 600

2013 2014 2015

In PhpBillions

AFF Industry Service 459

518

563 11% CAGR

0.45 0.28 2.33

0.34 0.03

3.37

0.05 0.01

0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00

Region XI (Davao Region)

In Million Metric Tons

Palay Corn Coconut Sugarcane Pineapple Banana Mango Coffee

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従って、ビジネス界の意向もダバオの環状道路(Diversion Road)の内側地域の開発よ りダバオ~ディゴス~ジェネラルサントス間のルートの強化に重きを置いており、この 導線の強化による以下のような産業振興のポテンシャルを見出している。

・ジェネラルサントス東側半島は鉱業や観光の開発ポテンシャルが高い。

・ジェネラルサントス西側のバンサモロにはコーンやキャッサバを中心とした飼料生産 に関する投資熱が高まっている(インド企業が投資を決めている)。

・ジェネラルサントス港で荷揚げされる魚の高付加価値化につながる 。

・ダバオ南部国道1号線沿線は渋滞が解消されると物流が活性化される。

② 公共セクターのニーズ

ダバオでは、JICA の「ダバオ市インフラ開発計画策定・管理能力向上プロジェクト」

が2017年1月より開始されたところである。これは同地域のインフラの効率的・効果的 な整備に寄与することを目的とした、都市インフラ(土地利用、道路、都市交通、上下水、

廃棄物管理等)の開発計画の策定や、フィリピン側関係機関のプロジェクト実施に係る能 力強化を行うプロジェクトである。ダバオの公共セクターではこのマスタープランに対 して大きな期待を寄せている。

一方、ダバオの公共セクターではダバオ産の野菜・果物・魚をカガヤンデオロ港により 効率的に輸送する方法を探っている(NEDA-第11管区、DTI-第11管区、DPWH への聞 き取り調査の結果)。現状、ダバオからカガヤンデオロへの輸送には船で3日程度かかる ところ陸路では半日で輸送できるため、移送物の時間短縮と鮮度を向上させ、荷痛みを減 少させることができると考えられている。

またドゥテルテ大統領出身地ということもあり、ダバオへの投資は今後も拡大し、人口 と雇用の増加が期待される。カガヤンデオロ港から移入される建設資材、日用品などのダ バオへの流通を促進するためにも、このダバオ~カガヤンデオロ間の道路改良整備を推 進したいとしている。

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図表3-2 ダバオで計画されているプロジェクト(2016年現在)

(出所)調査団作成

3.1.2 カガヤンデオロ