第 3 章 インフラ整備の現状、課題および優先プロジェクト
3.1 各都市別の状況
3.1.2 カガヤンデオロ
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図表3-2 ダバオで計画されているプロジェクト(2016年現在)
(出所)調査団作成
3.1.2 カガヤンデオロ
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カガヤンデオロを中心とする都市間の幹線道路(国道10号線)は、市街地の後背地近 くに丘陵地が控えていることもあり、丘陵地から山間部を通過する線形の悪い区間があ る。このため、急な上り坂での大型車の速度低下による混雑の発生や、40 フィート ISO コンテナ車の通行が困難な極小カーブ区間が存在するなどの問題がある。
DPWH は現在、幹線道路の拡幅工事や急な上り坂への登坂車線の設置工事を進めてい る。しかし、上述のとおり、予算配分が潤沢ではないためパッチワーク的に改良工事が進 められている状況である。また、急峻な斜面で施工された切土や、斜面の安定上危険と思 われる路肩の構築が散見され、今後の降雨等による浸食に伴い道路としての安定性に問 題があると指摘されている。
図表3-3 カガヤンデオロの交通・道路整備状況
市内を東西方向に走る国道9号線の混雑状況 国道10号線上の地肌むき出しの切土斜面
(出所)調査団撮影
(2)公共交通
カガヤンデオロの市街地内での公共交通手段は、フィリピンの他の都市と同様に、ジー プニーやミニバン、タクシーなどのパラ・トランジットが主体的で、組織的な都市内公共 交通の運営がなされていない。このため、交通管理上の運用ルールが定められておらず、
乗降のための駐停車がいたるところで発生し、また、ドライバーの運転マナーが悪いなど、
これらが交通阻害の要因となっている。なお、市街地区域は限られた平地区域にコンパク トに収まっていることを考慮すると、組織的な都市内公共交通手段が確立されれば交通 状況は改善されると考えられるが、現時点でそのような計画や構想は確認できていない。
(3)空港
カガヤンデオロのラギンディガン(Laguindiangan)国際空港は、フィリピン政府が機能 強化を進める主要5都市(バコロド、イロイロ、ボホール、カガヤンデオロ、ダバオ)の 空港の一つである。2017年1月現在、機能強化に向けたPPPによる運営事業者選定のた めの入札が行われている。また、MinDA 本部をブキッドノンに移し、ブキッドノンをミ ンダナオ島開発の中心地とする構想があるが、これを受けて、ブキッドノンに新空港を建
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設する構想が出ている。NEDA 本部としては主要 5 都市の空港の機能強化をまず進める 考えだが、今後、ブキッドノン空港建設の動きが出てくる可能性はある。
(4)港湾
カガヤンデオロにはフィリピン港湾庁(Phillipine Port Authority: PPA)のコンテナ・タ ーミナルとミンダナオ・コンテナ・ターミナルの2つの港湾施設があるが、漁港はない。
これらカガヤンデオロの港湾施設は、ルソン島やセブなどへの輸送上、ミンダナオ島の中 で地理的な優位性があることから、カガヤンデオロ港をハブ港湾として機能を強化し、島 内の周辺地域から港湾へのアクセス性を向上させることが開発戦略上期待されている。
現地での聞き取り調査によると、カガヤンデオロ港の貨物取扱量は現状で全体容量の83%
となっており、近い将来、容量オーバーになる見込みである。このため中長期的には、増 え続ける貨物需要を受け入れるためにカガヤンデオロ港の容量拡大・機能強化が必要に なってくる。
3.1.2.2 既存の産業
カガヤンデオロが属する東ミサミス(Misamis Oriental)地域は、土壌の豊度が高く台風が 少ないことから、農業開発の好条件を揃えている。カガヤンデオロの南に位置するブキッド ノン(Bukidnon)はミンダナオ島のフード・バスケットとも呼ばれるほど、農業が盛んな地 域である。周辺では、ドール(Dole)やデルモンテ(Del Monte)などの大規模プランテーシ ョンがバナナやパイナップル、ココナッツなどの農作物を生産している他、中小の農家によ る高付加価値作物(ブロッコリー、ランソネス、コショウ、コーヒー豆、トマト等)が栽培・
収穫されている。これまでは作物を島外に輸出することだけであったが、製品加工も島内で できるようになると島内での産業が活発化されると期待されている。
鉱業では、JFE スチールの 100%子会社のフィリピン・シンターがカガヤンデオロにて、
焼結鉱(溶鉱炉の主要原料で、鉄鉱石から焼成)を製造・販売している。フィリピンはブラ ジルや豪州から日本への鉄鉱石輸送航路上に位置していることから、効率的な製造と運搬 が可能となっているとのことである。
データで見ると、カガヤンデオロの属する Region Xの GRDP は、2013 年以降は年率約 9%の水準で伸びている。また、同地域の主要産業である農業では、特にサトウキビの生産 量(トン数)が多い。
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図表3-4 北ミンダナオ地域(Region X)の産業の状況(2013年~2015年)
地域別GRDP(Region X) Region Xでの主要農作物収穫量
(出所)フィリピン統計局(PSA)に基づき調査団作成
3.1.2.3 プロジェクトニーズ
(1) 今後の計画プロジェクト
NEDA Regional Office Xが挙げる優先プロジェクトを以下に示す。
①Road Inland Alignment (Expressway System) Project
・ CDO~Malaybalay~Valencia~Davao間
・ Dipolog~Ozamiz~Pagadian間
・ Pagadian~Tubod (Lanao del Norte)~Iligan~CDO~Gingoog~Butuan間
・ Davao、GenSanの事業者のビジネスコストの低減が期待されている。
・ 輸送時間短縮、荷痛み減少効果により、農水産物の高付加価値化が実現する。
②Bukidnon Airport Development Project
③Ozamiz City Airport Development Project
④Mindanao Railway Project
・ Iligan~CDO~Butuan間
・ Butuan~Davao間(Tagum~Davao~Digos間のF/S実施中)
・ Davao~Iligan間
⑤Laguindingan Seaport Development Project
⑥Improvement/upgrading of road leading to Laguindingan Airport(空港アクセス)
⑦その他、JICA物流調査で挙げられたプロジェクト
このほか、DPWH の Regional Office が検討している道路整備計画として以下の構想 がある。
① Opol~Villanueva間の高架高速道路建設
② Iligan~CDO~Butuan間のSuperhighway建設
・ 将来計画は往復 6車線での計画だが、予算が足りないため、往復 2車線で先行整 備を進めているところである。
112 123 127
138 156 165
186 207 224
0 100 200 300 400 500 600
2013 2014 2015
In PhpBillions
AFF Industry Service 436
486 516
9% CAGR
0.71 1.20
1.84 3.44
1.39 1.78
0.05 0.01
0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00
Region X (Northern Mindanao)
In Million Metric Tons
Palay Corn Coconut Sugarcane Pineapple Banna Mango Coffee
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③ Bukidnon~Gingoog間のバイパス道路建設
・ 2017 年に工事が開始される予定だが、上記同様、予算のついた区間からの段階 的な整備になるため、全線開通には10年程かかる見込みである。
④ Bukidnon~Davao間のバイパス道路建設
・ 線形の悪い山間部区間のバイパスでトンネル建設が検討されているが、DPWH から受領した資料での線形では縦断線形がとりつかないため、別ルートを検討 する必要がある。
図表3-5 カガヤンデオロで計画されているプロジェクト(2016年現在)
(出所)調査団作成
(2) プロジェクトニーズ
① 民間セクターのニーズ
カガヤンデオロ商工会議所のメンバー数はダバオより規模が小さく 50 社程度である。
会員企業のビジネス基盤はやはり農業主体(プランテーション)であり、その中心はマラ イバライ、ブキッドノンからカガヤンデオロにかけての地域である。そのためマライバラ イからカガヤンデオロの港湾施設や空港施設への道路整備のニーズが必然的に高くなり、
マライバライ以南のダバオ~マライバライ間の道路改良のニーズはさほど高いものでは ない。
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商工会議所の会員企業のビジネスは、パーム、コーン、パイナップルを主要な対象産品 とし、これらを飼料原料や缶詰、青果としてルソン島や香港に向けてカガヤンデオロ港か ら搬出することである。そのため彼らのニーズは、マライバライ~カガヤンデオロ港間の 貨物輸送のアクセス性改善であり、既存のマライバライ~カガヤンデオロ間の山岳道路 の改修よりも、マライバライからカガヤンデオロ港までを高規格道路で結ぶバイパス道 路の新設にある。産地と港湾施設とが直接リンクすることで、内陸部の農業資源を更に活 用することができる。ブキッドノンの高原野菜やマライバライ周辺の畜産は、地域産業と しては有名であるが、カガヤンデオロの大手ビジネス企業とはあまり関連がない。これら は、おそらく地域の小規模農家や地元の商工会会員企業のビジネスの範疇であるものと 思われる。
カガヤンデオロの商工会によると、カガヤンデオロ港東部で国道9号線上にある橋(カ ガヤン川にかかる橋)には重量制限があり、10 トン以上のものを通過させることができ ないとのことである。すなわち、現在ミンダナオ島で盛んな発電所の建設等で運搬される 重量部材はこの橋を通過して運搬することができない状況である。特にカガヤンデオロ 東部からブトゥアンにかけての発電所の部材の陸揚げは、水深の深い民間のバージ(フィ リピン・シンターが企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility: CSR)の一環とし て提供する施設内のバージ)等が利用されている。このため、現時点では、ミンダナオの 発電建設にはこのバージがないと成立しない。
カガヤンデオロ東部の港湾開発では、ヒンゴオグ(Gingoog)港が代替地として有望と され、複数存在する民間セクターの港湾を PPP のスキームで改修・増強するといった方 法も提案されている。
2017年から2022年まではミンダナオの電力供給に余裕が生まれる時期であり、この期 間には多くの建設資材や原材料が流通する。現在、重量制限のため物資の流通に支障をき たしている橋梁の重交通に対する補強は、幹線道路全般に対して必要である。
その他、カガヤンデオロ東部に位置する日系企業からは、市域の海岸線(国道9号線)
に沿った導線の強化のニーズが強い。具体的には市域の東西をリンクする延長約25km程 度のマストランジットの整備が挙げられる。カガヤンデオロの製造業、発電所は海岸線に 沿って立地しており、更にカガヤンデオロには大きな大学が多くある。また、カガヤンデ オロの人流はダバオと違って海岸線に沿って一直線であり、そこに多くの集落が存在す ることから、マストランジットを導入しやすく十分な採算性があるという意識がある。
② 公共セクターのニーズ
カガヤンデオロでは官民ともにダバオとの対抗意識が高く、現在、JICA が実施している
「ダバオ市インフラ開発計画策定・管理能力向上プロジェクト」を注視しており、同様のプ ロジェクトをカガヤンデオロでも実施したいという意向が非常に強い。NEDA の管区事務 所やDTIの地域事務所によると、カガヤンデオロ地域をめぐる開発は、RDCの構成メンバ ーを中心に様々な計画を検討しているが、実施の主体となるカガヤンデオロ市政府でも開