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(1)

平成 28 年度

質の高いインフラシステム海外展開促進事業

海外進出拠点整備事業

フィリピン共和国ミンダナオ島における

インフラ整備に係る調査事業

報告書

平成 29 年 3 月

経 済 産 業 省

委託先:新日本有限責任監査法人

(2)

目 次

はじめに ... 1 第1 章 ミンダナオに関する基礎情報 ... 2 1.1 ミンダナオにおける近年の歴史と今後の見通し ... 2 1.1.1 フィリピンの基礎情報とミンダナオの位置づけ... 2 1.1.2 ミンダナオにおける近年の歴史 ... 7 1.1.3 日・フィリピン首脳会談の内容 ... 8 1.2 貿易、投資動向および産業別セクター動向、ポテンシャルのある産業 ... 9 1.2.1 ミンダナオの特徴と比較優位性 ... 9 1.2.2 ミンダナオの貿易・投資動向 ... 14 1.2.3 各地域別の貿易・投資動向 ... 16 1.2.4 各地域別の現在の主要産業、今後ポテンシャルのある産業 ... 17 1.3 ポテンシャルのある産業分野の関連企業および想定されるインフラニーズ ... 19 1.3.1 ポテンシャルのある産業分野の企業群(進出可能性のある企業セクター) .... 19 1.3.2 上記進出可能性のある分野の企業に必要とされるインフラニーズ ... 19 1.4 日系企業の進出動向と今後の進出可能性の高い地域・都市 ... 20 1.4.1 日系企業の進出動向 ... 20 1.4.2 日系企業の進出可能性の高い地域・都市 ... 20 1.4.3 日系企業進出のための課題 ... 21 第2 章 ミンダナオにおけるインフラ整備状況および今後の計画 ... 26 2.1 ミンダナオのインフラ整備計画およびその整備状況... 26 2.1.1 関連する計画の全体像および計画一覧 ... 26 2.1.2 ミンダナオ 2020 の概要 ... 27 2.2 政府関係組織・人員体制、予算 ... 34 2.2.1 中央政府、地方政府、各自治体の関係図 ... 34 2.2.2 主要な関係組織の人員体制および予算 ... 35 2.3 関連法規・規程、政策、制度 ... 41 2.3.1 インフラ整備に関する制度・規程等(全般) ... 41 2.3.2 インフラ整備に関する制度・規程等(セクター別) ... 44 2.4 PPP 制度(含む法律、政令、組織)およびその運用状況 ... 46 2.4.1 PPP 制度の概要 ... 46 2.4.2 PPP 適用可能セクター ... 47 2.4.3 PPP 事業の実施状況とパイプライン ... 48 2.4.4 フィリピンにおける PPP の課題 ... 49 2.5 本邦インフラ関連企業のパートナー候補企業 ... 50 2.6 各国の事業展開状況 ... 52 第3 章 インフラ整備の現状、課題および優先プロジェクト ... 53

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3.1 各都市別の状況 ... 53 3.1.1 ダバオ ... 53 3.1.2 カガヤンデオロ ... 56 3.1.3 ジェネラルサントス ... 63 3.1.4 ブトゥアン・スリガオ(カラガ地域) ... 67 3.2 ミンダナオ全体でのプロジェクトの実施・計画状況... 80 3.3 優先プロジェクト ... 82 3.3.1 基本的考え方 ... 82 3.3.2 開発戦略 ... 82 3.3.3 優先プロジェクトリスト ... 84 第4 章 フィリピンおよびミンダナオにおける電力セクターの基礎情報、現状、課題 ... 88 4.1 電力セクターの現状と課題 ... 88 4.1.1 フィリピン全体 ... 88 4.1.2 ミンダナオ... 93 4.2 今後の計画 ... 102 4.2.1 フィリピン全体 ... 102 4.2.2 ミンダナオ... 104 4.3 フィリピンおよびミンダナオの電力セクターにおけるインフラニーズ ... 106 4.3.1 フィリピンおよびミンダナオにおける電力セクターのニーズ ... 106 4.3.2 フィリピン電力セクターロードマップ ... 108 4.3.3 優先プロジェクトリスト ... 111 第5 章 フィリピンおよびミンダナオのインフラの課題に関する本邦技術の活用 ... 112 5.1 運輸・交通 ... 112 5.1.1 現地ニーズに適合しうる本邦技術およびその適合性検証 ... 112 5.1.2 ミンダナオにおける有望案件リスト(ショートリスト) ... 113 5.2 電力 ... 116 5.2.1 現地ニーズに適合しうる本邦技術およびその適合性検証 ... 116 5.2.2 フィリピンにおける有望案件リスト(ショートリスト) ... 117 5.3 課題解決に向けたアクションプラン ... 118 第6 章 セミナー開催概要 ... 119 6.1 セミナー開催の趣旨および概要 ... 119 6.2 当日のアジェンダ ... 120 6.3 セミナーにおける議論の概要 ... 121

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図表リスト

図表1-1 フィリピンの 3 つの地方 ... 2 図表1-2 フィリピンの 3 地方、18 行政管区、81 州の構成 ... 3 図表1-3 ミンダナオ地方の地理 ... 4 図表1-4 ミンダナオの行政区分 ... 4 図表1-5 フィリピンの気候区分 ... 5 図表1-6 地域別の人口と構成比(2015 年) ... 6 図表1-7 各地域の一人当たり GDP(2015 年) ... 7 図表1-8 ミンダナオ域内総生産(GRDP)(2015 年) ... 9 図表1-9 ミンダナオの域内総生産(GRDP)の内訳(2015 年)... 10 図表1-10 ミンダナオの域内総生産(GRDP)の内訳(2015 年) ... 10 図表1-11 農産物の生産においてフィリピン全体に占めるミンダナオの割合(2013 年) ... 11 図表1-12 フィリピンにおける生産中の鉱山 ... 12 図表1-13 ミンダナオで採掘できる鉱石の生産量(2015 年実績) ... 12 図表1-14 主な探鉱プロジェクト一覧(2016 年) ... 13 図表1-15 石炭埋蔵量概要(2016 年) ... 13 図表1-16 BIMP-EAGA の経済回廊 ... 14 図表1-17 ミンダナオの輸出入動向(品目別) ... 15 図表1-18 ミンダナオの投資動向(産業別)(2011 年~2014 年) ... 15 図表1-19 累積海外直接投資額の割合(産業別)... 15 図表1-20 ミンダナオの輸出入動向(地域別)(2012 年~2013 年) ... 16 図表1-21 輸出入上位 10 カ国(2013 年) ... 17 図表1-22 ミンダナオの投資動向(地域別)(2011 年~2014 年) ... 17 図表1-23 各地域の主要産業 ... 18 図表1-24 ポテンシャルのある産業分野に関連する既進出外資系企業(例) ... 19 図表1-25 業種別に必要とされるインフラニーズ... 19 図表1-26 主な日系企業の進出状況(2016 年時点) ... 20 図表1-27 日系企業の進出可能性の高い都市 ... 21 図表1-28 電気料金の国際比較(指数)(2015 年) ... 22 図表1-29 原材料・部品の現地調達率の比較(2016 年) ... 23 図表2-1 ミンダナオのインフラ整備に関連する計画の関係図 ... 26 図表2-2 フィリピンにおける地方自治体の関係図 ... 34 図表2-3 フィリピン中央政府機関の関係図 ... 34 図表2-4 NEDA 組織図 ... 36 図表2-5 MinDA 組織図 ... 38 図表2-6 フィリピンにおけるインフラ関連の予算(2011 年~2017 年) ... 39 図表2-7 地域別の予算配分(2017 年) ... 39

(5)

図表2-8 NEDA 2017 年度地域配分予算 ... 40 図表2-9 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規・制度等(全般) ... 41 図表2-10 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規・制度等(投資) ... 42 図表2-11 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規・制度等(環境) ... 43 図表2-12 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規・制度等(土地関連) .. 43 図表2-13 フィリピンにおけるインフラ整備に関する主な法規・制度等(セクター別) ... 44 図表2-14 フィリピンにおける PPP 制度の概要 ... 47 図表2-15 民間が参入可能なインフラプロジェクトの分野 ... 47 図表2-16 既に建設が完了して運営を開始した案件 ... 48 図表2-17 建設中の案件 ... 48 図表2-18 これから実施されるパイプライン案件(NEDA Board 承認済の案件) . 49 図表2-19 本邦インフラ関連企業のパートナー候補企業 ... 51 図表2-20 ミンダナオにおけるインフラ関連分野での他国の事業展開状況 ... 52 図表3-1 ダバオ地域(Region XI)の産業の状況(2013 年~2015 年) ... 54 図表3-2 ダバオで計画されているプロジェクト(2016 年現在) ... 56 図表3-3 カガヤンデオロの交通・道路整備状況 ... 57 図表3-4 北ミンダナオ地域(Region X)の産業の状況(2013 年~2015 年) ... 59 図表3-5 カガヤンデオロで計画されているプロジェクト(2016 年現在) ... 60 図表3-6 ジェネラルサントスの交通・インフラ施設の整備状況 ... 64 図表3-7 ジェネラルサントスで計画されているプロジェクト(2016 年現在) ... 67 図表3-8 ミンダナオ島における物流インフラの整備状況 ... 68 図表 3-9 有償資金協力によるカラガ地域のインフラ整備支援(1995 年~2007 年) ... 69 図表3-10 ミンダナオ島の地域別の域内総生産(2014 年) ... 69 図表3-11 ミンダナオ島の地域別の一人あたり GRDP(2014 年) ... 70 図表3-12 カラガ地域の域内総生産(GRDP)の内訳(2014 年) ... 70 図表3-13 フィリピンの地域別丸太生産量(2014 年)... 71 図表3-14 カラガ地域の種類別農産物生産量と生産地(2014 年) ... 72 図表3-15 カラガ地域の州別農産物生産量(2014 年)... 72 図表3-16 カラガ地域の種類別養殖生産額(2014 年)... 73 図表3-17 カラガ地域の州別養殖生産額(2014 年) ... 74 図表3-18 カラガ地域の鉱業(2012 年~2013 年) ... 74 図表3-19 フィリピンの地域別木材加工品生産量(2014 年) ... 75 図表3-20 ブトゥアン市開発計画(2017 年~2022 年) ... 77 図表3-21 マサオ港の拡張計画 ... 78 図表3-22 マサオ港の拡張予定エリアの現状 ... 78 図表3-23 ナシピット港の開発マスタープラン ... 79

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図表3-24 ナシピット港の現状 ... 79 図表3-25 各支援機関がミンダナオで実施した主なプロジェクト(2016 年時点) . 80 図表3-26 ミンダナオにおける主な優先プロジェクト(2016 年時点) ... 81 図表3-27 ミンダナオにおいて計画中の PPP プロジェクト(2016 年時点) ... 81 図表3-28 優先プロジェクトリスト(案)(都市・セクター別) ... 86 図表3-29 優先プロジェクトリスト(案)(都市・セクター別)マップ ... 87 図表4-1 フィリピンにおけるセクター別電力消費量の推移(2003 年~2015 年) . 89 図表4-2 フィリピンの総発電量(2002 年~2014 年) ... 89 図表4-3 フィリピン国全体の電源別比率(2014 年) ... 90 図表4-4 フィリピンの電化率(2014 年) ... 90 図表4-5 電気料金の国際比較(インデックス)(2015 年) ... 91 図表4-6 Meralco 平均料金(ペソ/kWh) ... 91 図表4-7 日・比の石炭火力発電所の発電効率の差 ... 92 図表4-8 世界リスク報告(2016 年) ... 93 図表4-9 ミンダナオにおけるセクター別電力消費量の推移(2003 年~2015 年) . 94 図表4-10 フィリピンの地方別の発電量の推移(2003 年~2015 年) ... 94 図表4-11 ミンダナオの総発電量(2002 年~2014 年) ... 95 図表4-12 ミンダナオの電源別発電量比率(2015 年および 2017 年) ... 95 図表4-13 既存の水力発電所の位置(2016 年現在) ... 98 図表4-14 既存および今後稼働予定の石炭火力発電所の位置(2016 年現在) ... 99 図表4-15 既存の地熱発電所、開発段階・開発前の段階にある地熱発電所の位置 100 図表4-16 今後稼働予定のプロジェクト一覧 ... 101 図表4-17 ミンダナオの電化率(2014 年) ... 102 図表4-18 フィリピンの経済成長(2016 年~2030 年) ... 102 図表4-19 経済成長と電力消費量(2016 年~2030 年) ... 103 図表4-20 フィリピンの電力需給見通し(2016 年~2030 年) ... 103 図表4-21 フィリピンの必要電力供給力 ... 104 図表4-22 ミンダナオの電力需給の見通し(2016 年~2030 年) ... 105 図表4-23 グリッド別の必要電力供給力(2016 年現在) ... 105 図表4-24 エネルギーセクターにおける戦略的方向性 ... 108 図表4-25 電力・エネルギーセクターにおける優先プロジェクト(案) ... 111 図表5-1 運輸交通分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術 ... 112 図表5-2 電力エネルギー分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術 ... 116 図表5-3 電力エネルギー分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術 ... 117 図表6-1 セミナー光景 ... 119 図表6-2 経済産業省挨拶、MinDA 挨拶光景 ... 122

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略 語 集

略語 正式名称 日本語訳

ADB Asian Development Bank アジア開発銀行

AFTA ASEAN Free Trade Area アセアン自由貿易地域協定 ARMM Autonomous Region in Muslim Mindanao ムスリム・ミンダナオ自治区 ASEAN Association of South East Asian Nations 東南アジア諸国連合

BIMP-EAGA

Brunei-Indonesia-Malaysia-Philippines East ASEAN Growth Area

東アセアン成長地域

BOT Build, Operate and Transfer 建設、運営、移転(PPP 事業 方式の一種)

BPO Business Process Outsourcing ビジネス・プロセス・アウト ソーシング

BRT Bus Rapid Transit バス高速輸送システム CCGT Combined Cycle Gas Turbine コンバインドサイクル発電 CEPT Common Effective Preferential Tariff 共通効果特恵関税

CIAP Construction Industry Authority of the Philippines

フィリピン建設産業庁

DBM Department of Budget and Management フィリピン予算管理省 DepEd Department of Education フィリピン教育省 DOE Department of Energy フィリピンエネルギー省 DOTr Department of Transportation フィリピン運輸省

DPWH Department of Public Works and Highways フィリピン公共事業道路省 DTI Department of Trade and Industry フィリピン貿易産業省 EPIRA Electric Power Industry Restructuring Act,

2001

電力産業改革法

ERC Energy Regulatory Commission エネルギー規制委員会 FIT Feed-in Tariff 固定価格買取制度 FMB Forest Management Bureau 森林管理局 F/S Feasibility Study 実現可能性調査 FSRU Floating Storage and Re-gasification Unit 洋上気化設備 GDP Gross Domestic Product 国内総生産 GRDP Gross Regional Domestic Product 域内総生産 ICT Information and Communication Technology 情報通信技術 IEC Information,Education and Communication 普及啓発活動

IOT Internet of Things モノのインターネット IPP Independent Power Producer 独立系発電事業者

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略語 正式名称 日本語訳 IT-BPO Information Technology Business Process

Outsourcing

情報技術におけるビジネスア ウトソーシング

JCPC Joint Congressional Power Commission 両院合同電力委員会

JETRO Japan External Trade Organization 独立行政法人日本貿易振興機 構

JICA Japan International Cooperation Agency 独立行政法人国際協力機構 JOGMEC Japan Oil, Gas and Metals National

Corporation

独立行政法人石油天然ガス・ 金属鉱物資源機構

LCC Life Cycle Cost ライフサイクルコスト LGU Local Government Unit 地方政府

LNG Liquefied Natural Gas 液化天然ガス

MBTP Mindanao Backbone Transmission Project ミンダナオ・バックボーン送 電系統開発プロジェクト MCT Mindanao Container Terminal ミンダナオ・コンテナ・ター

ミナル METI Ministry of Economy, Trade and Industry 経済産業省

MILF Moro Islamic Liberation Front モロ・イスラム解放戦線 MinDA Mindanao Development Authority ミンダナオ開発庁 MNLF Moro National Liberation Front モロ民族解放戦線

M/P Master Plan マスタープラン

MRS Mindanao Railway System ミンダナオ鉄道システム MRT Mass Rapid Transit 大量高速輸送

MW Megawatt メガワット

NAIA Ninoy Aquino International Airport ニノイ・アキノ国際空港 NEA National Electrification Administration 国家電化庁

NEDA National Economic And Development Authority

国家経済開発庁

NGCP National Grid Corporation of the Philippines フィリピン送電会社 NPC National Power Corporation 国営電力公社

NPC-SPUG

National Power Corporation - Small Power Utilities Group

国営電力公社の地方電化向け 発電会社

OD Origin-Destination 起点・終点間(交通量調査) ODA Official Development Assistance 政府開発援助

OLA-MCTAP

Operation of Laguindingan Airport-Mindanao Container Terminal Allied Projects

ラギンディガン国際空港と MCT の連携プロジェクト O&M Operation and Maintenance 運営維持管理

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略語 正式名称 日本語訳

PCAB Philippine Contractors Accreditation Board フィリピン建設業許可委員会 PAGASA Philippine Atmospheric, Geophysical and

Astronomical Services Administration

フィリピン大気地球物理天文 局

PEZA Philippine Economic Zone Authority フィリピン経済区庁 PNOC Philippine National Oil Company フィリピン国営石油会社 PPA Power Purchase Agreement 電力購買契約

PPA Phillipine Port Authority フィリピン港湾庁 PPP Public Private Partnership 官民連携

PSA Philippine Statistics Authority フィリピン統計庁 PSALM Power Sector Assets and Liability

Management Corporation

電力部門資産債務管理会社

RCOA Retail Competition and Open Access 電力小売競争とオープンアク セス

SDG Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標 SEZ Special Economic Zone 経済特区

SPC Special Purpose Company 特別目的会社 STEP Special Terms for Economic Partnership 本邦技術活用条件

TEU Twenty foot Equivalent Unit 貨物容量を示す単位で、1TEU は 20 フィートコンテナ 1 個分 の容量

TLA Timber License Agreement 森林伐採協定 USAID United States Agency for International

Development

米国国際開発庁

VAT Value Added Tax 付加価値税 VGF Viability Gap Funding 財政補助金

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1

はじめに

フィリピン共和国(以下、「フィリピン」とする)は、海上交通路の要衝に位置し、地政 学上および地域安全保障上重要な国であり、同国の持続的発展は、今後の東アジア地域の安 定と発展に資する。同国の 2015 年の国内総生産(Gross Domestic Products: GDP)成長率は 5.9%と経済面では好調が続くが、先行きについても高成長が期待される。この期待の背景 には、人口の 8 割以上が 50 歳未満と若年人口比率が高く、今後 30 年以上にわたり人口ボ ーナスが続くことが挙げられる。

このような状況下、2016 年 7 月に経済政策としてインフラ整備推進を掲げるロドリゴ・ ドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)大統領による政権が発足した。同大統領は、大統領就任 以前、長期にわたってダバオ市長を務めており、今般の大統領就任を機に、ダバオ市をはじ めとしたミンダナオのインフラ開発促進が期待されている。

ミンダナオについては、これまで長年にわたる紛争の影響で、他地域に比して経済開発が 進んでいなかったが、2014 年にフィリピン政府と「モロ・イスラム解放戦線(Moro Islamic Liberation Front: MILF)」が包括和平に合意し、自治政府発足に向けた和平プロセスに向かい つつあり、インフラ開発の高いポテンシャルを有している。

本事業では、こうしたポテンシャルを有するミンダナオについて調査を実施し、開発を進 める上での具体的な課題を明確化した。さらに、これらの課題に対して、日本企業の持つ技 術・ノウハウが有効であり、我が国の質の高いインフラがフィリピン経済および社会の発展 に貢献し得ることを、フィリピン政府との対話を通じて示した。

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2

第 1 章 ミンダナオに関する基礎情報

1.1 ミンダナオにおける近年の歴史と今後の見通し

1.1.1 フィリピンの基礎情報とミンダナオの位置づけ 1.1.1.1 フィリピンおよびミンダナオの地域分類 フィリピンの国土面積は日本の約 80%である約 30 万㎢であり、7100 余りの島々から構 成される島国である。フィリピン国土は、大きく分けて、マニラ首都圏を含むルソン地方、 セブを含むビサヤ地方、ミンダナオ地方の3つの地方に分けられる。各地方の下には 18 の 行政管区1があり、これら行政管区の下には 81 の州(Province)がある。 図表 1-1 フィリピンの 3 つの地方 (出所)フィリピン共和国在外公館資料より引用 1 その内訳は、15 の「地域(Region)」と呼ばれる行政区に、マニラ首都圏、ムスリム・ミンダナオ自治 区、コルティリエラ行政地域を加えた 18 管区である。

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3 ミンダナオ地方(以下、「ミンダナオ」と記載)はフィリピンの南部に位置しており、6 つ の地域により構成される。また、これら6地域は 26 州に細分化され、うち4州は離島部に 立地する。なお、ミンダナオ最大の島であるミンダナオ島は、ルソン島に次いでフィリピン で 2 番目に大きい島である。 図表 1-2 フィリピンの 3 地方、18 行政管区、81 州の構成 (出所)フィリピン統計庁(PSA)に基づき調査団作成 ミンダナオの中で最も人口が多い地域はダバオ地域である。続いて、北部ミンダナオ地域、 ソクサージュン地域、ムスリム・ミンダナオ自治区(Autonomous Region in Muslim Mindanao: ARMM)、サンボアンガ半島地域、カラガ地域の順に多くなっている。

ミンダナオの地理および行政区分は以下のとおりである。

地方 地域(Region) 州(Province) 地方 地域(Region) 州(Province)

NCR NCR アクラン アパヤオ アンティーケ カリンガ カビス アブラ ギマラス マウンテンプロビンス イロイロ イフガオ ボホール ベンゲット セブ 北イロコス シキホル 南イロコス ビリラン ラウニオン 東サマル パンガシナン レイテ パタネス 北サマル カガヤン サマル イザベラ 南レイテ ヌエヴァ・ヴィスカヤ 東ネグロス キリノ 西ネグロス アウロラ 北サンボアンガ バタアン 南サンボアンガ ブラカン サンボアンガ・シブガイ ヌエヴァ・エシハ 東ミサミス パンパンガ 西ミサミス タルラック カミギン サンバレス 北ラナオ リサール ブキドノン カビテ ダバオ ラグナ 南ダバオ バタンガス コンポステラ・バレー ケソン 東ダバオ 西ミンドロ 南コタバト 東ミンドロ コタバト マリンドゥケ スルタン・クダラット ロンブロン サランガニ パラワン 北アグサン 北カマリネス 南アグサン 南カマリネス 北スリガオ アルバイ 南スリガオ カタンドゥアネス ディナガット・アイランズ マスバテ パシラン ソルソゴン 南ラナオ マギンダナオ スールー タウイタウイ Ⅲ-中部ルソン CAR-コルディリエラ I-イロコス Ⅱ-カガヤンバレー Ⅳ-A カラバルソン XI-ダバオ ミンダナオ ルソン Ⅵ-西ビサヤ Ⅶ-中部ビサヤ Ⅷ-東ビサヤ XVIII-ネグロス島 ビサヤ Ⅸ-サンボアンガ半島 Ⅹ-北部ミンダナオ Ⅳ-B ミマロバ XII-ソクサージェン XIII-カラガ Ⅴ-ビコール ムスリム・ミンダナオ自治区 (ARMM)

(13)

4 図表 1-3 ミンダナオ地方の地理 (出所)調査団作成 図表 1-4 ミンダナオの行政区分 (出所)フィリピン統計庁に基づき調査団作成 地域 州 人口(2015 年) 主要都市(人口) Region IX サンボアンガ半島 地域 ・サンボアンガ・デル・ノルテ州 ・サンボアンガ・デル・スル州 ・サンボアンガ・シブガイ州 3,629,783 人 サンボアンガ市 (861,799 人) Region X 北部ミンダナオ地 域 ・ミサミス・オリエンタル州 ・ミサミス・オクシデンタル州 ・カミギン州 ・ラナオ・デル・ノルテ州 ・ブキドノン州 4,689,302 人 カガヤンデオロ市 (675,950 人) Region XI ダバオ地域 ・コンポステラ・バレー州 ・ダバオ州 ・ダバオ・デル・スル州 ・ダバオ・オリエンタル州 4,893,318 人 ダバオ市 (1,632,991 人) Region XII ソクサージュン地 域 ・南コタバト州 ・コタバト州 ・スルタン・クダラット州 ・サランガニ州 4,545,276 人 ジェネラルサントス市 (594,446 人) コタバト市 (299,438 人) Region XIII カラガ地域 ・アグサン・デル・ノルテ州 ・アグサン・デル・スル州 ・スリガオ・デル・ノルテ州 ・スリガオ・デル・スル州 ・ディナガット・アイランズ州 2,596,709 人 ブトゥアン市 (337,063 人) スリガオ市 (154,137 人) ARMM ムスリム・ミンダ ナオ自治区 ・バシラン州 ・ラナオ・デル・スル州 ・マギンダナオ州 ・スールー州 ・タウィタウィ州 3,781,387 人 ‐ Region IX Region XIII Region XI Region XII Region X ARMM

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5 1.1.1.2 気候 フィリピンは以下の 4 つの気候区分に分けられる。 ・ Ⅰ型:2 つの明確な季節があり、11 月~4 月の乾季と 5 月~10 月の雨季に分けられ る。 ・ Ⅱ型:乾季がなく、11 月~4 月まで非常に顕著な降雨が見られ、年間を通して湿潤で ある。 ・ Ⅲ型:季節は不明瞭で、11 月~4 月は比較的乾季、残りの期間は湿潤である。 ・ Ⅳ型:年間を通して平均的な降雨がある。

フィリピン大気地球物理天文局(Philippine Atmospheric, Geophysical and Astronomical Services Administration: PAGASA)によると、ミンダナオは地域により気候区分が異なる。具 体的には、サンボアンガ半島地域はⅡ型・Ⅲ型・Ⅳ型、北部ミンダナオ地域はⅡ型・Ⅲ型、 ダバオ地域はⅣ型、ソクサージュン地域はⅣ型、カラガ地域はⅡ型、ARMM はⅢ型に分類 される。

図表 1-5 フィリピンの気候区分

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6 例年、6 月~10 月にはフィリピン諸島北半部は頻繁に台風が上陸する。これら北部地域 に比べると、ミンダナオは従来、台風の上陸が少ない地域であったが、近年はダバオ地域 や北部ミンダナオ地域における台風被害が増加している。 1.1.1.3 宗教 外務省の基礎データによると、フィリピン国民の 83%がカトリック、10%がその他のキ リスト教徒であり、イスラム教徒は 5%である。このように、フィリピンでは国民の大半が カトリックであるが、ミンダナオでは人口の 2 割以上がイスラム教徒である。 1.1.1.4 地域別の経済状況 フィリピンの地域別人口構成をみると、ルソンが 56.2%で最も大きく、ミンダナオは全人 口の約 4 分の 1 を占める 24.4%の人口を有している。ミンダナオ内では、各地域 200 万人か ら 400 万人の人口から構成されており、地域ごとの差は他地方と比較して比較的小さい。 図表 1-6 地域別の人口と構成比(2015 年) 地方 地域 人口 2015 年 (千人) 人口構成比 2015 年 フィリピン全国 フィリピン全国 101,562 100.0% 100.0% ルソン地方 マニラ首都圏 12,652 12.5% 56.5% CAR-コルディリエラ 1,784 1.8% I-イロコス 5,136 5.1% II-カガヤンバレー 3,498 3.4% III-中部ルソン 11,099 10.9% IV-A カラバルソン 14,127 13.9% IV-B ミマロバ 3,089 3.0% V-ビコール 6,032 5.9% ビサヤ地方 VI-西ビサヤ 7,704 7.6% 19.4% VII-中部ビサヤ 7,447 7.3% VIII-東ビサヤ 4,537 4.5% ミンダナオ地方 IX-サンボアンガ半島 3,765 3.7% 24.1% X-北部ミンダナオ 4,707 4.6% XI-ダバオ 4,963 4.9% XII-ソクサージェン 4,599 4.5% XIII-カラガ 2,717 2.7% ARMM-ムスリム・ミンダナオ自治区 3,707 3.6% (出所)フィリピン統計局に基づき調査団作成 続いて、各地域の一人当たり GDP を見ると、マニラ首都圏とその他地域との地域格差 が顕著である。ミンダナオ内では、ダバオ地域および北部ミンダナオ地域は比較的高いも

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7 のの、ムスリム・ミンダナオ自治区の一人当たり GDP は著しく低くなっている。 図表 1-7 各地域の一人当たり GDP(2015 年) (出所)フィリピン統計局に基づき調査団作成 1.1.2 ミンダナオにおける近年の歴史 ミンダナオは、2014 年に「包括和平合意」にフィリピン政府とモロ民族解放戦線(Moro National Liberation Front:MNLF)の間で署名されるまで長年の紛争状態にあり、民間企業の 進出が思うように進まず、またインフラなどの整備もルソンやビサヤに遅れをとってきた 歴史がある。

2003 年のハシム副議長死去後に最高指導者となったムラド・イブラヒムは政府との和平 路線をとり、フィリピン政府からの完全な独立は要求しないと公言し、フィリピン南部のイ スラム教住民全体の利益のためとして、経済状況の改善、資源採掘・治安維持権限の移譲な どを要求した。しかし、モロ・イスラム解放戦線(Moro Islamic Liberation Front: MILF)強硬 派の司令官アメリル・ウンブラ・カトは、2011 年に和平交渉に反対して脱退し、独自の武装 組織バンサモロ・イスラム自由戦士(Bangsamoro Islamic Freedom Fighter:BIFF)を率いて 武装闘争を継続している。

2014 年 3 月、ベニグノ・アキノ(Benigno Simeon Cojuangco Aquino III)大統領(当時)、 MILF のムラド議長および和平交渉の仲介役を務めたマレーシアのナジブ首相の立会いの 下で、フィリピン政府と MILF の和平交渉団長によりミンダナオ包括和平合意文書への署名 が行われた。これは、新たな自治政府であるバンサモロ自治政府が 2016 年に発足すること およびその基本的な枠組みを定めるものである。 そうした中、2016 年 7 月には、長期にわたってミンダナオのダバオ市長として活躍した ドゥテルテ大統領政権が発足した。 2,880 8,768 2,881 1,742 1,481 2,343 3,205 1,453 1,025 1,560 2,558 1,307 1,610 2,411 2,498 1,701 1,281 589 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 フィリピン全国 マニラ首都圏 CAR-コルディリエラ I-イロコス Ⅱ-カガヤンバレー Ⅲ-中部ルソン Ⅳ-A カラバルソン Ⅳ-B ミマロバ Ⅴ-ビコール Ⅵ-西ビサヤ Ⅶ-中部ビサヤ Ⅷ-東ビサヤ Ⅸ-サンボアンガ半島 Ⅹ-北部ミンダナオ XI-ダバオ XII-ソクサージェン XIII-カラガ ARMM-ムスリム・ミンダナオ自治区 (単位:ドル) ルソン地方 ビサヤ地方 ミンダナオ地方

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JETRO の 2016 年の報告書によると、ドゥテルテ政権における政策の重点ポイントは以下 の 10 点である2

・ 現行のマクロ経済政策の維持

・ インフラ関連支出の加速:官民連携(Public Private Partnership: PPP)のボトルネッ クを解消し対 GDP 比 5%を目指す ・ 外資誘致と競争力強化のための憲法と法律の見直し ・ 小規模農家支援による農業開発 ・ 土地管理制度の見直し ・ 基礎教育の強化 ・ 税制の見直し(効果的な徴税)

・ 貧困世帯に対する条件付き現金支給プログラム(Conditional Cash Transfer: CCT)の 拡充 ・ 科学技術・芸術の振興 ・ リプロダクティブ・ヘルス法の執行強化 ミンダナオの今後の見通しとして、包括和平合意および経済政策としてインフラ整備推 進を掲げるドゥテルテ政権により、社会経済開発およびインフラ開発は今後進展していく 機運がある。さらに、ドゥテルテ大統領は、南部ミンダナオ島の出身であり、長年にわたっ てダバオ市長を務めた経験があることからも、今後ダバオ市をはじめとしたミンダナオの インフラ開発促進が期待される。 1.1.3 日・フィリピン首脳会談の内容 2016 年のドゥテルテ政権発足以降、2016 年 10 月および 2017 年 1 月の 2 回にわたり日比 首脳会談が実施された。これら 2 回の首脳会談の中で、安倍晋三内閣総理大臣から、ミンダ ナオ支援について多くのことが言及された。 まず、2016 年 10 月のドゥテルテ大統領初訪日にて開催された日比首脳会談では、ミンダ ナオに関連する内容として以下の 5 点につき言及された。 ・ ミンダナオ和平定着に向けて、人材育成、他地域との格差是正に貢献していく。 ・ 「アグリビジネス促進事業」の交換公文の署名を歓迎する。 ・ バンサモロ地域の電力分野の支援を早期に決定したい。 ・ 長期開発計画に基づく国造りを協力したい、マニラ首都圏だけでなく、ダバオほか地 方都市における、電力、運輸交通等のマスタープランを策定する。 ・ 「産業協力イニシアティブ」の発出および ICT 分野の覚書の署名を歓迎する。 また、2017 年 1 月に安倍晋三内閣総理大臣がフィリピンを訪問した際に開催された日比 2 JETRO(2016)「日系企業の進出状況とフィリピンへの投資・ビジネスチャンス」

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首脳会談は、ミンダナオに関連する内容として以下の 5 点につき言及された。

・ ODA および民間投資を含め、今後 5 年間でフィリピンに 1 兆円規模の支援を行う。 この支援のため「経済協力インフラ合同委員会」を設置し、国造りに対する官民を挙 げた協力を実施していく。さらに国家経済開発庁(National Economic And Development Authority: NEDA)に専門家を派遣する。 ・ 経済協力インフラ合同委員会の議論も通じて、ミンダナオの平和と開発に引き続き貢 献する。 ・ 日本の技術と知見を活用してインフラ整備に貢献したい。具体的には、全国高速道路 マスタープラン策定支援を決定した。また、電力分野のアクションプランを 2017 年 3 月までにとりまとめたい。 ・ ダバオ市の都市開発や洪水対策の支援調査の開始を決定した。

バンモサロの灌漑・道路整備調査、電力配電網整備や衛生・教育環境改善支援を近く 決定する。

1.2 貿易、投資動向および産業別セクター動向、ポテンシャルのある産業

1.2.1 ミンダナオの特徴と比較優位性

1.2.1.1 域内総生産(Gross Regional Domestic Product: GRDP)

2015 年のミンダナオの地域別の域内総生産(Gross Regional Domestic Product: GRDP)を 示すと下表のとおりである。ダバオ地域、北部ミンダナオ地域の構成比が高く、これら 2 地 域だけでミンダナオ地方の域内総生産の過半数を占める一方、ムスリム・ミンダナオ自治区 およびカラガ地域の域内総生産の構成比は低く留まっている。 図表 1-8 ミンダナオ域内総生産(GRDP)(2015 年) 地域 名目 GRDP (百万ペソ) (2014) 名目 GRDP (百万ペソ) (2015) GRDP Growth Rate(%) GRDP 構成比 (%) IX‐サンボアンガ半島地域 256,854 275,835 7.4% 14.0% X‐北部ミンダナオ地域 485,625 516,254 6.3% 26.2% XI‐ダバオ地域 518,810 563,793 8.7% 28.6% XII‐ソクサージュン地域 351,031 355,963 1.4% 18.1% XIII‐カラガ地域 153,936 158,380 2.9% 8.0% ARMM‐ムスリム・ミンダナオ自治区 104,773 99,185 -5.3% 5.0% 合計 1,871,029 1,969,410 - 100.0% (出所)フィリピン統計庁に基づき調査団作成 1.2.1.2 産業・業種別構成 2015 年のミンダナオの GRDP の内訳(業種別)を次頁の図に示す。ミンダナオの域内総

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10 生産の内訳では、農業および林業が最も多い。次に、製造業、自動車・二輪車等販売および 修理の順で多い。ミンダナオの産業における特徴として特筆されるのが、バナナ、パイナッ プル、カカオ、コーヒー、コーンなどの農産物の栽培に適した豊かな土壌に恵まれ農業が盛 んなことである。また、パームオイルや天然ゴムなどの主要な工業作物の資源が豊富なこと も特徴として挙げられる。 図表 1-9 ミンダナオの域内総生産(GRDP)の内訳(2015 年) (出所)フィリピン統計庁に基づき調査団作成 なお、上出のミンダナオ島の域内総生産を一次産業(農業、林業、漁業)、二次産業(鉱 工業)、三次産業(サービス業)の別で整理したのが下図である。 図表 1-10 ミンダナオの域内総生産(GRDP)の内訳(2015 年) (出所)フィリピン統計庁(PSA)に基づき調査団作成 27,674,185 57,354,607 70,369,931 73,252,587 100,914,269 132,932,722 137,131,036 165,175,960 178,012,369 278,694,414 326,085,516 421,813,997 鉱業および採石 電気、ガスおよび水道 漁業 公務および防衛、必須社会保障 金融仲介 不動産、賃貸 輸送、倉庫および通信 その他サービス 建設 自動車、二輪車等販売および修理 製造業 農業および林業 (千ペソ)

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11 フィリピン全体の GDP に占める一次産業の割合は 11.3%であるが、ミンダナオでは 25% となっており、ミンダナオでは一次産業の占める割合がフィリピン平均の 2 倍以上となっ ていることがわかる。 (1) 農林水産業 一次産業の中でも特に農林業の占める割合が高いのは前述のとおりであるが、実際に 農産物の生産においてフィリピン全体に占めるミンダナオの割合を品目別に見ても、下 図のとおり全般的に高い傾向がみられる。 図表 1-11 農産物の生産においてフィリピン全体に占めるミンダナオの割合(2013 年) (出所)MinDA まず、天然ゴムの生産においてフィリピン全体に占めるミンダナオの割合は 99.97%と 非常に高い。パーム油(90%)、カカオ(89%)、パイナップル(89%)、バナナ(82%)、 コーヒー(75%)、水産養殖(74%)も 7 割以上と高い割合を占めている。 (2)鉱業 また、GRDP に現在占める割合としては低いものの、農産物に次ぐ主要な輸出品目であ る鉱物の今後の成長も期待される。特にミンダナオには豊富な鉱物資源の埋蔵が見込ま れており、今後は鉱業が大きな産業となる可能性を有している。なお、フィリピンにおけ る生産中の鉱山を示したのが次頁の図である。ミンダナオには、スリガオ近郊のニッケル 鉱山を中心に多くの鉱山が立地していることがわかる。

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図表 1-12 フィリピンにおける生産中の鉱山

(出所)Mines and Geosciences Bureau (2016)

ミンダナオの鉱山から採掘できる鉱石の生産量を示したのが下表である。ミンダナオ では、ニッケル酸化鉱石であるサプロライトやリモナイトおよびニッケルの生産量が多 い一方、金・銀の生産量はそれほど多くないことがわかる。 図表 1-13 ミンダナオで採掘できる鉱石の生産量(2015 年実績) (出所)JOGMEC(2016) 加えて、ミンダナオでは、米企業、比企業および豪州企業により、金・銅を中心に探鉱プ 鉱山名 場所・州 鉱種 生産量 MACO コンポステラ・バレー州 金 銀 1,450kg 7,947kg Taganito スリガオ・デル・ノルテ州 サプロライト リモナイト 2,656,788t 4,369,754t Cagdianao ディナガット・アイランズ州 サプロライト リモナイト 1,212,3881t 880,126t Cagdianao ディナガット・アイランズ州 ニッケル(鉱石中量) 54,483t Agata North スリガオ・デル・ノルテ州 ニッケル(鉱石中量) 14,833t Cantilan スリガオ・デル・スル州 ニッケル(鉱石中量) 19,426t Tubay アグサン・デル・ノルテ州 ニッケル(鉱石中量) 34,130t Dinagat ディナガット・アイランズ州 クロム鉄鉱 3,033dmt

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13 ロジェクトが多数実施されている。これらの鉱山の開発が進めば、ミンダナオの鉱業は今後 いっそう発展する可能性がある。 なお、現在実施されている主な探鉱プロジェクトとしては、以下のようなものがある。 図表 1-14 主な探鉱プロジェクト一覧(2016 年) (出所)JOGMEC(2016) また、ミンダナオには、南コタバトやスリガオ等で豊富な石炭埋蔵量が見込まれており、 今後の発電事業等における国内炭活用に向けた石炭開発も期待されている。 図表 1-15 石炭埋蔵量概要(2016 年) (出所)DOE(2016) プロジェクト 企業(国) 鉱種 場所・州

King King St Augustine Gold and Copper Ltd(米) 銅、金 コンポステラ・バレー州 Tampakan Sagittarius Mines, Inc(比) 銅 南コタバト州

Silangan Philex Mining Corp(比) 銅、金 スリガオ・デル・ノルテ州 Sibutad Philex Mining Corp(比) 銅 ザンボアンガ・デル・ノルテ州 Tambis Medusa Mining Ltd.(豪) 金 スリガオ・デル・ノルテ州 Saugon Medusa Mining Ltd.(豪) 金 スリガオ・デル・ノルテ州 Lingig Medusa Mining Ltd.(豪) 銅 スリガオ・デル・ノルテ州 Kamarangan Medusa Mining Ltd.(豪) 銅 スリガオ・デル・ノルテ州

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14 1.2.1.3 東アセアン成長地域(BIMP-EAGA3 このような産業面での比較優位性に加えて、ミンダナオの比較優位性は、マレーシアおよ びインドネシアと地理的に近い立地にもあると言える。これらの国は、東南アジア諸国連合 (ASEAN)に加盟しながら、東アセアン成長地域(BIMP-EAGA)といったサブリージョナ ルな枠組みでも広域経済協力が進められている。BIMP-EAGA の経済回廊を示すと下図のと おりである。 図表 1-16 BIMP-EAGA の経済回廊 (出所)MinDA(2016) 2016 年 11 月 27 日~29 日には、BIMP-EAGA の高官・閣僚会合がフィリピンで開催され た。ミンダナオ開発庁(Mindanao Development Authority: MinDA)のアロント(Datu Abul Khayr Dangcal Alonto)長官によると、貿易拡大に向けた新メカニズムの構築などがテーマとされ、 運輸分野の持続性強化、貿易・投資の円滑化サービスの強化などが協議された。今後これら の国の結束が強まることで、東アセアン成長地域内における貿易拡大が期待されている。 1.2.2 ミンダナオの貿易・投資動向 ミンダナオの輸出品目は農産物が上位を占めている。バナナ(911 百万ドル)およびコプ ラやパーム核など(773 百万ドル)の輸出額は、ミンダナオの輸出品目全体に対して約 32% を占めている。また、ニッケル鉱石(639 百万ドル)の輸出額もミンダナオの輸出品目全体 に対して約 12%を占めており、主要な輸出品目である。 3 BIMP は、対象国であるブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンの 4 か国の頭文字である。

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15 なお、ミンダナオの輸出入動向(品目別)は、下表のとおりである。 図表 1-17 ミンダナオの輸出入動向(品目別) (出所)MinDA に基づき調査団作成 続いて、ミンダナオの投資動向(産業別)を示すと以下のとおりである。 図表 1-18 ミンダナオの投資動向(産業別)(2011 年~2014 年) (出所)MinDA に基づき調査団作成 図表 1-19 累積海外直接投資額の割合(産業別) (出所)MinDA に基づき調査団作成 34% 30% 15% 13% 5% 2% 1% 電気、ガスおよび水道 鉱業および採石 農業、林業および漁業 不動産 製造業 宿泊、サービス業 運送および倉庫 輸出品目 輸出額 バナナ(調理用バナナ、フレッシュ、またはドライも含む) 911.38 ココナッツ(コプラ)、パーム核、またはババス油 773.81 ニッケル鉱石とニッケル精鉱 639.50 調理魚類または瓶詰め魚;キャビアおよび魚卵から調製したキャビア代替物 614.14 フルーツ、ナッツおよびその他の植物の食用部分 284.26 ナツメヤシ、イチジク、パイナップル、アボカド、グアバ、マンゴー、マンゴスチン (フレッシュまたはドライも含む) 159.02 非環式アルコールおよびそれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘 導体またはニトロソ化誘導体 140.71 オイルケーキおよびその他の個体残留物(粉砕してあるかを問わず、または植物油脂 の抽出に起因するペレットの形態も含む) 124.16 ココナッツ、ブラジルナッツ、カシューナッツ(フレッシュまたはドライも含む) 114.67 委託品ベースで輸入された材料から製造された完成品の輸出 113.49 産業 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 合計 電気、ガスおよび空調 - - 3.64 2,089.70 2093.34 鉱業および採石 63.56 0.07 1,774.82 - 1838.45 農業、林業および漁業 - 62.38 - 880.65 943.03 不動産 393.91 255.07 0 168.22 817.2 製造業 8 0.68 329.46 - 338.14 宿泊、サービス業 - - 38.00 55.28 93.28 運送および倉庫 - 39.14 - - 39.14 (百万ペソ) (百万ドル)

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16 ミンダナオの投資動向を産業別にみると、2011 年から 2014 年の累積海外直接投資額が多 い産業は、電気、ガスおよび空調である。次に、鉱業および採石業、農林水産業、不動産業、 製造業、宿泊・サービス業、運送・倉庫の順で累積海外直接投資額が多い。 鉱業および採石業では、2013 年の投資額が 1,774 百万ペソと突出している。なお、住友金 属鉱山株式会社は、三井物産株式会社およびニッケル・アジア・コーポレーションと共同で スリガオ・デル・ノルテ州タガニート地区においてニッケル製錬プロジェクトを進めており、 2016 年 6 月に HPAL ニッケル製錬プラントが完成した。 一方で、製造業および宿泊・サービス業の累積海外直接投資額は、それぞれ 338.14 百万 ペソ(5%)、93 百万ペソ(1%)と少ない。これらの産業は他の産業と比べると、ミンダナ オにおいてはあまり発展していない。 1.2.3 各地域別の貿易・投資動向 ミンダナオの輸出動向を地域別でみると、ダバオ地域、北部ミンダナオ地域、ソクサージ ュン地域、カラガ地域の順で輸出額が多い。また、輸入動向を地域別でみると、北部ミンダ ナオ地域、ダバオ地域、ソクサージュン地域の順で輸入額が多い。 図表 1-20 ミンダナオの輸出入動向(地域別)(2012 年~2013 年) (出所)MinDA に基づき調査団作成 2013 年の輸出入上位 10 カ国は次表のとおりである。輸出金額が最も多い国は米国であ り、中国、日本が続く。他方、輸入額が最も多い国は台湾であり、中国、米国が続く。 地域 輸出額 輸入額 2012 年 2013 年 2012 年 2013 年 サンボアンガ半島地域 226.56 45.72 27.57 32.8 北部ミンダナオ地域 1,132.98 1,250.42 1,052.90 1,126.72 ダバオ地域 1,516.57 1,988.27 1,096.68 996.51 ソクサージュン地域 913.11 1,186.65 227.89 232.24 カラガ地域 397.08 736.97 18.43 4.76 合計 1.44 0.17 0.98 - (百万ドル)

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17 図表 1-21 輸出入上位 10 カ国(2013 年) (出所)MinDA に基づき調査団作成 また、ミンダナオの投資動向を地域別でみると、2011 年から 2014 年までの累積海外直接 投資額が最も多い地域はブトゥアン市・スリガオ市があるカラガ地域である。続いて、ソク サージュン地域、ダバオ地域、北部ミンダナオ地域、サンボアンガ半島地域の順で海外直接 投資額が多い。 図表 1-22 ミンダナオの投資動向(地域別)(2011 年~2014 年) (出所)MinDA に基づき調査団作成 1.2.4 各地域別の現在の主要産業、今後ポテンシャルのある産業 ミンダナオ各地域の現在の主要産業を次図に示す。 順位 輸出国 輸出金額 輸入国 輸入金額 1 米国 1,113.87 台湾 401.79 2 中国 910.78 中国 336.90 3 日本 895.20 米国 310.68 4 オランダ 361.20 韓国 149.07 5 韓国 299.94 インドネシア 148.21 6 ドイツ 166.23 ベトナム 128.89 7 シンガポール 146.46 日本 126.77 8 マレーシア 137.02 マレーシア 92.92 9 英国 108.06 ニュージーランド 86.27 10 アラブ首長国連邦(UAE) 95.62 シンガポール 84.62 地域(主要都市) 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 合計 サンボアンガ半島地域 (サンボアンガ) 68.78 11.87 ― ― 80.65 北部ミンダナオ地域 (カガヤンデオロ) 0.76 62.67 325.3 301.26 689.99 ダバオ地域 (ダバオ) 325.13 203.57 45.8 270.16 844.66 ソクサージュン地域 (ジェネラルサントス) 8 0.68 ― 986.79 995.47 カラガ地域 (ブトゥアン、スリガオ) 63.56 67.64 1,774.82 1,648.63 3,554.65 (百万ドル) (百万ドル)

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図表 1-23 各地域の主要産業

(出所)MinDA に基づき調査団作成

ミンダナオ一の大都市であるダバオ市を中心としたダバオ地域では、農業・漁業に加えて コールセンターをはじめとする情報技術分野におけるビジネスプロセス・アウトソーシン グ(Information Technology Business Process Outsourcing: IT-BPO)の進出も増加している。

ブトゥアン市・スリガオ市を中心とするカラガ地域は、土壌が農業や林業に適しており、 また降水量も多く農作物の成長が早いことから、農業、水産養殖、林業が主要な産業である。 また、スリガオ市周辺には鉱山が多く立地しており、鉱業が盛んである。 ジェネラルサントス市を中心とするソクサージュン地域は、金や銅の鉱山があり、大きな ポテンシャルを有しているが、現在のところは新しい鉱山の開発が難しい状況にある。また、 ソクサージュン地方の主要都市であるジェネラルサントス市は、漁港を有し、ツナ缶製造企 業も進出するなど、漁業および水産加工業が主要な産業である。 カガヤンデオロ市を中心とする北部ミンダナオ地域は、教育に力を入れていることもあ り、ダバオ同様にコールセンターを始めとする IT-BPO が主要産業として育ちつつある。 サンボアンガ半島地域およびムスリム・ミンダナオ自治区は、豊富な天然ゴムの産地であ り、農業および天然ゴムに関連した製造業が主要な産業である。 このように、ミンダナオでは農業が主要産業となっており、農産物に付加価値をつける農 産物加工分野の産業を育成することは、当地域の輸出産業育成による経済発展の観点から も有望であると考えられる。 カラガ地域 ・農業、狩猟、林業 ・漁業 ・宿泊、飲食 ・個人世帯における就労者 ・運輸、倉庫、通信 ダバオ地域 ・農業、狩猟、林業 ・漁業 ・公務、防衛 ・教育 ・宿泊、飲食 ソクサージュン地域 ・漁業 ・建設 ・宿泊、飲食 ・公務、防衛 ・教育 サンボアンガ半島地域 ・宿泊、飲食 ・製造 ・その他のサービス ・運輸、倉庫、通信 ・個人世帯における就労者 北部ミンダナオ地域 ・健康、社会福祉事業 ・農業、狩猟、林業 ・建設 ・運輸、倉庫、通信 ・製造 ムスリム・ミンダナオ自治区 ・卸売業、小売業 ・教育 ・製造 ・建設 ・公務、防衛

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1.3 ポテンシャルのある産業分野の関連企業および想定されるインフラニーズ

1.3.1 ポテンシャルのある産業分野の企業群(進出可能性のある企業セクター) ミンダナオでポテンシャルのある産業分野としては、前節にて示したとおり、一次産業で ある農林業・漁業および農産加工産業が挙げられる。具体的な事業内容としては、ドライフ ルーツ加工、水産加工などが考えられる。農産加工業以外には、前節に示したとおり、鉱業、 製造業、IT-BPO 等がポテンシャルのある産業として今後成長が期待される。これらのポテ ンシャルのある産業において、ミンダナオで既に活動している外資企業の例を次表に示す。 図表 1-24 ポテンシャルのある産業分野に関連する既進出外資系企業(例) 産業(業種) 企業名 農業・農産加工業 水産加工業

・Sumifru (Philippine) Corporation ・Dole Philippines, Inc.

・Fresh Del Monte Produce Incorporated

・Nissey Delica Corporation 等

鉱業

・住友金属鉱山株式会社

・St Augustine Gold and Copper Ltd(金、銅) ・Medusa Mining Ltd.(金、銅) 等

製造業

・Davao Central Chemical Corporation(活性炭) ・Philippine-Japan Active Carbon Corporation(活性炭) ・Nakayama Technology Corporation(建材) 等 BPO

(コールセンター)

・Teleperformance

・Sutherland Global Services

・Convergys 等 (出所)各種情報に基づき調査団作成 1.3.2 上記進出可能性のある分野の企業に必要とされるインフラニーズ 企業の進出にあたって必要とされるインフラニーズは業種により異なる傾向があるが、 一般的には基礎インフラとしての電力・水が挙げられることが多い。他方で、製造業や鉱業 の進出に際しては、物流網としての道路・港湾の整備が重要である。特に島国のフィリピン では、輸出に加えて国内他地域との物流網として、道路に加えて港湾の役割が大きい。 このような一般的に必要とされるインフラニーズについて、企業ヒアリング等に基づき 業種別に整理すると次表のとおりである。 図表 1-25 業種別に必要とされるインフラニーズ 産業 必要インフラ 農林業・漁業 電力、水、道路、港湾 農産加工業 電力、水、道路、港湾 鉱業 電力、道路、港湾 IT-BPO(コールセンター) 電力、通信 (出所)企業ヒアリング等に基づき調査団作成

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1.4 日系企業の進出動向と今後の進出可能性の高い地域・都市

1.4.1 日系企業の進出動向 外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2016 年時点でフィリピンに進出している日 系企業の総数は 1,448 社である。このうち、ミンダナオに進出している日系企業総数は 33 社である。業種別にみると、農業・林業 2 社、漁業 5 社、鉱業・採石業 3 社、建設業 1 社、 製造業 11 社、電気・ガス・熱供給・水道業 3 社、運輸業・郵便業 2 社、卸売業・小売業 2 社、その他 1 社である。進出地域別にみると、南ダバオ州 16 社、東ミサミス州 4 社、南コ タバト州 4 社、北スリガオ州 2 社、北アグサン州 2 社、南サンボアンガ州 2 社、ブキドノン 州 1 社、北ラナオ州 1 社、南スリガオ州 1 社である。 主な日系企業の地域別の進出状況は下表のとおりである。 図表 1-26 主な日系企業の進出状況(2016 年時点) 地域 主な進出企業名

ダバオ地域 ・Dole Philippines, Inc.(バナナ)

・Sumifru (Philippines) Corporation(バナナ) ・Diamond Star Agro Products, Inc.(青果)

・Nakashin Davao International Inc.(冷凍果物加工) ・Davao Central Chemical Corporation(活性炭) ・Nakayama Technology Corporation (建材) ・Creative Connections & Commons, Inc.(IT) ・Japan Philippine Volunteer Association Inc.(教育) 北部ミンダナオ地域 ・Nissey Delica Corporation(農業)

・Philippine Sinter Corporation(鉄) ・Pilipinas Kao, Inc.(化学品) カラガ地域 ・住友金属鉱山株式会社(鉱業)

ソクサージュン地域 ・Tenpoint Manufacturing Corporation(水産) (出所)企業ヒアリング等に基づき調査団作成 1.4.2 日系企業の進出可能性の高い地域・都市 日系企業がミンダナオ島に進出を検討する際には安全情報の確認が重視されており、特 に外務省の危険情報を判断材料としている旨、ヒアリングを実施したすべての企業より指 摘された。具体的には、外務省の危険情報がレベル1以下の都市は訪問・進出可能とする企 業が多い一方、レベル 2 の都市での活動が可能である企業は少数であり、レベル3の都市で の活動が可能な企業は、本調査でヒアリングを実施した先においては確認できなかった。 また、実際に日系企業が進出することを考えると、市場へのアクセス、雇用確保、駐在環 境等の面から、ある程度の大都市が希望されることが多い4 そこで、日系企業の進出可能性の高い地域を検討するにあたって、以上2つの観点、すな 4 例えばダバオ市に進出している日系企業からは、同市に進出した理由として、外務省の危険情報がレベ ル 1 であること、土地が豊富で安いこと、港が近くにあること、英語を話せる人材が多いこと、働き手 も比較的多いことが挙げられた。

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21 わち、外務省の危険情報がレベル 2 以下の都市であり、かつ空港のある主要都市であるミン ダナオ島の都市の確認を行った。その結果、ダバオ市、カガヤンデオロ市、ジェネラルサン トス市、ブトゥアン市、スリガオ市の 5 都市が抽出された。なお、これらの 5 都市は、輸 出・投資額でも上位を占める地域に所属しており、経済活動も活発である。 図表 1-27 日系企業の進出可能性の高い都市 (出所)日本国外務省資料に基づき調査団作成 1.4.3 日系企業進出のための課題 1.4.3.1 フィリピン進出における課題 (1)電気料金の高さ フィリピンの電力料金はアジアでも最も高い水準にあり、進出企業のコスト高の一因 となっている。また、電力供給が不安定な場合があることから、工場で自家発電設備が必 要とされるケースが多く、投資効率を押し下げる傾向がある。 【スリガオ市】 人口:154,137人(2015) 面積:245.34km2 人口密度:628.2人/km2 主な産業:鉱業、農業、漁業 平均世帯収入:126,000PHP/年 主な宗教:カトリック教(79%) 【ブトゥアン市】 人口:337,063人(2015) 面積:817.28km2 人口密度:412.4人/km2 主な産業:農業、漁業(エビ、ミルクフィッ シュ)、林業(木材加工) 平均世帯収入:126,000PHP/年 主な宗教:カトリック教(79%) 【ダバオ市】 人口:1,632,991人(2015) 面積:2,444km2 人口密度:668.1人/km2 主な産業:農業関連産業及び工業、 情報技術産業 平均世帯収入:143,000PHP/年 主な宗教:カトリック教 【カガヤンデオロ市】 人口:675,950人(2015) 面積:488.86km2 人口密度:1382.7人/km2 主な産業:教育 平均世帯収入:137,000PHP/年 【イリガン市】 人口:342,618人(2015) 面積:775.76km2 人口密度:441.6人/km2 主な産業:工業 平均世帯収入:137,000PHP/年 【ザンボアンガ市】 人口:861,799人(2015) 面積:1,483.38km2 人口密度:580.9人/km2 主な産業:農業、漁業 平均世帯収入:119,000PHP/年 【コタバト市】 人口:299,438人(2015) 面積:176.0km2 人口密度:1,701.3人/km2 主な産業:稲作、農業 平均世帯収入:119,000PHP/年 【ジェネラルサントス市】 人口:594,446人(2015) 面積:492.86km2 人口密度:1,206.1人/km2 主な産業:農業、漁業 平均世帯収入:119,000PHP/年

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22 図表 1-28 電気料金の国際比較(指数)(2015 年) (出所)JETRO の統計を基に調査団作成 注:2015 年のフィリピンの値を 1 として相対化している。 (2) 脆弱な物流インフラ マニラ市内を始めとする大都市における慢性的な交通渋滞、道路舗装率の低さ等、全 般的に物流インフラが脆弱であると言われている。特に、フィリピンの貿易伸長に伴い、 マニラ港を始めとする港湾の処理能力不足が大きな問題となっており、港での滞留貨 物が発生している(最大1か月程度の遅延)。このため、進出製造業企業には、生産ス ケジュール遅延、販売在庫不足等の悪影響を与えており、日系企業の生産拠点としての フィリピンのボトルネックになっていると言われている。 (3) 現地調達率の低さ フィリピンは、アジア他国と比較すると製造業の裾野産業の発達が進んでおらず、日 系企業が部品調達できるようなサプライヤーが不足しているケースが多い。そのため、 材料を輸入に頼らざるを得ないことから、原価の割合が高い業種の場合はコスト面の メリットがそれほど多くは享受できない可能性がある。JETRO の最近の調査によると、 フィリピンの現地調達率は 31.6%に留まっており、ASEAN で最も低い国の一つである 5 5 JETRO「2016 年アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」

Index(Price/GDP per Capita PPP) As of 2015 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 Se o u l Be iji n g Sh a n g h a i G u a n g z h o u Sin ga po re Ba n g k o k Ku a la L u m p u r J a k a rta Ba ta m I s la n d M a n ila Ceb u Han o i Ho Chi M in h Da Nan g Ya n g o n Vi e n ti a n e New De lh i Ka ra c h i Col o m b o M u m b a i Dha k a Yo k o h a m a

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図表 1-29 原材料・部品の現地調達率の比較(2016 年)

(出所)JETRO(2016)

(4) VAT 還付に係る問題

フィリピンでは、付加価値税(Value Added Tax: VAT)の還付に関して、アウトプット VAT 額(企業が物品やサービスを購入した際に支払った VAT の金額)がインプット VAT 額(顧客に物品やサービスを販売した際に課した付加価値税の金額)を上回った場合、 差額の還付を受けることができることとなっている。特に輸出企業では、顧客への販売 時に VAT を課さないことから還付対象となる VAT 金額が大きくなる傾向があるが、 VAT 還付には数年を要しており、輸出志向型製造業が多いフィリピンにおいて重要な 懸案事項の一つとなっている。 (5) 撤退困難 フィリピンは国際的に見て企業の清算・破産処理がしにくい国であると言われてい る。特にフィリピンにおいて会社を清算する場合の手続きで最も時間がかかるのが過 去3年分の税務監査への対応であり、撤退手続完了までには平均2年、最長で3年かか るとも言われている。 (6) 人材 人材に関しては、英語人材が豊富な一方で日本語人材の確保・育成は困難であると言 われている。また、他のアジア諸国同様に、時間・納期・品質に関する一般的なフィリ

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24 ピン人の意識は日本人とは大きな差がある点にも留意が必要である。 1.4.3.2 ミンダナオ進出における課題 日系企業がフィリピンに進出する際には前項にて記載したような課題に直面することが 多いが、これらの課題には、ミンダナオに進出する際にも基本的には共通課題として直面す ることが多い6。他方、ミンダナオ進出にあたっては、安全面を始めとして、ルソン・ビサ ヤへの進出とは異なる独特の課題が存在している。これらのミンダナオ特有の課題を整理 すると以下のとおりである。 (1) 安全面への懸念 ミンダナオでは、外務省の危険情報のレベル2以上の地域が大半を占めており、レベル 1の地域はダバオ、カガヤンデオロ、ジェネラルサントス等の一部の大都市に限られてい る。多くの日系企業では、外務省の危険情報でレベル2以上の地域には進出することが難 しいため、ダバオやカガヤンデオロ等のレベル1の限られた都市に進出企業が集中して いる。例えば、日系企業のヒアリングにより、以下のようなコメントが聞かれた。 ・ レベル 2 の地域への出張申請は本社の承認が下りない。 ・ レベル 2 の地域に出張する場合は宿泊が禁止されており日帰りで出張せざるを得な い。 ・ レベル 1 以外の地域での陸路移動は会社の規定により禁止されているため、空路で 移動せざるを得ない。 ・ インフラ案件のうち、道路・鉄道などの長物になると、安全確保が難しくなるため社 内決裁を取るのが難しいだろう。他方、港湾や空港等、限られた範囲内で施工を行う 案件であれば対応可能性は高くなるだろう。 このように、ミンダナオでは、安全面が企業の進出にあたっての大きなボトルネックと なっている。日系企業の進出を加速するためにも、このような状況の一刻も早い改善が求 められるところである。 (2) 脆弱な通信インフラ ミンダナオでサービスを提供している大手通信会社は、Globe Telecom 社と PLDT 社の 2 社のみであり、通信回線が遅く不安定なため、電話およびインターネットが切断される ことが多い。また、市内全体でインターネットが半日から 1 日使えなくなることもある。 ダバオ、カガヤンデオロ等の大都市を中心として、最近はミンダナオにもコールセンター 6 ただし、道路交通状況はマニラに比べるとミンダナオの大都市のほうが相対的によく、また港湾の混雑 状況もマニラほどではない。電気料金も、ルソン・ビサヤに比べるとミンダナオは平均値は相対的に安 い等、ミンダナオのほうが他地方よりも状況がよい事項もある。

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を始めとする IT-BPO 分野の企業が進出する動きが増加しつつあり、今後はいっそう通信 インフラが重要になることが想定される。このため、今後の IT-BPO 産業振興に向けて、 通信インフラの増強はミンダナオにおいて今後ますます重要になるだろう。

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第 2 章 ミンダナオにおけるインフラ整備状況および今後の計画

2.1 ミンダナオのインフラ整備計画およびその整備状況

2.1.1 関連する計画の全体像および計画一覧 2.1.1.1 全体像 ここでは、フィリピンおよびミンダナオ各地域のインフラ整備に関連する計画につき概 観する。ミンダナオ島のインフラ事業に携わるうえで関係してくる計画として、中央の NEDA の策定する「フィリピン国家開発五カ年計画(Philippine Development Plan)7、NEDA

の各地域事務所の策定する「地域開発計画(Regional Development Plan: RDP)」に加えて、 MinDA の策定する網羅的な地域開発計画である「ミンダナオ平和・開発フレームワークプ ラン(MINDANAO 2020 : Peace and Development Framework Plan 2011-2030)」(以下「ミンダ ナオ 2020」と称する)の 3 種類の計画が挙げられる。 次図は、国家開発五カ年計画(2017-2022)に基づき、ミンダナオのインフラ整備に関連 する計画の関係図を整理したものである。 図表 2-1 ミンダナオのインフラ整備に関連する計画の関係図 (出所)各地域 NEDA 事務所ホームページ等に基づき調査団作成 7 本節に記載する内容は、本報告書作成時点(2017 年 1 月)の最新情報に基づいている。

Philippine Development Plan 2011-2016

(フィリピン全体の開発計画)

(ミンダナオ島全体の開発計画)

【Region XIII】

Revised Caraga Regional Development Plan 2013-2016 【Region X】

Northern Mindanao Regional Development Plan Midterm Update 2013-2016

【Region XII】

Updated Soccsksargen Regional Development Plan 2013-2016 【Region XI】

Davao Regional Development Plan 2014-2016 Update

(ミンダナオ島内の各地域開発計画)

【Region IX】

Zamboanga Peninsula Regional Development Plan 2014-2016 【ARMM】

ARMM Regional Development Plan 2011-2016 Mindanao 2020 Peace and Development

図表 1-5  フィリピンの気候区分
図表 1-12  フィリピンにおける生産中の鉱山
図表 1-23  各地域の主要産業
図表 1-29  原材料・部品の現地調達率の比較(2016 年)
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