• 検索結果がありません。

日本の安全目標

ドキュメント内 表紙 (ページ 166-170)

Frequency dose targets for accidents on an individual facility – any person off the site Target 8 The targets for the total predicted frequencies of accidents on an individual facility,

6.3.3  日本の安全目標

 平成15年12月、原子力安全委員会安全目標専門部会は「安全目標に関する調査審議状況の 中間とりまとめ」(以下、中間とりまとめ)で、我が国の原子力安全規制活動によって達成し得る原 子力利用活動によるリスクの抑制水準として安全目標を提案した。

 「中間とりまとめ」では、安全目標は、原子力安全規制活動の下で事業者が達成すべき、事故 による危険性(リスク)の抑制水準を示す定性的目標と、その具体的水準を示す定量的目標の 案が、以下のように示されている:

(1)定性的目標案

 原子力利用活動に伴って放射線の放射や放射性物質の放散により公衆の健康被害が発生す る可能性は、公衆の日常生活に伴う健康リスクを有意には増加させない水準にされるべきであ る。

(2)定量的目標案

 原子力施設の事故に起因する放射線被曝による、施設の敷地境界付近の公衆の個人の平均 急性死亡リスクは、年あたり百万分の1程度を超えないように抑制されるべきである。

また、原子力施設の事故に起因する放射線被曝によって生じ得るがんによる、施設からある範囲 の距離にある公衆の個人の平均死亡リスクは、年あたり百万分の1程度を超えないように抑制さ れるべきである。

 また、同時に、定量的目標が主として原子力施設の安全確保活動の深さと広さを決めるために 用いられることから、原子力施設の種類毎に、その施設に固有の重大な事故事象を選び、定量的 目標に適合する事故事象の発生確率を性能目標として策定することを検討するものとしている。

 中間とりまとめでは、安全目標として定性的目標案と定量的目標案が示されたが、提案された 定量的目標案に対し、原子力施設が安全目標に適合していることの判断のめやすとなる水準と して、施設に対する性能目標を検討し示しておくことが合理的であるとした。

6.4 まとめ

 多くの国で公衆に大きなリスクを追加しないという観点で安全目標が提示されている。それ は、個人の死亡リスクで見た場合、1%あるいは0.1%の追加の程度であり、これは事故のリスクだ けでなく、従事者の被ばく、平常時の排出による公衆の被ばくも含まれる。多くの安全目標は個 人に関する影響がベースであるが、もちろん、チェルノブイリ事故や福島事故に見られるように、よ り広範な影響、例えば土地汚染や食品汚染のような観点の重要性も認識されている。そのため、

新設炉に対しては、放射性物質の環境への放出を制限する目標が提案されている。

【参考文献】

IAEA(2006). Fundamental safety principles : safety fundamentals, SF-1, International Atomic Energy Agency,  2006.

IAEA(1999). BASIC SAFETY PRINCIPLES FOR NUCLEAR POWER PLANTS, 75-INSAG-3 Rev. 1,  INSAG-12, A report by the International Nuclear Safety Advisory Group, International Atomic Energy Agency,  1999.

NEA(2009). Probabilistic Risk Criteria and Safety Goals, NEA/CSNI/R(2009)16.

NRC 1986. Safety Goals for the Operations of Nuclear Power Plants, August  1986.http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/commission/policy/51fr30028.pdf

HSE (2006). Safety Assessment Principles for Nuclear Facilities 2006 Edition, Revision 1, Redgrave Court,  Bootle, Merseyside, L20 7HS, 2006.

あとがき

 2011年3月11日の東日本大震災の発生により、福島第一原子力発電所が、地震とその後の大津 波により結果的に3基の運転中プラントの炉心損傷事故と3基の原子炉建屋の水素爆発による 崩壊、そしてそれに伴う大量の放射性物質の環境中への放出という大事故となった。付近の住民 の避難がなされたが、3年経過した現在でもまだ多くの住民の帰宅ができない状態である。

 原子力プラントは、事故の発生防止、そして万一事故が発生しても放射性物質の環境中への放 出を最小限に留めるよう開発当初より多くの努力が払われてきた。しかし自然は大変厳しく、また 容赦なく弱点を突いてくる。発電所従業員の厳しい状況下での必死の努力にも関わらず、このよ うな大きな事故となった。

 本書は、この事故からの教訓を引き出し、今後の原子力の安全確保策を一層充実させるため の方策を考える上での資料となるよう多くの情報をまとめた。第1章では、軽水炉の開発とその際 の安全確保策の進展を歴史的に振り返った。軽水炉は米国が開発し、日本はその導入からス タートした。安全確保策も多くは米国から学んだが、日本が積極的に努力したものもある。その 後科学技術が高度に進展したが、日本はそれに対応して技術力を高め世界をリードする程に なった。さらにソ連の崩壊を契機にグローバリゼーションが進み、世界的視野で物事を考える必 要が出てきた。一方情報化社会が進んだが日本ではこれに対応ができず、ジャーナリズム等が発 するその時々の問題にとらわれ、原子力のような本質的に常に深く安全確保を考えることがおろ そかになって、世界の潮流から外れてガラパゴス化が進むと共に、失われた10年から20年が過ぎ た。第1章ではこの失われた20年に至る前の経緯を中心に記した。

 第2章は福島原子力事故について詳細に記した。他の発電所の成功事例を含めた現状をまと めたもので、今後の原子力の安全確保における課題を考える上で良い資料として活用が期待され る。第3章は事故に伴う放射性物質の放出と沈着挙動、及び防災対策について記した。放射性 物質の放出沈着についてはチェルノブイリ事故との比較も含め、また防災対策では今回の事故で の実施状況と共に今後の課題について記した。

 第4章は原子力のリスク評価であり、約10年前の「原子力とそのリスク」以降の国内外のリスク 評価の現状について記した。第5章は自然災害と多数基立地等の複合事象のリスクについて、原 子力安全基盤機構での約10年の検討を中心に東日本大震災の事故の状況調査を加えて記した が、今後の対策への参考となると考える。

 第6章は、原子力の安全確保のための安全目標につき、国内外の状況をまとめた。

本書が今後の原子力の安全確保対策に有効に活用されることを期待する。

── NSA  COMMENTARIES ──

原子力システム研究懇話会 編著

「原子力と環境」(1750 円)〔品切れ〕

「原子力と先端技術〔Ⅰ〕」(1750 円)

   ①材料関連    ②バイオ関連

「原子力と先端技術〔Ⅱ〕」(1950 円)

   ①原子力への先端的計算機技術の応用    ②核融合技術開発の最前線

「原子力と先端技術〔Ⅲ〕」(1950 円)〔残部僅少〕

   ①放射線利用による新材料開発    ②レーザー応用

「原子力と先端技術〔Ⅳ〕」(1950 円)

 ○原子力におけるロボット技術の動向

「原子力と先端技術〔Ⅴ〕」(2160 円)

 ○加速器の現状と将来

「中性子科学」(2160 円)

「放射線利用における最近の進歩」(2160 円)

「原子力利用の経済規模」(2160 円)

「原子力による水素エネルギー」(2160 円)

「放射線と先端医療技術」(2160 円)

「原子力とそのリスク」(2160 円)

「原子力施設からの放射性廃棄物の管理」(2160 円)

「軽水炉技術の改良と高度化」(2160 円)

「原子力による運輸用エネルギー」(2160 円)

「原子力と地球環境」(2160 円)

「原子力国際人材育成の必要性と戦略」(1080 円)

「原子力開発の光と陰を見つめて」(2160 円)

「対談集:原子力の利用」(2160 円)

「核燃料サイクルと高速炉開発」(2160 円)

No. 1 No. 2

No. 3

No. 4

No. 5 No. 6

No. 7 No. 8 No. 9 No.10 No.11 No.12 No.13 No.14 No.15 No.16 No.17 No.18 No.19 No.20

平成 5 年 6 月 23 日発行 平成 6 年 6 月 20 日発行

平成 7 年 6 月 21 日発行

平成 8 年 6 月 18 日発行

平成 9 年 6 月 18 日発行 平成 10 年 6 月 29 日発行

平成 11 年 6 月 29 日発行 平成 12 年 6 月 27 日発行 平成 13 年 6 月 26 日発行 平成 14 年 6 月 18 日発行 平成 15 年 6 月 23 日発行 平成 16 年 6 月 21 日発行 平成 17 年 6 月 21 日発行 平成 18 年 6 月 20 日発行 平成 19 年 6 月 19 日発行 平成 20 年 6 月 17 日発行 平成 21 年 12 月 1 日発行 平成 22 年 6 月 15 日発行 平成 23 年 9 月 30 日発行 平成 25 年 3 月 29 日発行 別冊シリーズ

「原子力のリスクと安全の確保」内藤奎爾著(1500 円)〔品切れ〕

No. 1 

平成 18 年 12 月 19 日発行

ドキュメント内 表紙 (ページ 166-170)