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地震・津波後の各施設の状況と回復措置

ドキュメント内 表紙 (ページ 65-72)

第2章  福島原子力発電所の事故の状況と課題

2.3  東日本の原子力発電所を襲った地震・津波および被災の比較  (7)

2.3.3  地震・津波後の各施設の状況と回復措置

ることが必要であることを示している。

3)東海第二発電所

 東海第二では,設置許可申請時の想定津波高さはH.P.(日立港工事用基準面)2.35mであっ たが,その後,2002年の土木学会の手法,2007年の茨城県の防災用津波想定を反映して,津波 対策を強化してきた。茨城県の評価については,土木学会手法に比べ想定高さが高かったこと から,反映すべきか検討し,それを耐震バックチェックの新知見として取り込んだ。

 津波による影響としては,北側海水ポンプ室の浸水により,非常用ディーゼル発電機(D/G)用 海水ポンプ1基が自動停止し,非常用ディーゼル発電機(D/G)-2Cを手動停止することとなっ た。また,残留熱除去系(RHR)も1系列が機能停止した。一方で,南側エリアに浸水はなく,結 果として,外部電源喪失後の自動起動には成功したが,3台中1基の非常用ディーゼル発電機

(D/G)が機能喪失することになった。このように北側と南側の非常用海水ポンプ室で異なる結果と なったのは,同発電所ではちょうど,上述茨城県の津波評価を受けたポンプ室側壁の嵩上げ工 事を行っていたのであるが,南側では工事が完了していたのに対し,北側では工事の途中であっ て,壁貫通部の封水工事が未完了で,そこから浸水したためである。東海第二では,継続的改善 がぎりぎり間に合って大事を防いだと言える。

4)津波とそれによる影響のまとめ

 2000年を過ぎようやく津波の評価技術が確立され、設計津波の算定がなされるようになっ た。しかし、これまでの設計津波高さの設定では複数波源からの波の重なり合いなど、津波評 価の不確実さには十分に考慮するまでには至らなかった。

 また,東北地方太平洋沖地震により生じた津波に対して主要敷地高さが高かった原子力発電 所においても,女川では潮位計部から,東海第二では壁の貫通部からの浸水の事例があった。

 津波に対しては,防潮堤や水密扉の重要性は既に広く認識されているが,開口部から浸水する こともあり,東北地方太平洋沖地震の経験も踏まえ,どうすれば浸水を完全に防げるのか,その 影響を最小限に抑制することができるのかは,今後も検討すべき課題と言える。自然災害への 対応の重要性が認識されたと同時に、津波のように突然、すべての機能が喪失する クリフエッ ジ があり、その対応が重要である。

表2.3.3 福島,女川,東海の各プラントにおける地震・津波による設備被害状況

(一部被害設備は「健全な数/全数」で表示)

※1:福島第二,女川,東海第二では1日〜数日で外部電源の一部が復旧。福島第二の66kVの1回線は点検停止中。

※2:1,4号機の1/2,5号機はD/G本体の被水ではない(間接的要因(補機冷却系,M/C等関連機器水没)による喪失),2,4,6号機 B系は空冷

※3:1号では原子炉建屋付属棟のDG送風機給気口等から浸水しD/Gの送風機を通じてD/Gに到達,2〜4号では原子炉建屋付属 棟への浸水は殆どなし(間接的要因(補機冷却系,M/C等関連機器の水没)による喪失)

※4:A系は健全,海水ポンプ室内開口部(潮位計)からの浸水による原子炉補機冷却水B系ポンプ及びHPCS補機冷却水系ポンプ喪

※5:海水ポンプ室への浸水によりD/G用海水ポンプ2Cが自動停止,D/G-2Cを手動停止

※6:海水系統の機能喪失(補機冷却水系ポンプの機能喪失を含む)

海水ポンプ設置場所:福島第二は湾岸部熱交換器建屋内(大物搬入口等から浸水(3号機南側建屋を除く)),女川は敷地高さ から掘ってピット化した海水ポンプ室(配管,ケーブル洞道経由で原子炉建屋付属棟(非管理区域)内に浸水),東海第二は湾岸 部の側壁を津波対策で嵩上げした海水ポンプ室(一部工事未完の壁貫通部より浸水)に設置

1)福島第一原子力発電所

 福島第一では,1〜3号機は出力運転中,4〜6号機は停止中で,全号機で,地震動によって外部 電源が全喪失,6号機では空冷ディーゼル発電機(D/G)が生き残ったが,1〜5号機では津波に より全ディーゼル発電機(D/G)が機能喪失,1号機及び2号機では,津波によって全直流電源が 喪失,という厳しい状況にさらされ,以下のような状況に至った。

 1号機では,交流電源の喪失よりも直流電源の喪失の方がわずかに早かったため,非常用復水 器(IC)は,直流電源が喪失して非常用復水器(IC)インターロックの破断検知機能が喪失し た。その結果,フェイルセーフ機能が働き,残っていた交流の駆動用電源により非常用復水器

(IC)接続配管の格納容器(PCV)隔離弁が閉止し,原子炉圧力低下,原子炉水位維持に寄与し得 る非常用復水器(IC)の機能を喪失した。このような直流電源だけが喪失して駆動用交流電源 が残る状況は,従来想定されていなかった。直流電源がなくなってプラントパラメータが失われ た状態下において,運転員は,電源が全部なくなった状況でも弁がその前の状態を維持している と考えたのか,非常用復水器(IC)隔離弁の閉止に気づかなかった。結果として,早いタイミング で炉心損傷に至った。また,損傷した炉心から発生した水素の格納容器(PCV)からの漏えいに 起因して,原子炉建屋では水素爆発が発生した。

 2号機では,原子炉隔離時冷却系(RCIC)を手動で起動して水位が回復したら停止する操作 をしており,津波が来るタイミングとほぼ同時期には再起動を行っていた。1号機と同様に,2号機 でも直流電源の喪失でプラントパラメータは失われた。ただし,直流電源が喪失しても原子炉隔 離時冷却系(RCIC)の弁は開いたままであった。また,原子炉隔離時冷却系(RCIC)はその後 直流電源なしで二相流により駆動し続け,約3日間注水に寄与し,炉心を冷却した。これは事前 には予期されていなかったことである。しかし,隣接3号機での水素爆発等の影響もあって逃し 安全弁(SRV)動作が不安定になり消防車による注水が十分でなかったこと,格納容器(PCV)

ベントが実施できなかったこと等により,この間に実施を試みたアクシデントマネジメント(AM)

が成功せず,炉心損傷に至った。このことは,津波来襲直前に原子炉隔離時冷却系(RCIC)の 再起動をかけていなかったら,より早いタイミングで炉心損傷に至っていたと考えられる。なお,

2号機では原子炉建屋での水素爆発は起きていない。これは,1号機の水素爆発による振動で 偶然にも原子炉建屋のブローアウトパネルが開いて,水素が滞留しなかったためと推定されてい る。

 3号機では,直流電源が生きていたため原子炉隔離時冷却系(RCIC)及び高圧注水系

(HPCI)により約2日間の炉心冷却がなされた。しかし,その後直流電源も枯渇し,結果として2号機 より早いタイミングで炉心損傷に至った。また,損傷した炉心から発生した水素の格納容器

(PCV)からの漏えいに起因して,3号機でも原子炉建屋の水素爆発が起きている。

 4号機については,定期検査中で炉心に燃料がなかった。一方,使用済み燃料プール(SFP)の 使用済燃料は,定期検査終了後の全燃料取り出し状態であり熱的にも厳しく,冷却機能及び補

給水機能の喪失が懸念された。しかし,燃料が露出するのが3月下旬と推定されていたように実 際は冷却が間に合わなくなることはなかった。4号機でも原子炉建屋の水素爆発が起きており,

当初は使用済み燃料プール(SFP)での燃料溶融が疑われたが,その後の分析でこれは3号機の 水素が流入した結果と考えられている。

 5号機は停止中,それも起動直前の状態で燃料が取替え済みであり,6号機はトラブルで長期停 止していたため,崩壊熱が小さかった。即ち,両機とも1〜3号機に比べればはるかに時間余裕が あったことになる。5号機では全ディーゼル発電機(D/G)が喪失したが,6号機の空冷ディーゼ ル発電機(D/G)が生き残ったため,アクシデントマネジメント(AM)として整備されていた電源 融通によって5号機にも交流電源を送ることができた。直流電源はいずれも健全であった。3月13 日にはこれもアクシデントマネジメント(AM)である復水補給水系(MUWC)による代替注水及 び逃し安全弁(SRV)での減圧が実施された。

 福島第一5,6号機では海水系はいずれも機能を喪失したが,後に電源車を活用し仮設水中ポ ンプにより海水系を復旧し使用済み燃料プール(SFP)冷却に活用している。海水系に関しても 地震による喪失はなかったが津波による影響を受け,福島第一では全ての海水ポンプが喪失し た。福島第一では全ての交流電源が失われ,さらに直流電源も失われたため,電源車等の活用が 期待された。2号機では隣接号機の水素爆発の影響,1〜4号機では接続先の電源盤の水没によ り,電源車等が効果的に活用できなかった。

2)福島第二原子力発電所

 福島第二では,全4機が出力運転中であった。外部電源は4回線のうち1回線が生き残ったた め,全交流電源喪失(SBO)にはならなかった。1号機及び2号機の非常用ディーゼル発電機

(D/G)は津波により全て喪失したが,3号機では3基中2基が,4号機では3基中1基が生き残った。

直流電源系は健全であった。

 地震・津波後のプラント状況について,4号機を例に記述すると,津波襲来後,海水系が機能 喪失したため,逃し安全弁(SRV)による減圧と原子炉隔離時冷却系(RCIC)による冷却がなさ れた。非常用機器冷却系ポンプの起動が確認できなかったため,3月11日18時33分に原災法10 条の宣言がなされた。翌日明け方には圧力抑制室(S/C)温度が100℃を超えたため,原災法15 条の状況に至ったと判断された。最終的には,海水系ポンプが復旧し,非常用補機冷却系及び 残留熱除去系(RHR)が機能して,10条及び15条状態が解除された。

 電源復旧については,電源盤が生き残った廃棄物処理建屋と3号熱交換器建屋から,電源車 を使っての給電がなされた。仮設ケーブルは総延長が9000mあり,延べ200人で1日がかりで敷設 された。

3)女川原子力発電所

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