第3章第2節において、小 山 (1988)は記号や 文字 に対す る認識 の違 いは、算術 と代数 の違いにあることを指摘 してお り、それ を踏 まえて筆者 は、代数的思考 を通 して記号や文 字 を扱 うことが文字 の理解 を深 め るために有効 であることを述べた。 そ して前節 において 小学校算数科 にお ける代数的思考 を促す指導のあ り方 について先行研究 を概観 した。
そ こで本節 では、 これ らの考察 を踏 まえて小学校算数科における文字の理解 を促すため の授業構成 について検討す る。
第
4章
第2節
において、小学校算数科 における代数的思考 を促す指導のあ り方 について 概観 した。代数的思考 を促す指導 のあ り方 につ いて、Blanton&Kaput(2005)は
小学校 低学年 の児童 を対象 に、数 の性 質や 関係 を扱 う一般化 され た算術 と、数 的 。幾何的 なパ タ ー ンな どを扱 う関数的思考 を中心に、特定のい くつかの例 か ら数学的なアイデアを一般化し、文字や記号な どを使 つて表現 させ ることで代数的思考 を促進 させ てい る。 また
Carraher&Schllemann(2007,2008)は
、小学校第3学
年 の児童 を対象 に、早期 の数学 か ら通常の内容 をよ り深 く考 え させ るために二つ数量の間の関数関係 か ら代数表記 を使 っ て一般化 を表現 させ ることを推奨 している。その一方でRadford(2011)は
、文字 を使 用 す ることが代数的思考 ではない と主張 してい る。そ して小学校第2学
年 の児童 を対象 に、不確 定な数量 を既知 の数量 と同様 に扱 う解析的な方法 を必要 とす るパ ター ン学習 を通 し て、言葉や身振 りな どの表現 を用いて 数 の構造
"や
場所 の構造"を
意識 した説 明 を さ せ ることで代数的思考 を促進 させ てい る。Radford氏 は、代数的思考 を不確定な数量 を既知の数量を扱 うの と同様 に扱 うことであ る と捉 えてい る。 それ を踏 まえて本研究 において も代数的思考 とは、不確 定な数 に対 して も、既知の数 を扱 うの と同 じよ うに言葉や身振 りな どの表現 を用 いて 数 の構造
"と
場所 の構造
"を
認識 した説 明であ る と捉 える (Radford,20H)。そ して小学校算数科 にお ける文字 の理解 を促す授業構成 と して
BlantOn&Kaput(2005)
が述べ る関数的思考 としての代数的推論 と、Radford(2011)が
述べ る代数的思考 とは、類似 してお り、それ らは数 的なパ ター ンを見つ け一般化 して表現す るこ とや不確定 な数量 を既知 の数量 と同様 に扱 う解析的 な方法 で扱 うことである とい える。以上の こ とか ら、不 確 定な数量 を解析 的な方法 で扱 うパ ター ン学習 を行 うことで、代数 的思考 を促進す ること
ができると筆者 は考 える。 したがつて、以下の 〔仮説 1〕 が導 出 され る。
〔仮説 1〕
不確 定な数量 を もつ数学的 な事象 に対 して、既知 の数 量 を用 いて数や場所 の構造 を認識す るな らば、代数的思考ができる。
この よ うな題材 を扱 う学年 として BlantOn氏 。Kaput氏 は、小学校低学年 か ら促進す る うこ とを提案 してお り、Radford氏 や小学校第
2学
年 か ら促進 してい くこ とを提案 してい る。 しか し、 日本 のカ リキュラムでは、小学校第4学
年 で行 うこ とにな つてい る。 そ こで 筆者 は、文字 の理解 を促す代数的思考 であるこ とか ら、文字 の素地 であ る□の記号 を導入 す る小学校第3学
年 で行 うことが有効 である と考 える。また文字 を理解す る上で、藤井
&Stephens(1999,2002,2006)は
、数字 と文字 をつ な ぐ役割 として擬変数 の重要性 につ いて述べてお り、数字 の式 か ら文字 の式へ 全 る学習の中 で、数字の式 に内在す る一般性 を直観 させ ることで、具体的な数 に関係 な く一般的な数量 の関係 を提 えるとい う擬変数 の認識 につながる と指摘 してい る。そ して擬変数 の認識 は、表記 内容 の理解や変数概念 の素地 を養 うことも指摘 してい る。擬変数 とは、第
4章
第2節 で述べた よ うに、表記 としては具体的な数字であるが表記 内容 として一般性 を志向 してい る数である (藤井,1999)。 また、第2章
第3節及び第3章において筆者 は、文字 を理解す るためには、小学校算数科 にお ける文字 の素地であ る□,△
な どの記 号の認識 を 「文字 の 理解 の枠組み」 において□ の段階まで深 めてお くことが必要であることを述べた。そ こで、文字 の素地 であ る□
,△
な どの記号 をい ろい ろな数 の代表 としての認nScにす る ためには、具体的な数字か ら□,△
な どの記号 を扱 うまでの学習 において、数字がある数 集合 の代表値 を表 してい るこ とを意識 させ ることが必要であ り、そ の役割 が擬変数 にある と考 える (網本,2009)。 そ こで文字 の理解 を促すためには、指導の中に擬変数 を位置づ け るこ とが有効 である と筆者 は考 える。 なお、擬変数 を認識 してい る とい うことは、「文字 の意味理解 の枠組み」 において□ の段階が認識できてい ると提 えることができる。 し たがつて、以下の 〔仮説2〕 が導 出 され るとともに、以上に 〔仮説 1〕 〔仮説2〕 によつて 児童 の文字 の理解 を国 の段階へ と促す授業構成がで きるのではないか と考 える。〔仮説2〕
数量 関係 を表す数字 の式 に対 して、代数的思考 を用 いて見 るこ とで、擬変数 の認識 ができる。
第 5章
授業実践
本章では、 まず 二つの仮説 を検証す るための調査方法や分析 方法 につ いて検討す る。
して、二つの仮説 を検証す るために授業実践を行い、仮説 を検証・考察す る。