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第 4節 教科書における文字の指導の考察
前節 では、教科書
6社
にお ける□,△な どの記 号、 こ とばの式、文字 を使 つた式 を中心 に指導内容 を比較・分析 して、文字 を扱 うまでの学習過程 について検討 した。そ こで本節 では、文字 を扱 うまでの学習過程や指導 の流れ について考察 し、文字の理解 にお ける□,△な どの記号や こ とばの式 の役割 について明 らか にす る。
表
1‑4‑1
教科書6社
における文字の指導 の流れ\ 第2学年 第3学年 第4学年 第5学年 第6学年
東京書籍
数 をか く 。入れ る 場所 か ら、 分 か ら ない数(未知数)と して□を扱 う
□ を使 つた式(A―Ⅱ)
未知数 と して□ を扱 う
一般数 として
□,△ な どの記 号 を扱 う
(単元
「計算の きま り」)
変量(変数)と し て、□,△ な ど の記号 を扱 う (単元
「ともな って変わる 量」)
一般数 として
□,△ な どの記 号 を扱 う
(単元
「計算 の きま り」)
変 量 (変 数 )と して、□,△な ど の 記 号 を 扱 う
(単元
「2つの
変 わ る量」。「比 例 」な ど)
文字 の導 入(D―Ⅱ)
変数"未知 数 Ⅲ変数
×数量についての関係
啓林館
数 をか く 。入 れ る 場所 と して 、 □ を 扱 う
□ を使 つた式(A― I) 未知数・数 を当てはめ
る場所(プレイスホル ダー)と して □を扱 う
文 字 の導 入(D―I) 変数 ⇒変 数"未知数
×数量についての事柄 学
校 図 書
数 をか く 。入れ る 場所 か ら、分 か ら ない数(未知数)と
して□を扱 う
□を使 つた式(A― I) 未知数・数 を当てはめ る場所(プレイスホル ダー)と して□ を扱 う
文字 の導入(D―Ⅱ)
変数 Ⅲ変数 Ⅲ未知数
×数量についての事柄
教育出版
数 をか く 。入れ る 場所 か ら、 分 か ら ない数(未知数)と
して□を扱 う
□ を使 つた式(A― I) 未知数・数 を当て はめ
る場所(プレイスホル ダー)と して□を扱 う
文字 の導入(D―I) 未知数 Ⅲ変数 Ⅲ
一般数 日本文教
数 をか く
入れ る 場所 として、□を 扱 う
□を使 った式 (A― Ⅱ)
未知数・数 を当てはめ る場所(プレイ スホル ダー)と して□を扱 う
文 字 の導 入(D― I) 変 数 →変数"未知 数
×数量についての事柄 大
日本 図 書
数 をか く
入れ る 場所 として、□を 扱 う
□を使 つた式(A―Ⅱ)
未知数・数 を当てはめ る場所(プレイスホル ダー)と して□ を扱 う
文字 の導入(D―I) 未知数"変数 Ⅲ変数
1第 3学年
「□を使 った式」│
A―
I
数字 の式 とこ とばの式 を経 由 して、分か らない数や こ とばの代 わ りとして□を導入 し て、数量 の関係 を立式。A―Ⅱ
分か らない部分 の数 を□ として扱 い、 これ まで と同様 に数量 の関係 を立式。
6学年
「文字の導入
D―
I
□,△な どの記 号の代 わ りに文字x、yなどを置 き換 える指導。D―Ⅱ
数字の式 に内在す る一般性 を直観 させ 、いろいろ と変 わ る数 の代 わ りに文字x、yなどを使 う指導。
表 1‑4‑1から分か るよ うに、各教科書 によつて文字 の指導や扱 い方は異 なる。第
2学
年 において、□の扱 いは、数 をか く 。入れ る場所 と分か らない数(未知数)の 2種
類 がある。この よ うな扱 いの中で、分か らない数 を□ として形式的に置 き換 えた り、逆算 な どで答 えを 求めた りす る活動 を中心に行 うと、□は 単 に答 えを書 き込む空欄
"や
なにか当てはま るもの
"と
しての意識 が強 くなるこ とが先行研究か らも指摘 されてい る (日野・叶,1998,前 島,1960)。 そ こで筆者 は、□が数や 量 を表す ものである とい つた認識 を伴 つた指導 をす ることが重要で あ り、□ を含 んだ式 を扱 う際 にテー プ図や線 分 図 な どを用 いた表現活動 を十分 に行 うこ とが必要 で ある と考 える。
また、先行研究や実態調査 において児童 は□
,△
な どの記 号 を 「数 を当てはめ る場所」や 「具体的な数値 を求 めるものである」 といつた偏 つた認識 で捉 えてい るこ とが指摘 され てい る (田日
,1989,杜
威 1991)。そのため、文字 の意味や理解 を促進す るた めに□
,△
な どの記号 には様 々な数 が入 り、数 の代表 としての役割 が ある とい つた認識 を育て ること が重要である と考 える。
第
3学
年 にお ける 「口 を使 って立式す る活動(A一 I・ Ⅱ)」 では、数字 の式 とことばの 式 を考 えさせ てか ら□を導入す るA一
Iが 有効であると考 える。 なぜ な らば、□が色々な 数や ことばの代 わ りであ るこ とを理解 で きると考 える。 また、「□を求める活動(B― I・Ⅱ)」 では、様 々な数 を当てはめる
B一
Iが 有効であると考 える。 なぜ な らば、□を使 っ た式 に様 々な数 を当てはめて真偽 を確 かめる活動 をす るこ とで、児童 が□には様 々な数 が 入 ること、色 々な数 の代表 で あることを理解 で きる と考 える。また、第
6学
年 にお け る 「文字 の導入方法(D― I・ Ⅱ)」 では、文字がいろい ろな数 の 代表 である と認識 させ るこ とがで きるD一
Ⅱが有効であると考 える。 なぜ な らば、複数 の 数字 の式 を考 えて、その式 に内在 す る一般性 を直観 させ てか ら文字 を導入す ることで、児 童 は、文字が様 々な数 の代表 であ る と理解 でき、 さらに変数概念 を養 うこ とがで きる と考 える。そ して文字 の扱 い方 (1贋序・回数)は
、各教科書が未知数 と変数 を交互 に扱 ってお り、その中で も変数 を繰 り返 し扱 う教科書 が多 く、変数 としての扱 いに重点 を置 いた指導 体系 になつてい る と言 うこ とがで きる。 また、文字 の扱 い方 (順序 。回数)は
、各教科書 が未知数 と変数 を交互 に扱 ってお り、その中で も変数 を繰 り返 し扱 う教科書が多 く、変数としての扱いに重点 を置いた指導体系になつているといえる。
この よ うに、教科書
6社
にお ける文字 の指導方法は大 き く異 な るが、学年 を追 うごとに 文字 の意味や理解 が深 ま る構成 になつてい ると考 え られ る。 また藤 井 (1989)は、文字 の理解 に至 る過程 として 「文字 の理解 の枠組 み」(図 1‑4‑2)を示 してい る。
謳ロロ
words
文
字
1lteral symbols
図
1‑4‑2
文字の理解 の枠組み (藤井,1989,p84)図
1‑42の
よ うに、文字の理解 に至 る筋道 は 「数字」 と 「語 あるいは単語 (words)」 の二 つがある。そ して 「数字」か ら 「文字」に至 る過程 において 「記号□,△
」 が位置づいてお り、 これ は、教科 書 にお ける□
,△
な どの記 号 を用 いた学習 であ る と考 え られ る。 また「語あるいは単語 (words)」 か ら 「文字」に至 る過程 において 「表意形・省略形」が位置 づいてお り、 これ は教科書 におけることばの式 を用いた学習である と考 え られ る。
この よ うに文字 を理解す るためには、□
,△
な どの記号や ことばの式 の理解 が重要であ ることが分か る。 さらに藤 井 (1989)は文字 の理解 について次 の よ うに述べてい る。「我が国において も、数字か ら記号□△を経由 して文字に至 る指導・学習 体系や 、表意 文字 を 日常的 に用いてい る経験 が、我 が国の児童 。生徒におけ る文字
xaな
どに対す る ミス コンセプシ ョンを特徴 づ けてい る とも考 え られ るのであ る。」 (p84)文字 の理解 にお け る ミスコンセプ シ ョンは、文字 と数 、文字 と語 、そ して文字 と□
,△
な どの記号な どの認識や理解 の相違 が原 因で起 こつてい る と考 え られ る。 そのため、文字 の理解 は小学校算数科 にお ける数字、 ことばの式、□
,△
な どの記 号 な どの学習 の認識や理解か ら大き く影響 を受 けてお り、 さらに、小学校算数科の学習の上に中学校数学科の文 字や 文字式 を含む 「数 と式」や 「関数 」の領域 の学習 が大 き く関係 してい る と考 え られ
る。
そ こで筆者 は、児童 。生徒が□
,△
な どの記号や こ とばの式 を どの よ うに認識 、理解す るのか、また どの よ うな部分 に困難があるのか を先行研究 をもとに考察 し、□,△
な どの記号や ことばの式 か ら文字 の学習 に どの よ うにつなが つてい くのか を捉 えるための枠組み を構築す る必要があると考 える。
第 2章
文字の理解の様相
本章 では、小学校 算数科 と中学校数 学科 にお ける文字 に対す る児童。生徒の理解 の現状や 困難性 を把握 す るた めに、先行研 究 として杜威(1991)、 日野・口十(1998)、 Kuchemann(1981)、
国宗 (1997)を 概観 し、整理す る。そ して、これ らをも とに小学校 の児童 が□