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1 子どもに有効な施設職員の姿勢・援助技術

「指導が最も有効な姿勢・援助技術であると考えられている」

○ 有効な職員の姿勢・援助技術のうち「指導」が44%で最も多く、次いで、

「受容」、「助言」の順となっています。

解説

○ 児童自立支援施設の援助では、「指導」が重要な要素を占めています。ここでい う「指導」とは、ある目的・方向に向かって教え導くことを総称した名称です。

児童自立支援施設の取組

○ 多くの子どもは、生活の目標を持つことができないまま入所してきます。児童自 立支援施設ではそのような子どもに対し、施設職員が共に生活するなかで手本を見 せて教え、共に取組み、その成果を確認する一連の指導のプロセスを通じて子ども への援助をしています。非行の自己認識が深まらないときや子どもの抱えている課 題について改善を図る場合にも、このような「指導」が最も効果的と言えます。

○ 次に「指導」の効果がある程度子どもに浸透し、自立に向けた取り組みが進んで くると、「受容」や「助言」などの援助が有効に行われるようになります。

例を挙げると、子どもの望ましい行動や成長があった場合には「受容」や「助言」

によって、子どもの主体性を尊重することにより、成功体験に導く機会が増えてく るのです。また、「受容」や「助言」は、施設職員との信頼関係の絆を強める役割 も果たしているとも考えられます。

図2-8 子どもに有効な施設職員の姿勢・援助技術

※上位 7 項目

44.0 11.6

11.2 9.7 8.5 4.6 3.1

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

指導 受容 助言 注意 支持 激励 共感

合計=259

2 保護者に有効な施設職員の姿勢・援助技術

「助言が最も有効な姿勢・援助技術であると考えられている」

○ 保護者に対しては「助言」していく姿勢・援助技術が約33%と最も有効であり、

次に「連携」となっています。

解説

○ 保護者に対しては、子どもに対する関わりを具体的に「助言」することが求めら れています。この背景には、保護者が子どもに対してどのように関わってよいのか 分からずに悩んでいるという実態があります。

児童自立支援施設の取組

○ 子どもにとって保護者は大切な存在です。施設職員は保護者に対して、子育ての 姿勢や態度を責めるような関わり方をせず、協力して子どもの自立を支え援助する ために「連携」を図っています。

○ 時には保護者と施設職員との間で子どもに関する考え方や価値観が違うことも あります。そのような場合でも、保護者も施設職員も子どものことを心配する気持 ちは同じであることから、よく話し合い、施設の援助に理解と協力を求め、相互理 解を深めることを大切にしています。

図2-9 保護者に有効な施設職員の姿勢・援助技術

※上位 7 項目

32.8 15.1

10.0 8.5 3.9

2.7 1.9

0 5 10 15 20 25 30 35

助言 連携 共感 支持 受容 見守り 指導

合計=259

3 効果があった施設職員の指導内容

「衣・食・住に関する生活指導の効果が最も高い」

○ 「生活指導(衣・食・住の指導)」の効果が約73%で最も高くなっています。

○ 次いで「スポーツ指導」、「作業指導」、「進路指導」の順となっています。

解説

○ 施設入所の第一歩は、集団生活に慣れ、基本的生活習慣を身に付けることから始 まります。非行や家庭環境等で安心感を得られなかった子どもは、入所後、「衣・

食・住」が安定することによって、落ち着いて自分の問題を見つめ直せるようにな ります。

○ また、中学卒業後、「高年齢児寮」から高校やアルバイトに通う子どもは、きち んとした生活習慣を身につけた上で、施設外での人間関係の広がりの中から、社会 性や生活上の応用力を伸ばしていきます。このように「生活指導」は、子どもが様々 な経験を積み、充実感や達成感を味わうことができ、施設職員との信頼関係も芽ば えていくことから、最も効果的な指導と言えます。

○ 「スポーツ指導」はルールを守ることの重要性を学び、自分とチームとの関係を 通じて仲間意識や技術を習得するよいきっかけとなり、達成感にもつながって、多 くの子どもが自信を回復していきます。

児童自立支援施設の取組

○ 虐待された経験を持つ子どもの入所が増加していますが、中には心理面でケアを 必要とする子どもも少なくありません。平成16年度から心理療法担当職員が施設 に配置されましたが、心理面接の重要性は年々増していくと考えられます。

図2-10 効果があった施設職員の指導内容

73.4 55.2

31.3 26.3 24.7 16.2 13.5 6.6

19.7

0 10 20 30 40 50 60 70 80

生活指導 スポーツ指導 作業指導 進路指導 問題行動指導 親子関係指導 高年齢児寮での指導 交友関係指導 その他

合計=691(複数回答)

第3節 自立支援の効果の検証

1 子どもが立ち直り、成長するきっかけ

「施設職員との信頼関係の構築が最も多い」

○ 「施設職員との信頼関係構築」が最も子どもの立ち直りと成長の契機になってお り、約33%に上っています。

○ 次に「過去の失敗の振り返り・反省」、「感情の安定」が立ち直り、成長する契機 となっています。

○ 「親との関係改善」は約19%の子どもが立ち直り、成長する契機としています。

解説

○ 大人に対する不信感は生活改善を妨げる大きな要因です。「施設職員との信頼関 係の構築」は、大人との関係の改善につながり、親に対しての関係改善の契機にな ります。

○ 子どもは周りの大人たちに守られているという精神的な安定感から、情緒面の成 長が促進され、過去の失敗についても安心して振り返ることができるようになりま す。施設の中で情緒が安定し、精神的な落ち着きが得られることは、子どもの立ち 直りや成長の大きな契機となっているのです。

児童自立支援施設の取組

○ 子どもと施設職員は日々の生活でお互いが向き合って暮らし、課題を乗り越えて いくことで信頼関係を築いていきます。そして、絆が深まり、目標や問題意識を持 って努力できるようになると、子どもは落ち着いた生活を送ることができるように なります。

図2-11 子どもが立ち直り、成長するきっかけ

32.8 25.5

22.0 18.9 18.1 17.8 15.4 8.9

13.9

0 5 10 15 20 25 30 35

施設職員との信頼関係構築 過去の失敗の振り返り・反省 感情の安定 親との関係改善 進路の決定 情緒面の成長 立ち直りが確認できず 学力の向上 その他

合計=449(複数回答)

37.5 28.6

6.6 2.7 2.3

4.2 3.9

13.1 1.1

0 5 10 15 20 25 30 35 40

面会 帰省・外泊の実施 進路指導の協力 行事参加 手紙・通信 その他 保護者行方不明等 保護者の支援が得られず 不明

合計=259

2 保護者からの支援

「面会による保護者の支援が約38%で最も多い」

○ 保護者の支援では「面会」の効果が最も多く、次いで「帰省・外泊の実施」、「進 路指導の協力」となっています。

解説

○ 保護者と子どもが実際に顔を合わせることが重要です。施設入所により、保護者 と子どもが離れて生活することで客観的に親子関係を振り返る機会ができます。そ して、再会してお互いが変化したことを理解し、実感できたことなどが、子どもに とって大きな励みになるのです。また、面会は子どもが成長した点や頑張った点を 保護者から評価してもらう機会ともなることから、子どもにとって施設で自立に向 けて努力をする大きな動機づけともなります。

児童自立支援施設の取組

○ 施設では面会の機会を活用し、親子関係の調整を行います。しかし、面会で子ど もの成長を過大評価したり、義務感だけで面会に来る保護者もいます。面会での保 護者の何気ない一言で気持ちが再び揺れ動き、施設での生活が不安定になる子ども も少なくありません。さらに、面会が無く、保護者からの支援が得られない子ども もいます。親子関係の改善は多くの子どもにとって大きな課題であり、施設職員は 円滑な家庭復帰の観点からも特に力を注いでいます。

図2-12 効果があった保護者の支援

3 関係機関による支援

「施設内の学校の教員との連携が最も多い」

○ 関係機関等の支援では「教員(施設内)と連携する」が最も効果があり、66%

を占めています。

○ 以前に在籍した学校教員の支援である「前籍校教員との連携」も約13%あり、

教員との連携が効果的です。

解説

○ 施設内にある公立学校の教員は、日中子どもの教育に当たっており、施設職員と 連携・協力して子どもの立ち直りの援助に努めています。地域の学校でうまくいか なかった子どもが多いため、施設内の学校では信頼関係の構築を大切にする関わり の上に立って、基礎学力の習熟に力点を置いた学習指導を行っており、子どもの大 きな成長の糧になっています。

児童自立支援施設の取組

○ 子どもは退所後、地域に戻って生活をします。施設としても様々な関係機関と連 携し、退所後も地域での自立を支える取組が必要です。地域の関係機関との連携不 足は今後の大きな課題です。

図2-13 効果があった関係機関等の支援

66.0 22.0

12.7 8.5 5.8 5.0 2.3 2.3

9.7

0 10 20 30 40 50 60 70

教員(施設内)と連携 特になし 前籍校教員との連携 前措置施設職員と連携 児童相談所 心理面接 家庭裁判所の指導 医療機関との連携 その他

合計=348(複数回答)