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アフターケアの実態と効果の検証 1 子どもからの相談内容

第2節 アフターケアの実態と効果の検証

2 アフターケアの内容

「電話連絡によるものが最も多い」

○ アフターケアは「退所児童への電話連絡による相談・支援」が約61%で最も多 く、次いで「来園させ指導」、「家庭訪問」が上位を占めています。

解説

○ 子どもに関わっていた生活寮の担当職員などが継続的にアフターケアを行うこ とが重要であり、また、効果的です。

○ 電話は、退所児童の状況掌握のための定期的な連絡と問題が起きたときのケアに 大別されます。

○ 実際のアフターケアでは、電話連絡などでのアフターケアが十分に実施されてい る場合は、訪問・面会の頻度は少なくなっています。

児童自立支援施設の取組

○ アフターケアが困難なケースや来所を促しても子どもが拒否する場合もありま す。普段は施設との関わりを拒否しているようなケースでも、子どもや保護者から の求めがあれば施設職員は対応するようにしています。

○ 今後は、施設内学校の担任教員や児童相談所の児童福祉司、家庭復帰支援員など、

入所中に関わりがあった関係機関との連携を図りながら、アフターケアを行うこと が重要になると思われます。

図2-18 アフターケアの内容

60.8 29.6

23.1 9.3

6.0 2.7 1.5

4.2

17.4

0 10 20 30 40 50 60 70

子どもへ電話連絡による支援・相談 来園させ指導 家庭訪問 関係機関との連携・会議 入所施設で面会 会社訪問 学校訪問 その他 実施せず

合計=516(複数回答)

3 自立に向けたアフターケアの効果

「最も大きな効果は、子どもが失敗した時に施設職員に連絡・相談できること」

○ 施設職員が最も効果があったこととして挙げたのは「失敗時に職員に連絡・相 談できる」であり、25%でした。

○ 次いで、「家族との関係が改善」「仕事や通学が継続する」の順となっています。

解説

○ 施設へ入所するまでは、大人に対して不信感を募らせていた子どもが、施設職員 を信頼し、失敗したときに自ら連絡・相談ができるようになったことを、施設職員 は最大の自立支援効果と受け止めています。子どもが失敗時に連絡・相談してくる ことによって、施設職員の早期対応が可能となっています。

児童自立支援施設の取組

○ 高校進学や就職など、入所時の生活改善目標を達成して退所した子どもには、保 護者の理解も得られやすく、アフターケアも円滑に実施できます。しかし、ケース によっては保護者からの協力が十分に得られない場合や無断外出等による退所な どもあり、退所児童全員にアフターケアを実施することは困難な状況にあります。

○ アフターケア実施後に、つまずくケースも少なくありません。退所後1回目のア フターケア実施時に順調な場合でも注意が必要です。退所後の生活での子どもの我 慢や忍耐、そして周囲の期待や子どもの希望と現実とのズレなどについて、細かい 観察を行い、適切な援助を行っています。

図2-19 アフターケアの効果

※上位 7 項目

効果が認められずを除く

25.0 22.1 18.8 12.3

12.0 10.9 7.6

0 5 10 15 20 25 30

失敗時に職員に連絡・相談できる 家族との関係が改善 仕事や通学が継続する 情緒・感情面が穏やかになる 自立の目標に向けて努力する 退職後、再就職する 規則正しい生活ができる

合計=426(複数回答)

事例 10

高校退学後、アフターケアにより自立援助ホームを利用して自立を図ったJさん(女 子:中学卒業)の事例

事例の概要

○ Jさんは父親と2人暮らしでしたが、父親との関係が悪く、中学2年生の時に 家出外泊と怠学がひどくなりました。父親は児童相談所に相談した結果、Jさん は一時保護となり、児童自立支援施設への入所が決まりました。

○ Jさんが中学3年生になった時に施設職員と児童福祉司は、親子関係の不安定 さを懸念し、このまま施設に在籍して高年齢児寮から高校通学を行うことをJさ んに勧めました。しかし、Jさんは「家から高校へ通いたい。」との思いが強く、

父親も家庭に引き取ることに同意したため、家庭から高校に通学することになり ました。

援助の展開

○ Jさんは高校入学後、施設によく電話連絡をしてきました。父親のこと、高校 生活の悩みなど多様な相談に施設職員は応じてきました。また、Jさんは月に1 度は施設に来所し、施設職員から直接の助言を求め、1学期は安定した高校生活 を送りました。

○ 夏休みに入ってJさんからの電話連絡が少なくなり、代わりに父親からの電話 が多くなりました。「無断外泊が多くなった。煙草を吸っている。」などの相談が 児童相談所にも寄せられるようになりました。施設職員と児童福祉司が家庭訪問 をしましたが、Jさんは服装も派手になり、注意や助言にも耳を傾けず、終始ふ て腐れている状態でした。

○ 2学期が始まってもJさんの生活態度は変わらず、父親の制止を振り切り無断 外泊を繰り返し、高校へもほとんど行かなくなりました。児童福祉司は施設職員 の協力を得てJさんを一時保護し、自立援助ホームへの入所を勧めました。Jさ んは高校の出席日数が足りず進級ができないことが分かると、自立援助ホームへ の入所と、進路変更後の就職について真剣に考えるようになりました。

○ その後Jさんは自立援助ホームへの入所を経て、アパートで自活しながらアル バイトを続けています。今後の課題は父親との関係修復です。施設職員はJさん から定期的にある電話連絡で、父親との関係修復について相談に乗っています。

援助のポイント

○ 施設職員と児童福祉司の連携した指導によって、再非行化している現状をJさ んが自覚し、働くことによって自立を目指すために自立援助ホームへの入所を決 心しました。

○ Jさんが自立援助ホームを退所した後も施設職員は電話連絡によって、課題と して残っている親子関係の修復に向けた援助を続けています。

第3節 非行改善と立ち直り支援効果の検証