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子どもの特徴と進路決定の分析 1 子どもの入所と退所

「入所年齢は14歳が約36%。また、15歳で約6割が退所」

○ 子どもの大多数は「12歳」から「15歳」の入所であり、多くが中学生です。

○ 中学校を卒業する年齢である「15歳」での退所が最も多くなっています。

※退所した子ども152人 解説

○ 子どもの入所は児童相談所の措置又は家庭裁判所の審判によって決定されます。

審判によって入所する場合も含めてすべてのケースに児童相談所が関わり、措置の 手続きを執ります。

児童自立支援施設の取組

○ 施設は子どもが入所後、児童相談所の援助指針及び子どもと保護者の意向に基づ いて自立支援計画の策定を行います。策定には約1か月から2か月の期間をかけて、

具体的な自立支援目標や援助方法を決定しています。

○ 子どもが入所の意味を十分に理解していない場合や、生育環境及び疾病等の情報 が乏しかったり、抱えている問題が複雑化しているケースもあるので、施設として も独自に情報を収集し、総合的な分析と検討を行って自立支援計画を策定します。

○ 生活の目標を明確にし、改善意欲を持たせるため、退所時期を義務教育の節目と なる小学校・中学校の卒業に合わせて自立支援計画を策定する場合が大変多くなっ ています。

図2-1 子どもの入所時の年齢

図2-2 子どもの退所時の年齢

※ 退所児童数 152 人

0.9 4.6

13.9

26.6

35.5 15.4

2.3 0.8

0 5 10 15 20 25 30 35 40

10歳以下 11歳 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 17歳 18歳

合計=259

0.7 2.6

3.9

13.2

61.8 9.2

3.9

0 10 20 30 40 50 60 70

10歳以下 11歳 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 17歳

11.8

34.2 28.3

13.2 5.9

3.9 2.7

0 5 10 15 20 25 30 35 40

6ヶ月未満 6ヶ月以上1年未満 1年以上1年半未満 1年半以上2年未満 2年以上2年半未満 2年半以上3年未満 3年以上

合計=152

2 入所期間

「6ヶ月以上1年未満の期間が最も多く約34%」

○ 1年未満で退所する子どもが46%です。

○ 1年以上2年未満の期間で約42%の子どもが退所しています。

解説

○ 中学卒業までに非行改善を図ることを、主な援助指針として入所する14歳(主 に中学3年生)の子どもが多いことから、1年未満になっています。

○ 中学1・2年で入所する場合にも、中学卒業を目標とする援助指針で入所する児 童が多いため、1年以上在所するケースも多数あります。

○ 短期間で退所した子どもの中には、無断外出等の問題行動によって結果的に家 庭裁判所送致となり、措置解除になった子どもなどが含まれています。

児童自立支援施設の取組

○ 多くの子どもは施設入所後の安定した生活によって、学力や体力の向上が図られ、

精神的な成長も実感できるようになります。子どもによって個人差は当然あるもの の、中学校を卒業するまでの約1年から 2 年程度が立ち直りに必要な期間として設 定されています。子どもによっては中学卒業後も援助を必要とすることもあり、就 学や就労する子どもが利用する高年齢児寮も設置されています。

図2-3 入所期間

※対象:退所した子ども 152 人

3 非行の自覚

「約3割は非行の自覚ができていない」

○ 入所児童の約3人に1人が非行を自覚できており、改善意欲を持っています。

○ 一方で入所児童の約31%は、非行の自覚ができていません。

解説

○ 子どもは基本的には善悪の判断ができ、非行について自覚できる力を持っていま す。

○ しかし、厳しい家庭環境でつらい思いを重ねてきたり、人間関係がうまくいかず 自分の存在意義を見失うなどの理由から、非行の改善意欲が持てないでいる子ども が少なくありません。

○ また、素直に非行事実を認められず、生活意欲のない態度を取り続ける子どもや 虚勢を張り続ける子どももいます。

児童自立支援施設の取組

○ 施設の生活では個人の課題について考えさせる機会をつくっていますが、課題の 解決には一定の時間を必要とし、子どもの思いどおりにいかないことも多いのです。

○ 非行事実をしっかりと自覚することが、成長の第一歩です。職員は生活場面での 出来事等を通じて、自分を見つめ直すことなどを子どもに語りかけ、考える機会を 設けています。

図2-4 非行の自覚

少し自覚できている 17.8%

自覚ができない 30.5%

自覚しており非行 改善の意欲が高い

10.4%

自覚しており改善 意欲ややあり

24.3%

自覚しているが改善 意欲低い

17.0% 合計=259

4 援助の困難度

「指導内容が理解できず、反抗的態度をとる子どもは約3割」

○ 「指導内容理解不足、トラブルあり」と「指導に対し反抗的態度、非協調的」

である入所児童を合わせると約33%になります。

○ 「指導内容は概ね理解しているが、取組にむらが有る」傾向の入所児童が約 41%となっています。

解説

○ 施設職員が援助を困難と感じる背景には、不適切な養育や虐待を過去に受けて育 ってきたために情緒面が不安定であったり、大人不信に陥っているなど様々な生活 上の課題を抱えた子どもが入所している実態があります。

○ 近年、「入所児童の非行の質が変わった」といわれることがあります。確かに昭 和56年ごろの「少年非行・戦後第3のピーク」と呼ばれている時期に、校内暴力 や暴走行為などで入所してきた子どもは反抗的で、いわゆる「つっぱり」といわれ た子どもたちが大多数を占めていました。

児童自立支援施設の取組

○ 「つっぱり」といわれた子どもたちは大人に対して反抗的で強いエネルギーを持 っていましたが、施設職員は同質の非行傾向を持つ児童集団に対して、毅然とした 姿勢で指導に臨むことによって非行改善の効果を上げてきました。

○ しかし、現在は子どもが多種、多様な非行に関わりを持っています。生活の取組 にむらが有ったり、コミュニケーションが十分に取れない子どもが多数入所してい ます。また、医師と心理療法担当職員の連携で生活の改善を図っている子どもも少 なくありません。施設職員は今まで培ってきた援助のノウハウを活かしながら、多 様な子どもの非行改善と生活力の向上に取り組んでいます。

図2-5 援助の困難度

19.7

40.5 27.8

5.4 0.8

5.8

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

指導内容を理解し素直に努力できる 指導内容は概ね理解、取組にむら有り 指導内容理解力不足、トラブルあり 指導に対し反抗的態度、非協調的 入所に納得せず自立目指す意思なし 無断外出等で措置解除

合計=259

32.9 10.5

3.3 1.3

17.1 0.7

9.2 4.6

3.3

17.1

0 5 10 15 20 25 30 35

高校進学(都立・全日制) 高校進学(都立・定時制) 高校進学(私立) 専門学校進学 就職 小学校 中学校 養護学校(高等部) 少年院 その他

合計=152

5 退所後の進路

「退所した子どもの約5割は高校に進学する」

○ 退所児童(152人)の進路は、「高校進学」が約47%(71人)を占めてい ます。(中学卒業生に限定すると、進学率は76% P85参照)

○ 中学校や小学校を卒業する前に退所し、家庭に戻って地域の学校に通うケースも 約10%(15人)います。

解説

○ 入所児童の進路希望は「高校進学」がほとんどです。入所前は勉強でつまずいた 子どもが大半ですが、施設内の学校教員(平成9年の児童福祉法改正により、公教 育が導入)の親身な指導により、基礎学力づくりに励み、自信を回復させ、地に足 のついた進学意欲を持ち始めます。安定した生活環境の中でじっくりと大人が関わ り、学習指導をすると、多くの子どもが高校進学できる力を持てるようになります。

児童自立支援施設の取組

○ 中学校入学や進級などの機会に、家庭に戻って地域の学校に通う場合は、保護者 及び児童相談所並びに施設内の学校とが十分に協議と検討を行ないます。そして、

子どもが地域に戻ってからも立ち直りを図ることができるように、援助を行ないま す。

○ 「少年院」、「その他」については、子どもの非行が改善せず、無断外出などがあ った結果、家庭裁判所送致になり保護処分で「少年院」となったケースや、他の児 童自立支援施設入所になったケースなどが含まれています。

図2-6 退所後の進路

※対象:退所した子ども 152 人

6 退所後の生活場所

「退所後に大多数の子どもは家庭に戻る」

○ 子どもの退所後の生活場所は、「家庭」が約63%で最も多くなっています。

○ 児童養護施設などの「施設等」と「住み込み就職先」がそれぞれ約1割あります。

解説

○ 多くの子どもは退所後に家庭に帰ることになります。

○ 一方で、退所後の生活場所が中々見つからない子どもが増えています。住み込み 就職先の激減、入所できる施設の少なさなど、様々な課題があります。

児童自立支援施設の取組

○ 施設職員は子どもの援助と共に、保護者に対しても家庭復帰のための調整と支援 を行ないます。一般的には進路の決定と同様に、子どもや保護者の意向を尊重しな がら、児童相談所や関係機関と協議し、家庭引取及び施設変更などが決められてい きます。

○ また、施設は退所後の子どものよりよい生活場所の確保のために、関係機関との 連携協力を進めて対応しています。

図2-7 退所後の生活場所

施設等 11.8%

他の児童自立支援 施設3.3%

親戚宅 2.0%

少年院 3.3%

アパート入居

(一人暮らし)2.0%

その他 6.0%

住み込み就職先 9.2%

家庭 62.5%

合計=152