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第 9 章 所得保障機能と持続可能性を両立させる年金制度の構築 169

A.3 年金給付

A.3 年金給付

A.3.1 厚生年金給付額

老齢厚生年金 老齢厚生年金(

P BW O)

の発生額は, (A.13) 式から算出する. P Bg,AW O

=

69

a=15

RWg,a·P Ig,aW ·ERg+A,g+a·BRg·

69

s=a

(1−ARW Ds −DRWs ) (A.13)

ここで, Aは支給開始年齢, gは出生年度, BRは給付乗率, ERは再評価率, RW は標準 報酬額, ARW D は障害年金発生率, DRW は死亡脱退率である*6. 支給開始後の給付額は, 前年度の値から失権分を控除し, 給付改定率を乗じて算出する.

障害厚生年金 障害厚生年金(

P BW D)

の発生額は, (A.14) 式から算出する.

P Bg,AW D =

3

D=1

T RWg,A

LWA ·LWA·BRg·CRW DD ·CAW DD T RWg,A =

A1

a=15

RWg,a·P Ig,aW ·ERg+A,g+a·

A1

s=a

(1−ARW Ds −DRWs )

+RWg,A·P Ig,AW ·ERg+A,g+A·ARW DA

(A.14)

ここで, Dは障害等級, T RW は標準報酬額合計, LW は被保険者期間, CRW D は障害等 級割合, CAW D は障害等級別加算乗率である. 障害厚生年金給付額は, 前年度の給付額か ら失権分を控除し, スライド率を乗じて, 新規発生分を加算した. 被保険者期間は, 厚生労

働省 (2009)の基礎数から得られる年齢別平均被保険者期間を利用する. なお, 年齢別平均

被保険者期間が25年未満の場合に平均標準報酬額に乗じる被保険者期間は, 厚生年金保 険法に従って25年とした*7.

*6その手法を採用した場合, 老齢厚生年金給付額の推計結果は実際よりも低めに算出されることが予想され . もっとも,障害厚生年金や遺族厚生年金に反映されることによりその影響は相殺されると考えられる.

*7そのことは,遺族厚生年金においても同様である.

遺族厚生年金 遺族厚生年金 (

P BW S)

の発生額は, 被保険者が死亡した場合は (A.15) 式から算出 する.

P Bg,AW S = T RWg,A

LWA ·LWA·BRg·0.75 T RWg,A =

A−1

a=15

RWg,a·P Ig,aW ·ERg+A,g+a·

A−1

s=a

(1−ARsW D−DRWs )

+RWg,A·P Ig,AW ·ERg+A,g+A·DRWA·ARW Sg,A

(A.15)

ここで, ARW S は遺族年金発生率である. 老齢厚生年金受給者が死亡した場合は (A.16) 式から算出する.

P Bg,AW S =P Bg,AW O·DRW OA ·ARW SA ·0.75 (A.16) ここで, DRW O は老齢厚生年金失権率である. 障害厚生年金受給者が死亡した場合は (A.17) 式から算出する.

P Bg,AW S =P Bg,AW D·DRW DA ·ARAW S·0.75 (A.17) ここで, DRW D は遺族厚生年金失権率である.

遺族年金受給者の支給開始時点の年齢は, 死亡した被保険者あるいは年金受給者の年齢 によって異なる. そのため, 給付額の推移を被保険者, あるいは年金受給者の死亡年度毎に 前年度の給付額から失権分を控除し, スライド率を乗じて算出した. それらを, 遺族厚生年 金受給者の出生コーホート毎に集計して, 遺族厚生年金給付額を算出した.*8.

標準報酬額は, 厚生労働省『賃金構造基本統計調査』から得られる年齢階級別きまって 支給する現金給与額・所定内給与および賞与の平均および年齢階級・所定内給与額階級別 労働者数を利用し, 年齢階級別標準報酬額の平均を推計し, 将来分はそれらに賃金上昇率 を乗じて推計した*9.

*8支給開始時点の受給者の年齢は,厚生労働省(2009) から得られる死亡した被保険者あるいは年金受給者と 遺族厚生年金受給者の年齢相関表のものを採用した. 失権率は, その年齢に基づいて適用している. 遺族基礎年 金も同様である.

*9「厚生労働省モデル」は, 支給開始年齢時点の被保険者数と受給待機者数の合計を老齢厚生年金の新規受給 者数としている. その場合, 受給待機者数の推移の推計値が必要であるが, 脱退と再加入を繰り返した場合の納 付履歴の通算は困難であり,支給開始年齢時点の受給待機者数の予測も困難である. それに対して, 本論が踏襲 する深尾・金子・中田・蓮見 (2006) , 各世代で納付履歴をプールして相当の新規裁定額を算定している. れにより, 年金受給者数の予測を回避しつつ,保険料納付履歴を給付額に反映している.

A.3 年金給付 183

A.3.2 基礎年金給付額

老齢基礎年金 老齢基礎年金(

P BBO)

の発生額は (A.18) 式から算出する. P Bg,ABO =U PtBO· HISg

59

a=20P OPg,a

·P OPg,A

HISg =HISgW +HISgM +HISgN HISgW(orM)=

59

a=20

P Ig,aW(orM)

HISg,aN =

59

a=20

[

N P Pg,aF +N P Pg,aP,QU· (3

4 + RN Sg+a 4

)

+N P Pg,aP,HA· (1

2 + RN Sg+a 2

)

+N P Pg,aP,T H· (1

4 + 3

4·RN Sg+a

) +REMg,aF L·RN Sg+a

]

(A.18)

ここで, U PBO は老齢基礎年金給付単価, HIS は保険料納付実績, HISW は保険料納 付実績厚生年金分, HISW は保険料納付実績共済組合分, HISN は保険料納付実績国民 年金分, RN S は国庫負担率, N P PQU 4分の1免除者分, N P PHA は半額免除者分, N P PT H は4分の3免除者分である*10.

障害基礎年金 障害基礎年金(

P BBD)

の発生額は (A.19) 式から算出する.

P Bg,ABD =

2

D=1

U PD,tBD·P Ig,A·ARABD·CRBDD (A.19) ここで, U PBD は障害基礎年金給付単価, ARBD は障害基礎年金発生率, CRBD は障害 等級割合である. 障害基礎年金給付額は,前年度の給付額から失権分を控除し, スライド率 を乗じたものに, 新規発生分を加算して算出する.

*10その手法では,受給資格期間を満たさなかった者の納付履歴も給付に反映することには留意が必要である.

遺族基礎年金 遺族基礎年金(

P BBS)

は, 配偶者が受給する場合(

P BBS,S)

と第1子が受給する場合 (P BBS,C)

あるいは寡婦年金(

P BBS,w)

があるが, いずれも (A.20) 式から発生額を算出

する.

P BBSg,A =U PtBS·N P Pg,A·(

1−DRNA)

·ARBSA (A.20)

遺族基礎年金給付額は, 遺族厚生年金と同様に, 死亡した被保険者の死亡年度ごとに前 年度の給付額から失権分を控除し, スライド率を乗じて算出する. その後に遺族基礎年金 受給者の出生コーホート毎に受給額を集計して算出する*11.

加給年金給付額は, 年金受給者数と加給年金発生率および給付単価の積としている. た だし, 老齢厚生年金分は, 算出された老齢厚生年金給付額を, 平均的な賃金を得てきた被保 険者の年金受給額によって除したものを受給者数としている.