第 4 章 統合生産システムにおける「支援的保護システム」を適用した実証
4.3 実証実験 2:自動車用バンパ組立ラインにおける支援的保護システムの実証実験
4.3.5 実証実験用機器設置レイアウトと使用した機器の詳細
本実験での検証要件確認のために必要な各種実験用機器を設置した(図4-13 参照)。
図4-13 自動車用バンパ組立ラインでの実験機器設置レイアウト
以下に本実証実験に使用した機器について記載する。
ゾーン3
(プレス)
ゾーン2
(接着剤 塗布)
ゾーン1
(組付け)
IMS操作盤 ゾーン1端末 入退場確認
センサ 実験映像記録用カメラ1 ゾーン2端末
セーフティ レーザースキャナ 実験映像記録用カメラ2
ゾーン3端末 セーフティ ライトカーテン
① IMS操作盤
IMS操作盤は,支援的保護システムの中枢となるメイン操作盤である。本操作盤が非定常 運転モード時に,各ゾーンへの入場が可能となる。IMS操作盤には,人が操作するためのタ ッチパネル及び装置コントローラ並びに各保護装置からの入力信号の取りこみ及び本シス テムの判断をシグナルタワーやその他の外部機器に出力する安全 PLC を搭載している。な お,各ゾーン端末,入退場確認センサ及びセーフティレーザスキャナ等の外部機器とは,
EtherNet/IP,EtherCATで接続されている。写真4-25に,IMS操作盤の外観を示す。
写真4-25 IMS 操作盤の外観と画面の拡大写真
② ゾーン1端末
写真4-26に,ゾーン1の組立工程に設置したゾーン1端末を示す。
写真4-26 ゾーン1端末の外観と各部の説明
RFID リーダライタ
シグナルタワー
タッチパネル
シグナルタワー
タッチパネル RFID
リーダライタ
③ ゾーン2端末
写真4-27に,ゾーン2の接着剤塗布工程に設置したゾーン2端末を示す。
図 4-27 ゾーン 2 端末の外観と各部の説明
ゾーン2端末は,既存設備の関係で設置スペースが限られたため,RFIDリーダライタを ゾーン端末の下に設置することになった(写真4-28参照)。
RFID リーダライタ
シグナルタワー タッチパネル
シグナルタワー
RFID リーダライタ タッチパネル
ゾーン2端末
既存設備
ゾーン2端末
既存設備
④ ゾーン3端末
写真4-29に,ゾーン3のプレス工程に設置したゾーン3端末を示す。
写真 4-29 ゾーン3端末の外観と各部の説明
⑤ RFタグ
本実証実験用として,作業者の資格及び作業権限確認をするために9個のRF タグを準備 した。各 RF タグには,作業者の IDデータを書き込み,IMS操作盤の装置コントローラ(NJ)
に各作業者の作業権限テーブルを持たせた(表4-13 参照)。
例えば,管理者[係長,班長,生産技術者(以下,生技とする)]は,ゾーン内での
① 点検・清掃
② 段取り・ティーチング
③ トラブルシュート
のすべての作業権限があることが分かる。
さらに,各作業者はトラブルシュートを除く作業権限を有し,各保全担当者はトラブルシ ュート時のみ,ゾーン内に入場することが許されることが分かる。
実際の実験では,係長(ID:031),班長(ID: 032),作業者 1(ID: 021),作業者2(ID:
022),作業者3(ID: 023)のRF タグを用意し,それぞれがRF タグを所持した。さらに,
支援的保護システムのトラブル対応等のために,実証実験メンバ用として生技用 RF タグ
(ID: 033)を用意した。
なお,実証実験 1 ではキーホルダ型のRF タグを使用し,作業者がRF タグをRFIDリーダ
RFID リーダライタ
シグナルタワー
タッチパネル
RFID リーダライタ
タッチパネル
シグナルタワー
き,生産性を低下させる要因にもなるため,今回の実験では交信距離を長くするために形状 が大きめの RF タグを用い,かつヘルメット内に RF タグを収納して,ゾーン端末に作業者 が近づいて端末操作をする意思があると判断した時点で,RF タグのデータを自動読み取り し,ゾーン端末の作業登録画面がホップアップするシステムに改善した。写真4-30に,保 護帽に内蔵したRF タグを示す。
表4-13 RF タグと作業者資格情報,作業権限情報,作業可動ゾーンとの関係
写真4-30 ヘルメットに内蔵したRF タグ
前述の通り,今回の実験では作業者が各ゾーンでの作業登録をするために各ゾーン端末 の前に立った際に,RFIDリーダライタが保護帽に内蔵されているRF タグを自動的に読み取 るシステムにしたが,単純にゾーン端末の下を作業者が通っただけで作業登録画面になら ないように,適切な応答時間が設定できるようにタイマー機能を持たせ,作業登録をする意 思を有すると判断した時に初めて登録画面をタッチパネルに表示するようにした。
今回の実験現場では,既存設備との位置関係により,RFID アンテナの設置位置をゾーン ごとに変える必要があった。
写真4-31 に,ゾーン2及びゾーン3でRF タグを読み取っている様子を示す。
写真4-32に,ゾーン端末における登録画面を示す。
RFタグ
様となっている。このように権限がない作業を選択できないことも支援的保護システムの 特長の一つである。
該当する作業を選択して開始ボタンを押すと作業が開始されたとシステムは判断し,作 業が終了した後にゾーン端末上の作業完了ボタンを押すと一連の作業が完了したと判断す ることで,当該作業に関するタクトタイムを計測している。
写真4-31 ゾーン2,ゾーン3でのRF タグ読み取りの様子
写真4-32 作業権限の違いによる登録画面の違い
⑥ 入場場確認センサ(ゾーン1用)
ゾーン 1 での人の入退場を検出するために入退場確認センサを設置した。今回採用した
ゾーン2 ゾーン3
ゾーン2 ゾーン3
管理者 作業者 保全
なお,本センサは,TOF方式で,近赤外線(850 nm)を投光し,対象物から反射光を特殊 イメージセンサで受光して距離を測定するため,外乱光の影響を受けにくいという特長が ある。写真4-33に,現場に設置した入退場確認センサを示す。
現場で設置した場所は,図4-13に示したゾーン 1 の作業領域(危険区域)と安全領域の 境界上で,人の検出精度を向上するために,ワークと人との区別や人が作業する際のワーク の移動ルート等を事前に確認した上で,検知領域の設定や感度調整等を行い,実験を行っ た。
写真4-33入退場確認センサの設置状況
⑦ セイフティレーザスキャナ(ゾーン2用)
ゾーン2での人の入退場を検出するために,セーフティレーザスキャナを設置した。写 真4-34に,設置状況を示す。
図4-14は,ゾーン2に設置したセーフティレーザスキャナの検出エリア設定及び実際に ゾーン2 内で人を検知できるエリアを示す。
図4-14 セイフティレーアースキャナの検知エリア
⑧ セイフティライトカーテン(ゾーン3用)
ゾーン3の入退場を検出するために,セーフティライトカーテン2セットを設置した。
写真4-25に,設置状況を示す。
写真4-35 セイフティライトカーテンの設置状況
写真4-35で分かるように,セーフティライトカーテンを単なる存在検出用ではなく,人 の入退場管理用に使用するため横に2台を並べて,検知するON/OFFのタイミングの違いで 人の出入りを検出することにした。しかし,現場における設置スペースが限られていたの で,実証実験では2台のセーフティライトカーテンの設置間隔が写真のように 10 cm程し かとれなかった。本来ならば,人の身体の幅,あるいは最低でも 50 cm程の間隔を確保した
検出エリアの設定 ゾーン 2 の実際の検出エリア
い。
⑨ 実験映像記録用カメラ(2台)
写真4-36と写真4-37に本実験で使用した記録用カメラを示す。カメラ 1 はシステム上 部に設置されたキャットウオークに設置して,ゾーン 1 とゾーン2 の全景を記録した。カ メラ2は,キャットウオークの手摺りに設置してゾーン3の全景を記録した。
写真4-36 実験映像記録用カメラ 1
写真4-37 実験映像記録用カメラ 1