第 4 章 統合生産システムにおける「支援的保護システム」を適用した実証
4.2 実証実験 1:大型モータ製造工場における支援的保護システムの実証実験
4.2.4 実証実験用機材のレイアウト
本実証実験での検証要件確認のために必要な各種実験用機材を,プレスラインに設置し た(図4-3 参照)。
フィン電源 メイン操作盤
アンコイラー プレス電源
プレス操作盤 金型台車
プレス本体
光電管 防音BOX
スクラップ シューター
安全 マット
コイルカー アンコイラ操作盤
フィーダー
取出装置操作盤 搬送板供給装置 取出装置 及び
製品スタッカー 製品排出装置 ゾーン1
(アンコイラ)
ゾーン2 プレス)
ゾーン0
(フリー)
ゾーン3
(アンローダ)
入退場端末 入退場
確認センサ ゾーン3端末 ゾーン1端末
ゾーン1入退場 検知センサ ゾーン2入退場 検知センサ
ゾーン2端末
実験記録用カメラ
ゾーン3入退場 検知センサ IMS操作盤
⽀援的保護システムの要件の検証
検証すべき要件項⽬ 確認事項 検出⼿段1 検出⼿段2 運転モード(定常・⾮定常)切替 運転モードの切替確認 IMS操作盤(メイン操作盤) キーSW
資格・作業権限の登録 資格・権限データ等登録 ⼊退場端末 RFID
⼊場時の資格・作業権限の確認 資格・権限データ等確認 ⼊退場端末 RFID
⼊場検知 危険エリアへの⼊場 ⼊退場確認センサ 各ゾーンへの侵⼊検知 各ゾーンへの侵⼊ ゾーン⼊退場検知センサ 各ゾーンでの資格・作業確認 資格・作業データ等確認 各ゾーン端末 RFID
各ゾーン作業時間の特定 変化点,継続 各ゾーン端末 ゾーン⼊退場検知センサ
⼊退場時間の特定 変化点,継続 ⼊退場確認センサ
退場検知 危険エリアからの退場 ⼊退場確認センサ 退場時の資格・作業・終了確認 資格データ等の確認 ⼊退場端末 RFID
各ゾーン(機械)の状態検知 動作,停⽌,スタンバイ他 IMS操作盤(メイン操作盤) シグナルタワー
異常時の処理 意図的不安全・無資格⾏動 ⼊退場確認センサ ゾーン⼊退場検知センサ
⾏動ログ ⼈の移動・操作・作業履歴,
シグナルタワーの状態 実験記録⽤カメラ シグナルタワー
① IMS 操作盤(1 台)
IMS操作盤は,支援的保護システムの中枢となるメイン操作盤である。本操作盤が非定常 運転モード時にプレスラインへの入場が可能となる。IMS操作盤には,操作用のタッチパネ ル及び操作コントローラ並びに各保護装置からの入力信号取りこみと,本システムの判断 をシグナルタワー及びその他の外部機器に出力する安全 PLC を搭載しており,入退場端末 やゾーン端末及びゾーン入退場センサ等の外部機器は,ODVA(Open DeviceNet Vender Association)の国際標準に準拠したEtherNet/IPとEtherCAT EtherNet/IP,EtherCATで接 続されている。写真4-2に IMS操作盤の外観を示す。
写真4-2 IMS操作盤の外観
② 入退場端末(1 台)
入退場端末は,プレスラインへ入退場する際に,あらかじめ端末内に登録された作業者の 資格及び作業権限の情報と作業者が所持するRF タグ内のデータとを照合し,作業者が宣言 する作業項目がその資格及び作業権限内で認められたものか否かを判断する。作業者の資 格及び作業権限は,マトリクス状のデータ形式で端末内のメモリに事前に格納している。入 退場端末には,作業者が所持するRF タグの情報を読み書きできる RFIDのリーダライタ,
作業者が作業開始登録と終了登録をするためのタッチパネル,操作キー及びラインの状態 が把握できるシグナルタワーを搭載している。本実証実験は作業者 1 人が 1 つのタスクを 行うため,操作キーは第三者による端末操作を防止し,ゾーン内での作業認可の役割を有す る。
写真4-3に入退場端末の外観,写真4-4に実際の現場での入退場端末操作の様子を示す。
タッチパネル
タッチパネル
写真4-3 入退場端末の外観
写真4-4 現場での入退場端末操作の様子
③ RFタグ(4個)
入退場端末及びゾーン端末における作業者の資格及び作業権限確認に用いた RF タグは,
4種類(A~D)である。本実証実験では,この4個のRF タグのメモリに,各々の作業者識 別情報を格納した。なお,使用したRF タグのメモリ容量は 1kバイトであり,運用上は作業 者の資格情報や作業権限情報をRF タグ側に持たせることも可能である。表4-2に各 RF タ
シグナルタワー
タッチパネル
RFID リーダライタ 操作キー
RFタグ
表4-2 RF タグと作業者資格情報,作業権限情報,作業可能ゾーンとの関係
RF タ グ 種類
作業者資 格情報
作業者権限情報
作業可能ゾーン 情報
プレ ス教 示
プレ ス型 交換
プレ ス段 取り
プレ ス調 整
搬送 段取 り
搬 送調 整
生産 修 理 清
掃 1 (UC)
2 (P)
3 (UL)
A 管理者 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
B プレス管
理者 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
C 搬送機械 管理者
○ ○ ○
D 清掃者 ○ ○ ○ ○
UC:アンコイラ P:プレス UL:アンローダ
写真4-5及び写真4-6にRF タグの外観を示す。なお,写真ではRF タグと操作キーが入 退場端末にかけてあるが,これは本実証実験のためであり,実際の運用では,RF タグは必 ず各作業者が個別に所持しなければならない。
写真4-5 RF タグの外観
写真4-6 RF タグの外観
操作キー
RFタグ
③ 入退場確認センサ(1 台+予備1 台)
入退場確認センサは,入退場用のゲート部に設置した。ゲートを境界にして,危険エリア の外側に 1台設置し,予備として危険エリアの内側に 1台を設置した(図4-4及び図4-5 参 照)。このセンサは,Time of Flight(TOF)方式である。近赤外線(850 nm)を投光し,対 象物から反射光を特殊イメージセンサで受光して距離を測定するため外乱光の影響を受け にくいという特長がある。
写真4-7に現場に専用取付治具で設置した入退場確認センサの外観を示す。
写真4-7 入退場確認センサの外観
図4-4及び図4-5には,現場の入退場確認センサ設置位置を示す。図4-4で示した下側
(柵の外側検知エリア)のセンサ出力を実験データとして使用した。図中の四角の枠で囲ん だ斜線の領域は,存在検知領域である。
図4-4 ドア(ゲート)部への入退場確認センサの設置(上部から見た図)
専用取付治具
入退場確認センサ2 (エリア内側:予備)
入退場確認センサ1
(エリア外側)
専用取付治具
図4-5 ドア(ゲート)部への入退場確認センサの設置(側面から見た図)
⑤ ゾーン入退場確認センサ(3 台)
ゾーン入退場検知センサとして,プレスライン内のゾーン 1,ゾーン2及びゾーン3 への 進入口に,それぞれ透過型のセーフティ(光電)センサ設置した。
写真4-8にゾーン入退場検知センサ(左:ゾーン3用検知センサ,右:ゾーン2用検知セ ンサ及びゾーン3用検知センサ)を取り付けた状態を示す。なお,取付方法については,実 証実験用として全てマグネットよる簡易取り付けとしている。
写真4-8 ゾーン入退場確認センサの設置状態
⑥ ゾーン端末(3 台)
ゾーン 1~3には,それぞれゾーン端末を設置した(写真4-9 参照)。
作業者は各ゾーンに進入した後に当該ゾーン端末に操作キーを差し込み,ON すると登録 受付状態になる。作業者はタッチパネルの表示に従い,RF タグをリーダライタにかざして 作業者 IDの認識を行い,あらかじめ入退場操作端末において登録した作業を選択すると作 業が開始できる。作業終了後には本端末で作業完了処理を行い,作業ゾーンから退場する。
写真4-9 ゾーン端末の外観
写真4-10は,作業ゾーンにおけるゾーン端末操作の様子である。
写真4-10 ゾーン端末操作の様子
操作キー
シグナルタワー
タッチパネル
RFID
リーダライタ
図4-6に IMS操作盤,入退場端末及びゾーン端末の内部構成概要を示す。内部は,ゾーン 入退場検知センサ及び支援的保護システムからの入力を受けて判断出力を行う,安全PLCで 構成される統合生産システムの一部並びに汎用PLCとRFIDリーダライタなどからなる支援 的保護システムに分かれている。
図4-6 IMS操作盤,入退場端末,及びゾーン端末の構成
図4-7は,各操作盤・操作端末の関係と接続方法の概要を示している。前述の通り,各装 置やセンサの基本的な接続インタフェースには, EtherNet/IPとEtherCATを用いている。
図4-7 IMS操作盤,入退場端末,及びゾーン端末の関係と接続方法
⑦ 実験記録用カメラ(1 台)
本実証実験の全容を確認するために,実験記録用カメラを設置した。このカメラの映像を 元に実際の人の動きや操作手順を確認し,各端末やセンサのデータと照合した。
写真4-11 は現場に設置した実験記録用カメラの外観を示す。
写真4-11 実験記録用カメラの外観