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女性役員・管理職の登用に関する制度的要因の検討

第 3 章 データでみる中国上場企業の女性役員・管理職の登用問題

4. 女性役員・管理職の登用に関する制度的要因の検討

94 分以下に下落したことが目立つ。

第 2 に,「管理層」,すなわち企業の意思決定権を持っていない機構においての女性の登 用率について,「独立取締役」,「監事」,「監事会主席」や「財務部責任者」の比率は,康(2007)

および張・関(2010)の研究結果との大きな差が見当たらない。

第3に,今までの諸研究のなかで取り上げられていなかった「明文化されていないもの」

における女性の登用状況について,①「工会」および「党委」における女性の登用率はほか の「明文化されていない職務」に比べて高い,②「工会」および「党委」に就く女性の半分 以上は「役員層」の職務を兼任している,③明文化されていない職務」のなかで,「紀委175」 という共産党の要職が存在しているが,その機構に就く女性が 1 人もいなかった,という 特徴が観測できた。

95 うかがわれる。

(1)法律の不備による管理者の権限が不明確である。

現行の「公司法」および,『職業分類大典』のなかで,企業における意思決定権を持つ 部門はだれか,そして各部門における意思決定権を持つ責任者はだれかを明確にする項 目が存在していない。

(2)企業の権力構造により監視機能を喪失した。

監事会の職権は不完全で,しかも重視されていない。表3-11のなかで示した株主総会 が任用する監事や監事会主席は,実は公司管理層に属する職員に過ぎない。そのため,本 来,独立性の高い監事は企業の管理層との間に支配関係が生じて,もともとの企業を管理 する機能を徐々に失った。したがって,現在中国の上場企業における監事は,実際は企業 の管理層から「管理層」に降格され,正常な監事資格を失った組織である。

(3)企業の労働者からの声が反映されず,労働者監督の機能がしていない。

現行の「工会法」によれば,企業におけるすべての従業員は自分の権利を維持するため に,工会をとおして経営管理者と交渉するべきであるが,しかし現実には,企業における 各部門の責任者の就任あるいは評価の権限が民主的な手続きを経ても,最終的な決定権 は企業の幹部に握られる。とくに,管理層に対する任免権も党組織にあるから,選考・評 価の決定権は事実上やはり党組織にあり,個人が持つ能力,業績や「管理層」部門の選考・

評価の効果はあくまでも参考とするものに変わったのである。

(4)人材市場の競争による管理層への登用制度が存在しない。

市場に上場する株式会社の管理層における要職は,ほとんど兼任の形で企業の意思決 定権を持つ職務についたため,人材市場で競争によって選任された経営管理の専門家で はなく,企業の管理職の登用制度に認められた人間である。女性たちは,専門知識を高め たり,経営業績をあげたりすることをとおして昇進する結果,企業の財務部,工会や監事 などの意思決定権のない「管理層」までしか上がらない可能性が大きい。すなわち,この ような登用制度の選考基準は能力や競争ではないという大きな問題が存在している。今 後中国企業における女性の昇進・登用にとって,この問題を解決しなければ,女性たちは

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「管理層」から役員層への登用過程において,グラス・シーリングを突破することができ ない。

小括

本章は中国上場企業における女性管理職の登用に着目し,2006年における 1434社の上 場企業の職務別女性の登用実態を統計することによって,企業における女性役員・管理職へ の昇任・登用プロセスに存在するグラス・シーリング現象を明らかにした。そして,女性役 員・管理職への昇任・登用を阻害する制度的要因を析出できた。また,法律の面から,企業 の職務や権限についての規定が曖昧である事実をとおして,法律上の不備により女性の役 員・管理職の登用実態が正しく認識されてないことを明らかにした。

企業の取締役会に就く多くの管理者は,企業の各部門や外部登用による企業の役員にな ることではない。多くの場合,まず,工会や党委などの党組織に入って企業の支配者の信用 を得てから,党幹部として企業の役員の兼任を経て,取締役会に入るケースが多い。

一方,本章の統計結果から見ると,多くの女性は,①をとおして,企業の工会や党委に入 ったが,②の段階を突破して取締役会に入ることができない,とくに,党組織の職務を兼任 していない女性取締役はさらに少ないという現象から,今後,中国企業における女性の役 員・管理職への登用と党組織の関係は,以下のようにまとめることができる。

第 1 に,意思決定権のない職務を担う「管理層」の女性は意思決定権の持つ管理層に昇 進・登用するプロセスにおいて,明文化されていない「企業責任者」が決めた昇進・登用制 度や昇進要件を満たさなければならない。

第2に,女性は企業の役員・管理職への昇進・登用意欲があっても,「明文化されていな い昇進・登用制度」の影響で,企業の意思決定権のない監事などの職務に就く可能性がある。

第 3 に,女性の役員・管理職への昇進プロセスのなかで見出されたグラス・シーリング は,第2の段階に存在している。現実では,多くの女性は「明文化されていない昇進・登用 制度」を経て党組織に入っても,そのグラス・シーリングを容易に突破することができない。

結局,大半の女性は役員層の予備軍として,長期的に意思決定権のない「管理層」で待機せ ざるを得ない。

以上のように,明文化されていない昇進・登用制度による工会や党組織などの共産党組織

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は企業の役員・管理職の登用に影響を与えている。女性の場合では,党組織に入ることは難 しくないが,より不透明な昇進・登用制度の影響で,彼女たちは,役員・管理職への昇進・

登用がなかなか実現されていない。

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