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第 7 章 聴解学習ビリーフに関する因子分析

7.2 聴解学習ストラテジービリーフに関する因子分析

7.2.1 因子構造

101

102 図 7.8 聴解学習ストラテジービリーフ因子のスクリープロット

103 表 7.6 聴解学習ストラテジービリーフの因子分析結果

質問項目 α係数 F1 F2 第1因子:能動的な聴き方志向

18.聴き取れないところは前後のつながりから推測する。

.846

.675 -.037

3.新しく聴いた言葉の音声を文字表記と結びつけて覚える。 .673 -.123

12.聴きながら内容のキーワードを探る。 .673 -.137

13.全体の意味や流れに注意して聴く。 .639 -.069

16.聴きながらこれからの内容を予測する。 .571 .038

17.話し手のイントネーションやボイスなどの、音声の特徴を手掛

かりに聴く。 .533 .096

14.まず聞き流し、再び繰り返して聴く。 .524 -.017

23.日本の映画やドラマ番組(ニュース)のビデオやDVDを見る

/日本の歌やラジオを聴く。 .500 .047

2.日本語を聴きながら頭の中で内容のイメージを作る。 .481 .134

5.音声を聴きながらシャドーイング練習をする。 .441 .182

19.視覚的資料がある場合はそれを見ながら聴く。 .431 -.001

20.既に持っている知識を関連づけて聴いて理解する。 .373 .228

第2因子:メタ認知と社会情意ストラテジー志向

33.聴き取れないところやわからないことについて教師や学習同 士に質問する。

.826

-.065 .710 34.間違えたところを先生に訂正してもらう。または、学習者同士

で訂正し合う。 -.014 .684

35.日本語が堪能な人と協力して聴く。 -.198 .610

32.緊張しないようにリラックスする。 .000 .606

29.聴いた後、自分がどう感じているか他の人と話し合う。 -.056 .588

30.上手く聞き取れた時、自分を褒める。 .141 .557

21.自分の聴解力を高めるための目標を立てる。 .155 .496

28.学習者同士と日本語で会話する。 .064 .466

22.計画を立て日本語の聴解に十分時間をあてる。 .234 .430

抽出された因子に高い負荷を示している項目の内容を参考にし、命名と解釈を行った。

第 1 因子(α=.846、12 項目)は、学習者は聴解学習の際に、学習効果に有効であると 思われている「推測」、「音声と文字の結びつけ」、「要約」、「全体の分析」、「聞き流し」、「シ ャドーイング練習」のような認知ストラテジー、「イメージを使う」、「文字表現と結びつく」

104 のような記憶ストラテジー(項目2,3)、及び言語的・非言語的手掛かりを使う補償スト ラテジー(項目 17、19,20)に関連する項目に対して大きな因子パターンを示す。学習 者の多様な「能動的」な聴き方を重視している姿勢が窺える。さらに、項目 23 がメタ認 知ストラテジーの一つであるが、聴解教科書以外の様々な「生」教材の必要性を重視する ものでるため、学習者の積極的な聴き方にも通じる。

これらのことから、因子1には、聴解学習の効果に役に立つ様々な聴き方の「能動性」

を求める傾向が見られるため、因子1を「能動的な聴き方志向」と命名した。

第2因子(α=.826、9項目)は、「聴解学習を計画する」のようなメタ認知ストラテジー

(項目21、22)、「他人との協力」、「質問」「自分の不安の減少」、「勇気づけ」のような社

会情意ストラテジー(項目28、29、30、32、33、34、35)に関連する項目に対して大き な因子パターンを示すため、「メタ認知と社会情意ストラテジー志向」と命名した。