レポートの作成を開始する前に、レポートが提供する情報のアウトラインを描きます。レポートの概要を定める にあたり、次のセクションを参考にしてください。
注
レポート (.rpt) ファイルには重要なビジネスデータが含まれている場合があります。以下の方法のいずれかを 使用して、ファイルへのアクセスを保護することをお勧めします。
• SAP BusinessObjects Business Intelligence プラットフォームサーバを使用してファイルを管理する。
• ファイルセキュリティを適用する。
• オペレーティングシステムレベルの暗号化を適用する。
4.2.1 目的の明確化
レポートの全体的な目的は何ですか?
レポートは管理ツールです。レポートの目的は、生きたデータを使って各個人が重要な要素や関連性を把握 し、有効な決断を下せるようにすることです。効果的なレポートを作成するには、適切なデータを論理的に提供 しなくてはなりません。誤ったデータを提供したり、正しいデータでも無計画に提供すれば、処理の決定が遅 れたり、誤った判断を招くことになります。
レポートを作成するには、最初に、そのレポートの目的を数行の文書に書き出してみることをお勧めします。そ れによって要点が見つかり、レポートに求められるものを把握できます。
次は、レポートの目的に関する文章の例です。
• このレポートの目的は、各営業担当の月間および年間売上を示し、本年度と昨年度の実績を比較すること である。また、会社の標準売上に満たない営業担当にはフラグを付ける。このレポートの目的は、在庫に対 して各商品の売上実績を示し、その実績に基づいて追加発注の量を決定することである。
• このレポートの目的は、ボーリング チームの各メンバーの平均成績やハンディキャップを計算することであ る。
• レポートを作成する前に目的を明確にしておくことは、すべての過程の中でも重要なステップです。
明確な目的のないレポートは、議題のない会議のようなもので、まとまりがなく成果もないものになります。
レポートを参照するのはだれですか?
1 つのレポートでも大勢の人が目を通します。たとえば、詳細な企業全体の売上レポートは、営業担当者、地 域営業部長、本社営業部長、最高責任者などによって読まれます。
それぞれの人々は、立場によって違った局面からレポートを参照します。
• 営業担当者は、各自の営業成績を評価し、地域内の他の営業担当と比較します。
• 地域営業部長は、地域の営業担当者を評価し、その地域の成績を他の地域と比較します。
• 本社営業部長は、地域営業部長の成績を評価し、全体の売上を現在の売上予測と比較します。
• 最高責任者は、マーケティング担当の副社長と営業部門全体の成績を評価し、増産の必要性や倉庫立地 などの計画を立てます。
参照するレポートの内容は、人によって異なるため、それぞれの個人に必要な情報が含まれるレポートを作成 することが重要です。
4.2.2 レポートの構造の決定
レポートのタイトルはどうしますか?
レポートに仮のタイトルを付けます。プロトタイプ レポートの作成の際は、この仮のタイトルを使用し、後でタイト ルを変更します。
ヘッダーとフッターに必要な情報は何ですか?
印刷日、レポートの作成者についての情報、レポートの目的についての説明、カバーしているデータの範囲な どを入れます。このような情報を入れる場合は、それを書き出して、プロトタイプを作成する際に使用できるよう にします。
情報は、使用の目的に応じてさまざまなソースから入手できます。
• レポートの作成者に関する情報は、結果フォルダの個人の結果オブジェクトから取得できます。結果フォル ダから取得する場合、どのフォルダから取得しますか。またはどのフォルダを組み合わせて取得しますか。
• テキストはテキスト要素として作成でき、レポートの任意の位置に配置できます。
• Crystal Reports は、印刷日やページ番号などの情報を生成できます。
4.2.3 データの決定
レポートで何のデータを使用しますか?
レポートの基になるデータソースの種類を知っていますか。使用するデータソースの種類が不明な場合は、社 内の関係者にたずねてデータソースの種類と位置を確認し、必要に応じてそのデータソースにアクセスできる ように設定します。
データを熟知し、必要な情報を見つけられますか。得意先の名前を検索するときに、結果フォルダでオブジェ クトを見つけられますか。
見つけられない場合は、データのことがよくわかるようになるまで、MIS 専門家、データソース管理者、同僚な どの手助けが必要になります。
レポートの本体には具体的にどのようなデータを表示しますか?
レポートの本体には、レポートの目的を満たすために必要なすべてのデータを入れる必要があります。また、対 象とするさまざまなユーザに必要なデータをすべて入れる必要があります。
このステップでは、利用可能な結果フォルダについて調査します。Crystal Reports では、複数の異なるデータ ソースから取得したデータをレポートにまとめて表示できるため、作業を柔軟に行うことができます。
• 通常のレポートでは、ほとんどのデータを直接結果オブジェクトから取得します。どの結果オブジェクトを使 用し、それらはどこにありますか。
• その他のデータは、結果オブジェクトに基づいて計算されます。計算にはどの結果オブジェクトを使用しま すか。
• さらに、テキスト要素を使って直接レポートに挿入するデータ (見出し、メモ、ラベルなど) もあります。
データは既に存在していますか、それとも計算する必要がありますか?
情報には、結果オブジェクトから直接引き出すことができる情報 (売上情報など) と、結果オブジェクトの値に基 づく計算が必要な情報 (売上と歩合に基づく売上手数料など) があります。計画の段階で、直接使用できる データと計算の必要なデータを分けておくか、データにフラグを付けておくと便利です。
オブジェクトの型は何ですか。
計算で使用する結果オブジェクトのデータ型を調べておく必要があります。式の関数と演算子は特定の種類 のデータを計算の対象とするので、計算を始める前に、対象とするデータの型を認識しておくことは重要です。
たとえば、数値型のデータを要求する関数もあれば、文字列オブジェクトだけを計算の対象とする関数もありま す。
4.2.4 データの操作
データをグループごとに分類しますか?
どのように分類しますか。顧客ごと、日付ごと、階層ごと、またはそれ以外の条件で分類しますか? Crystal Reports では、レポートでデータをグループ化するためのオプションがいくつか用意されています。
レコードまたはグループ値に基づいてデータを並べ替えますか?
Crystal Reports では、どちらの並べ替えでも行うことができます。
レポートを特定のレコードやグループだけに基づいて作成しますか?
Crystal Reports では、レポートにデータソース中の全レコードを利用することも、一部のレコードだけを利用す ることもできます。Crystal Reports では、単純な日付範囲指定や比較によってレコードをフィルタすることも、取 得するレコードを特定するための複雑な式を定義することもできます。データのフィルタはクエリパネルで実行 できるほか、パラメータやインタラクティブフィルタをレポート上で使用することによって行うこともできます。レポー トにどのようなレコードが必要かを考え、レコードをフィルタするための基準をリストしてみてください。
合計を出しますか?
レポートの任意の列にあるすべての値の総計、平均、件数、最大値、または最小値を求めますか。
Crystal Reports では、これを行うことができます。また、選択した列の一番下に総計(またはその平均や件数な ど)を配置できます。
レポートのどの情報にフラグを付けますか?
レポートにフラグを付けて、注意を促すことができます。たとえば、在庫レポートでは、移動のない在庫品にフラ グを付けて、特に注目させることができます。先月、過去 3 か月、またはその他の期間を指定して、移動のな い在庫品にフラグを付けることもできます。情報にフラグを付ける場合は、フラグを付ける情報とその条件を明 確にします。
どのように情報にフラグを付けますか?
アスタリスク(*)やその他の記号で項目にフラグを付けたり、フラグとして言葉を表示することもできます。どの場 合も、フラグの内容を書き留めておくと便利です。
Crystal Reports では、レポートの要素に下線を付けたり、特定のレポート要素に使用されるフォントの種類、サ イズ、または色を変更できます。また、要素の周りに枠線を付けたり、線やボックスを描画してレポートをセクショ ンに分けたり、見出しをはずしたりできます。これらの書式設定ツールを使用すると、レポート上の重要データ を強調表示できます。