奈良教育大学学術リポジトリNEAR
ALT‑PE観察法の簡便化に関する検討 −特に観察生 徒数の制限と観察インターバルの拡大について−
著者 岡沢 祥訓, 高橋 健夫, 大友 智, 清藤 昭裕, 吉本
真
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 39
号 1
ページ 71‑82
発行年 1990‑11‑26
その他のタイトル A Study on the Simplification of the ALT‑PE Observation System
URL http://hdl.handle.net/10105/1835
奈良教育大学紀要 第39巻 第1号(人文・社会)平成2年 Bull. Nara Univ. Educ, Vol. 39, No. 1 (cult.ft soc), 1990
ALT‑PE観察法の簡便化に関する検討
一特に観察生徒数の制限と観察インタ‑バルの拡大について‑
ill ll‑こ 杵
(奈良教育大学体育学教室)
I"I 抽 肝 )≡
(筑波大学体育科学系)
大友 智・清藤昭裕
(東 大 寺 学 園) 芳 本 其 (高 田 東 高 等学校)
(平成2年4月28日受理)
I 緒 言
体育授業研究の科学化を図るために、近年数多くの組織的観察による授業の過程分析法が開発 されてきている2)。 これらの授業分析法を用いた授業研究は、授業過程を客観的に分析するこ とによって研究を進めていくため、研究者や授業者が持つ予めの偏見や主観的判断に左右されず に授業に存在する法則を検出することができるという利点を持っている。それらの授業分析法の 中でも、 1979年にシーデントップらによって開発されたALT‑PE (Academic Learning Time in Physical Education)観察法は国際的な注目を集め、これを適用した多くの研究結果 が報告されているl)0
ALT‑PE観察法は、体育授業で起こる生徒の学習行動を一定のカテゴリーに分類して観察・
記録するプロセス分析法であり、体育授業における生徒の学習行動に焦点を当て、それらを客観 的に分析することによって体育授業の実態や問題点を明らかにしようとする授業分析法である。
ALT‑PEとは、 「生徒が体育的内容に有効かつ成功裡に従事する時間の割合」 4)と定義され ている。そして、このALT‑PE量が多いほど学習成果も高くなるという仮説に立っており、
それを高めるためのストラテジーが模索されている6)0
我々も過去数年間にわたりALT‑PE観察法を用いて多くの体育授業を分析し、いくつかの 事実を確認してきた5),8)。 例えば①ALT‑PEの各カテゴリーの数値は諸外国での分析結果 とはぼ一致すること;②教師の研修の量(熟練度)によってALT‑PEの値が変動するため、
この観察法が教師の教授技能を評価したり、効果的な授業技術の開発に有効であること; ③教材 (運動領域)の種類によって生徒の学習行動が大きく変化し、 ALT‑PEを高めやすい教材と そうでない教材のあること; ④男子生徒は女子生徒に比べてより黄極的に運動学習に取り組むこ と;(9学習場所(屋内と屋外)の相違はALT‑PEに影響し、屋内の授業の方がALT‑PE の値が高くなること;⑥クラスの人数が大きくなるとALT‑PEにマイナスに作用し、人数が 比較的少ない方が授業の効率がよくなること; ⑦ALT‑PEと生徒の授業評価との間に正の相 関関係があること等々である。これらの研究結果は、 ALT‑PE観察法がより良い体育授業を
71
72 岡沢祥訓・高橋健夫・大友 智・清藤昭裕・芳木 裏
求める授業研究に有効な授業分析法であることを示していると考えられるo また、このALT‑
PE観察法は単に授業研究だけでなく、教育実習生の指導や、現職教員の研修に有効なフィード バック情報を提供し、彼らの教授技能の改善に役立っものと思われる。
しかし、このALT‑PE観察法は使用上いくつかの難点を有している。すなわち、 ALT‑
PE観察法は通常授業観察と並行して分析をおこなうインターバル・レコーディング・システム (6秒インターバル記録法)である。したがって6秒間で対象となる生徒を捜し出し、次の6秒 間内にその生徒行動を分析‑記録し、加えて次の対象となる生徒を捜し出さなければならない。
このことは、例えば学習場面がグラウンドといった非常に広い範囲にわたっている時には、 6秒 間で分析一記録しさらに次の分析対象となる生徒を捜し出すことは困難であること、また、授業 中に起こりうる生徒行動を十分に予測できないため、その短いインターバルで観察一分析するこ とが困難であること、などの問題がみられた。このような理由で、我々は一度VTRに収録し、
後に研究室で再生、分析を行ってきた。 ALT‑PE観察法を授業の実態把瞳という研究目的で 使用する場合はV T Rを使用すればこの問題は解決されるが、教育実習生の授業評価の資料や現 職教員の研究授業の討議材料として授業後すぐに利用される資料を提示していこうとする場合に は使用することは困難であるといわざるをえない。それゆえ、観察インターバルをその場で観察
‑分析できるようなインターバルに広げる必要があると思われるo
また、 ALT‑PE観察法では原則として1授業を3名の観察者によって9名の学習者を観察 することになっている。しかし、 1授業の観察にいっも3名の観察者を配置することはかなり困 難なことである。この条件を満たさなければならないとするならば、研究環境の整った小数の研 究者にしか利用されないものになってしまう。我々も小学校の授業の観察一分析にはいくつかの 研究3),7)が2名で行っているという理由で観察者を2名にして行っている。空き時間に同僚教師 の授業を分析しお互いに研修していくための道具として、現職の教師集団にも容易に利用でき、
多くの授業研究に利用していくためには、この観察者の人数を少なくする必要があると思われる。
このような問題を克服するために、本研究では、標準化されたALT‑PE観察法によって得 られたデータと観察者の人数を制限したり、観察のインターバルをより大きくして得られるデー タとを比較することによって、 ALT‑PE観察法の簡便化の可能性について検討した。
II 方 法 [1Kサ;∃
ALT‑PE観察法の簡便化に利用したデータは、小学校については79授業、中学校について は40授業を対象とした。
*M:¥ 昔
小学校の授業の観察は、昭和62年5月上旬から10月下旬にかけて、また中学校の授業の観察は、
昭和61年5月上旬から10月上旬にかけて行われた。
3. ALT‑PE観察法による記録・分析法
本研究では、 Metzler4>およびBirell"によって詳説されたALT‑PE観察法に従って、各授 業を小学校については2台、中学校については3台のVTRで収卑し、後で研究室で再生・記録
した。
表1に示した3次元21カテゴリーからなるALT‑PE観察法に従って、授業中の生徒行動を
ALT‑PE観察法の簡便化に関する検討 表1 ALT‑PE観察法のカテゴリーとその定義
f t
捜
内
容
の
吹
待機 移動
7 * ‑ ;! y y h 休‑‑
. 実軌 こ授業が開始 され る前や、ある学習 と次の学 習の間 の、何 も学習活勤が行 われていない期間。( 例 : 授業の始まるのを生徒か待 ってい る。)
般
. ある活動か ら他の活動へ と移 っていく期間で、次の活動に移 るために整列す る よ うな活勤 も含む。(例 : 生徒か体 育飴か らグラン ドに移 動。)
的 . 教授活動.' 関係な く、 クラス運営にあて られ るよ うな時間。(例 ‥授業中に、ス
ポ l ツ会議の代 表者を連出す る。)
内 . 休 憩 させた り、水 を飲 ませた りすることが、意図 的LE 設定 され る期間。 このよ
うな活動は教師の栂示によ って始め られなければな らないe
容 学習a a te 開床のない指導 . 援集の焦点 とtl つてい る諜頚とは開わ りのない活動。(例 : ク ラス親善のための 活動や淡舌。)
体
育
個人的 技能凍習 集団的技能練習
ゲーム
. 個人 的な技能発達 を主な 目的と した ド‑) ルや活動への参加。(例 : テニスのサー プの練習。)
. 持導や フィー ドバ ックが頻繁に起 とるよ う.C 設定 されたグル ープ練習。 ある具 体的な課膚を もった模擬的 . 修正的 なゲ ームを含tT 。ハー フコー トでのJ < スケ
トのゲ l ムやパ レl ポールの 3 段攻撃の練習。
. ゲl ムという場面での棲習。(例 :修正されていないゲ ‑ ムや睦 上丘技での巴銀会。) 的
体操 . トレーニ ング 知的清動
社会的行動
その他の運動活動
. 体力向上のための反復的活軌 ス トレッチのよ うなウ * ‑ ミング . ア ップや ク
‑ リン9 . . ダ ウンといった活動を含む。
. 技術、体力、あ るいはスポーツの歴史的背景等 々についての知識の持都 C あて
内 た活動。( 例 ‥教師 か走 り将跳びの技術について現明して いるe )
. 社会的行動や態度に焦点のあ る活動。(例 : 教師か 「これ か ら行 うゲームは、 タ フt
容
ラス メー トをお互いかよ りよく知 りあうためにや ります」と説明 した後で、薪 しいゲ I ムを行 うような場合; ゲ ームの前後の挨拶e )
. その 日の授業の El房とは開床のない運動 によ る清勤。(例 : 器械運 動の授業の最 後の10 分間に、生徒が教師の許可を得て/< スケ ツ トポ‑ ルを行 う。)
学 従
事
運動への従事 間接的活動
認知的活動
. 生徒が技能臓習を行って いる。(例 ‥テニ スのサー プレシl プ; / < スケ , トの シ ユ、 トで失敗。)
. 生徒 は活動に従事 してい るが、直接 的な行為では参加 していない。(例 : 技能線 菅の蕨に、他の生徒の補助をする; 弟立て屈伸の回数を教えてやる; サ ツかI
育 のゲ ●ムで ポl ルが拍手 サイ ドにある時の ゴールキ ‑ パ ーのプ レイ; ゲl ム中
に積極的 にプレイに参加せず、立ち止 まってい る ; 走 り幅跳びの記錘の測定。) . 教師 に関係のあ る辞知的活勤で、説明を聴 いたり、東関を した り、答えたり、
n r 考え たりす るよ うな活動を含んでいる。(例 : マッ トの回転技についての教師の
戟
説明を聴 く; 生徒がテニ スのバ ックハン ドス トt] l クの しかたを説明する。)
罪 合い間
f t ォ
諌癌か らはずれている
. 体 育的 内容 (活動) であるが、そこに指導的 な内容が含 まれていない活動。(e I
の : テニスコl トで コー トチ ェンジしている; / < ドミン トンでの得点と次のサl
プまでの間。)
次 従
. 生徒か活動のための指導 や扶助を待 つT いたり、再び活動に参加するために持 捜 してい る期間。(例 ‥サーブ練習をするために並んで待 ってい る; ゲームでの 補欠; 教師の指導を持 っている。)
フC
事 . 生徒が援糞 から不適切.C 解放 されている期間。(飼 : 生徒が畿序の許可な しに7k
を欽与に行 く; 鼓師の説明を葛かすに、友人 としゃべ っている.. 技能績野中に ふ ざけて いる。)
の 困 容易に成 功 ( A L T ‑ P E ) . 誤 りがほとんどなく、適 切̀C 行動 している。 また成功を経験 している0
$ m どちらともいえない . 容易であ るとも、困Jt であるともいえないよ うな速成行為。
元 度 大 きな困義 . 失敗 . 多 くの誤 りが生 じ、生徒は貞切に行動 していない。 また成 功を庄壊 していなし、
73
箱定義は下記の2つの鎗文に毒づいている。例示については若干の補足を行った.
Met=ler, M.W., The measurement of academic learning time in physical education, Doctoral d由sertation.
University Microfilms International. No.抑9314: Michigan, 1979.pp. 42‑45.
Birdwell, 0.M., The effects of modification of teacher behavior on the academic learni叩time of selected students in physical education. Doctoral dissertation, University Microfilms International, No. 8022239: Michigan. 1980.pp. 43‑48.
74 岡沢祥訓・高橋健夫・大友 智・清藤昭裕・芳木 裏
6秒インターバルで観察・記録した。つまり、 1授業時間の全体を12秒1単位とし、 6秒間で観 察し、次の6秒間で記録した。 1分間で5つのイベントを記錬したことになる。なお、 6秒間に
2つ以上のイベントが観察された場合には、 ALT‑PEに有利なイベントが優先的に記録され た(a prior system)。
1台のVTRで無作為に抽出された3名の児童が観察された。つまり、 12秒毎に対象児童を変 え、 36秒間で3名が一巡するように観察された。なお、本研究では、小学校については2台のV TRで観察したので1授業について6名の児童が、中学校については3台のVTRで観察したの で1授業について9名の生徒が観察されたことになる。
次に、記録のとり方について説明すると、 1インターバル(6秒間)の間に、まず「内容次元」
を観察し、 「一般的内容」か「体育的内容」かを判別・記録する。そして「体育的内容」に記録 した場合にのみ、第2の次元の「生徒の学習行動」 (従事、非従事)を観察・記録する。さらに、
この次元で生徒の学習行動が「従事」と記録された場合には第3次元に進み、従事行動の「困難 度」を三段階(成功、どちらともいえない、失敗)で評価・記録する。
このようにして記録された各カテゴリ‑のイベント数を授業全体の単位数(授業時間/12秒) に対する割合で表示した。そして、 「困難度」の次元の「容易に成功」の割合をALT‑PEと した。さらに、 ALT‑PEの下位カテゴリーとして「運動のALT (体操・トレーニングを含 む) 」と「主運動のALT (体操・トレーニングを除外した中心教材の運動に関するALT) 」
を算出した。
なお、小学校では2名、中学校では3名の観察・記録者の信頼性を保つため、 S‑ I法R2)に基 づいて信頼性テストを実施し、観察者相互間の一致率の基準(80%以上)が充足されるまでトレー ニングを繰り返した。
4.統計処理
結果の処理は京都大学大型電算機センターのS P S Sプログラムパッケージを用いて行われた。
III 結果と考察 1.平均値を求める場合に関して
まず最初に授業研究のように多くの授業の平均を求めるような場合において、観察者を少なく することができるのかどうか、観察インターバルを長くすることができるのかどうかを検討する ことにする。
(1)対象生徒数に関して
ALT‑PE観察法を用いて体育授業を観察・分析する場合、我々は現在、対象とする生徒 数を、 9名(中学校)あるいは6名(小学校)で実施している。ここでは、対象となる生徒数
を削減できるかどうかについて、検討する。
1)小学校について
小学校では、対象生徒数は2台のVTRに収録された6名であった。 ALT‑PE観察法の 各カテゴリーについて、 VTR2台6名と2台のVTRの内からランダムに選択されたVTR
1台3名で算出された結果の比較をt検定によって行った。表2に示されているように、全て のカテゴリ‑において、殆ど差は見られず、もちろん有意差もみられなかった。この結果から、
小学校についてはランダムに選択された3名の児童によってその授業で生み出されるALT‑
表2 観察VTR台数の違いによるALT‑PI∃観察法の各カテゴリーの結果
小 学 校 2 台 小 学 校 1 台 中 学 校 3 台 中学校 2 台 中 学校 3 台 中学 校 1 台
(N=79 ) 僧 (N=79 (N=40 ) 値 (N4 0 ) (N=40) 値 (N=40)
I
f t 授
内 容
の 吹
7C
一 般 的 内容 3 2.17 10 .69) 0 .08 32 .04 (ll .15 36 .3K 8 .40 ) ‑0 .22 36 .74 9 .00 36 .3K 8 .40 ) 0 .04 36 .24 9 .6 2) 待 桟 4 .2K 3 .94) 0 .06 4 .17 ( 4 .22 3 .76 ( 3 .72 ‑0 .38 4 .11 4 .44) 3 .76 ( 3 .72 0 .21 3 .58 ( 4 .08 ) 移 動 8 .68 ( 4 .25) ‑0 .13 8 .77 ( 4 .23 9 .30 ( 5 .57) 0 .00 9 .30 5 .61 9 .30 5 .57 ) 0 .09 9 .17 6 .21) マ ネ ー ジ メ ン ト 18 .49 9 .05 ) 0 .11 18 .33 C 9 .42) 21 .24 C 8 .30 ) ‑0 .0 1 2l.27 ( 9 .18) 21 .24 C 8 .30 ) 0 .00 21 .23 9 .48 ) 休 憩 0 .00 0 .00 ) 0 .00 0 .00 0 .00 0 .00 ( 0 .00 0 .00 0.00 0 .00 ) O .OO C O .OO ) 0 .00 0 .00 ( 0 .00 ) 学 習 課 題 に関 係 の な い 指 導 0 .78 C 1.43 ) 0 .10 0 .76 ( 1 .39 2 .0 1 3 .28 ) ‑0 .07 2 .07 3 .52 ) 2 .O K 3 .28 ) ‑0 .28 2 .25 4 .22) 体 育 的 内容 67 .84 (10 .69 ‑0 .08 67 .97 (ll .15 ) 63 .69 ( 8 .40 ) 0 .22 63 .26 ( 9 .00 63 .69 ( 8 .40 ) ‑0 .04 63 .76 ( 9 .6 2 個 人 的 技 能 練 習 26 .58 (16 .24 ) ‑0 .08 26 .77 (16 .19 21 .9 1(18 .6 2) 0 .19 21 .14 (18 .56 ) 21 .91 (18 .62 ) ‑0 .20 22 .75 (19 .88 ) 集 団 的 技 能 練 習 4 .74 10 .84 ) 0 .06 4 .64 10 .57 4 .79 10 .74 ) 0 .08 4 .60 10 .5 1 4 .79 10 .74 0 .17 4 .38 10 .49 ゲー ム ll .10 14 .35 ) 0 .03 11 .03 (14 ▼46 ) 21 .18 25 .95 ) ‑0 .09 21 .71(25 .97 ) 21 .18 25 .95 ) 0 .09 20 .69 (25 .52) 体 操 . トレー ニ ン グ 6 .44 ( 5 .77 ) ‑0 .03 6 .47 5 .80 ) 4 .87 ( 5 .01) ‑0 .10 4 .98 ( 5 .07 4 .87 5 .0 1) ‑0 .15 5 .04 ( 5 .34) 知 的 活 動 17 .5 2 13 .54 ‑0 .04 17 .60 14 .08 10 .67 10 .82 0 .03 10 .59 (10 .93 ) 10 .67 (10 .8 2) 0 .0 1 10 .65 (ll .31) 社 会 的 行 動 1.46 C 2 .97 ) 0 .01 1 ‑45 ( 3 .01 0 .27 C 0 .53 ) 0 .33 0 .24 C 0 .45 ) 0 .Z7 C 0 ‑53 ) 0 .25 0 .24 ( 0 .47 )
早
学習 課 題 に 非 従 事 3 1 .43 (10 .44) ‑0 .05 3 1.5 1(10 .50 ) 3 2.92(10 .23 ) 0 .04 32 .33 (10 .33 3 2.9 2(10 .23 ‑0 .06 33 .05 (ll .69) 合 い 聞 10 .87 6 .93) 0 .11 10 .75 C 7.10 17 .67( 8 .57) 0 .24 17 .2K 8.77 17 .67 ( 8 .57 ‑0 .20 18 .09 (10 .26) a 待機 17 .87 ( 9 .85 ) 0 .05 17 .79 (10.60 ) 14 .21 10 .64 ‑0 .13 14 .54 11 .10) 14 .21 (10 .64 ) 0 .10 13 .99 (10 .27 行
m の
* 冗
謙 遜 か らはず れ て い る 2 .68 3 .12 ‑0 .5 2 2.97 3.6 1 .03 1 .15) ‑0 .18 1.09( 1 .43 1 .03 C 1 .15) 0 .16 0 .98 ( 1 .74) 学 習 課 題 に従 事 36 .41 (13 .97 ) ‑0 .0 2 36 .46 (14.33 ) 30 .77 10 .29) 0 .15 30 .43(10 .54 ) 30 .77 (10 .29 0 .03 30 .7 1(10 .50) 運 動 での 反 応 14 .38 7 .74 ) ‑0 .32 14.80 1 8 .75 ll .71 6 .13) 0 .08 11.59 C 6 .67) ll .7K 8 .13) ‑0 .03 11 .76 7 .70 間 接 的 活 動 4 .28 6 .13 ‑0 .02 4 .30 ( 8 .39 ) 9 .37 9 .20 ) 0 .0 1 9.35 9 .18) 9 .37 ( 9 .20) ‑0 .03 9 .43 ( 3 .99 認 知 的 活 動 17 .74 12.08 ) 0 .20 17 .36 (ll .85 ) 9 .69 7 .83 ) 0 .12 9.49 C 7 .97) 9 .69 ( 7 .83) 0 .10 9 .52 8 .18) A
L T
容 易 に成 功 (ALT ‑PE ) 34 .28 13 .67 ) 0 .12 34 .02 (13 .90 ) 27 .78 ( 9 .70 ) 0 .10 27 .56 9 .75 27 .78 ( 9 .70) ‑0 .10 28 .01 (10 .01) ど ち らと も い え な い 0 .98 ( 1.09 ) ‑0 .77 1 .13 C 1.44) 0 .89 ( 1.17 ) 0.03 0.88 ( 1 .38 0 .89 ( 1.17) 0 .07 0 .87 1 .30) 大 き な 困 難 . 失 敗 1.16 ( 1.7 4) ‑0 .48 1 .31 2 .21 2 .09 1.48 ) 0.3 1 1.99 ( 1 .59) 2 .09 C 1.48 ) 0 .65 1 .83 C 2 .08) 運 動 の ALT 12 .IK 6 .73 ) ‑0 .12 12 .24 C 7 .46) 8 .34 4 .78 ) ‑0 .0 2 8.87 ( 5 .25) 8 .84 ( 4 .78 ) ‑0 .24 9 .15 C 6 .50 ) 主 連 動 の ALT 7 .39 5 .77 ) ‑0 .17 7 .56 ( 6 .53) 4 .70 ( 3 .58 ) 0 .25 4 .50 3 .72) 4 .70 C 3 .58 ) ‑0 .0 8 4 .78 ( 4 .75 )
AL T‑ PE 艶親 許o )轟 寓J LR Bg ヰか 藩型
76 岡沢祥訓・高橋健夫・大友 智・清春昭裕・芳本 其 PE観察法の各カテゴリー値を求めても問題はないと考えられる0 2)中学校について
中学校については、対象生徒数は9名であった。 ALT‑PE観察法の各カテゴリーについ て、 VTR3台9名とVTR3台の内からランダムに選択された2台のVTRで観察された6 名のデータで算出された結果、及びVTR3台9名と3台のVTRの内からランダムに選択さ れたVTR1台3名で算出された結果の比較をt検定により行った。表2に示されているよう に、 ALT‑PE観察法の全てのカテゴリーにおいて殆ど差がなく、有意差は認められなかっ た。このような結果から、中学校段階でランダムに選択された3名の生徒の学習行動を観察す ることによってALT‑PE観察法の各カテゴリーの値を求めても問額はないと考えられる。
以上の結果から、小学校、及び中学校段階でAL T‑PE観察法を用いて授業中の生徒行動 を観察する場合に、観察の対象となる生徒数を3名として実施しても平均値を求める場合には 大きな問題はないと考えられる。
ただし、人数が制約されると観察生徒の技能や態度に偏りが生じる危険性が大きくなるため、
対象生徒をランダムに選択するかどうか検討する余地がある。研究目的によって一概にいえな いが、技能や授業への態度などに偏りがないよう、授業前に担当教師と打ち合わせ対象生徒を 特定する方法を採用することも考えられる。
(2)観察インターバルに関して
観察時間・記録時間について、 ALT‑PE観察法ではインターバル・レコーディング・シ ステムを用いており、 6秒間観察し次の6秒間で記録するという6秒インターバル記録法を取っ ている。この方法を採用すると、 12秒間を1単位として1分間で5単位観察記録を行っている ことになる ALT‑PE観察法では3人の対象生徒を順次観察・記録していくので、観察を 終え記録するために用意された次の6秒間の内に観察した行動の記録と、次の観察の対象とな
る生徒を体育館あるいはグラウンドといった大きな空間の中から捜し出さなければならない。
このように、記録及び対象生徒の発見のために費やされる時間が6秒間であるということは、
ALT‑PE観察法に熟練し、さらに生徒の特徴をよく掴んでいるものでなければ、非常に短 いと考えられる。
このような問題を解決するために、ここでは観察インタ‑バルを長くできないかどうかを検 討する。
比較的余裕をもって観察分析ができる時間間隔であること、従来のALT‑PE観察法のデー タを基に検討するので48秒インターバルに伸ばせるかどうかを検討する。 48秒インターバルで は、対象生徒を6秒間観察し、次の42秒間でその行動を分析・記録しさらに次のインターバル で観察の対象となる生徒を学習場面から捜し出すことになる。
1)小学校について
ここでは、 2台のVTRで収録された6名の生徒に対して6秒インターバル記録を利用して 算出されたALT‑PE観察法の各カテゴリーの基準データと、 2台のVTRからランダムに 選択された1台のVTRによって収録され、 48秒インターバル記録を利用して算出されたAL
T‑PE観察法の各カテゴリーの結果をt検定を用いて比較した。表3に示されているように、
全てのカテゴリーについて殆ど差がみられず有意差は認められなかった。この結果から、小学 校については、対象生徒数は3人で、しかも48秒インターバルでALT‑PE観察法の各カテ
ゴリー値を求めても殆ど閉居はないと考えられる。
ALT‑PE観察法の簡便化に関する検討 77
表3 ALT‑PE観察法の各カテゴリーにおける基準データとVTR1台48秒インターバルデータとの比
;3S
小 学 校 2 台 1 台 .4 8 秒 中 学 校 3 台 1 台 ー48 秒
(N = 7 9 ) 億 (N = 7 9 (N = 4 0 億 (N = 40 )
教
撹
内
容
の 吹
冗
一 般 的 内 容 3 2 .1 7 (1 0 . 69 ) ‑ 0 . 26 3 2 .6 2 (l l .4 7 3 6 .3 1 8 .4 0 ‑ 0 .0 4 3 6 .4 0 9 .93
待 機 4 .2 K 3 .94 ) ‑ 0 .24 4 .3 7 ( 4 .65 ) 3 .7 6 3 .7 2 0 .0 6 3 .7 1 4 .3 0 移 動 8 .6 8 ( 4 .25 ) ‑ 0 .3 5 8 .9 4 ( 5 .15 9 .3 0 ( 5 .5 7 ) 0 .0 9 9 . 17 ( 6 .7 9 マ ネ ー ジ メ ン ト 1 8 .4 9 ( 9 .0 5 ) ‑ 0 .0 6 1 8 .5 8 ( 9 .90 2 1 .24 8 .3 0 ) 0 .0 1 2 1 .2 3 1 9 .9 2 ) 休 憩 0 .0 0 0 .00 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 ) 0 .0 0 0 .0 0 1 0 .∞ ) 学 習 課 題 に 関 係 の な い 指 導 0 .7 8 ( 1 .43 ) 0 .24 0 .7 2 ( 1 .6 0 2 .0 1 3 . 28 ‑ 0 .3 2 2 .2 9 4 .3 9
体 育 的 内 容 6 7 .8 4 (1 0 .6 9 ) 0 .26 6 7 .3 8 (l l .47 6 3 .6 9 C 8 .4 0 ) 0 .0 4 63 .6 0 9 .9 3 個 人 的 技 能 蹄 習 2 6 .5 8 (1 6 .2 4 ) ‑0 .0 3 2 6 . 65 (1 6 .13 ) 2 1 .9 1 1 8 .6 2 ‑0 .14 2 2 .5 3 19 .7 5 集 団 的 技 能 練 習 4 .7 4 (1 0 .8 4 ) 0 .0 7 4 .6 2 1 0 .5 1 4 .7 9 1 0 .7 4 0 .09 4 .5 9 10 .6 5 ゲ ー ム l l . 10 (1 4 .3 5 ) 0 .14 1 0 .7 9 (1 4 .08 2 1 .18 (2 5 .9 5 ) 0 .10 20 .6 0 ( 25 .4 4 ) 体 操 . ト レー ニ ン グ 6 .4 4 ( 5 .7 7 ) 0 .0 8 6 .3 7 5 .7 4 4 .8 7 5 .0 1 ) 一0 .23 5 .1 4 ( 5 .4 9 ) 知 的 活 動 1 7 .5 2 1 3 .5 4 0 .0 2 1 7 .4 8 1 3 .79 1 0 .6 7 (1 0 .8 2 ) 0 .0 5 10 .5 5 (l l .0 6 社 会 的 行 動 1 .4 6 C 2 .9 7 ‑0 .0 3 1 .47 1 3 .10 ) 0 .27 0 .5 3 0 .4 3 0 . 20 0 .8 5
学
l 学 習 鵬 に 非 従 事 3 1 .4 3 ( 10 .4 4 0 .7 1 3 0 .23 ( 10 .7 5 3 2 .9 2 (1 0 .2 3 ‑0 .05 3 3 .0 4 (l l .8 7
l 合 い 間 1 0 .8 7 ( 6 .9 3 ) 0 .3 1 1 0 .5 K 7 .33 ) 1 7 .6 7 C 8 .5 7 ) ‑0 .13 17 .9 6 10 .9 8 ) 管 待 機 1 7 .8 7 ( 9 .8 5 ) 0 .8 2 1 6 .5 6 (1 0 .20 1 4 .2 1 (1 0 .6 4 ) 0 .0 3 14 . 14 (10 .4 9 行
動 の 吹 フt
秩 盛 か ら は ず れ て い る 2 .6 8 C 3 .1 2 ) 一0 .8 3 3 .16 C 4 .0 1 1 .0 3 1 .1 5 0 .29 0 .9 4 1 .8 0
学 習 謙 虚 に 従 事 3 6 .4 1 ( 13 .9 7 ‑0 .3 4 3 7 .15 13 .8 2 3 0 .7 7 (1 0 .2 9 0 .09 3 0 .5 7 (1 0 .0 2 l 運 動 で の 反 応
間 接 的 活 動 乾 知 的 活 動
1 4 .3 8 C 7 .7 4 ) 一0 .9 2 1 5 .6 K 8 .88 ) 4 .28 ( 6 .1 3 ) 0 .0 1 4 .27 ( 6 .54 1 7 .7 4 ( 12 .0 8 ) 0 一2 5 1 7 .27 (l l .70 )
l l .7 K 6 .13 ‑ 0 .0 9 1 1 .8 5 7 .8 3 9 .3 7 ( 9 .2 0 ) 0 .1 1 9 . 15 ( 8 .5 1 9 .6 9 ( 7 .8 3 0 .0 7 9 .5 7 C 8 .2 0 )
A
L
T i
客 易 に 成 功 (A L T ーP E ) 3 4 .2 8 ( 13 .6 7 ) ‑0 .1 2 3 4 .5 3 ( 13 .67 ) 2 7 .7 8 9 .7 0 ‑0 .0 7 2 7 .9 3 9 . 23 ど ち ら と も い え な い 0 .9 8 ( 1 .0 9 ‑0 .7 3 1 .14 1 .7 3 ) 0 .8 9 ( 1 .1 7 0 .3 8 0 .79 ( 1 .21 ) 大 き な 困 難 . 失 敗 1 .16 ( 1 .7 4 ‑ 0 .9 7 1 .4 8 2 .37 ) 2 .0 9 1 .4 8 0 .5 1 1 .8 5 2 .6 4 ) 運 動 の A LT 1 2 .I K 6 .7 3 ) ‑ 0 .6 9 1 2 .9 K 7 .87 ) 8 .8 4 ( 4 .7 8 ‑0 .25 9 . 16 6 .3 1 ) 主 運 動 の AL T 7 .3 9 5 .7 7 ー0 .6 8 8 .0 7 6 .8 2 ) 4 .7 0 ( 3 .5 8 ) 0 .2 1 4 .5 K 4 .6 7 )
( )内の数値は標準偏差を示す。
78 岡沢祥訓・高橋健夫・大友 智・清斉昭裕・芳本 真 2)中学校について
ここでは、 3台のVTRで収録され、 9名の生徒によって6秒インターバル記録を利用して 算出されたALT‑PE観察法の各カテゴリーの基準データと、 2台のVTRからランダムに 選択された1台のVTRによって収録され、 48秒インターバル記録を利用して算出されたAL T‑PE観察法の各カテゴリーの結果をt検定を用いて比較した。表3に示されているように、
ALT‑PE観察法の全てのカテゴリーについて殆ど差がみられず有意差も見られなかった。
この結果は、中学校では対象生徒数が3名でしかも48秒インターバルでALT‑PE観察法を 利用しても殆ど問題はないものと考えられる。
以上の結果から、 ALT‑PE観察法を多くの授業の平均値として、利用する場合の対象生 徒数とタイム・インターバルについては、対象生徒が3人でさらにタイム・インターバルは48 秒でも問務はないと考えられる。
2. 1授業のフィードバック情報として使用する場合に関して
上述の結果は授業研究などにおいて多くの 表4 基準データと1台48秒インターバルとの関係 授業の平均を求める場合には3人の生徒を48
(ピアソンの肴率相関係数)
小学 校 N= 79
中学 校 N= 40
教 授 内 容 の
* 元
一般 的 内 容 0 .95 4 0 .77 0
持 桟 0 .9 11 0 .87 2
移 動 0 .87 8 0 .73 7
マ ネ ー ジ メ ン ト 0 .96 4 0 .89 4
休 憩 1 .000 1 .000
学 習 耕 題 に開 係 の な い指 導 0 .870 0 .87 0
体 育 的 内容 0 .954 0 .770
個 人 的 技 能 練 習 0 .9 8 2 0 .6 97 集 a ft 技 能 繍 育 0 .9 84 0 .9 2 1
ゲ ー ム 0 .9 77 0 .9 89
体 操 . トレー ニ ン グ 0 .9 86 0 .8 30
知 的 活 動 0 .9 85 0 .4 0 1
社 会 的 行 動 0 .9 63 0 .7 28
学
学 習 挿 頭 に 非 従 事 0 .8 95 0 .88 2
合 い 間 0 .85 9 0 .8 25
管 待 機 0 .90 5 0 .76 8
T 動 の ft JC
群居 か らは ず れ て い る 0 .85 1 0 .58 9 学 習 錬磨 に 従 事 0 .93 0 0 .8 13 運動 で の反 応 0 .90 0 0 .83 3
間接 的活 動 0 .95 5 0 .90 4
嫁知 的 活 動 0 .97 5 0 .68 2
A L T
容易 に成 功 AL T ‑PE ) 0 .92 3 0 .76 6 ど ち らと も い え な い 0 .70 6 0 .67 5 大 き な困 難 . 失 敗 0 .87 9 0 .34 2 連 動 の A LT 0 .86 1 0 .8 12 主 運 動 の AL T 0 .8 3 4 0 .7 4 9
秒インターバルで観察した結果を使用しても 殆ど問題はないということを示している。
しかし、 ALT‑PE観察法は1つの授業 の結果をフィードバックするためにも使用さ れる場合が多くあると思われる。 1つの授業 に関する情報を得るためには上述のような結 果だけでは、 3人の生徒を48秒間インターバ ルで観察しても良いという結論を導き出すこ
とには問題がある。そこで、 1授業のフィー ドバック情報として使用する場合に3人の生 徒を48秒インターバルで観察しても良いかど うかを検討するために、ここでは中学校はV TR3台12秒インターバルのデータを、小学 校においてはVTR2台12秒インターバルの データを基準に、中学校はVTR3台から小 学校はVTR2台からランダムにVTR1台 のデータを取り出しそれを48秒インターバル にデータを処理しなおした。そして基準デー タとVTR1台48秒インターバルのデータの 潰率相関係数を求めた。結果は表4に示され たとおりである。
表4に示されているように、小学校の結果 はALTの次元のどちらともいえない(r‑
.706)を除く全てのカテゴリーにおいて非常 に高い相関係数が得られており、 1授業のフィー
ALT‑PE観察法の簡便化に関する検討 79
ドバック情報として使用してもほとんど問題はないと考えられる。しかし、中学校の結果におい ては、個人的技能練習(r‑.697) 、知的活動(r‑.401) 、課題からはずれている(r‑
.589) 、認知的活動(r‑.682) 、 ALTの次元のどちらともいえない(r‑.675) 、大きな困 難失敗(r‑.342)と比較的低い相関係数が得られており、これらのカテゴリーに関しては若干
の問題があると考えられる。このような結果が得られた原因としては次のようなことが考えられ る。すなわち、 ①表2に示されているように、これらのカテゴリーの出現頻度は比較的少ないこ と., ②データの分析は中学校から先に行われており、分析者の分析技能が小学校の分析を行った 時よりも低かった;③中学校では3缶のVTRを使用しているが小学校では2台のVTRで観察
を行っていたことなどが考えられる。
以上のように、中学校においては1授業のフィードバック情報として用いる場合にいくつかの カテゴリーにおいて問題がある可能性が示された。しかし、教育実習生の授業評価や現職教員の 研修などに使用する場合に、 3人もの観察者をそろえることは困難である。それゆえ、このよう な条件でAL T‑PE哉察法を使用する場合は、分析技能をできるだけ高める努力をし、なおか つ、相関係数の低かったカテゴリーの評価に注意して使用すべきであると考えられるO
Ⅳ 摘 要
本研究では、観察対象生徒の人数、観察一分析インターバルの観点からALT‑PE観察法の 簡便法の作成を試みた。すなわち、対象生徒数を観察者1人で観察一分析できる3人にできるか どうか、観察一分析インターバルを余裕をもって行うことができる48秒インターバルにできるか どうかを、小学校79授業、中学校40授業のデータをもとに検討した。その結果次のような結果が 得られた。
1)多くの授業を対象としてその平均を求めるような授業研究の場合においては、 ALT‑P E観察法で対象とする生徒数は3人でも十分高い信頼性が得られることが明らかにされた。この ことは、 ALT‑PE観察法を用いて小学校、及び中学校で体育授業を観察する場合、観察者は 一人でよいことを意味している。また、哉察・記録のインターバルは48秒でよいということが明
らかにされた。 48秒インターバルとは、最初の6秒間で観察し、次の42秒間で記録し、そして次 のインターバルで観察する生徒を捜せばよいということである。つまり、小学校、中学校の体育 授業でALT‑PE競察法の各カテゴリーについて、授業の平均値を求めたい場合、ランダムに 選択された3人の生徒を1人の観察者が48秒インターバルで観察・記録すればよいということで ある。
2) 1授業のフィードバック情報として使用する場合に、小学校においては、ランダムに選択 された3人の生徒を1人の観察者が48秒インターバルで観察・記録してもほとんど問題がないこ とが明らかになった。しかし、中学校においては、このような方法では、個人的技能練習、知的 活動、課題からはずれている、認知的活動、 ALTの次元のどちらともいえない、大きな困難失 敗の各カテゴリーに若干の問題があることが明らかになった。
注
1) ALT‑PE観察法を用いた研究は、近年数多く発表されるようになった。特にBig ten
80 岡沢祥訓・高橋健夫・大友 智.清藤昭裕・芳本 真
body of knowledge symposium series, volume 14として出版されたTemplim, T. J.
and Olson. J. K. (Eds.), Teaching in Physical Education, Human Kinetics, 1983に は優れた研究成果が掲載されている。また、この著書の中で、 DoddsはALT‑PEを中心 とした最近の研究動向を分析し、 ①記述一分析的研究、 ②介入・実験的研究、 ③相関関係的研 究、 ④多次元的(総合的)研究の4次元から進められていることを明らかにしている
(Dodds, P. , "Relationships between academic learning time and teacher behaviors in a physical education majors skills class, pp. 173‑84.)o
2 ) AL T ‑P E観察法の信頼性を維持するために、観察者相互間の一致率がS‑I法(S∝red‑Interval method)によって算出された。算出方法は、
S‑I‑100 × ‑a
一致+不一致
の計算式によって行われた。なお、通常、研究目的のためにはその一致率が80%の水準を維持 することが必要であるとされ、本研究でもすべての項目についてこの水準を維持した
(Metzler, M. W. , An interval recording system for measuring academic learning time in physical education, in Darst, P. W., Mancini, V. H. and Zakrajesek, D.
B. (Eds.) , Systematic observation instrumentation for physical education. , Leisure Press, New York, 1983. pp. 187‑90.)。
i^^^^K^
1 ) Birdwell, D. M‥ The effects of teacher behavior on the academic learning time of
selected students in physical education, Doctoral dissertation, University Microfilms International, No.8022239, Michigan , 1980. pp.37‑58.
2) Darst, P. W., Mancini, V. H. and Zakrajesek, D. B. (Eds.), Systematic observation instrumentation for physical education. , Leisure Press, New York, 1983.
3) Godbout, P., Brunelle, J., and Tousignant, M., Academic learning time in elementary and secondary physical education classes, Research quarterly for exercise and sport, 1983.
Vol. 54, No.l, pp.1ト19.
4 ) Metzler, M. W. , The measurement of academic learning time in physical education, Doctoral dissertation , University Microfilms International, No.8009314, Michigan , 1979.
p.8.
5 )岡沢祥訓、高橋健夫、大友智、体育授業における生徒行動や生徒の授業評価に及ぼす要因の検討一 中学校の体育授業のALT‑PE分析を通して‑、奈良教育大学紀要、第37巻,第1号、 pp.49‑59,
1988.
6 ) Siedentop, D. , Developing teaching skills in physical education, 2nd ed. , May field Publishing Company, California, 1983.高橋健夫他訳、体育の教授技術、大修館書店、 1988.
7)鈴木宰、梅野圭史、辻野昭、 ALT‑PEシステムを用いた体育科の授業分析に関する研究、スポー ツ教育学研究、第4巻,第2号、 pp.59‑70, 1985.
8)高橋健夫、岡沢祥訓、大友智、体育のAL T観察法の有効性に関する検討一小学校の体育授業分析 を通して‑、体育学研究、第34巻,第1号、 pp.31‑43, 1989.
ALT‑PE観察法の簡便化に関する検討 81 く付記)本研究は文部省科学研究費(一般B課題番号(01450106)研究代表者 岡沢祥訓)を得て行われ
た。
82
A Study on the Simpli丘cation of the ALT‑]
Observation System
Yoshinon Okazawa
(De如rtment of Physical Education, Nara University of Education, Nara 630, la如n) Takeo Takahashi
(Institute of Health and Sports Sciences, University of Tukuba, Ibaraki 305, Japan) Satoshi Otomo, Akihiro Kiyotou
(Todaiji High School, Nam 631, Japan)
Makoto Yoshimoto
(Takada higashi High School, Nara 635, Japan) (Received April 28, 1990)
The purpose of this study is to examine the possibility of the simplification of the ALT‑PE observation system, which was developed by Siedentop, D. et al. Recognized to be an effective instrument for analyzing the student behaviors in physical education class and improving the teaching skills of teacher or student teacher, the ALT‑PE system has some problems, for examples, to need many observers and times and to be difficult in getting dat乱
We were trying to find the way to simplify ALT‑PE system by making comparison between data through the standardized system and them through the simplified (less observers and longer intervals).
79 elementary school physical education classes and 40 secondary school physical education classes were used as the data in this study, which were recorded by ourselves from 1986 to 1987.
Mdn results were as follows.
1 ) The reliable data are attained through the simplified system, especially in the case that many physical education classes are observed and their mean is used as material. In the simplified system, 3 objects by one observer (9 objects by 3 0bservers in the standard) and 48 second duration of interval (12 second in it) are avaiable.
2 ) It is impossible, however, to use this longer interval in secandary school, especially if trying to get the information on a instruction just implicated, because the variations in student learning behaviors and learning succsesses were recognized in each physical education class.