奈良教育大学学術リポジトリNEAR
バスケットボールのゲームの分析に関する研究 − 勝敗を規定する要因の検討−
著者 岡本 重夫
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 38
号 1
ページ 75‑81
発行年 1989‑11‑25
その他のタイトル A Study on the Analysis of Basket Ball Games
URL http://hdl.handle.net/10105/1979
奈良教育大学穀要 第38巻第1号(人文.社会)平成元年
Bull, Nara Univ. Educ, Vol. 38. No. 1 (cult. & soc.) ,1989
バスケットボールのゲーム分析に関する研究
‑勝敗を規定する要因の検討‑
岡 本 重 夫 (奈良教育大学運動学教室)
(平成元年4月30日受理)
I はじめに
スポーツ競技の指導においては、競技力を向上させることに一番重点が置かれている。それゆ え、競技力を高めるための練習方法の確立は非常に重要になる。しかし、誰にでも通用する練習 方法というものはなく、個人スポーツではその競技者個人のための、集団スポーツではその集団 のための練習方法を確立することが必要であるl)。バスケットボールのような集団スポーツにお いては、まずそのチームにどのような技術が欠落しているかを知り、その欠落している技術を補 う練習をする必要がある。どのような技術が欠落しているかを知ることが練習方法を確立するた めのスタートである。優れたコーチや監督は練習や試合を観戦しただけでそのチームに欠落して いる技術を見破ってしまうだろうと思われる。しかし、経験だけに頼っていれば進歩もないだろ うし、過ちを犯す可能性も多くある。このことに関して、石津2)は「運動技術に対する練習経験 と、科学的な研究によって、技術の体系的内容を理解することによって、指導の能力が発揮でき るのである。」と述べており科学的研究の重要性を示している。また、吉井3)も、 「ゲームの勝敗 因は、コーチの主観によってのみ議論され、必ずしも的確な判断が下されているとは考えられな い。」と述べており、客観的に事態を把握することの必要性を示している。
バスケットボールのゲームの勝敗を左右する要因については、さまざまな要素が複雑にからみ あっている。そしてチームの総合的能力の集積の結果によって優劣が争われるのである。バスケッ トボール競技の競技力としては、一般に技術、体力、精神力、知識、チームワーク等から構成さ ている。これらの各々に関する科学的研究は3)5)6)7)8)9)10)ll)国内においても国外においても数多
く行われておりバスケットボール競技の戦術や技術の進歩発展に寄与している。客観的にゲーム 事態を把握する方法として、一般的にスコア‑カードが用いられている。しかし、スコア‑カー ドだけではシュート技術以外の側面に関しては把握することが困難である。このスコア‑カード では把握しきれない技術の側面に関しては、 VTR等を用いたゲーム分析が有効であるとされて おり、 vTRを用いてゲーム分析を行った研究12)13)14)15)16)17)も多くみられる。このゲーム分析の 結果をもとに、そのチームの攻撃、守備面で、 「何がかけていて」、 「今後何を強化、充実するこ とが必要か」を具体的に指摘することができるようになれば、競技力はかなり向上すると思われ る。バスケットボールのゲーム場面において個人として、またチームとして総合された力が発揮 され争われた結果、トータルとして勝敗を決定する技能がどのような傾向や法則性を示している かを究明することが必要でる。しかし、バスケットボールの競技力向上に役立つゲーム分析を行
うためには、その分析の観点を明確にしなければならない。筆者は日常のコーチングの経験と先 行研究の結果から以下の観点からゲーム分析を行うことが有効であるという仮説を立てゲーム分
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岡 本 重 夫折を試みた。
チームを診断するために、得点、野投数、野投得点、野投成功率、 oR獲得率、 DR獲得率、
失策、反則の8項目を設定し試合中に出現したプレーを観察記録した0
Ⅱ 研究方法 (1)対象ゲーム
分析の対象としたゲームは表1に示した14ゲームであった。
表1対象全ゲームの概要
ゲ 】ム M ‑‑ A 得 点 敗 チ ー ム 年 月 大 会 名
1 浜 松 5 3 ‑ 39 東 石 山 1 9 8 1 . 8 全 国 中 学 校
2 八 万 5 4 ‑ 4 0 大 成 1 9 8 1 . 8 同 上
3 小 岩 一 5 8 ‑ 56 瀬 田 1 9 8 1 . 8 同 上
4 能 代 工 7 3 ・6 5 東 海 浦 安 1 9 8 4 . 8 イ ン タ ーハ イ 決 勝
(5 ) 昭 和 67 ・6 3 市 郎 1 9 8 2 . 3 春 の 高校 決勝
6 v . * k 7 1 ・5 8 福 教 大 1 9 8 2 . 6 西 日本 イ ンカ レブ ロ ック決 勝 7 京 産 大 70 ‑ 6 0 同 志 社 1 9 8 3 . 6 西 日本 イ ンカ レ決勝 8 京 産 大 89 ‑ 5 9 九 産 大 1 9 8 6 . 6 西 日本 イ ンカ レ決勝 (9 ) シ ャ ン ソ ン 6 9 ‑ 4 8 東 芝 19 8 6 . 3 全 日本 決 勝 1 0 松 下 6 5 ‑ 4 8 秋 田 い す ず 19 8 6 . 3 全 日本 決勝 l l 松 下 8 9 ‑ 6 6 三 菱 電 機 19 8 7 . 3 全 日本 決 勝
12 松 下 8 9 ‑ 6 3 日 鉱 19 82 . 4 日本 リー グ
1 3 松 下 8 5 ‑ 6 7 住 金 19 8 3 . 5 日本 リー グ
1 4 ニューオーリンズ 1 1 5 蝣7 3 全 日本 学 生 19 8 7 . 12 国際 親 善
(2)分析手順l
VTRに収録されたゲームを下記の観点から分析した。
①ジャンプボールのタップ (むジャンプボールの獲得 (彰シュートの本数とその成否
④攻防のリバウンドの機会と獲得
(9攻防の反則とフリースロー数とその成否 (りバイオレーション
(カバスミス、キャチミス
⑧パスのインターセプトの種類とその成否
⑨ドリブラーのボールカットの種類とその成否
⑲アウト・ナンバープレーの出現パターンごとの成否
( )は女子のゲーム
バスケットボールのゲーム分析に関する研究
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分析手願2
上記の分析をもとに得点、野投数、野投得点、野投成功率、 oR獲得率、 DR獲得率、失策、
反則の8項目について試合の前半、後半、全体それぞれについて集計した。
Ⅲ 結果と考察
表2は勝ちチーム、負けチームの8項E]平均、標準偏差、 t検定の結果を示したものである。
表2 勝チーム敗チームの各カテゴリーの平均・標準偏差・T値
項 田 区 分 チ ー ム 勝 チ ー ム n = 14 t 値 敗 チ ー ム n = 1 4
得 点
前 半 37 .14 ( 12 .10 ) 2 .2 0 * 2 9 .2 1 ( 5 .99 ) 後 半 3 7 .4 3 8 .12 ) 3 .1 4 * * 2 8 .6 4 ( 6 .62 ) B+ 74 .57 ( 17 .0 2 ) 3 .1 7 * * 5 7 .8 6 9 .9 5
野 投 数 前 半 97 .50 (2 3 .0 3 ) 1 .2 6 8 7 .8 6 ( 1 7 .18 )
攻 撃 回 数 後 半 10 3 .79 (2 1 .18 ) 1 .4 1 9 3 .2 9 ( 18 .00 )
野 投 得 点
前 半 3 1 .14 ( l l .0 3 ) 2 .0 7 * 2 4 .1 4 6 .20 後 半 3 0 .7 1 ( 6 .5 5 ) 2 .7 0 * 24 .14 ( 6 .3 5 ) 合 計 6 1 .8 6 ( 14 .0 9 ) 3 .0 4 * * 4 8 .2 9 ( 8 .9 7 ) 野 投 成 功 率 前 半 4 6 .9 3 ( 9 .6 5 ) 0 .9 4 4 3 .2 1 ( l l . 16 )
後 半 4 6 .2 9 ( 14 .7 ) 1 .3 6 40 .3 6 7 .0 1 )
獲 得 前 半 4 3 .0 0 ( 10 .8 2 ) 2 .4 9 * 30 .3 6 15 .6 0
0 .R 後 半 5 2 .5 7 ( 18 . 16 ) 4 .5 7 * * * 2 2 .7 9 ( 16 .3 1 ) 獲 得 前 半 7 1 .2 9 (1 4 .6 9 ) 2 .7 6 * * 57 .7 9 ( 10 .8 6 ) n .R 後 半 7 6 .3 6 (1 6 .8 6 ) 4 .3 7 * * * 4 7 . 57 ( 17 .9 7 )
失 策
前 半 3 .5 0 ( 1 .9 9 ) ‑ 1 .7 2 5 .0 7 ( 2 .7 9 )
後 半 5 .0 7 ( 2 .3 0 ) ‑ 1 .24 6 .4 3 3 .3 7 )
fit 8 .5 7 ( 3 .4 6 ) ‑ 1 .7 1 l l . 50 5 .3 9
反 則
前 半 5 .2 9 2 .4 9 ‑3 .0 1 * * 8 .7 1 ( 3 .4 5
後 半 6 .2 9 ( 3 .1 7 ) ‑0 .9 1 7 .3 6 3 .0 3 )
合 計 l l .5 7 4 .7 5 ) ‑2 . 29 * 16 .0 7 5 .6 2
( )内の数値は標準偏差を示す(*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)
得点に関しては勝ちチームが負けチームに比し有意に高いのは当然のことである。また、バスケッ トボールの得点のほとんどが野投によって得られることから考えると勝ちチームの方が有意に野 投得点が高くなるのも当然のことである。しかし、野投数、野投成功率には有意差はみられなかっ た.バスケットボールの試合ではより多くの野投を打つこと、そしてそれを成功させることが勝 ちにつながる。この2項目に有意差がみられなかった原因として、野投回数やその成功率はチー ムの特性というよりはむしろ対戦相手との関係で決定されるものであることが考えられる。すな わち、分析の対象となったゲームの多くは接戦であったことからもうかがえる。 OR獲得率、 DR 獲得率ともに勝ちチームは負けチームよりも有意に高くなっている。試合中、ボールを保持した チームの最も好ましい結果はシュートがゴールインすることである。逆に好ましくない結果は、
シュートがゴ‑ルインする前に何等かの理由でボールを相手に奪われシュートチャンスを相手に 与えることである。野投数が攻撃回数を上まわるということは、シュートが不成功の場合、オフェ ンスリバウンドを獲得し、 2度、 3度とシュートを繰り返し投げることで有効な攻撃となる。表
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表3 全ゲーム項目別、勝敗チームの比較
ゲーム チーム
勝敗
1 2 3 4 5 6 7 X 9 川 ll 12 13 14
浜松 東石山 八万 大成 小岩一 瀬 田 能代 浦安 昭和 市唖 京産 福教 m 同志社 京産 九産 シャンソン * * 松下 秋田 松下 三菱 松下 EI鉱 松 下 住金 N0 (栄)全日学生
防 敗 ァ 敗 i I* i 敗 勝 敗 i 敗 ft 敗 サ 敗 ft 敗 ft 敗 勝 敗 勝 ft サ ¥k ft 敗
得点 前半
'i i 合計
25 22 27 20 22 27 33 35 35 33 38 34 34 31 42 28 21 26 35 23 47 41 54 26 50 27 60 36
28 17 27 20 36 29 40 30 32 30 33 24 36 29 47 31 48 22 30 30 42 25 35 37 35 40 55 37
53 39 捕 40 58 56 73 65 67 63 71 58 70 60 89 59 69 48 65 53 89 66 89 63 85 67 115 73
野投数 輿 砧 L二 100 68 .8 75 .0 75 .0 07 .1 108 .6 66 L丁 bS .S 46 .9 140 .0 85 .3 76 .3 川小 97 .4 97 .3 96 .li 1州 110 .0 113 .3 91 .9 97 .4 0二、6 82 .5 126 .3 76 .3 122 .5 90 .0 攻 撃回教 後半 1州 l山一 60 .6 71.9 96 .7 124 .1 1 15 .2 1州 142 .3 1 12 .0 109 .4 83 .9 約 j 12 1.6 川小 75 .0 79 .3 79 .3 103 .3 86 .2 91 .7 108 .3 115 .0 92 .7 102 .4 78 .6 141 .4 72 .4
野投得 点 前半 後半 合計
20 22 24 18 16 26 30 36 22 12 32 32 30 26 36 26 18 22 30 22 湖 32 48 22 44 20 52 22
22 M 22 18 28 24 36 30 28 30 28 20 28 30 44 24 42 26 28 24 蝣¥s 24 30 34 30 32 36 18
44 36 46 36 44 50 66 66 50 42 60 52 58 56 80 50 60 48 58 46 62 56 78 56 74 52 88 40
些墾 前半 66 .7 39 .3 50 .0 37 .5 38 .1 43 .3 39 .5 75 .0 50 .0 40 .0 3ごⅠ丁 55 Iご 44 .8 39 .5 48 .6 46 .4 32 .1 37 .9 寸う‑ラ 3ごJ 50 .0 43 .2 60 .0 33 、3 寸5 .$ 34 .5 53 .1 50 .い 野投 致 後半 45.8 33 .3 55 .0 39 . 48 .3 33 .3 47 .4 45 .5 37 .8 うJ ̀ti 40 .0 38 .5 4 1.2 jJ ̀3 55 .0 40 .0 91 .3 34 .8 45 .2 ヰさⅠ小 1二J 30 .8 32 .6 44 .7 34 .9 48 .5 31 .7 42 .9
獲得 0 .R
= 」 後半
42 Ⅰ9 50 .0 ヰo lo 16 .7 35 Ⅰ丁 50 .0 50 .0 40 .0 40 .0 0 57 .7 16 LT 43 .8 26 .3 35 .7 11 0 3 1.6 4 1.2 50 .0 42 .9 ご3 ‑ラ 31 .二 62 .5 25 .0 50 .0 13 .3 52 .6 34 .9 60 .0 1t j 寸: .9 26 I7 75 .0 55 .6 29 .4 18 .8 27 .8 15 .4 53 .3 0 75 .0 32 .0 1L O ll.8 83 .3 7 .7 50 .0 44 .4 26 .7 37 .5 57 .7 29 .4 ヰ二.9 二うⅠ0 66 .7 0 獲得
D .R 前半 後半
50 .6 57 .1 お .3 60 、0 bO .O 64 .3 60 .0 66 .7 100 60 .0 83 .3 寸ご.3 T3 : 56 .3 81 .0 64 .3 う$ .メ 68 .4 57 .1 53 .3 68 .8 76 .5 75 .0 37 .5 86 .7 50 .0 伝 +ヱ 47 .4 85 .7 ヰo lo 66 ‑7 57 .1 44 .4 ご7 ‑3 81 .2 70 .6 84 .6 72 .2 川0 16 ‑丁 tSS .O 25 .0 QQ OOO .L 55 .0 9ご‑3 16 .7 55 .6 50 .0 62 +ラ 3 .3 70 .6 42 .3 75 .0 57 .1 loo 33 .3
失策 輿 輿 合計
1 3 5 3 2 3 4 3 1 1 3 7 7 3 7 8 2 5 4 2 5 6 2 9 2 10 4 7
2 2 5 4 2 1 3 4 5 4 5 6 7 7 5 7 3 5 6 5 9 ll s 14 8 s 3 3
3 5 10 7 4 4 7 7 6 5 s 13 14 川 12 15 5 川 川 7 14 17 10 23 川 18 7 10
反別
‖一 壁
S 4 [im
1 6 3 3 4 ll 4 8 4 6 3 ll 4 16 7 8 7 5 9 6 6 ll 9 12 6 8 8 ll
6 6 4 4 10 6 1 5 4 4 ll 7 8 ll s 14 6 5 川 7 7 ll 10 9 s 9 4 5
7 12 7 7 14 17 5 13 8 川 14 18 12 ∫ 15 22 13 川 19 13 13 22 19 21 14 17 12 16
紐 EHサg
バスケットボールのゲーム分析に関する研究
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3は各ゲームごとの結果を示したものである。表3に示されているように、分析対象の14ゲーム 中、攻撃回数よりも野投数が上まわったゲームは、ゲ‑ム4、 6、 10、 12、 13、 14、の勝ちチー ムと負けチームの8であった.これらの結果から、シュートが不成功であったとしても、その後 のオフェンスリバウンドを獲得する力が優れているチームは、シュートの成功率が低くても得点 を多くすることが容易である。全試合のうち、 2チーム間のオフェンスリバウンドの獲得率が異 なるのは、ゲーム5、 6、 8、 12、 13、 14の勝ちチームは負けチームの2倍から4倍の獲得率に なっている。さらに、オフェンスリバウンドの場面は、相手チームにとってはディフェンスリバ ウンドの場面である。一般に、シュートが放たれた時、ディフェンス側のプレーヤーは相手プレー ヤーよりも内側に位置していることが多く、ボールを獲得しやすいと考えられている。しかし、
ゲーム7、 12、 14の勝ちチームは負けチームのディフェンスリバウンドを上まわるオフェンスリ バウンドを獲得しており、ゴール周辺における圧倒的な優位性を示している。また、ゲーム14の アメリカチームに関してみると、シュートの成功率は43.3%で日本の46%に比べて低くなってい るが、オフェンスリバウンドで圧倒的優位(アメリカ60.5%、日本22.9%)であり、ディフェン スリバウンドでも(アメリカ77.1%、日本39.5%)とゴール周辺での圧倒的な強さを示している。
以上のようにオフェンスリバウンド、ディフェンスリバウンドはバスケットボールの勝敗を決 定する重要な要因であることが明らかになった。
その他、反則においても有意差がみられ勝ちチームは負けチームよりも反則を犯かす数は少な くなっている。反則もバスケットボールの勝敗を決定する重要な要因であることが示された。
以上のようにバスケットボールの勝敗を決定する重要な要因として、オフェンスリバウンド、ディ フェンスリバウンド、反則がクローズアップされた。この事は、バスケットボールのゲームで勝 つためには、リバウンド技術の練習がかなり必要であることを示している。
今後はこのリバウンドの効果的な練習方法を確立していくための研究を行う必要がある。
Ⅳ 要約
バスケットボールのチームを強くするためには効果的な練習を行うことが必要である。そのた めには、練習の内容を的確に把握することが要求される。本研究においては、バスケットボール のゲームを分析することによって勝敗を決定する技術の要素を明らかにし今後の練習計画の基礎 資料を得ようとした。
得られた主な結果は次のようであった。
1)バスケットボールのゲームで勝利を得るためには、シュートが不成功に終わったときのリバ ウンド・ボールを獲得することが、オフェンス、ディフェンスのいずれの場合においても非常に 重要である。
2)反則は勝ちチームよりも負けチームに多く見られた。バスケットボールのゲームに勝つため には反則を犯さないことが必要である。
3)さらに今後求められる事柄としては、ゲームに出場するプレーヤの技術の分析、向上を図る ことをより効率よく実現できるように、プレーヤーの体格の改善18)19)や運動能力20)を高める工 夫も必要となってくるO また、これと併せてプレーヤーの健康管理や、トレーニングのプログラ ムの計画などもみのがせない条件と考えられる。したがってチームドクターやトレーナーなどの 存在の必要性が認められ実践されつつあるのが現状である。
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岡 本 重 夫以上本研究において、リバウンドの獲得、反則を犯さないようにするための技術の重要性が示 されたが、今後はこれらの技術を高めるための練習方法を確立するための研究を行って行きたい。
引 用 文 献
1)吉井四郎:スポーツ作戦講座 バスケットボール 不味堂、 1969、 p1 2)石津滅:体育の方法学、杏林書院、 1971、 p 9
3)前掲書:1)p37
4)関四郎、加藤敏明:投動作におけるスナップの働き‑バスケットボールのショット動作を中心に‑、体 育の科学、 30‑7 : 504‑508、 1980
5 )西尾末広、中野八十二、稲垣安二:バスケットボールにおける走るの研究、日本体育学会第31回大会号、
581、 1980
6)佐々木三男:バスケットボールのリバウンドについての一考察一特に女子学生公式戦を対象として‑、
日本体育学会第31回大会号、 583、 1980
7) HJ馬雄足:バスケットボールにおけるランニングシュートの分析的研究、日本体育学会第36回大会号、
1985
8)岩本良裕:バスケットボールのジャンプショットブロックに必要な時間的、空間的条件について、日本 体育学会第36回大会号、 1985
9)渡辺一志:バスケットボール競技におけるフリースローのパフォーマンスに及ぼす意識とフォーム、日 本体育学会第37回大会号、 1986
10)岩本良裕:バスケットボールのジャンプショットブロックに必要な時間的条件について第2報一女子の ブロック動作について‑、日本体育学会第37回大会号、 1986
ll)加藤敏明:投動作におけるスナップの研究‑バスケットボールの3ポイントに着眼して、日本体育学会 第39回大会号、 1988
12)岡本重夫:バスケットボール・有利な攻撃場面、日本体育学会第30回大会号、 1979
13)古村溝、関四郎、加藤敏明、岩本良裕、中村雅之:球技における対人動作の分析‑バスケットボールの 1対1の功防について‑、日本体育学会第31回大会、 579、 1980
14)岩本良裕、関四郎、加藤敏明、古村溝:球技における連係プレイの分析‑バスケットボールの基礎的連 係プレイについて‑、日本体育学会第32回大会号、 588、 1981
15)岡本重夫:バスゲットボール・攻撃技術の検討、日本体育学会第34回大会号、 692、 1983
16)古川幸慶:戦術.技術の発達とルールの対応‑バスケットボール‑、体育の科学1‑33 : 504‑508、 1983 17)加藤英明、関四郎、弘中満雄、増野知子:バスケットボールにおける連係プレイの分析‑パッサーの注
視点に着目して一、日本体育学会第35回大会号、 633、 1984
18)筑波トレーニング研究会.・バスケットボールのウエイト・トレーニングプログラム、トレーニングジャ
‑ナル、 10‑3:56‑57、 1988
19)筑波トレ‑こング研究会:バスケットボール・コンディショニング、トレーニングジャ‑ナル、10‑4:75、
1988
20)筑波トレ‑ニング研究会:バスケットポ‑ルのジャンプ・トレ‑ニング、トレ‑こングジャ‑ナル、
10‑6 : 76‑77、 1988
21)尾山末雄:バスケットボール日本リーグにおけるトレーナーの活動状況、トレーニングジャーナル、
10‑8: 11、 1988
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A Study on the Analysis of Basket Ball Games
Sigeo OKAMOTO
(Department of physical education, Nara University of Education, Nara 630, Japan ) (Received April 30, 1989)
In order to strengthen the basketball team we must make an effective training plan and put it into practice. For that purpose it is necessary to grasp the correct present situation of the team and to know what part of the team to reinforce. It is also necessary to observe real games closely and find out what is lacking.
I tried to gather materials to decide how to play and what kind of training to conduct in order to improve the technique. I studied the following points in this research.
First I set up eight items to decide the team power. I recorded in detail the play in the game about each item, and defined the superiority and inferiority by comparing both teams. I was able to secure materials to use when training to reinforce the poor sides.
Secondly王classified "the way for the ball to be carried away into five items from the record when the ball was taken awey by the oppoding team. I was able to get training materials for the improvement of our technique the ball should not be taken away. So I was able to refer to the materials when I made a training plan to strengthen "the play for the ball not to be taken away during attack and "the play to carry away the ball" during defense.
Thirdly it is of course to make an effective shoot to gain points. To do so it is necessary to play so that we get in a position from which it is easy to score as well as th heighten the shooting rate of each player. It is important to observe only the outnumber plate of the front court in the latter situation of a swift attack in the game and to make clear "what is the play to aim at a large score" during attack and "what is the play to give an easy core to the opposing team during de‑
fense.
I studied the above‑mentioned three points and obtained materials for coaching the team.
From these I was able to point out the strong and weak points of each player. I felt deeply the im‑
portance of following al1 efficient method of training for each player in practice after this.