奈良教育大学学術リポジトリNEAR
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較 研究 −中学1年男子生徒を対象にして−
著者 高橋 健夫, 広瀬 祐司, 米田 博行, 増田 辰夫, 上
野 佳男
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 30
号 1
ページ 93‑112
発行年 1981‑11‑25
その他のタイトル A Comparative Study on the Teaching Methods for Beginners' Volleyball
URL http://hdl.handle.net/10105/2397
奈良教育大学紀要 第30巻 弟11号(人文・社会)昭和56年 Bull. Nara Univ. Educ, Vol. 30. No. 1 (cult. & soc.) 1981
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較研究
‑中学1年男子生徒を対象にして‑
高 橋 健 夫・広 瀬 裕 司・米 田 博 行
(奈良教育大学体育学教室) (三郷中学校) (奈良女子大学文学部附属中学校)
増 田 辰 夫・上 野 佳 男
(安堵中学校) (安堵中学校) (昭和56年4月30日受理)
目 的
バレーボール教材の初心者を対象とした指導法に関しては、いくつかの異なった主張がみられ る。主張の主な相異点は、およそ次の三つの次元で生じる.罪‑は、どのような運動技術から導 入するのがよいかという問題である。これについては、オーバーノ、ンドパス型、アンダーノ、ンド パス型、攻撃のコンビネーション型に分かれる。第二は、ゲームを多用すべきかどうかというこ とである。第三は、学習形態の問題で、グループ学習か一斉学習(チームゲームの場合は大抵、
班別学習)かの論議がある。
そこで本研究は、これらの諸主張の基本的な考え方を生かしながら、 (むアンダ‑ハンドパスを 中心としたゲ‑ム型:教師主導のグループ学習 ②オーバ‑ハンドパスを中心とした個人技能練 習型;一斉(班別)学習 ③攻撃のコンビネ‑ションプレー中心型:生徒主体のグループ学習の 三つの指導法のモデルを設定し、これらを同一の教師に指導させることによって、どの指導法が 初心者に効果的であるかをあきらかにしようとした。
なお、何をもって「効果的」であるとみるかば、体育の目標論に関係するが、ここでは「スキ ルテスト」、 「ゲーム分析」、 「生徒による体育の授業評価」 (意識調査)の方法によって、技能(個 人的・集団的)発達、体育の授業に対する態度の変化、バレーボール教材への愛好的態度の変化 を捉え、それぞれのモデルの有効性を検討した。
方 法 [H3i田
対象生徒:奈良県生駒郡三郷町立三郷中学校の一年生男子127名(A型43名、 B型42名、 C型 42名)
授業の実践者:三郷中学校教諭 広瀬裕司 2.期日
1980年10月6日〜同12月3日。各モデルの授業に仝21学校時間を配当した(スキルテストや調 査の時間を含む)0
93
94 高橋健夫・広瀬裕司・米田博行・増田辰夫・上野佳男 3.研究の手続き
1)指導法のモデルの設定
三つの指導法のモデルの特性およびその論拠は次のとおりである。なお、三つのモデルを便宜 上、A型、B型、C型とする。
A型‑アンダーノ、ンドパス中心のゲ‑ム型、教師主導のグル‑プ学習'.アンダーノ、ンドパス の練習に重点をおき、かつそれを活用したゲ‑ムに多くの時間数を配当する。学習形態としては 教師主導のグループ学習を採用する。
このような指導法が定型的に存在しているわけではない。しかし、ゲームを重視した授業やそ れに対応したグル‑プ学習の意義は、最近の「楽しい体育」論(1)を唱える人達に共通して強調さ れている。また、初心者段階でゲームを中心に授業を展開しようとすれば、おのずからレシーフ 技術として有効なアンダーノ、ンドパスを中心に指導することが必要になると考えられ、実際に初 心者指導におけるアンダーハンドパス中心型の有効性を実証した研究もみられる。(2)そこで本研 究では、できるだけ「楽しい体育」の授業を実現する方向で、アンダーノ、ンドパス中心とゲ‑ム 中心の考え方を結びつけて一つのモデルを設定した。
グル‑プ学習の進め方としては、「楽しい体育」論者の考え方に応じて、異質の小集団を編成 し、教師の指導計画をグループの学習計画として「うつし」、(3)とくにゲームや練習の中で生じる 問題を反省させ、学習のめあてを持たせるようにした。またグループノートを活用した。
B型‑オーバーノ、ンドパスを中心にした個人技能型、班別(一斉)学習:オーバー‑ンドパ スから導入し、さらにそれぞれの個人技能の練習にも時間を配当する。ゲ‑ムの時間配当は他に 比べ最も少ない。また、学習形態としては、便宜的に固定的な班(異質集団)を編成するが、実 質的には教師の主導性を生かした一斉学習である。
このモデルは最も伝統的なものであると考えられる。集団技能は個人技能の組み立てによって 成り立つため、はじめに個人技能を指導し、次に集団技能の向上をめざすのがよいと考えられて いる。(4)また、個人技能については、オーバーノ、ンドパスから指導する場合に、最も正確なポー ルコントロールが身につけられ、したがって系統的な技能発達が可能であるといわれている(5)
。
学習形態については、それぞれの個人技能の練習に時間がかけられるため、教師の指導性を生 かした一斉学習が有効であろうと考えた。
C型‑攻撃のコンビネーション中心型、グループ学習:トス‑スパイクという攻撃のコンビ ネーションプレーの練習に多くの時間を配当する。学習形態としては、生徒の自主性を重んじた グループ学習を採用する。
このようなモデルは、学校体育研究同志会の人達によって提示されているもので、彼等は、バ レーボ‑ルの技術的特質を「スパイクを含むパスラリ‑」と捉え、意図的な攻撃であるスパイク を含みながらラリーの続くことがこのスポーツの面白さであるという(6)
。ここから指導法として
は、2人のコンビネーション技術(トス・スパイク)をベースにしながら、その練習の中で個々 の技能を高める工夫が必要であると考えられている。また、このような攻撃中心型の学習がチー ムプレーの発達や生徒の授業に対する意欲を高めるうえで優れていることを実証しようとした研 究もみられる(7)
。ただし、これは高校生を対象したものである。
学習形態についても、彼等は「学習集団の質と科学的系統指導とは密接な関係にあり、具体的 な実践の中では指導内容の系統と集団の質的発展が相互に高めあい、科学的な認識として発展し ていくように指導す」(6)べきであるとし、民主的・自主的なグループ学習を強調している。このよ
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較研究 表1 A型の単元計画
95
時 間 (分) 学 習 内 容
I I I I t
20 30 40 50
1 オ リエ ンテI シヲン 意 識 調 査 学習の 目標、 方法の説明 グループ分け、 役割分担
2 ス キ ル テ ス ト テス ト方法の
説 明
オーバ ーハ ン ド サークルパ ス
ア ンダ l ハ ンド
サークルパス ア ンダI ハ ン ドサI プ
3 試 し の ゲ ー ム 準備
運動 グルー
プ練習 ゲ ム
4 技術 オリエンテーション
試 しの ゲーム の反省
準備
運動 ア ンダ‑ ハ ン ドパ ス ア ンダーハ ンドサ I プ
5 〟
準備
運動 サ ー プ レ シ I プ オ ーパI ハ ンドパス
6 〟 ′′ ト ス ス パ イ ク
7 グ JU ‑ プ 凍
(ア ンダI ハ ン ドパ ス ア ン ダ ー ハ ン ド パ ス 的 入 れ ゲ ー ム
(ア ンダI ハ ン ドパ ス)
8 〟
準備
運動 動いてのアンダーハ ンドパ ス ゲ ー ム
( 3 ‥3.)
9 グ )¥/ ‑ プ 練 習
(アンダl ハンドレシーブ) 〟 パ ックパ ス アンダ ーハ ン ドレシーブ ゲ ー ム
( 4 : 4 )
10 〟 〟 アンタ.I ハンド/ヾス アンタ‑ /蝣サンn ト.プ ア ンダ ーハ ン ドレ シ ー ブ
ll 中 間 ゲ ー ム 〟 グル‑
プ練習 ゲ ム
12 〟 〟 〟 〟
13 中 間 反 省 会 ゲーム分析 による反省 Ⅴ T R を 見 て の 反 省
14 グ ル I プ 練 習 準備
オーバ ーハ ンドパ ス ゲ ー ム
(オ‑ パーハ ンドパ ス) 運動 ( 6 : 6 )
15 〟 動いてのオーバ ーハ ン ドパ ス 〟
16 グ ル ー プ 練 習
( トス . スパ イク) 準備
運動 スパイク ト ス 〟
17 グ ル ー プ 練 習
( ゲ I ム ) 〟 グ ル l プ 練 習 〟
18 〟 〟 〟 ′′
19 終 わ り の ゲ ー ム ( ') ‑ ? $ ) 〟
グル‑
プ練習 ゲ ム
20 〟 〟 〟 〟
21 ス キ ル テ ス ト
意 識 調 査
オ ーバーハ ンド サ ークルパ ス
ア ンダーハ ン ド
サI クルパ ス アンダI ハン ドサI プ 意 義‑ 調 査
as 高橋健夫・広瀬裕司・米田博行・増正辰夫・上野佳男 表2 B型の単元計画
時 間 ( 分 ) 学 習 内 容
I 1 I 蝣 I
2 0 3 0 4 0 5 0
1 オ ‑) エ ン テ I シ コ ン 意 識 調 査 学 習 の 自 損 、 方 法 の 説 明 グ ル ー プ 分 け 、 役 割 分 担
2 ス キ ル テ ス ト テ ス ト方 法 の
説 明
オ ー バ ー ハ ン ド サ ー ク ル パ ス
ア ン ダ ー ハ ン ド
サ l ク ル パ ス ア ン ダ ー ハ ン ドサ ー ブ
3 試 し の ゲ ー ム 準 備
運 動 グ ル ー
プ 練 習 ゲ ム
4 技 術 オ リエ ンテ ー ション ′′ オ ー バ ー ハ ン ドパ ス ア ンダ l ハ ン ドサ ‑ プ
5 〟 ア ン ダ ー ハ ン ドパ ス サ ー ブ レ シ ー ブ
6 〟
準 備
運 動 ト ス ス パ イ ク
7 オ ー バ ー ハ ン ドパ ス 〟 オ ー バ ‑ ハ ン ド パ ス
8 ′′ オ ー バ ー ハ ン ドパ ス 的 入 れ ゲ ー ム
( オ I バ ‑ ハ ン ドパ ス )
9 オ ー バ ー ハ ン ドパ ス ア ンダ ー ハ ン ドサ ー ブ
準 備
運 動 オ ‑ パ l ハ ン ドパ ス 動 い て の オI パ ーバ ン K > ヾス
ア ン ダ ‑ ハ ン ドサ ー ブ
1 0 ア ン ダ ー ハ ン ドパ ス 〟 ア ン ダ I ハ ン ドパ ス
アンタ+‑
ハ ン ド サ ー ブ
サ ー プ レ シ ‑ プ
l l 中 間 ゲ ー ム 〟 グ ル ー
プ 練 習 ゲ ム
1 2 ′′ 〟 〟 〟
1 3 中 間 反 省 会 ゲ ‑ ム 分 析 に よ る反 省 V T R を 見 て の 反 省
1 4 ノヾ ス m m
運 動 ^ ‑‑ / 蝣s‑ ^ 、ン K ‑ ヾス ア V 9 ‑ 、ン K' ヾス 2 つ の パ ス の 組 み 合 わ せ
1 5 ト ス 〟 直 上 ト ス ト ス
1 6 ス パ イ ク 〟 ス パ イ ク 導 入 ジ ャ ンプ キ ャ ッチ ス パ イ ク
1 7 ト ス . ス パ イ ク 〟
ト ス ー ト ス . ス パ イ ク
1 8 グ ル l プ 練 習
( ゲ ー ム ) ゲ ム
1 9 終 わ り の ゲ I ム ( I) ー グ 戦 )
準 備 運 動
グ ル ー
プ 練 習 〟
2 0 〟 〟 〟 〟
2 1 ス キ ル テ ス ト
意 識 調 査
オ I バ I ハ ン ド サ ー ク ル ノヾス
ア ン ダ ー ハ ン ド
サ I ク ル ノヾス ア ン ダ I ハ ン ドサ ‑ プ 意 識 謁 査
バレーポ‑ル教材の初心者指導の方法に関する比較研究 表3 C型の単元計画
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時 間 (分) 学 習 内 容
‑ I . l ‑
20 30 40 50
1 オ リエソテーシ , ン 意 地 璃 査 学習の 日額 、 方法の税明 グル ープ分 け、 役割分担
2 ス キ ル テ ス ト テス ト方法の
説 明
オーパ l ハ ン ド アンダーハ ンド
サークルパス サ ‑ クルバ ス
アンダーハ ンドサ ーブ
3 試 し の ゲ ー ム 準備
運動 グルl 蝣f u m
ゲ ム
4 技術オ,) エンテI シヨン 〟 ポール慣れ ジャンプキ ャッチ ジ ャ ンプ トス
5 〟 〟 ジャンプキャッチ ジャンプ トス ス パ イ ク
6 〟 攻撃の コンビネーシ ョン (2 人) ア ンダI ハ ンドサ I プ
7 グ ル l プ 故 習
(攻 撃 の コ ン ビ) 準傭
連動 攻撃の コンビネーション ( 3人) グn / ‑ プ 練 習
8 〟 〟 g . ル ー プ練 習 ( 2 人の攻撃 のコンビ)
9 〟 〟
10 中 間 ゲ ー ム 隼偉
連動 グル‑
プ練習 ゲ ム
ll 〟 〟 〟 〟
12 中 間 反 省 会 ゲーム分析によ る反省 V T R を 見 て の 反 省
13 グ ル ー プ 凍 習
( アンダーハ ンドパ ス) 準備
運動 ア ンダーハ ン ドパ ス グルI プ練習 (2 , 3 人の攻撃 コンビ)
14 f サ ー ーf m グ ル ー プ 練 習
15 〟
準備
運動 〟
16 〟 " 〟
17 〟 〟
18 〟
準備
運動 ゲ ム
19 終 わ り の ゲ ー ム ( ') ‑ グ 戦 ) ′′
グJl>‑
プ熊習 〟
20 〟 〟 〟 〟
21 ス キ ル テ ス ト
意 織 鞠 査
オーバ ーハ ン ド サークルパス
T V if
* ‑ 9 ニ宗 ド ア ンダーハ ン ドサーブ 患 醜 鵬 査
98 高橋健夫・広瀬裕司・米田博行・増田辰夫・上野佳男 うな立場にたって、このモデルにおいては、教師がソースボリューム(技術や戦術に関する資料) を作成し、それぞれのグループがこの資料集やグループノートを活用して自主的に練習計画を立 て、学習を進めていくように指導しようとした。
くわえて、このモデルにおいては、元来、導入段階のゲームでは触球数4回制(レシーブ・パ ス・トス・スパイク)を用いた方が意図的にプレイされやすく、ゲームの質も高まるといわれて いる(8)
。しかし、他の指導法による技能発達やゲーム内容を比較検討する必要があるため、あえ て触球数3回制ルールを採用した。
2)単元計画と技術練習の時間配分
それぞれのモデルの原則に基づいて表1、2、3のような単元計画をたてた。また、実際に行 なわれた授業の中の活動時間の配分や個々の技術練習やゲームに配分された時間は表4、5のと おりである。
表4 授業の活動時間の配分
A 型 B 型 C 型
配分 時 間 扮 } 比 率 ㈲ 配 分 時 間 紛 う 比 率 ㈲ 配 分 時 間 扮 } 比 率 伽
説 明 の 時 間 134 2 2一3 13 8 23.0 132 2 2.0
運 動 の 時 間 4 23 70.5 413 6a 9 4 06 67.7
書グ )¥y ‑ プ 会 議 の
時 間 及 び 回 数 15 (6) 2.5 2 (1) 8 3 32 (7) 一 3
そ の 他 28 4.7 47 7.8 30 5.0
合 計 600 100 600 100 600 100
*教師の指示によるもののみで生徒の自主的なものは含まない。 ( )の中は回数
表5 技術練習時間の配分
A 型 B 型 C 型
配 分 時 間 扮 , 比 率 ㈲ 配 分 時 間 紛 } 比 率 脚 配 分 時 間 扮 } 比 率 伽
オ I / ヾl ハ ン ドパ ス 3 5 8 .3 1 9 9 4 a i 3 5 5. 9
ア ンダ I ハ ン ドパ ス 15 6 3 6 .9 6 6 16 .0 2 4 8. 6
サ l プ 11 2. 6 19 4 .6 2. 0
ス パ イ ク 2 9 6. 9 2 8 6. 8 3 8 9 .2
攻 撃 の コ ン ビ 1 7 4.0 5 2 1 2. 6 2 7 6.7
ゲ ー ム 10 0 2 3 .6 4 9 1 1. 9 19 4 .7
グ ル l プ 練 習 7 5 17 .7 0 0 2 5 5 6 2. 9 *
合 計 4 2 3 1 0 0 4 1 3 10 0 4 0 6
* C型のグループ練習の中にゲーム形式の練習が多く含まれている。
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較研究 99
4.比較研究の方法 1)技能発達の比較
(スキルテスト)
単元の始め(2時間目)と終わり(21時間目)にオーバ‑‑ンドとアンダーノ、ンドのサークル パステスト、アンダー‑ンドサーブのコントロールテストを実施した。その方法は、豊田の研 究(9)とほぼ同じである。
①オーバー‑ンド・サークルパス‑半径1mの円の中でポ‑ルを 2mあげ、連続してパ スをする。片足がサークル内にあればよいが、両足とも外に出れば中止する。 2回実施し、その 平均回数を記録する。
②アンダ‑ハンド・サークルパス‑オーバーハンド・サークルパスと同じ方法で連続してア ンダーハンドパスをする。
③アンダーノ、ンドサーブテスト‑サービスエリア内からアンダーノ、ンドサーブを5回打ち、
図1のように得点を与える。そして合計得点と5回中何回入ったかを記録する。ライン上はよい 方の得点とする。
図1 サーブテストの得点エリア (ゲーム分析)
チームプレーの発達を比較検討するために、試しのゲーム、中間のゲ‑ム、終わりのゲームを ビデオフィルムに収め、ゲーム分析を行なった。分析の内容は、 ①触球数、 ②サーブ成功率 ③ 触球数中のオーバーノ、ンドパス、アンダーハンドパス、スパイクの使用率 ④スパイク打数 ⑤
ラリー数の5項目である。なお、ゲームは10点制でデュースなしとした.
2)生徒による授業評価
単元の始めと終わりに、小林によって作成された「態度測定による体育の授業診断」(10)のための 調査(質問紙法)を実施した。また、単元の終わりに「バレーボールに関する調査」 (質問紙法)
を実施した。
結果と 考察
1.技能発達の比較 1)個人技能の発達
個人技能の発達の皮合いを知るために、単元の始めと終わりにスキルテストを実施したが、結 果は表6に示すとおりである。
100 高橋健夫・広瀬裕司・米田博行・増田辰夫・上野佳男 表6 個人技能の発達
オ I バ ー ハ ン ド サ ー ク ル パ ス
ア ン ダ ー ハ ン ド
サ I ク ル ノヾス ア ン ダ ー ハ ン ドサ ー ブ
平 均 匝0 S D 平 均 恒か S D 平 均 {点) S D 平 均 体 ) S D
坐 始 め 3 .6 2 .2 2 . 5 1. 4 3. 9 2. 6 2. 6 1.5
体 終 わ り ** * * 詛詛 * 詛詛 * * *
9 .2 8 .2 5 .4 4. 8 5.4 2. 4 3. 3 1.3
A 始 め 2 .8 1. 3 2 .2 0 .8 3. 1 2. 0 2. 3 1.2
型 終 わ り * ●* ** * * * * * * *
9 .9 8 .9 5 . 5 4. 3 5.4 2. 2 3. 3 1.1
B 始 め 1 3 1.4 2 .6 1. 5 3. 7 2. 5 2. 5 1.6
型 終 わ り * * * * * *
3. 2 1.4
l l .5 9 .6 5 .7 5 .8 5. 3 2. 8
C 始 め ▲ 3 . 1 2 .8 1.4 4. 9 2. 5 3. 0 1.4
型 終 わ り ●
6 .5 4 .9 ●●●
5 . 1 4 .0 5. 5 2. 3 3. 4 1.2
モ チ ノレ 間 の 育 意 差
始 め * * *
A < C
* * * A < C
終 わ り
* A > C
* * * B > C
* P<0.05 ** P<0.01 *** P<0.001 注) (本)とは成功本数
表7 豊田の研究にみるスキルテストの変化
オ ー バ ー サ ー ク ル パ ス 組 み 手 サ ー ク ル パ ス ア ンダ ‑ サ ーブ コン トロール
育 A 1 時 間 め 5. 7 回 ( 4 . 6 ) 4. 4 回 ( 3. 8 ) 2 .2 点 C 2. 1 )
梶 西
( N = 3 9 )
13 〝 * *
1 7 ( 6 .7 ) * *
1 0. 3 ( 1 0. 6 ) ●●
4 .1 ( 2. 8 )
B 1 時 間 め 5. 4 ( 2 .9 ) 5. 4 ( 3.4 ) 3. 2 (4 9 )
中 ( N = 3 7 )
13 ′′ * * * * * #
9. 0 ( 5 .4 ) 7. 7 ( 6. 0 ) 4 .4 (2 .2 )
棉 A 1 時 間 め 8 . 6 ( 10 .0 ) 6. 2 ( 5. 3 ) 2. 7 (2 . 1 )
城 ( N = 3 9 )
13 〝 * *
1 4. 7 ( 13 .8 ; * *
l l. 0 ( 9 . 3 ) * *
3. 8 (2 .6 )
B 1 時 間 め 9. 2 ( 5 .0 ) 6.4 ( 3.8 ) 3. 7 (2 .3 )
中 ( N = 3 7 )
13 〝 * * ナシ
1 2. 2 ( 9 .6 ) 8 . 9 ( 5 .4 ) 4. 0 (2 .6 )
* P<0.05 **P<0.01 ( )内は標準偏差
注)この研究は中学一年生女子152名を対象としたものである。
「始めのテスト」と、 「終わりのテスト」を比較してみると、 ①全体では、すべての項目にお いて、あきらかに向上しており、学習の成果が認められる。 ②A型、 B型においては、 3つの項 目すべてにおいて有意に向上しており、 C型については、アンダーハンドサ‑ブ以外は、有意に 向上している。 ③3つの型を比較すると、アンダーノ、ンドパスとオーバ‑ノ、ンドパスについては
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較研究 101 A型、 B型間には有意な差は認められないが、ややB型が上まわっている。また、 C型は双方と も他の型に劣っている。
ちなみに、豊田の行なった研究(ll)のスキルテストの結果は、表7に示すとおりである。豊田は このような結果から「アンダーノ、ンドパスから指導したAグループが、アンダ‑ノ、ンドパスだけ でなく、実質的に指導時問が半分程のオーバー‑ンドパスのテスト結果も向上している傾向が認 められる。」と述べている。しかし、本研究のテスト結果では、豊田の研究のAグループとBグ ル‑プに相当する「A型」と「B型」の間に有意な差は認められない。しかし、 C型に対しては パス技能に大きな差が認められる。
2)チームプレーの発達
(サーブ成功率) ‑1ゲーム中のサーブ成功率(サーブ成功数/サ‑ブ打数×100)を算出す ると表8のようである。
この表から①すべての型においてサーブ成功率の向上が認められるが、 ②3つの型の問には大 きな差は認められない。
く触球数) ‑初心者段階のゲームの質的発展は、ゲーム中の触球数(サーブを除いてボール に触れた数)がどれ程増大したかによって判断することができる。そこで、サーブ1回あたりに つきプレイヤーが何回ボールに触れたか(1ゲーム中の総触球数/サーブ成功数)を算出し、 3 つの型を比較すると表9のようになる。なお、試しと中間のゲームでは、同じチームの組み合わ せによる2ゲ‑ムを分析し、終わりのゲ‑ムでは総てのチームの8ゲームを分析対象とした。
表8 サーブ成功率の変化
2 ゲ ‑ ム の 平 均 8 ゲ ー ム の平 均
(同 じ 2 チ ー ム の組 み合 わ せ ) ( 4 チ ーム の 組 み合 わせ )
試 しの ゲ ー ム 中間 の ゲ ー ム 終 わ りの ゲ ー ム 終 わ りの ゲ ー ム
A 型 6 8 . 3 % 7 7. 4 % 8 5. 5 & 7 8 .6 *
B 型 7 3 . 1 7 5. 3 7 8. 1 8 0. 0
C 型 6 7 .6 8 1.8 8 2. 1 7 5. 6
表9 触球数の変化
2 ゲ ー ム の 平 均 8 ゲ ー ム の 平 均
( 同 じ 2 チ ‑ ム の 組 み 合 わ せ ) ( 4 チ ー ム の 組 み 合 わ せ )
試 し の ゲ ー ム 中 間 の ゲ ー ム 終 わ り の ゲ ‑ ム 終 わ り の ゲ ‑ ム
A 型 1. 7 回 2 .2 回 3.2 回 2. 5 回
B 型 1. 4 2 .0 2 . 5 2. 5
C 型 2. 3 1‑8 2 .9 2 . 5
102 高橋健夫・広瀬裕司・米田博行・増田辰夫・上野佳男
表10 オーバーハンドパス・アンダー‑ンドパス・スパイクの使用率の変化
2 ゲ ー ム の 平 均 8 ゲ I ム の 平 均
( 同 じ 2 チ ー ムの 組 み 合 わ せ ) ( 4 チ ー ムの 組 み 合 わ せ)
試 しの ゲ ー ム 中 間 の ゲ ーム 終 わ りの ゲ ーム 終 わ りの ゲ ー ム
A 壁
オ ーバ ーハ ン ドパ ス l ft 5 * 1 4. 8 % 2 3. 8 分 2 4 .0 %
ア ンダ ーハ ン ドパ ス 7 1. 2 7 7. 9 6 7. 8 6 9 .7
ス パ イ ク 9. 3 7. 3 8 .4 6 . 3
B 型
オ ーバ ーハ ン ドパ ス 5. 7 7 . 5 19 .0 2 3 .
ア ンダ ーハ ン ドパ ス 9 2. 9 9 2 .5 7 8 .4 7 1.7
ス パ イ ク 1. 4 0 2 ‑6 4 .9
C 型
オ ーバ ー ハ ン ドパ ス 19 . 2 12 .0 2 5. 5 2 3. 1
ア ンダ I ハ ン ドパ ス 7 4 .0 8 0 .7 6 2 .4 6 4. 7
ス パ イ ク 6 .8 7 .3 1 2 .1 1 2. 2
表11オーバー‑ンドパスとアンダー‑ンドパスの割合の変化
2 ゲ ー ム の 平 均 8 ゲームの平均
(同 じ2 チ ームの組み合 わせ) ( 4 チームの組み合わせ)
試 しのゲーム 中間のゲ ーム 終 わ りのゲーム 終わ りのゲ ーム
† ry
バ ダ
A
型 21 ‥79 16 : 8 4 26 : 74 26 : 74
一 一
ノ 、 : ノ 、
ン ン
ド ド
ノ ヾ ノ ヾ
ス ス
B
型 6 : 94 8 : 92 20 ‥80 25 : 75
C
壁 2 1 : 7 9 13 : 8 7 29 : 71 26 : 74
表12 1ゲーム中のスパイクの打数の変化
2 ゲ ー ム の 平 均 8 ゲ ーム の 平 均
(同 じ 2 チ ー ム の組 み 合 わ せ ) ( 4 チ ーム の 組 み 合 わ せ)
試 しのゲ I ム 中 間 の ゲ ー ム 終 わ りの ゲ ‑ ム 終 わ りの ゲ ‑ ム
A 型 3.0本 ( 0) 3.0 本 (0 ) 5▼ 5 本 (0 ) 3.6 本 (0.1)
B 型 0.5 (0.5) (0 ) 2.0 (0 ) 2.4 (0.9)
C 型 3.5 (1.0) 2.5 (0.5) 7.5 (3.0 ) 7.4 (2.4)
( )の中はチームプレーによるスパイクの打数
この表から次の点が指摘できる。 ①試しのゲームと終わりのゲームを比較すると、各型とも触 球数の伸びがみられる。 ②2ゲームのみを対象としてみると、とくにA型の伸びが著しい。 ③し
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較研究 103 かし、クラス全体(8ゲーム)の平均触球数は、すべて2.5回となっており、 3つの型に差はみ
られない。
(触球数中のオーバー‑ンドパス、アンダー‑ンドパス、スパイクの使用率) ‑ゲームの中 でのオーバー‑ンドパス、アンダー‑ンドパス、スパイクの使用率を求め、比較してみると表10 のとおりである。また、オーバー‑ンドパスとアンダー‑ンドパスの割合は表11に示すとおりで
ある。
ここでの主な結果は、 (む試しと終わりのゲームを比較すると、 3つの型ともオーバーハンドパ スの使用率が増え、アンダー‑ンドパスの使用率が減っている。 ②終わりのゲ‑ム(8ゲーム) では、オーバー‑ンドパスとアンダーハンドパスの使用率の割合は、すべての型において約1対
3になっている。 ③スパイクの使用率は、 C型に最も高く(12.2%)、 A型では、試しのゲーム より終わりのゲームに使用率が低くなっている。
くスパイク打数)‑アタックラインからネットまでの問で、ジャンプして片手でポールを打 つ動作をスパイクとし、 1ゲームにおけるスパイク打数を比較した。また、意図的にトスを上げ て打ったスパイクを「チームプレイによるスパイク」として、その打数も比較した。その結果は 表12に示すとおりである。
表からあきらかなように、 Q)3つの型ともスパイクの打数が増加している。とくに、 C型にお いてスパイクの打数が多いO ②C型においてはチ‑ムプレーによるスパイクも多い。また、数字 には現われていないが、レシーブをトスにつなげたり、スパイクのためにトスをあげようとする 試みも数多くみられた。しかし、他の型ではそのような意図はほとんどみられなかった。
(ラリー数)‑サ‑ブをレシーブLt ネットを越して相手コ‑トに返した場合にラリ‑1回 と数え、その後、ネットを越えて相手コ‑トに返球するごとに加算した。また、ゲームにおける ラリー数(表13)は、全ラリー数をサーブ成功数で割ったものである。表14は、 1ゲーム中のラ リーをその国数ごとの割合で示したものである。
これらの表から次の点があきらかである。 ①ラリー数はどの型においても増加しているが、 A 型が最も多く、 C型が少ない。 ②ラリー数を回数ごとの出現率でみても、全体にラリー数0の出 現率が減少している。しかし、ここからもA型の優位性とC型の劣性が認められる。
A型にラリー数が多くなったが、このことは豊田の研究結果に一致している。しかし、豊田の 用いた算定方法(12)ラリー数Oを除いて算出する)で比較しても、本研究の結果は豊田のそれ ほど明確な差はみられなかった(表15、表16)c
表13 ラリー数の変化
2 ゲ ー ム の 平 均 8 ゲ ー ム の 平 均
( 同 じ 2 チ ー ム の 組 み 合 わ せ ) ( 4 チ ー ム の 組 み 合 わ せ ) 試 し の ゲ ー ム 中 間 の ゲ ー ム 終 わ り の ゲ ー ム 終 わ り の ゲ ー ム
A 型 0. 4 8 回 0 .7 6 回 1.4 2 回 1. 10 回
B 型 0. 5 8 0. 4 9 1.0 6 1.0 2
C 型 0. 6 6 0. 4 9 1 .1 4 α 8 4
104 高橋健夫・広瀬裕司・米田博行・増田辰夫・上野佳男 表14 ラリー数の出現率の変化
ラ リ I 回 数 0 回 1 回 2 回 以 上
坐 体
試 し の ゲ ー ム 6 2 . 1 * 2 1 ¥ % 1 6 .8 &
終 わ り 2 ゲ ー ム の 合 計 4 2 . 6 2 7 3 3 0. 1 の ゲ ー ム 8 ゲ ー ム の 合 計 5 1. 3 2 3. 7 2 5. 0
A 型
試 し の ゲ ー ム 7 0 .3 1 6 .2 1 3. 5
終 わ り 2 ゲ I ム の 合 計 3 2 .5 2 & 3 3 9. 2 の ゲ ー ム 8 ゲ ‑ ム の 合 計 4 9 .3 2 2. 2 28 . 5
B 型
試 し の ゲ ー ム 6 1.9 2 3. 5 1 4. 6
終 わ り 2 ゲ ー ム の 合 計 4 5 .3 2 6. 4 28 . 3 の ゲ ー ム 8 ゲ ‑ ム の 合 計 4 9 .8 2 4 5 2 5. 7
C 型
試 し の ゲ ‑ ム 5 5. 8 2 3. 3 2 0 . 9
終 わ り 2 ゲ ー ム の 合 計 4 8. 9 2 6‑ 2 4 .4 の ゲ I ム 8 ゲ ー ム の 合 計 5 4. 6 2 4. 4 2 1.0
表15 豊田の研究にみるラリー数の変化(ラリー0は除く)
1 時 間 め 13時 間 め
育
梶 A 1.78 回 2.59 回
西
中 B 1.53 1.61
棉
城 A 1.27 2.63
毒 B 1.50 1.96
表16 ラリー数の変化(ラリー0を除く)
2 ゲ ー ム の 平 均 8 ゲ ー ム の平 均
(同 じ 2 チ ーム の 組 み 合 わ せ) ( 4 チ ー ムの 組 み 合 わ せ )
試 しの ゲ I ム 中 間 の ゲ ー ム 終 わ りの ゲ I ム 終 わ りの ゲ ー ム
A 型 1.64 回 1.80 回 2.13 回 2.18 回
B 型 1.62 1.38 2.07 2.02
C 型 1.84 1.9 1 2.22 1.84
以上、スキルテストおよびゲ‑ム分析の結果をみてきたが、主な結果をまとめてみると次のよ うであった。
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較研究 105
スキルテストの結果から①個人技能の伸びはB型に最も顕著であった。しかしA型との間には 有意な差は認められなかった。他方、 C型の個人技能の発達は最も低かった。
ゲーム分析の結果では、 ②触球数とサーブ成功率については3つの型の間に大きな差は認めら れなかった。 ③ゲームの中のオーバー‑ンドパスとアンダーノ、ンドパスは、それぞれの型で練習 時間が著しく異なるにもかかわらず、ゲームの中ではほぼ同じ割合で使用されていた。 ④スパイ クの打数やチームプレ‑によるスパイクの打数はC型に最も多く、他の型では少ない。 ⑤ラリ‑
数はA型が多く、 C型が最も少ない。
このような結果を、それぞれの指導法の特性と開通して考察すると次の点が指摘できる。
A型は、個人技能についてはアンダー‑ンドパス、オーバ‑ノ、ンドパスとも向上した。また、
ゲームでは、レシーブ技能が高まり、ラリーも最もよく続いた。このことは、アンダーハンドパ スの練習を中心とし、ゲ‑ムに多くの時間を配当した指導法が適切であったことを示すものであ る。しかし、ゲ‑ムの質は低く、チ‑ムプレ‑による意図的な攻撃はみられなかった。
B型は、個人技能については他の型に比べて最も大きな伸びを示した。このことは、 B型が個 人技能の練習に最も多くの時間を費したため、当然の結果であるといえる。しかし、ゲーム中に それらの個人技能が十分に生かされず、オーバー‑ンドパスの使用率をみても他の型と全く同じ であり、スパイク打数は最も少なかった。
C型は、ゲーム中に意図的な攻撃が最も多くみられ、ゲームの質も向上した。したがって指導 のねらいが一応達成されたといえる。しかし、パス技能が余り向上せず、ゲ‑ムにおいてはレシ ーブ技能が未熟なためラリー数が最も少なくなった。
以上のように、それぞれの型にメリットが認められるが、初心者段階の指導目標を「ゲ‑ムを 楽しめるだけの技能(個人的・集団的)の発達」におくならば、 A型が最も大きな成果を上げた
と考えられる。とくにそれぞれの型で個々の技術の指導時問が著しく異なるにもかかわらず、ゲ
‑ムの中のアンダーハンドパスの使用率は一様に高く、しかもほぼ同じ割合になっていた。それ は、アンダ‑ノ、ンドパスがポ‑ルを飛ばしやすく、突き指などの恐怖心も少ないためであると考 えられるが、いずれにせよ、これらの結果は、初心者段階におけるアンダ‑‑ンドパスの指導の 重要性を示唆している。
2.生徒による授業評価の比較 1)態度測定による授業診断
単元の始めと終わりに小林によって作成された調査を実施したが、表17、 18と図2. 3は、そ れらの調査結果を同様に小林によって標準化された方法によって分析し、そこからそれぞれの型 の授業を診断したものである。そこでの主な結果は次のようである。
①生徒の態度スコアーの変化から、それぞれの型の授業を総合的に診断すると、 A型は「かな り成功」、 B型「横ばい」、 C型「やや成功」という結果を得た。したがって、授業はA型、 C型、
B型の順で成功度が高かったといえる。
②三つの態度次元(歓び、評価、価値)の変化を5段階(A、 B、 C、 D、 E)で評価すると A型では、 「歓び」次元がDランクからCランクに向上し、 「評価」次元もCランクからBランク に向上している。しかし「価値」次元はともにCランクで変化がない0
B型では、 「歓び」がCからDランクに低下し、 「評価」と「価値」とはともにCランクで変化 していない。
1鵬 高橋健夫・広瀬裕司・米田博行・増田辰夫・上野佳男 表17 態度測定による授業診断表
モ デ ル A 型 b m C 型
項
(1 ) 項 目 点 珍 断 (1 ) 項 目 点 診 断 (1 } 項 目 点 珍 斬
ョ ョ 単 変 革
芸 藍
め 化 り
ゥ 単 変 革
芸 萎
め 化 り
ョ 単 変 革
霊 萎
め 化 り
目 元 元 鵜 .
め ョ
① ㊥ ‑
①
CD <1 >
ョ
よ
ろ
こ
び
1 こ こ ろ よ い 興 奮 0 .2 6 0 .2 1 ‑ 0 .0 5
× ×
0 . 1 4 0 . 14 0 .0 0 × 〉く 0 .2 9 0 .3 9 0 .1 0
× 、、 × 2 心 身 の 緊 張 を ほ ぐ す 0 .0 3 0 .3 1 0 .2 8 0 . 1 9 0 .3 1 0 . 12 × × 0 .1 2 0 .1 2 0 .0 0
3 生 活 の う る お い 0 .0 5 0 .0 0 ー 0. 0 5 × ×
× ×
0 .0 7 0 .0 5 ‑ 0 .0 2 × ×
× \ ×
0 .0 2 ‑ 0 .1 2 ‑ 0 .1 4 × \ゝ ×
× 4 苦 し み よ り 喜 び 0 .4 9 0.4 8 ー 0. 0 1 0 .4 8 0 . 52 0 .0 4 0 .4 1 0 .4 1 0. 0 0 5 集 団 生 活 の 楽 し み 0. 5 9 0.4 3 一 0 . 1 6 0. 6 9 0 .6 7 ‑ 0 .0 2 0 .5 6 0 .5 6 0. 0 0 6 友 だ ち を 作 る 埴 0. 1 3 0. 19 0 .0 6 × ×
× ノ′ ○
0. 17 0 .0 2 一 0 .1 5 0 .0 2 0 .2 7 0. 1 5 7 積 極 的 活 動 意 欲 0. 5 9 0 .5 2 ‑ 0 .0 7 0. 5 0 0 .2 9 ‑ 0 .2 1 ×
○
0 ー4 9 0 .3 2 ‑ 0. 1 7 × 8 自 主 的 思 考 と 活 動 0ー10 0 .5 0 0 .4 0 0 . 3 1 0 .2 6 ‑ 0 .0 5 0 .2 4 0 .4 4 0.2 0 / 9 体 育 科 日 の 価 値 0 .3 1 0 .6 7 0 .3 6 / ○ 0 . 4 5 0 .2 6 ‑ 0 .1 9 0 .4 6 0ー4 4 ー 0.0 2 ○ 10 授 業 時 間 数 0 .4 4 0 .7 1 0 .2 7 / ○ 0 . 5 7 0 .6 2 0 .0 5 ○ 0 .5 4 0. 8 0 0.ー2 6 / ○
態 度 ス コ ア ‑ Z 9 9 ▼0 2 1.0 3 D 4 C 3 .5 7 3 .1 4 ‑ 0 .4 3 C 3 D 3 .1 5 ▼7 3 0ー4 8 D 3 C
秤
価
価
値
l l キ ビ キ ビ し た 動 き 0 14 6 0 .4 3 ‑ 0 .0 3 ×
× ×
× /
/ (⊃
0 .3 8 0 .4 5 ー0 7 × 0.4 6 0. 3 6 ー 0 . 10 ×
× ×
12 体 力 づ く り α 7 2 0 .7 6 0 .0 4 0 .9 3 0 .5 7 ‑ 0 .3 6 ○ \ × 0. 7 8 0.ー8 0 0 .0 2 13 明 朗 活 発 な 性 格 0 .1 0 0 .1 2 0 .0 2 0 .2 4 ‑ 0 .0 7 ‑ 0 .3 1 \、 × 0. 1 5 0 . 1 2 ‑ 0 .0 3
14 精 神 力 の 養 成 0 .3 3 0 .3 1 ‑ 0 .0 2 0 .3 6 0. 1 2 ‑ 0 .2 4 × 0. 32 0 . 1 7 ー 0 . 15 × 15 堂 々 が ん ば る 習 慣 0 ー1 8 0 .3 6 0 . 18 0 .4 5 0 .3 1 ‑ 0 .1 4 × 0.2 4 0 .3 2 0 .0 8 × ×
○ / ○
16 協 力 の 習 頒 0 .6 2 0 .6 2 0 .0 0 0 .6 9 0 .6 4 ー 0ー0 5 ○ 0. 54 0 .4 9 ‑ 0 .0 5 17 基 本 的 理 論 の 学 習 0 .5 4 0 .5 7 0 .0 3 0 .6 9 0.ー5 0 ‑ 0 .1 9 ○
: > ・' o
0.7 1 0 .7 3 0 .0 2
18 深 い 感 動 ‑ 0 .0 3 0 .2 4 0 .2 7 ‑ 0 .0 2 0. 1 4 0. 1 6 0 . 10 0 .4 6 0 .3 6 / ○ 19 授 業 の ま と ま り 0 .6 4 0 ー6 9 0 .0 5 ○ / ○ 0ー5 2 0. 64 0. 1 2 0 .6 8 0 .6 6 ‑ 0 .0 2 ○ / ○ a ) 授 業 の 印 象 0 .3 8 0 .5 0 0 .1 2 0ー1 7 0.2 6 0.0 9 0 .5 1 0 .5 4 0 .0 3 ○ ○ 態 度 ス コ ア ‑ 3 ー9 4 4 .6 0 0. 6 6 C 4 B 4 .4 1 3. 5 6 ‑ 0.8 5 C 3 C 4 .4 9 4 .6 5 0 .1 6 C 4 B 2 1 チ l ム ワ I ク の 発 展 0 .4 6 0. 6 4 ー1 8 ・" v. 1 0. 6 0 0 ー50 ー 0. 10 ○
× ×
0 ー6 8 0 .6 1 ‑ 0 .0 7 ○ ○ 2 2 I A ん な の 活 動 0 .0 5 ‑ 0. 0 7 ‑ 0. 1 2 × ×
、\ ×
/ ○
○
×
0. 2 1 0 .0 5 ‑ 0 . 1 6 0 .2 9 0 .0 0 ‑ 0 .2 9 × 2 3 み ん な の よ ろ こ び 0一0 3 0. 1 2 0.0 9 ‑ 0. 14 ‑ 0 . 17 ‑ 0 .0 3 0 .1 5 ‑ 0 .0 7 ‑ 0 .2 2 \、 × 24 利 己 主 義 の 抑 制 0. 2 3 0. 0 0 ‑ 0.2 3 0 . 1 9 0 .0 0 ー 0 . 19 × 0 .1 7 0 .0 0 ‑ 0 .1 7 × 25 永 続 的 な 仲 間 0. 3 6 0.4 5 0 .ー0 9 0 .4 5 0 . 14 ‑ 0 .3 1 、\ ×
○ ○
0 .5 6 0 .5 1 ‑ 0 .0 5 ○ 2 6 主 体 的 人 間 の 育 成 0. 5 6 0.7 6 0 .2 0 0 .6 0 0 .5 2 ‑ 0 .0 8 0 .7 6 0 .5 6 ‑ 0 .2 0 ○ Z T 理 論 と 実 践 の 統 一 0 . 3 3 0 . 17 ‑ 0 . 16 0 .3 3 0 .3 1 ‑ 0 .0 2 0 .3 9 0 .2 0 ‑ 0 .1 7 ○ 28 授 業 の ね ら い 0 .4 6 0 .2 9 ‑ 0 . 17 0 .3 8 0 .2 4 ‑ 0 . 14 × 0 .1 5 0 .2 7 0 .1 2 × × 29 教 師 の 存 在 価 値 0 .6 2 0 .6 2 0 .0 0 ○ ○
C 3 C
0 .6 0 0 .6 4 0 .0 4 ○ ○ 0 .4 6 0 .6 1 0 .1 5 / ○ 30 体 育 科 目 の 必 要 性 0 .5 9 0 .5 7 ー 0 .0 2 0 .6 0 0 .6 2 0 .0 2 ○ ○ 0 .8 3 0 .7 8 ‑ 0 .0 5 ○ ○ 態 度 ス コ ア ー 3 .6 9 3 .5 5 ー 0 .1 4 3 .8 2 2 .8 5 ‑ 0 .9 7 C 3 C 4 .4 4 3 .4 7 ‑ 0. 9 7 B 3 C
C型では、 「歓び」がDからCランクに、 「評価」もCからBランクに向上している。しかし
「価値」は、 BからCランクに低下している。
以上のような結果に、それぞれの次元の小項目の特徴的な変化をくわえて考察すると次の諸点 が指摘できる。
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較研究 表18 態度スコアーの総合診断
A 型 B 型 C 型
始め 終わ り 始め 終 わ り 始 め 終わ り
よろ こび D C C D D C
評 価 C B C C C B
価 値 C C C C B C
甑 のレ 単モデ ル元 A 型 B 型 C m
始 禁 it, n ォi *?
へノレ め り め わり め わり
請 い
かなり高い やや it ト
ふ r) ラ や や 低 い かなりォ& ・、
It L
+ 十 十 +
∫
′
∫
∫
∫
∫
∫
∫
∫
∫
㊨∫ +
辞 爵 デル A 8! B C 型 成 功
かなり成功 や や 成功 横 ば い や や 失 敗 かなり失敗 失 敗
アンバランス 千 十 十 図3 授業の総合診断
107
図2 態度スマ7‑の総合診断の判定
A型は、 「楽しい体育」の授業をめざして、ゲ‑ム中心、アンダ‑ノ、ンドパス中心、教師主導 のグループ学習を展開したところに特性があったが、とりわけ、ゲ‑ムの時間量を多くしたこと が、 「歓び」次元や「評価」次元の諸項目に望ましい態度の変化を生み出したものと考えられる。
また、 8. 「自主的思考と活動」、 21. 「チームワークの発達」、 26. 「主体的人間の育成」の項目 に望ましい変化がみられるように、グループ学習の成果も認められる0
C型の授業の強調点は、攻撃のコンビネションプレーと生徒の主体的なグル‑プ学習であった が、全体として、この型のねらいが十分に達成されたとはいえない。しかし10. 「授業の時間数」
17. 「基礎理論の学習」、 29. 「教師の存在価値」に望ましい態度の変化がみられ、項目点も標 準以上であり、生徒がこの型の基本的な方法の意義については承認していることを教えている。
18. 「深い感動」 21. 「チームワークの発達」の項目点が標準以上であるように、グループ学習 の一応の成果を認めることができる。他方、 7. 「積極的な活動意欲」 ll. 「キビキビした動き」
13. 「明朗活発な性格」 14. 「精神力の養成」 15. 「堂々とがんばる習慣」の項目点か一様に標 準以下で、このことはコンビネーション技術の練習が生徒に難しすぎ、十分に力や技を伸ばすこ とができず、また、ひたむきな活動意欲をひき出すことかできなかったことによるものと考えら れる。グループ学習については、生徒の主体的な活動が強調されたが、グループの練習計画がス
108 高橋健夫・広瀬裕司・米田博行・増田辰夫・上野佳男
ムーズにたてられなかったり、グループの成員間でトラブルが生じたりして、いくつかの問題を 残した。これらのことが人間関係についての設問項目を多く含む「価値」次元の評価を低くした
と考えられる。
B型の授業の特性は、個人技能中心・一斉指導であったが、教師の精力的な活動にもかかわら ず、生徒の授業評価は最も低かった。とくに「歓び」次元に項目点が低いのは、ゲーム配当時間 が少なかったことと深く開運していると思われる。 12 「体力づくり」、 13 「明朗活発な性格」、 14
「精神力の育成」、 15 「堂々とがんばる習慣」も標準以下で項目点が下降しているが、これらも 同様に生徒がゲームに意欲的に参加できなかったためであろう。これらの結果は、個人技能中心 の学習が生徒の興味や欲求を十分に充足しえなかったことを示唆している。さらに、 「価値」次元 の21. 22. 23. 24. 25. 26といった人間関係の項目点が一様に下降しているのは、一斉指導のマ イナス面が現われたと考えられる。
A、 B、 Cのそれぞれの型に共通して2. 「心身の緊張をほぐす」 3. 「生活のうるおい」 13・ 「明 朗活発な性格」の項目点が標準以下であるが、このことは、授業の楽しさや喜びが不十分であっ たことを意味する。授業担当者の雰囲気や研究授業の緊張感が多分に影響していると思われる。
2)愛好的態度の変化
授業の成否は、教材への愛好的態度を育てたかどうかで決定されるといわれている。(13)そこで、
表19 バレーボールの授業の感想
モ デ ル
項 目
A 型 B 型 C 型 全 体
% n % n % % n
楽 し か っ た 8 1. 0 3 4 7 5 .6 3 1 8 2. 5 3 3 7 9 .7 9 8
ど ち ら で も な い 1 6. 7 1 9 .5 1 2. 5 1 6 .3 2 0
つ ま ら な か っ た 2 . 3 4 .9 5.0 4 .0
計 10 0 4 2 1 0 0 4 1 10 0 4 0 1 0 0 1 2 3
表20 楽しかった理由(自由記述による)
モ デ ル
要 因
A 型 B 型 C 型 全 体
% n % % % n
集 団 要 因 3 8 .2 13 2 9. 0 3 6 .4 12 3 4. 7 3 4
ゲ ー ム 要 因 4 1.2 14 4 1. 9 1 3 2 4 .2 3 5. 7 3 5
抜 髄 (個 人 . 集 団 ) 要 因 14 .7 1 2. 9 2 1.2 1 6. 3 1 6
心 理 要 因 5 .9 1 2. 9 18 .2 1 2. 3 1 2
そ の 他 の 要 因 0 0 3. 2 0 0 1. 0
計 10 0 3 4 1 0 0 3 1 10 0 3 3 1 00 9 8
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較研究 表21バレーボールの愛好的態度の変化
109
モ デ ル
項 目
A 型 B 型 C 型 全 体
% n % n % % n
好 きにな った 7 6.2 32 54.8 23 6 2.5 25 64.5 80
どちらで もない 2 1.4 4 2.8 18 35.0 14 33.1 41
きらいになった 2.4 2.4 2.5 2.4
計 100 42 100 42 100 40 100 124
表22 好きになった理由(自由記述による)
モ デ ル
要 因
A 型 B 型 C 型 全 体
% % % n % n
集 団 要 因 2 5. 0 0 0 8. 0 12 . 5 10
ゲ ー ム 要 因 1 2. 5 3 0 .4 2 0. 0 2 0 .0 1 6
技 能 (個 人 . 集 団 ) 要 因 3 1 .2 5 1 0 3 4 .8 5 6 .0 1 4 4 0 .0 32
心 理 要 因 3 1.2 5 1 0 2 6 . 1 1 6 .0 2 5.0 20
そ の 他 の 要 因 0 0 8 . 7 0 0 2. 5
計 1 0 0 3 2 10 0 2 3 1 0 0 2 5 10 0 80
それぞれの型の授業が愛好的態度を十分に育成することができたかどうかをバレーボールの授業 の感想や愛好的態度の変化でみてみると表19、 20、 21、 22のようである。
表19にみるように、授業が「楽しかった」という者の数は、各型の間に大差はないが、ややB 型に少ない傾向がみられる。また表20の「楽しかった」理由としては、どの型とも「ゲーム要因」
(ラリ‑が続いた、ゲームができた、ゲームで勝てた等)や「集団要因」(仲良くできた・チー ムワ‑クがよかった、グル‑プで活動できた等)が多い。しかし、集団要医=こついてはB型にや や少なく、ゲーム要因についてはC型にやや少ない。 「技能要因」は、それほど多くはないが、
C型にやや多く、しかもその理由として「集団技能」の達成をあげる者が多い(5名)。一方、
「っまらなかった」とする者(全体で5名)は、その全員が「集団要因」 (人間関係のトラブル) を理由にあげている。この点は大いに注目されるところである。
次に、 「バレーボールの愛好的態度の変化」をみると、 「好きになった」とする者はA型に多く (72.6%)、逆にB型に少ない(54.8%)。 「好きになった」理由についてみると、どの型も「技 能要因」をあげる者が多く、 「上手なものを好む」(14)という一般的性向に付合している。モデル 別にみると、 A型に「集団要因」や「心理的要因」(面白かった、楽しかった)が多く、 C型で は「技能要因」 (集団技能)が多い。 B型では、 「ゲーム」、 「技能」、 「心理」に分散していて、と くに「集団要閏」は皆無である。他方、 「嫌いになった」という者は全体で3名であるが、その 理由は、 2名が「集団要因」であり、 1名が「技能要因」であった。
110 高橋健夫・広瀬裕司・米田博行・増田辰夫・上野佳男
これらの結果が教えることは、先の「態度スコアーの変化による体育の授業診断」の結果とも 共通する面が多く、ここでもA型の優位性とB型の劣性を認めなければならない.一方、バレー ボールの授業の楽しさの要因がとくに「ゲ‑ム」と「集団の人間関係」にあることも調査の結果 が教えている。したがって、初心者指導においては、学習集団のまとまりを大切にし、ゲームを 十分に取り入れながら実践すれば、生徒の評価は高くなると考えられる。しかし、愛好的態度の 育成と技能要因との関係は深く、ゲームに生かされる技術指導のあり方が一層研究されなければ ならない。
要 約
中学校1年生を対象としてバレーボール教材の指導法に関する比較研究を試みたが、その結果 次のことがらがあきらかになった。
(1)アンダーハンドパスを中心としたゲーム型(教師主導のグル‑プ学習)は、個人技能につい てはアンダーハンドパス、オーバーノ、ンドパスともに向上した。またゲームではラリーが最もよ く続いた。しかし、ゲームの質は低く、チームプレーによる意図的な攻撃はみられなかった。
(2)オーバーノ、ンドパスを中心にした個人技能修練型(一斉・粧別学習)は、個人技能について は大きな発達をみた。しかしゲームの中に、それらの技能が生かされず、スパイク打数は最も少 なかった。また生徒の授業評価も最も低く、単元前の「態度スコア‑」よりも低下させることに なった。同様に、バレーボール‑の愛好的態度を十分に高めたとはいえない。
(3)攻撃のコンビネーションプレー中心型(生徒主体のグループ学習)は、個人技能の向上があ まりみられなかった。また、ゲームにおいてもラリーの回数は最も少なかった。しかし、意図的 な攻撃がみられ、スパイクの打数は最も多くみられた。一方、生徒の授業評価は、 B型よりは高 く、 「歓び」次元、 「評価」次元の態度スコア‑は向上した。しかし、 「価値」次元のとくに人間 関係に関連する項目のスコア‑が低下した.これはグループ学習のよさが十分に生かされなかっ たためと考えられる。
これらのことから、バレーボールの初心者指導においては(1)学習集団(チーム内の人間関係) のまとまりを大切にし、 (2)ゲームを十分に取り入れることが必要である。また、 (3)学習した技能 が十分にゲームの中で生かされることが必要であり、初心者段階のゲームの楽しみ方に対応した 技術指導の系統化の研究が要請される。
注
(1)松田岩男、 「楽しい体育授業の意義と問題」学校体育1981、 4 pp. 10‑17 ;佐伯聴夫、 「基本の運動、授業のす すめ方」学校体育1981、 3 pp. 34‑42
(普)豊田博、古沢久雄「バレーボールの指導法に関する研究」東京大学教養学部体育学紀要、 1980, 3 pp.ト13 (3)扱田岩男、宇土正彦、体育科教育法、大修館、 1978 pp. 159‑160
(4)朽掘申二、 「バレーボールの展開(1)」新体育、 1975, 9 p. 70
(5)大野武二、小林‑敏、バレーボール 学芸出版、 1960、 pp. 27‑28;豊田直平、山本隆久、写真と図解によ るバレーボール・ 6人制 大修飽、 1963、 pp. 10‑30;福原祐三、 「バレーボールへの導入」学校体育、 1964,
pp. 112‑116
(6)荒木 豊、体育実践論(学校体育研究同志全編)ベースボールマガジン、 1974、 pp. 53‑68
(7)等々力賢治、 「バレーボール教材の指導法一守備中心の練習と攻撃中心の練習の比較」筑波大学附属高校研
バレーボール教材の初心者指導の方法に関する比較研究 111 究紀要1980、 pp. 29‑35
(8)中村敏雄、 「三回制と四回制」運動文化No. 7 1970, 8、 pp. 17‑20 (9)豊田、古沢、 「前掲論文」
(10)小林 篤、体育の授業研究大修館、 1978、 pp. 170‑196 (ll)、(12)豊田、古沢、 「前掲論文」
(13)ダリル・シ‑デントップ、高橋健夫訳、 「楽しい体育の創造‑プレイ教育としての体育」大修飴、 1981 pp.
249‑250
(1⑬ ダリル・シーデントップ、同上書 p.276
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A Comparative Study on the Teaching Methods for Beginners'Volleyball
Takeo Takahashi (Depar‑tment of Physical Education, Nara University of Education, Nara, Japan)
Yuji HIROSE (Sango Junior High School, Nara, Japan)
Hiroyuki KOMEDA {Junior High School Attached to Nara Women's Univesity, Japan))
Yoshio UENO (Ando Junior・ High School, Nara, Japan) Tatuo MASUDA (Ando Junior High School, Nara, Japan)
(Received April 30, 1981)
Abstract
This paper deals with the teaching methods for beginners volleyball class. By ana‑
lyzing the various ideas on teaching methods of volleyball, three models of the teaching methods were selected. The characteristics of each model were as follows.
Model "A" was (1) the game‑centered learning, (2) underhand pass‑centereed exercise,
and (3) the teacher‑oriented small group learning.
Model "B" was (1) the personal skill‑centered teaching (especially stressed on over‑
hand pass‑exercise) and (2) the teacher‑oriented class instruction.
Model "C" was (1) the combination skill‑centered exercise (group exercise of toss‑
spike) and (2) the small group learning (student‑teacher planning method).
In order to evaluate these models, the skill test and the investigations of the attitude to physical education class and of the favorite attitude to volleyball were made in the first‑
year classes of junior hight school.
The major丘ndings are as follows.
(1) Model "A" attained the greatest learning result. Personal skills were developed and rally times in games were most frequent. The attitude score to physical education class and the favorite attitude to volleyball increased most.
(2) Model "B" was attained the lowest learing result. Though the personal skills were most developed, they were not efficiently used in games. The attitude score, especially concerning the items of human relationship decreased. The favorite attitude to the subject matter increased less than others.
(3) In Model "C", personal skills were not so well developed and rally times in games were least frequent. The times of spike in games were most frequent and the quality of games seemed the highest. With respect to the attitude score and the favorite attitude, it was better than "B", but worse than "A".