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博士(医学)水本昇克 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)水本昇克 学位論文題名

k l‑ Monocyte Chemoattractant Protein(l¥tICP)‑l

トランスジェニ ックマウスにおける接触過敏反応の解析 学位論文内容の要旨

は じ め に

  分子量1,000以下のハプテンと呼ばれる化学物質が皮膚に侵入すると,皮膚固有の抗原 提 示細 胞 であ る ラン ゲ ルハ ン ス 細胞(LC)が捕捉 する.LCは表 皮から真皮 を経て所属 リ ン パ節 のT細 胞 領域 に 移 動し ,MHC分子 と とも に 抗原 をT細胞 に 提示 す る.抗原特 異的 に 感作 誘導さ れたT細胞は血中 を循環し, 再度抗原が 侵入してき た皮膚へと 流入し,炎 症 が惹 起誘発 される.こ の過程には ,表皮ケラ チノサイト やT細 胞から産生 される種々 のサイトカインと,細胞接着分子が複雑に関与していることが明らかにされている.しか し,接 触過敏反応 におけるLCの 皮膚への移 動,および 表皮からりンパ節への遊走に関与 するサ イトカイン については ,いまだ不 明な点が多 い・

  C−Cケモカイン の一種であ るMCP−1はTNF‑a,IFN‑ア刺激表皮 ケラチノサ イトによっ て産生 され,LCに対 して走化能 を持つこと が示されて いる.

  本研究 では,接触 過敏反応に おけるMCPー1の機 能を詳細に 検討する目的で,全身性に ヒ トMCP―1を発現 するトラン スジェニッ クマウス(Tgm)を用いて ,接触過敏 反応に及ぼ すMCP−1の 役 割を , 主にLCの 動 態,LC上 の活性化分 子の発現調 節へ与える 影響から解 析した .

結果および考察

  ELISA法による血 中ヒトMCP‑1濃度の測定 の結果,Tgmでは週齢 には関係な く17ng/ ml 以上 の高値を示 し,non‑Tgmで は検出されなかった.表皮ケラチノサイト培養上清におい ても ,Tgmでは ヒトMCP−1の産 生が認めら れた.

  DNFBによ る耳介腫脹 反応は,惹 起誘発後1〜4日 の全経過中において,non―Tgmと比較 し てTgmでは 有 意に 増 強 して い た. 腫脹の ピークであ る2日目 の耳介の組 織学的解析 で は ,non‑Tgmに比 ベTgmで は著 明 な真 皮の浮腫と 多数の単核 細胞浸潤が あり,表皮 真皮 問の 裂隙の形成 も認められ た.

  次に,この耳介腫脹反応の有意な増強が感作相,惹起相のどちらの経路に起因するのか を 解 明 す る 目 的 で ,DNFBで 感 作誘 導 後のnon‑Tgm及 びTgmの所 属 リン パ 節を 採 取し , こ の りン パ 節細 胞 をBALB/cマウ ス に移注 後,DNFB耳介腫脹 反応を計測 した.惹起 相の

(2)

影 響は, 感作 誘導 後のBALB/cマウ スの 所属ル ンパ 節細 胞をnon−Tgm及びTgmに移注し,

同 時 にDNFBに よる 誘発を 行う こと により 検討 した .そ の結果 ,感 作相 ,惹 起相の どち ら に お い て も ,ピ ーク時 の腫 脹反 応はTgmにお いて有 意に 増強 してい た. そこ で,Tgm における接触過敏反応増強のメカニズムについて感作相,惹起相の両面から検討を行った,

  まず感作相について,感作5日目における所属リンパ節細胞の各種ハプテン刺激に対す るin vitro増殖反応について検討した.所属リンパ節細胞は抗原特異的増殖反応を示し,

至 適 濃 度 のDNBS刺激 に よ る 増 殖 反 応 は ,non―Tgmに 比ベTgmで有 意な 増強 が認め られ た .また ,DNFB感 作24時間後 の所 属ルンパ節内の抗原提示細胞の分布を調べたところ,

T細 胞 領 域 で あ る 傍皮 質 に お い て ,NLDC‑145゛細 胞はnon‑TgmよりもTgmで 多数認 めら れた.

  このNLDC−145+細胞 が,感 作皮 膚から遊走してきたLCであることを確認する目的で,

FITCで 感 作 を 行い 所属リ ンパ 節内 のFITCを取 り込 んだNLDC―145+細胞 をフ 口ーサ イト メ ト リ ー で 解 析 した . そ の 結 果 ,DNFB感 作 と 同様に ,non―Tgmに比 べてTgmの所 属リ ンパ節では,FITC゛NLDC−145゛細胞の増加が認められた.従って,ハプテン経皮投与によ り ,Tgmで は 多 数 の 抗 原 提 示 細 胞 が 所 属 リ ン パ 節 に 遊 走 す る と 考 え ら れ た .   この現 象が 高濃 度の ヒトMCP―1が持続的に存在することによるものか検討するため,

正 常B ALB/cマ ウ スに り コ ン ピ ナ ン ト ヒ トMCP―11ugを 静 注 し , 同 様 にFITCで 感 作24 時 間後の 所属 リン パ節 を採取 し, フローサイトメト1」ーにて解析した.PBS静注のコン ト口ール群では,non‑Tgm (2.2ワ。)に比ベ,Tgm (3.72%)においてFITC十NLDC−145゛細胞 の 増 加 が 認 め られ た.ま た, リコ ンピナ ント ヒトMCP−1lpLgを静 注し たBALB/cマ ウス で は,FITC゛NLDC―145゛細胞の割合(4.58%)が,Tgmと同程度に増加していた.以上の 結 果から ,Tgm所 属リ ンパ 節へ 遊走す る抗 原提 示細 胞数の 増加 は, 高濃度ヒトMCP−1が 全身性に存在することによるものと考えられた・

  次に, 抗原 提示 細胞 の皮膚 から の遊走を直接確かめる目的で,FITC塗布後の表皮にお け るI―Ad゛LCの動態について経時的に検討を加えた.FITC塗布後経時的に表皮シートを 作 製し,抗I‑A゜抗体を用いた螢光抗体法を施行後,共焦点レーザー走査顕微鏡で観察し た .感作 前の 表皮 内I−Ad゛LC数では ,nonーTgmとTgmで差は認められなかった.FITC塗 布後18時間をピークにnon−Tgm,Tgm表皮シート内のI―A゜゛LC数の減少が認められたが,

単 位面積 あた りのI̲Ad゛LC数 は,non―Tgmに 比ベTgmでは 減少 の程 度が大きかった.さ ら に 画 像 解 析 の結 果,感 作12時間 後のTgmのLCは,non―Tgmに 比べて 著し くI−Adの螢 光強度を増し,また細胞の面積も約3.7倍に増加していた.

  フ 口 ー サ イ ト メト リ ー で 比 較 す る と ,FITC感作24時 間 後 の 所 属1jン パ 節内FITC゛ NLDC‑145゛ 細 胞は ,non―Tgmに比 ベTgmで はB7−1の平 均螢光 強度 が約25% 上昇し てい た,また,FITC塗布後の表皮内IーAd゛LCがnon−Tgmに比ベ早期に腫大していたことから,

ヒ トMCP―1が 抗原 提示 細胞の 所属 リンパ節への遊走を促進させるばかりでなく,機能に も影響を及ぼしている可能性が考えられた.そこで,ヒトMCPー1がin vitroにおいてもLC のB7―1発 現に影 響を 与え るか 検証す るた め,LCを1」 ンフ ォライ トMでenrichした表皮 細 胞浮遊液にりコンピナントヒトMCP‑1を加え,IーAd゛LC上のB7−1の発現をフ口ーサイ トメトリーで解析した.その結果,I―Ad゛LCにおけるB7―1の発現は,ヒトMCPー1の添加 で濃度依存的に増強することが判明した.

  惹起相 につ いて は,DNFBで 惹起 誘発 後耳介 から 表皮 を採 取し, 表皮に発現するMCP− l mRNAの 経 時 的 変化 を 解 析 す る こ と に よ り 検 討した .マ ウスMCP‑1 (JE) mRNAの 発現

(3)

は , 惹起 後12時 間ピ ー クで 認 めら れ た. ま た このJE発 現 は,Tgmに 比 較してnon−Tgm で 増 強し て いた が ,24時間 で はTgmで高 い傾向 が認められ た.これに 対してヒトMCP‑1 は,TgmをDNFBで惹起後24時間でピークを示した.

  次に , 感作 相 ,惹 起 相に お いて 抗 ヒトMCP‑1中 和抗体を投 与すること により,Tgmの DNFBに よる 接 触過 敏 反応 増 強 を抑 制 する こ とが 可 能で あ るか 検 討し た .抗ヒ トMCP‑1 中 和 抗体 をosmotic pumpに よ り持 続 的に 投与して ,DNFBによる耳介 腫脹反応を 計測し た. 24時間お よび48時間後 の平均耳介腫脹をアイソタイプコント口一ルに対する抑制率 で示した.惹起後24時間の抑制百分率は,non‑Tgm 4.4% vs Tgm 44.5%,48時間ではnon‑Tgm 4.9%vs Tgm 39.1ワ。だった.すなわち抗ヒトMCP−1中和抗体の持続投与により,Tgmでの 接 触 過敏 反 応増 強 が抑 制 され る こと か ら,Tgmにおける 接触過敏反 応増強は,Tgmに恒 常的に存在するヒトMCP‑1によることが判明した.

(4)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

     ヒトMonocyte Chemoattractant Protein(Ix/ICP)‑l トランスジェニックマウスにおける接触過敏反応の解析

  ヒト ロ‐アクチンをプ口モーターとして出生時から恒常的に高濃度のヒトMCP―1を発現 する トランスジ ェニックマ ウス(Tgm)を 用いて,接 触過敏反応 における加vivoでのMCP‑1 の機 能を主にラ ンゲルハン ス細胞(LC)の動態 ,LC上の活 陸化分子の発現調節ヘ与える 影響から検討した.

  廻nで はDNFBによる接触 過敏反応が 増強してい た.この接 触過敏反応 増強が感作 相,

惹起相のどちらの経路に起因するのかを解明する目的で,adoptive transferを施行したとこ ろ, 感作相,惹 起相ともに 腫脹反応はTgmで有意に増強していた.そこで,感作相,惹起 相の両面から検討を行った.

  まず 感作相につ いて,感作5日目に おける所属リンバ節細胞の各種ハプテン刺激に対す るめvitro増殖反応について検討した.所属リンバ節細胞は抗原特異的増殖反応を示し,至 適 濃 度のDNBS刺激 による増殖 反応は,non‑gmに 比ベT.gmで有意な増 強が認めら れた・

ま たDNFB感 作24時 間 後 の 所 属 リ ン バ 節 内 のNLDCー145十 細 胞 は,nonイ 伽 より もTgm で多数認められた・

  このMDC‐145+ 細胞 が 感作 皮 膚か ら 遊走 してきたICであること を確認する 目的で,

mCで感 作 を行 い 所属 リ ンバ 節 内のm℃ を取 り 込ん だMーDC‐145+ 細 胞を フ 口ーサイ卜 メ卜リーで解析した.DNFB感作と同様に,non‐1、gmに比べてT.gmの所属リンバ節では,

HI℃+MDC‐145+細胞の増加が認められた.

  この 現象カ滴濃 度のヒトMCP11の存在に よるものか 確認するた め,BALB/cマウスにり     ー398―

章則 光       和利 原 江 出 河野 大小 上 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(5)

コンピナントヒ卜MCP‑1 lligを静注し,同様にFITCで感作24時間後の所属リンノヾ節をフ 口ー サイ トメト リー で解 析し た.そ の結 果, リコ ンピナ ント ヒ卜MCPlll.tgを静注した BALB/cマ ウス で は ,FITc゛NLDC‐145十細 胞 の 割 合 がTgmと 同 程 度 に増 加 し て いた ・   次に,抗原提示細胞の皮膚からの遊走を直接確かめる目的で,FrI℃塗布後の表皮におけ るI‐パMの動態にっいて,表皮シー卜を用いて経時的に検討を加えた.Fr11二ニ塗布後18 時間をピークにnonイ呂m,瓸nのI‐パ゛LC数の減少7う認められnon‐T.gmに比ベ廻nでは 減 少 の 程 度が 大 き か っ た . さ ら に , 感作12時 間 後 の 廻nのLCはnonロgmに 比 べ て著 し く I‐ パ の 螢 光 強 度 を 増 し , ま た 細 胞 の 面 積 も 約3. 7倍 に 増 加 し て い た ・   以 上の結果から,ヒトMCP11が抗原提示細胞の所属リンバ節への遊走を促進させるばか りでなく,機能にも影響を及ぼしている可能陸7う嗹ヂえられた.そこで,ヒトMCP一1が加vむm にお いてI℃のB7‐1発現に影響を与えるか検証するため,LCをerlIセhした表皮細胞浮遊 液にりコンビナン卜ヒ卜MCPIlを加え,フローサイトメ卜リーで解析した.その結果,I‐ パ十LCにおけるB7‐1の発現は,ヒトMCP‐1の添加で濃度依存的に増強することが判明し た・

  惹 起 相 につ い て は ,DM珥 で 惹 起 誘 発後 の 表 皮 に 発 現 す るMCP一1mRNAの 経 時 的変 化 を解 析す ること によ り検 討し た.マ ウスMCP‐1(厄)mRNAの発現は,惹起後12時間ピー クで 認め られた ,こ の厄 発現 はTgmに比較してnon―T.gmで増強していたカt24時間では Tgmで 高 い傾 向 が認め られ た. これ に対し てヒ トMCP11は, 惹起 後24時 間で ピー クを 示 した.

  次 に, 感作相 ,惹 起相 にお いて中 和抗 体を 投与 するこ とに より ,廻nのDNFBによる接 触過敏反応増強を抑制することが可能であるか検討した.抗ヒトMCP一1中和抗体をosmo齔 pumpによ り持続 的に 投与 して ,耳介 腫脹反応を計測した.平均耳介腫脹をアイソタイプ コン卜口ールに対する抑制率で示すと,惹起後24時間の抑制百分率は,non一Tgm4.4%vs Tgm44.5%,48時間ではnon伽4.9%vsTgm39.1ワ。だった.

  ヒ トMCPll廻nの 解析 から ,めvf、り にお いてMCP・1がLCの表 皮から 所属 リン バ節 へ の 遊 走 を 促進 させ るこ と,LC上のMHCclaSsH抗 原お よびB7一lの 発現を 増加 させ ,結 果 として接触過敏反応を増強させることが判明した.

  公 開発 表に際 し, 副査 の上 出教授 より,MCP‐1の作用機序,LCに作用するMCP−1以外

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のサイ卜カイン・接着分子について,副査の小野江教授より,Tgmのマクロファージ機能 低下との相違,LCの機能低下の所見の有無について,最後に主査の大河原教授より,臨 床応用の可能性について質問があった.申請者は最新の情報を混え,大概適切な解答をな し得た.

  審査員一同は,これらの成果を高く評価し,大学院課程における研鑽や取得単位なども 併せ申請者7う縛士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した.

参照

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