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博士(医学)海老原 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)海老原 学位論文題名

悪性腫瘍転移胸椎の破壊荷重に関する生体力学的研究      ―羊胸椎モデルによる実験一

[材料と方法]

学位論文内容の要旨

威 羊50 頭か ら摘 出し た肋 骨付き胸椎3 椎2 椎間モデル99 体(第7 ―9 胸椎49 体、第1 50 体) を使 用し た. 椎間 板、 靱帯 およ び関 節包 を温 存し、不要な軟部組織を除 肋 骨 は 肋 椎 関 節 お よ ぴ 肋 横 突 関 節 を 温 存 し 、 頭 部 よ り 約7cm 部 で 切断 した 。

( グル ープ 設定 )

1 )Group1 :正 常椎 12 体 (T7 → 9 ; 6 体、 Tl0 −12 ;6 体 )

2 ) Group2 : 椎 体 内 限 局 破 壊 モ デ ル 39 体 ( T7 − 9 ; 19 、 Tl0 ― 12 ; 20 体 ) 第 8 お よぴ 第11 胸椎 椎体 内に 溶骨 型転 移巣 を模 した骨 欠損 をス チー ルバ ーを 用 し た。 頭側 椎体 終板 直下 の椎 体内 海綿 骨を 右側 優位 に左右非対称に切除した。

Imm 厚 でCT 撮影 を行 い、 頭側 椎体 終板 の断 面積 と、最 大海 綿骨 切除 面積 の椎 体 に 対す る割 合を 骨切 除率 とし て計 算し た。 Group2 の 検体の骨切除率は0.237 〜0 っ た。

い て 作 製 つ い で 、 横 断 面 積

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3 )Group3 :椎 体内 ・椎 体外 複合 転移 モデ ル

48 検 体を 用い て、 転移 巣が 椎体内 から 他の 脊椎 要素 にま で進 展した場合を想定したモデ ルを 作成 した 。椎 体内 の骨 切除率 をほぽ一定(平均土標準偏差= 0.421 土0.051 )とし、

肋 椎関 節、 椎弓 根、 椎間 関節 の破 壊を 段階 的に 追加 し、破 壊部 位に より 以下 の4 つのサ ブグ ルー プ( 各群 n=12 )を 作製し た。

Group3 ― A :椎 体内 骨切 除お よび 右椎 弓根 破壊 椎 体内 骨切 除お よび 右肋 椎関 節切 除

椎 体 内 骨 切 除 お よ び 右 椎 弓 根 , 右 肋 椎 関 節 破 壊 椎 体内 骨切 除お よび 右椎 弓根 ,右 肋椎 関節,右椎間関節切除

     

  

  

  

  

  

  

  

  

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(2)

( 破断 様式 )破 壊試 験前 後で単純X線撮影を行い、破壊様式の検討を行った。

[結果]椎体内海綿骨切除量と破壊荷重の関係

Group1と2を 用 い て 、 椎 体 内 骨 切 除 率 と 破 壊 荷重 と の 関 連 を 検 討 し た 。 椎 体 内 骨 切 除 率 の増 加にし たが って 、破 壊荷 重は 低下 した 。単 回帰 直線 に当 てはめ ると 、椎 体内 海綿 骨切除率と椎体破壊荷重との間には強い負の相関関係があった。

(破壊荷重(N)〓 5589.8ー7482.5*骨切除率、r:=0.782) 骨切除部位が破壊荷重に与える影響

Grouplの 全 検 体 と 、Group2の39体 の う ち 、 椎体 内 骨 切 除 率 が 約40% 程 度 の 検 体12体

(Group2 : 平均 骨切 除率 =0.434土0.061)およびGroup3の全検体を用いて骨切除部位が 破 壊荷 重に与 える 影響 を検 討し た。 破壊 荷重 は追 加破 壊要 素が 多くな るに した がい 低下 し た。 正常群 であ るGroup1の平 均土 標準 偏差 の破 壊荷 重(5619土1051N) は、 他の5群に 比 し有 意に高 い破 壊荷 重を 示し た。 椎体 内骨 切除 のみ のGroup2 (平 均破 壊荷 重:2624 土797N)に比し、肋椎関節の破壊を伴ったGroup3−B(1966土442N)、Group3―C(1732土387N)、

Group3−D(1526土438N)は有意な破壊荷重の低下を示した。椎体骨切除に右椎弓根破壊を 伴ったGroup3―A(2301土672N)と、これに肋椎関節破壊を追加したGroup3−C、3−Dは有意 に 低い 破壊荷 重を 示し た。Group2 と、 これ に椎 弓根 破壊を追加したGroup3一Aとの間、

お よぴGroup3―Cとこ れに 椎間 関節 破壊を 加え たGroup3―Dの間 には有 意な 破壊 荷重 の差 はなかった。

破断様式の検討

Group川 ま全 モデ ルで 椎体 骨折に固定界面での破壊を合併した。Group2 、3―A?3−Dの検 体 の 骨 切 除 椎 は 右 側 屈 と 軽 度屈 曲方 向に 破壊 した 。43例に 実施 した破 壊試 験後 の単 純X 線 像で は、全 モデ ル椎 に明 らか な頭 側椎 体終 板の 骨折 を認 めた 。各群 間に 破壊 様式 の明 らかな相違はなかった。

[ 考察]

臨 床的に 転移 性脊 椎腫 瘍は 椎体 内に 初発 し、 発見 時に は椎 体外に 進展 して いる こと か多 い 。腫瘍 の進 展度 に応 じた 破壊 荷重 の知 見は 転移 椎圧 潰の 危険性 の評 価に 有用 であ る。

本 実験で 骨欠 損が 椎体 内に 限局した場合には、破壊荷重は骨欠損の相対面積に反比例し、

過 去の報 告と 同様 の結 果で あっ た。 一方 、臨 床例 の検 討か ら、転 移椎 の圧 潰抑 制に おけ る 肋椎関 節の 重要 性が 示唆 され てい るが 、裏 付け とな る生 体力学 的根 拠は なく 、転 移の 局 在が圧 潰に あた える 影響 の評 価が 重要 な課 題と なっ てい た。本 実験 にお いて 、骨 破壊 部 位によ り破 壊荷 重の 違い が明 瞭で あり 、片 側肋 椎関 節破 壊によ り破 壊荷 重は 有意 に低 下 したこ とか ら同 部位 が椎 体圧潰の抑止に大きく寄与していることが示された。椎弓根、

椎 間関節 の追 加破 壊は 破壊 荷重 に有 意な 影響 は無 かっ た。 肋椎関 節の 圧潰 抑止 のメ カニ ズ ムとし て、 その 荷重 分担 能が 挙げ られ る。 今回 の実 験で は、骨 破壊 部位 によ り破 壊荷 重 の違い が明 瞭で あっ たに もか かわ らず 、破 壊様 式に は明 らかな 違い は認 めら れず ,検 討 しえた 全検 体に 椎体 終板 の骨 折を 認め た。 転移 椎の 圧潰 は終板 骨折 を契 機に 発症 し、

腫 瘍 浸 潤 に よ る 骨 梁 構 造 の 破 綻が 椎 体 終 板 に 対 す る 支 持 性 を低 下さ せる こと がそ の要 因 とされ てい る。 すな わち 、終 板の 耐荷 重能 が椎 体圧 潰を 規定し てい る。 本実 験で 得ら れ た、椎 体内 骨切 除率 が一 定で の追 加破 壊部 位に よる 破壊 荷重の 違い は、 終板 への 荷重 負 荷 の 相 違 が 生 じ た こ と に よ る と 考 え る 。解 剖 学 的 に み る と 、 肋 椎 関 節 はrib head jointとcostotranseverse jointか ら な り 、前 者 は 隣 接 椎 体 を 、 後 者 は 上 位 椎 体 と 下 位 隣接椎 の後 方要 素と を連 結し てい る。 これ らは 椎間 板を 介さな い荷 重伝 達経 路を 形成 す ると考 えら れ、 その 破壊 によ り椎 体終 板へ の荷 重が 増強 し、力 学的 に脆 弱で ある 椎体 終 板の骨 折が 生じ 易く なっ たと 推察 され る。

【 轄語]

  羊 胸 椎 を 用 い た 転 移 性 胸 椎 腫瘍 モ デ ル を 用 い て 骨 欠 損 の 大き さと 局在 が破 壊荷 重に 与 え る 生 体 力 学 的 検 討 を 行 っ た 。 本 実 験 に お い て 胸 椎 破 壊 荷 重 は 、 1) 骨 欠 損 が 椎 体 内 に 限 局 し て い る 場 合 、 椎 体 内 海 綿 骨 切 除 量 に 依 存 し た 。 2)椎 体 内 骨 切 除 率 が 中 等 度 の 場合、 片側 肋椎 関節 破壊 の追 加に より 有意 に低 下し た。

3) 椎弓 根、 椎間 関節 の追 加破 壊によ る影 響は なか った 。

(3)

本実験より肋椎関節の荷重分担能の重要性が示された。

腫瘍浸潤によるその肋椎関節の破壊は転移椎圧潰の重要な危険因子であると考える。

443

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

悪性腫瘍転移胸椎の破壊荷重に関する生体力学的研究      一羊胸椎モデルによる実験―

転 移 性 脊 椎 腫 瘍 の 治 療 に 際 し て 、 転 移 椎 の 圧 ・ 潰 防 ` 止 は 疼 痛 ・ 神 経 障 害 予 防 の 観 点 か     ・ !

ら 重 要 で あ る 。 圧 潰 防 止 に 最 適 な 治 療 法 を 選 択 す る う え で 、 腫 瘍 の 局 在 や 進 展 度 に 応 じ た 転 移 椎 の 破 壊 荷 重 に 関 す る 知 見 は 有 用 と な る 。 過 去 に も 腫 瘍 モ デ ル を 用 い た 生 体 力 学 試 験 が い く っ か 試 み ら れ た が 、 臨 床 で し ば し ば 経 験 す る よ う な 、 転 移 巣 が 椎 体 内 の み な ら ず 他 の 脊 椎 要 素 に ま で 進 展 し た 場 合 を 想 定 し た 生 体 力 学 試 験 は な い 。 本 研 究 の 目 的 は 溶 骨 型 胸 椎 腫 瘍 転 移 モ デ ル を 用 い た カ 学 試 験 に よ り 、 転 移 巣 の 大 き さ 、 な ら び に 肋 椎 関 節 、 椎 弓 根 お よ び 椎 間 関 節 の 腫 瘍 に よ る 破 壊 が 転 移 椎 の 破 壊 荷 重 に 与 え る 影 響 を 検 討 す る こ と で あ る 。 成 羊50頭 か ら 摘 出 し た 肋 骨 付 き 胸 椎3椎2椎 間 モ デ ル99体 を 使 用 し た 。 不 要 な 軟 部 組 織 を 除 去 し 、 肋 骨 は 頭 部 よ り 約7cm部 で 切 断 し た 。 椎 体 内 に 溶 骨 型 転 移 巣 を 模 し た 骨 欠 損 を 作 製 し 、Imm厚 でCT撮 影 を 行 い 、 椎 体 横 断 面 積 に 対 す る 最 大 骨 切 除 面 積 の 割 合 を 骨 切 除 率 と し て 算 出 し た 。 ま ず 、 正 常 椎 12体 (Groupl) と 椎 体 内 限 局 破 壊 モ デ ル と し て 、 椎 体 内 に 限 局 し た 種 々 の 大 き さ の 骨 破 壊 ( 骨 切 除 率 :0.237〜0.748) を 有 す る39体 (Group2) を 用 い て 椎 体 内 転 移 巣 の 大 き さ が 破 壊 荷 重 に 与 え る 影 響 を 検 討 し た 。 つ い で 椎 体 内 ・ 椎 体 外 複 合 転 移 モ デ ル と し て 、48検 体 を 用 い て 、 転 移 巣 が 椎 体 内 か ら 他 の 脊 椎 要 素 に ま で 進 展 し た 場 合 を 想 定 し た モ デ ル を 作 成 し た 。 椎 体 内 の 骨 切 除 率 を ほ ぼ 一 定 ( 平 均 土 標 準 偏 差 = 0.421土0.051) と し 、 肋 椎 関 節 、 椎 弓 根 、 椎 間 関 節 の 破 壊 を 段 階 的 に 追 加 し 、 破 壊 部 位 に よ り 以 下 の4つ の 群 ( 各 群n=12) を 作 製 し た 。Group3一A: 椎 体 内 骨 切 除 お よ び 右 椎 弓 根 破 壊 、Group3―B: 椎 体 内 骨 切 除 お よ び 右 肋 椎 関 節 切 除 、Group3―C: 椎 体 内 骨 切 除 お よ び 右 椎 弓 根 、 右 肋 椎 関 節 破 壊 、Group3−D: 椎 体 内 骨 切 除 お よ び 右

男 信

明 喜

浪 崎

三 岩

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

椎 弓 根 、 右 肋 椎 関 節 、 右 椎 間 関 節 切 除 。 破 壊 試 験 に はMTS材 料 試 験 機 を 使 用 し た 。 検 体 上 端 は 非 拘 束 と し 、 荷 重 軸 は 椎 体 前 方1/3と し 、 初 期 荷 重50N、loading rate= 50N/sec. で 圧 縮 荷 重 を 負 荷 し た 。 荷 重 変 位 曲 線 上 の 降 伏 点 の 荷 重 を 破 壊 荷 重 と し た 。 統 計 学 的 検 討 に は 、 椎 体 内 骨 切 除 率 と 破 壊 荷 重 と の 相 関 関 係 の 検 討 に は 単 回 帰 分 析 を 用 い た 。 骨 切 除 の 局 在 と 破 壊 荷 重 の 検 討 に はOne―way ANOVAを 用 い 、 有 意 水 準 は5X とした。

骨欠損が椎体内に限局した場合 、椎体内骨切除率と椎体破壊荷重との間には強い負の相 関関係があ った(r2=0.782)。正 常椎12体 と、Group2の39体 のうち、椎体内骨切除率が約40%程 度の検体12体 (Group2')およ ぴGroup3の全 検体 を 用い て骨 切除 部位 が破 壊荷 重に 与え る影響を検 討した。破壊 荷重 は 追加 破壊 要素 が多 くな るに した がい 低下 した 。正 常群 で あるGroup1は、他の5群に比し有 意に 高 い破 壊荷 重を 示した。椎体内骨切除のみのGroup2tに比し、Group3‑B、3‑C、3‑Dは有意な破 壊荷重の低下を示した。椎体骨 切除に右椎弓根破壊を伴ったGroup3‑Aと、これに肋椎関 節破壊を追 加し たGroup3‑C、3‑Dは有意 に低い破壊荷重を示した。Group2|と、これに椎弓根破 壊を追加した Group3−Aとの間、およぴGroup3‑Cとこれに椎間関節破壊を 加えたGroup3‑Dの間には有意な破壊荷重 の差はなかった。Group2.、3‑A〜 3‑Dの43例に実施した破 壊試験後のX線像では、全モ デル椎に明 らかな頭側椎体終板の骨折を認 めた。本実験で骨欠損が椎体内に限局した場合には、破 壊荷重は骨 欠損の相対面積に反比例し、過 去の報告と同様の結果であった。一方、臨床的に転移性 脊椎腫瘍は 椎体内に初発し、発見時には椎 体外に進展していることが多く、また、転移椎の圧潰抑 制における 肋椎関節の重要性が示唆されて いるが、裏付けとなる生体力学的根拠はなく、転移の局 在が圧潰に あたえる影響の評価が重要な課 題となっていた。本実験において肋椎関節の追加破壊に より破壊荷 重は有意に低下したことから同 部位が椎体圧潰の抑止に大きく寄与していることが示さ れた。肋椎 関節の圧潰抑止のメカニズムと して、その荷重分担能が挙げられた。解剖学的にみると 、肋椎関節 はrib head jointとcostotranseverse jointからなり、前者は隣接椎体を、後者は上位 椎体と下位 隣接椎の後方要素とを連結し、 おのおの椎間板を介さない荷重伝達経路を形成すると考 えられ、そ の破壊により椎体終板への荷重 が増強し、力学的に脆弱である椎体終板の骨折が生じ易 くなったと 推察される。

  審査にあたり、副査安田(和 )教授より骨欠損部の立体的形状および局在とその影響、破壊速度の 影響について、副査岩崎教授よ り破壊時の脊椎配列が破壊荷重に与える影響について、 また、主査 三浪教授より実際の転移性腫瘍 の伸展について、また、本実験で胸郭が切断されている ことの影響 についての質問があり、これら に対して申請者は自己の研究結果と文献的知識に基づい て概ね妥当 な回答を行った。

  以上、本研究は胸椎肋骨複合 体を用いて生体力学的実験を行った独創的な研究であり 、転移性胸

445

(6)

椎腫瘍の圧潰に肋椎関節、椎弓根、椎間関節が与える役割を明らかにした点で脊椎の生体力学分野 に大きく寄与した。この実験の手法を用いてヒト胸椎・胸郭複合体による追加試験が行われれば、

胸椎の生体力学的特性をより一層解明できることが期待される。

    審査員一同はこれらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑚や取得単位なども併せ申請 者が博士(医学)の学位を受ける資格を有するものと判定した。

参照

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