博 士 ( 医 学 ) 石 田 雄 介
学 位 論 文 題 名
Formin‑binding Protein17 の 機 能 と 局 在 学 位 論 文 内 容 の 要 旨
緒言
Formin‑binding protein 17 (FBP17) は多機能を持つformin のproline‑rich 領域に結合 する分子として注目されているが,その機能は未だ不明な点が多く,現在までにacute myelogenous leukemia のキメラ遺伝子MLL のfusion partner であるという報告があるの みである. FBP17 はC 末にSrc homology3(SH3) domam を持っており,これを介して結 合する他のpolyproline を有する分子の検索が機能解明に新たな道を開くものと予想さ れる,
最近,成 長因子の 受容体のシ グナル分 子 CN85 の polyprolme と endophjlm の SH3 が結合しreceptortyroslekmaSes による増幅シグナルを減少させるnegativereceptor signalmg の 系 が 注 目 を 集 め て い る . FBP17 の SH3 が endopMhn の SH3 と同 様 に dynaII 血 1 に結合するという事実に基づき,本研究では最初にFBP17 が CN85 に結合 し,受容体からのシグナル系に関与しているかを検討した.次いでFBP17 の特異的抗 体を用いてヒト臓器とその主な疾患での FBP17 の発現様式を網羅的に解析し,FBP17 の局在からみた機能の予測を行った。
対象と方法
1 ) FBP17 と CN85 の局在に 関する実 験, FBP17 の SH3 領 域(FBP17 ‐ SH3 ) は FBP17 cDNA を鋳 型 にして PCR でその部 分を増幅 し GST を tag とし て有する pGEX ベクター に挿入し作成した. DynarninlcDNA はhumanheaItHbrary を鋳型にしてPCR で増幅し FLAGtag っきベク ター pa 蝌 2 − FLAG に挿入した IFLAG − tag っき CN85 発現ベクター
(FLAG ―C :玳85 )およぴGFPtag っきFBP17 発現ベクター皿 GFP − FBP17 )も用意した.
HEK293T 細胞にdynarnin1 もしくはCN85 を強制発現して,ceulysate を調整し, GST 融合 CN85 ‐ SH3 蛋白質 と混合し GSTpulldownassay を行った 後に,抗 FLAG 抗体を 用いて結合蛋白質を検出した,
ヒト血管 内皮細胞 に FLAG − CN85 と EGFP ‐ FBP17 を共発現させて, CN85 は螢光抗体 で標識し、両者の螢光を共焦点顕微鏡にて観察した,
2 ) FBP17 のヒト組織での分布.ヒト組織は手術材料および病理解剖例を使用した,
No 曲 emblo 仕 ing には解剖 症例から 得た種々 の組織か ら RNA を抽出 し,mRNA の発 現をオートラジオグラフィーで確認した,mRNA の発現が高かった小脳をdigoxygemn 標識法を用いためゴfmhybddization にて検討した,蛋白の発現は N 末の合成ペプチ ド を 抗 原 と し て 作 成 し た 抗 体 を 用 い て 免 疫 染 色 に よ り 検 索 し た .
結果
1 ) GST pulldown assay の結果 FBP17 の SH3 領域は dynaminl および CIN85 と結合す ることを 確認した
2 ) CIN85 を細胞に発現させると核を除いて細胞質内に一様に発現していた.また
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FBP17単 独 で は 細胞 質 内 に多 数 の 細線 維 状 構 造を 形 成 して い た .FBP17とCIN85を 共発 現 さ せる と ,FBP17の局 在 に 一致 し てCIN85も 細 線 維状 に 局 在 し,共 焦点顕微 鏡で 両者はmergeして おり,CIN85とFBP17は細 胞内でも 結合し ていると 予想された.
3) Northern blottingで はFBP17のmRNAは 約6kbの位 置にtestis,spleen,skeletal muscle,cerebellumで強く,lung,kidney,heart,spinal cord,cerebrumに弱く検出され た.
4)ヒトcerebellumを対象 とした加situ hybridizationにてPurkinecenとgranulecellに FBP17111RNAの発現を認めた.
5)FBP17の ペ プ チド抗 体はWestemblottingに て1000倍希 釈でも抗 原を認 識してい た.
6) 抗FBP17抗 体 を用い た免疫染 色では ,ヒト組 織や細 胞により 各々異な る染色 性が見 られ た . 神経 内 分泌系細 胞,リン パ球骨 髄系細胞 ,精粗 細胞,脱 落膜細 胞は常に 強 陽性 を 示 した が , 扁 平上 皮 や 繊毛 上 皮 ,横 紋 筋 ,骨 軟 骨 細胞 で は 陰性 であった . 7) 免疫 染 色 の結 果 , 多 くの 組 織 では 腫 瘍 化す る とFBP17蛋 白 の 発現 の 程度が 亢進し ていた,
考察
FBP17の構造 と局在か らその 機能を推 測する ことを目 的として 検討を 行った.培養細胞 ではFBP17を 導入する とdyna.血n1依存性 のendoc舛osisを抑制 し,mbule構造をとるこ とが 報告さ れている ..今 回の検索 でFBP17はC玳85に結合す ること が判明した,C玳85 はCblと 結 合し 受 容 体tyrosmebnaSeから のsignalを 抑制して いるこ とが推測 されるの で 、FBP17は 受 容 体 から の シ グナ ル 伝 達を 抑 制的に調 節して いること が予想 された.
免疫 染色に よる蛋白 の発現 と局在を 見ると ,特殊な細胞に限局して発現していること が 判 明し た . 総括 的 に 見 るとFBP17はneuronやneuroendocdneceuに発現し ており, こ れらの細胞の機能発現に関与しているものと思われる,また,lynlphatictissueでは常に 強 い 発現 が 見 られ , 種 々 のc舛okineの分 泌 ,ある いはそ れらの合 成にFBP17が何ら か の 役 割 を 演 じ て い る も の と 考 え ら れ た , 今 後 ,FBP17のpromoter領 域 にc舛okme responsiveelementなど が存在し ,c舛0Hneにより 発現誘導が制御されていることも調べ ていく必要があると思われた.
腫 瘍 細 胞 で のFBP17の 発 現を 検 討 した 報 告 は 無い が , 今回 の 検 索の 結 果 多く の 腫 瘍で高い発現が観察された.
結語
FBP17は 、細 胞 に 強 制発 現 さ せる とSH3を 介 してC玳85に結 合し,受 容体か らのシグ ナ ル伝 達の制 御に関与 してい ることが 示唆され た.FBP17はヒト 組織で 特異的に発現する 細 胞 が存 在 し ,個 々の細 胞で独自 の機能 発現に関 連して いる蛋白 と思われ た,多 くの ヒ ト 腫瘍 で はFBP17の発現 亢進が見 られ,FBP17が腫 瘍化と その維持 にも働 いている こ とが示唆ざれた
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学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名
Formin‑binding Protein17 の機能と局在
Formin‑binding protein 17 (FBP17)は多機能を持つforminのproline‑rich領域に結合する 分子として注目されているが,その機能は未だ不明な点が多い. FBP17はC末にSrc homology 3 (SH3) domainを持っており,これを介して結合する他のpoly prolineを有する分子の検索が 機能解明に新たな道を開くものと予想される.
FBP17のSH3がendophilinのSH3と同様 にdynaminlに結 合すると いう報告 に基づき、本 研究では最初にFBP17がCIN85に結合し,受容体からのシグナル系に関与しているかを検討し た.次いでFBP17の特異的抗体を用いてヒ卜臓器とその主な疾患でのFBP17の発現様式を網羅 的に解析し,FBP17の局在からみた機能の予測を行った。
GST pulldown assayの結 果FBP17のSH3領 域はdynaminl粥 よ びCIN85と 結 合 する こ とを確認した.CIN85を細胞に発現させると核を除いて細胞質内に一様に発現していた,また FBP17単 独では 細胞質内 に多数の細線維状構造を形成していた.FBP17とCIN85を共発現さ せると ,FBP17の局在に 一致してCIN85も細線維状に局在し,共焦点顕微鏡で両者はmerge しており,CIN85とFBP17は細胞内でも結合していると予想された.Northern blottingでは FBP17のmRNAは約6kbの位置にtestis,spleen,skeletal muscle,cerebellumで強く,lung kidney,heart,spinal cord,cerebrumに弱く検出された.ヒトcerebellumを対象とした励situ hybridizationにてPurkinje cellとgranule cellにFBP17 mRNAの発 現を認め た.FBP17 のべプ チド抗 体はWestern blottingにて1000倍希釈でも抗原を認識していた.抗FBP17抗 体を用いた免疫染色では,ヒ卜組織や細胞により各々異なる染色性が見られた,神経内分泌系細 胞,リンバ球骨髄系細胞,精粗細胞,脱落膜細胞は常に強陽性を示したが,扁平上皮や繊毛上 皮,横紋筋,骨軟骨細胞では陰性であった,免疫染色の結果,多くの組織では腫瘍化すると FBP17蛋白の発現の程度が亢進していた.
口頭発表に当たり,副査の石橋教授より、細胞によるFBP17発現の差が生ずる分子機構、
強発現 させたCIN85の局 在変化 、CIN85の正常細胞や組織での発現に関して、続いて副査 の吉木 教授よ り、FBP17強発現での細胞形態や動きに関する所見、管状構造形成に関わる 他の分子との関連、腫瘍発現での一貫性に関する質問があり、最後に主査の長嶋よりin vitro
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に於る所見とヒト腫瘍との相関に関しての質問があった。発表者はこれらの質問に関して 概ね妥当な解答を行った。
この論文は個々の組織における腫瘍化におけるシグナル伝達の解釈に貴重な示唆を与え たものと考えられた。
審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分 な資格を有するものと判定した。
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