音楽を用いた子どもの「心理的居場所感」促進に関する研究
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(2) 目 次 第1章 問題と目的............................................._.............._..............,..1. 第1節 小学生のr心理的居場所」について......._..、..........._.............._1. 第2節 イメージと投影法的手法について..........__..........__..........…5. 第3節. 「心理的居場所感」促進プログラムについて..、.........._____。..6. 第4節 本研究の日的....…・・.............一__._、。.____.._..。..____。11 第2章 研究I...................................._.............___......._.___._。12. 第1節 日 的................................___._..._____......_._._…12 第2節 方 法...........................,...._.__......._.__.__...._..__…12 第3節 結 果................................___........___..、.、..._____..。16. 第3節考察................................__._......_____.._._。___.1g 第3章 研究皿..................;................___........____......__.___.22 第1節 目 的................................_._..、........_.__.......____._.22. 第2簡方法........、......................._.............___........____.._.22. 第3節結果................................___.......____....__.__._.32 1.分析I.......................................................................................。32. 2.分析皿、...........................、.........、.............._..............__..___.34. 3.分析皿................................、...二...................................................53. 第4節.考 察................................__、........、___......._.___._.g1 1.分析I.......................................................................................。91. 2.分析皿.......................................................................................。94. 3.分析皿........................................................................................97. 第4章 総合考察...............................、.................。................................103. 第1節 総合考察.............................................._.............._.............103. 第2節 今後の課題........、.................................一................_....._.....106.
(3) 第1章 問題と目的 第1節 小学生の「心理的居場所」について 近年,新聞や書籍などで「居場所」というキーワードをよく目にするように なってきており,「居場所」を見出すことは現代を生きる人々にとって重要な課 題であるといわれる。これに伴い,「居場所」が見つからない,急に「居場所」. を失い不安や寂しさ・空虚感にさいなまれるといった現象がみられるようにな り(斉藤,2006),人々が生きていく上で「居場所」を確保することが必要不可 欠であることが論じられている。. 1980年代以降,子どもの「居場所」に関する問題が教育実践の場,特に不登 校問題の現場において注目を集めるようになった(弓削・足立,2006)。これに. 関連し文部省(1992)は,学校が「子どもが自己の存在感を実感でき精神的に 安心一していることのできる場所」すなわち「心の居場所」である必要性を提唱. した。さらに学校外でも適応指導教室やフリースクールなどが存在するように なり,地域ぐるみの「子どもの居場所づくり」(文部科学白書,2004)が行われ. ている。不登校やいじめの問題ばかりでなく,1983年頃からは「独りぼっち化 現象」が進み,家庭ではテレビゲームとパソコンばかりで遊ぶ子どもが増えて いると指摘され(明石,2005),学校は自分の意見を言う安全が保証されず,人. に共感したり感動したり憤ったりといった感性をシャットアウトした方が過ご しやすい環境と化していると論じられている(武田,2005)。先進国20数カ国 を対象に行われた子どもの「幸福度(we11−being)」調査の報告書によると,「自. 分は孤独だと感じる」と答えた15才の子どもの割合は日本が29.8%と最も高 いと指摘された(国連児童基金(ユニセフ),2007)。これらはすなわち,子ど. もの居場所が失われつつあることを示唆していると考えられる。子どもの居場 所がうしなわれつつあることの理由として,子どもたちは学校にいても家庭に いても常に大人の顔色をうかがうことが要求され,自分の本当の姿を見せられ ない場で一肩の大半を過ごしていることが挙げられるのではないかと予想され る。子どもが心の居場所を見つけられないことは,相当にストレスブルなこと なのである。. しかしながら「居場所」の概念は未だ不明確である。「居場所」とは本来,「そ. 1.
(4) の人のいる場所」(三省堂現代新国語辞典,1998)のように物理的な場所を指す. 概念として用いられてきた。しかし現在では人がその物理的居場所に存在する ことによって生じる感情や意識についても含めており(小沢,2000),「居場所」. という概念は心理的な意味を含む言葉として捉えられている。また「居場所」 という概念は人間関係と密接に関わっているという指摘もなされている(斉藤, 2006)。. 「居場所」についての定義は研究者によって様々なされており,過去の心理 学文献においても種々定義されている(例えば富永・北山,2001)。則定(2008). は居場所の中でも物理的居場所の有無とは区別し,その心理的な側面に着目し て,「心の拠り所となる関係性,および,安心感があり,ありのままの自分を受 容される場」を「心理的居場所」と定義しており,同様の意味で,「やすらげる 居場所」」,「こころの居場所」といった言葉も用いられている(高柳,2004.2005)。. また則定(2008)は,心理的居場所があるという感情を「心理的居場所感」と 定義しており,r心理的居場所感jを構成する感情として,ほっとする・安心す る・居心地が良いなどのr安心感」・r安堵感」(秦,2000;富永・北山,2001;. 則定,2007;田中,2002),自分らしくいられる・ありのままでいられるとい ったr本来感」(石本・齊藤,2006;則定,2007),無条件に受け入れられてい るといった「被受容感」・「受容感」(杉本・庄司,2006;則定,2007),役に立 っている・支えになっているなどの「役割感」・「自己有用感」(秦,2000;則定,. 2007;石本・齊藤,2006),が挙げられている。田中(2002)は思春期を含む 青年期を対象とした「居場所」研究において「居場所」感情の内的構造に焦点 をあて,「充実感」「否定感情」という新たな感情を指摘している。さらに藤竹. (2000)は,居場所には自分が他人に必要とされ自分の資質や能力を社会的に. 発揮できる“社会的居場所”と,自分であることを取り戻すことができほっと することができる“人間的居場所”があると指摘している。同様に富永・北山 (2001)も“人間的居場所”を「静かな居場所」,“社会的居場所”を「社会的. な居場所」として論じている。これらの研究における“社会的居場所”とは他 者を想定し,尚かつその他者から承認されることで満たされる「役割感」を重 視した「居場所」であり,‘‘人間的居場所”とは他者を想定していない「居場所」. であると考えられる。一方で大野(1997)は,r居場所」が生じる状況は,自分.
(5) らしくある自分を認めてくれる人々との関係がある「人と共有している居場所」. と,集団を離れて自分を取り戻す場,自己理解を促進する場として「ひとりの 居場所」で構成されると論じている。この研究では「人と共有している居場所」 という他者を想定した「居場所」においても,「役に立っている自分」を認めら れることで満たされる「役割感」ではなく,「自分らしくある自分」を認められ ることを重視している。加えて臨床心理学研究でも,「居場所」とはありのまま. でいられるところであると定義するものが多くみられ(例えば廣井,2000;中 原,20ρ2),不登校問題における心の居場所に関する議論においても,子どもの. ありのままを受け入れることが大切であるとの指摘がなされている(朝目新聞. 社,2003a,2003b,2004a,2004b,2004c,2005)。加えて,子どもは自分に 関心を示し,安心と安全を提供する人の居る場所を「居場所」と捉えるという 知見も存在し(斉藤,2006;野澤,2005),安心と安全を提供する人,すなわ ちアタッチメント対象が子どもの「居場所」において重要な役割を果たし,子 どもにとっての「居場所」は「安全基地」および「安全な避難場所」(安藤・遠. 藤,2005)の要素が強いことが予想される。以上のことより,子どもの「居場 所」では「役割感」が重視される“社会的居場所”の概念は適用されないこと が推定されるため,本研究では“社会的居場所”の概念はあえて「心理的居場 所」の概念に含めず,“人間的居場所”のみを「居場所」と捉える。さらに“人 間的居場所”の定義は他者を想定しない「ひとりの居場所」に限定せず,「『自. 分らしくある自分』を認めてくれる他者と共有する居場所」も含めることとす る。. しかしながら,前述の「居場所」研究はすべて中学生以上を対象としたもの である。弓削・足立(2006)は自由記述の質問紙調査により,小学生の「居場 所」は感情の次元において「満足感」,「安心感」,「リラックス」,「うれしさ・. 楽しさ」から構成されると指摘している。さらに小学生の「居場所」の構造を. 物理的空間・対人関係・感情の3次元から分析し,小学生は家で1人安心でき る状況と家以外の公的空間で友人と楽しく過ごす状況の2種類の「居場所」を もっており,1人で安心できる「居場所」は友人と楽しく過ごす「居場所」を 形成するための十分条件であると考察した。また吉松・荒木(2008)は小学生 が「居場所」をどのように捉えているのかを自由記述の質問紙により調査し,.
(6) 多くの小学生が学校ではなく家庭を「居場所」と捉えていること,また学校の 中の「居場所」に限定した場合は遊びやチームプレイの活動が「居場所」とな り得ると指摘している。しかし弓削・足立(2006)は質問紙における教示にお いて「居場所」を「ホッとするとき」,同様に吉松・荒木(2008)も「気持ちが. ほっとできる,気持ちが落ち着くことができる,安心できる時」と「安心感」 のみに限定して定義づけているため上述のような考察に至ったとも推察され, 「居場所」の定義のさらなる検討および教示の検討が課題と考えられる。また 杉本・庄司(2006)は小学生を調査対象に含み,「居場所」を「いつも生活して. いる中で,特にいいと感じる場所」と定義し「居場所」の心理的機能について 明らかにしている。その結果「居場所」の心理的機能は「被受容感」「精神的安 定」「行動の自由」「思考・内省」「自己肯定感」「他者からの自由」の6因子か ら成ることが明らかにされた(杉本・庄司,2006)。この知見は小学生の「居場. 所」研究に非常に重要な示唆を与えていると考えられるが,調査対象が小学生 のみではなく中学生・高校生を含むため,小学生の「居場所」について十分に 研究されたものとは言えない。また杉本・庄司(2006)は「居場所」を「いた くて,いられる場所」すなわち今現在現実にいられる場所に限定しているが, 小学生の現実検討能力を考慮し,本研究では「いたくても,いられない場所」. すなわちr理想の居場所」もr居場所」の定義に含めて検討する。 以上をふまえ本研究では,「ほっと安心でき,自分で自分に満足できるような. 感覚が持て,ありのままの自分でいても他者から受け入れてもらえる関係性を 意識することができる場所」をr心理的居場所」と定義する。. 上述のように小学生を対象とした「居場所」の研究は少なく,課題も多く残 されている。加えて青年期を対象とした「居場所感」尺度の開発はなされてい. るにも関わらず,小学生を対象にし,かつ「居場所」感情に焦点をあてて開発 されたものは見あたらない。したがって,小学生版心理的居場所感尺度の作成 および小学生の「心理的居場所感」の構造の検討とすることが必要であると考 えられる。.
(7) 第2節 イメージと投影法的手法について 第1節で論じた通り「心理的居場所」は概念自体が統一されていないため, 言葉や文字として表現される記述だけで実態を捉えていくのには限界があると 論じられている(渡辺・小高,2006)。また先行研究においては「心理的居場所」. は現実に存在する場所を対象としているが,本研究では想像の場所も含めより 広い概念としての「心理的居場所」を捉えるため,「心理的居場所」のイメージ を扱うことに意義があると考えられる。 イメージにはさまざまな特性があり(河合,2000;神田,2007),神田(2007). はイメージの多義性について言及する際に,心的な事象には誰にとってもイメ ージでしか語れない,ことばではうまく表現できない多くの内容が集約されて おり,そこに込められている感情は複雑で多義的であると論じている。重ねて イメージの創造性について,人はイメージによって漠然とした不確定なものを も含んだ思考を展開させることができ,微妙なニュアンスや前概念的な世界を. 包括的に考えることができるとしている。また水島(1990)は,内面が象徴化 されたイメージの場合,認知科学的情報処理理論が役に立たないと論じており,. 同様に神田(2007)もイメージを認知的にとらえようとすると本筋を歪めて理 解したり,無理につじつま合わせをしたりすることになると指摘している。つ まり多義的な意味をもち,創造性と深く関わっているイメージを日常生活にお ける言葉で伝えようとすると支離滅裂になるため,絵や箱庭や音楽といった抽 象的表現を可能にする媒体が必要になってくると論じられており(藤原,1990; 神田,2007),その中でも描画は自己表現の媒体として有効であるとの指摘があ る(神田,2007;伸嶺・島田,2008)。. 非言語イメージを媒介とし「居場所」についての表現を促進させるアプロー. チとして,中村(1998)によりrO△口(まる・さんかく・しかく)法」とい った独自の手法が考案されており,「居場所」イメージを媒介に対象への理解が. 深まることも指摘されている。また「居場所」イメージを自由画によって測定 している研究も複数みられる(高柳,2004.2005;渡辺・ノ』・高,2006)。そこ. で本研究ではより多くの情報が得られ,かつ分析の自由度が高いという利点を 考慮し,自由画による「心理的居場所」イメージの測定を行う。. 本研究の調査対象である小学生は,言語コミュニケーション能力が発達途上. 5.
(8) であるため,描画は内的世界を引き出す上で有効であると考えられる。また, 比較的簡単な手続きによって実施が可能なため教室における集団での実施にも 適していると推察される。加えて自由画の実施状況である「自由に絵を描く」 という状況では,被験者が見せかけの自分を意識して誇張したりする必要も,一. ある面を意図的に隠したりする余地も少なくなり,それだけ被験者の‘その人 らしさ’に近づくことができ,内面にあるものがそのまま絵に投影されやすく なるとも論じられている(中村,1999;神田,2007)。以上のことからも,本 研究において自由画での居場所イメージ測定が有用であることが推定される。 その一方で描画は心理テストとして信頼性や妥当性の基準をきちんと満たして いないことが課題とされるが,認知レベルの測定を目的とした心理テストの理 論に基づく統計法で描画の信頼性や妥当性を検討することは誤りであるとの指 摘があるとともに(Bo1anaer,1977),経験のある心理臨床家が解釈を行うこ とによりクライエント理解のための貴重な道具となりえ,標準化されたテストー. では埋め合わせることのできない手がかりを豊富に得ることができるとされる (藤掛,1999;神固,2007)。そこで本研究では統計的手法である質問紙調査 法と,投影的手法である描画を用いることによって,包括的に「心理的居場所」 を捉えることとする。. 第3節. 「心理的居場所感」促進プログラムについて. 第1節で論じた通り,子どもの「心理的居場所」が失われつつあるという危 機的な状況が指摘されているにも関わらず,「心理的居場所感」の概念や機能自. 体が不明確であることから,その促進の方法についての実証的研究はなされて いない状態である。そこで本研究では,子どもの「心理的居場所感」の概念を 明確にするとともに,その促進の方法についても模索する。. ここで,本研究における「心理的居場所感」促進の具体的方法について言及 する。本研究で扱う「心理的居場所」は前述の通り,ありのままの自分でいて も他者から受け入れてもらえる関係性を意識することができる場である。この. ことから「心理的居場所感」の促進とはすなわち,個性をあらわにしても他者.
(9) から受け入れてもらえる場が形成されることによって促進される感情であるこ とが予想される。つまり,子どもが生活する上で多くの時間を過ごす場が,個 性をあらわにしても受け入れてもらえる場となることによって,子どもの「心 理的居場所感」は促進されると考えられる。子どもが一目の大半を過ごす場所 とは,すなわち家庭と学校であろう。しかしながら家庭における介入について 実証的研究を行うことは困難であると考えられるため,本研究では学校現場に おける学級経営での「心理的居場所感」促進に焦点をあて,学校で活用可能な 心理教育プログラムの開発を通して研究を進めていくこととする。. 現在学級経営に取り入れられている心理教育的なプログラムとしては,ソー シャルスキル・トレーニングやストレスマネジメント教育が挙げられる。しか しながら,ソーシャルスキル・トレーニングは単にコミュニケーションを円滑 に図るためのスキルを身に着けさせ,協調的な行動様式を開発するという訓練 的な意味合いのみのものであり,そこに「個性」を尊重するという視点は存在 しない。またストレスマネジメント教育はストレス反応の軽減を対症療法的に. 行う意味合いが強いもので,こちらにもr個人」やr個性」を取り上げ,促進 する要素は皆無である。このように,現在学校で行われている心理教育には「心. 理的居場所感」を促進するといった要素は存在しない。そこで本研究では,学 校における教育実践の一例として,ギ個性」を受け入れられている感じを味わう. 体験を通し,クラスを「心の居場所」とすることができるような授業実践プロ グラムの開発,実践を行う。. 具体的に本研究で実践するプログラムでは,一人ひとりの個性を,グループ における言語交流活動を通し他者と分かち合う活動を行う。しかしながら個性 とは目に見えない抽象的な概念であり,それについて何の媒介もなく言語的交 流を行うことは難しいと予測される。そこで本研究では個性の表現媒体として 個人の描画作品を用いる。臨床心理学研究において宇田川(1988)は,集団精 神療法に媒介として絵画を導入したものを集団絵画療法と位置づけ,その目的 を集団の一員としての個人の体験,および治療者対患者,患者対患者の複数の 相互交流の中での自己洞察としている。加えて関(2000)は集団絵画療法の利 点として,参加者の中に共鳴や共時的現象が多く生じ,不思議な一体感や自分 たちの居場所といっ一た感覚を体験できたり,作品を通しお互いの気持ちやイメ.
(10) 一ジをシェアリングすることで,グループの申から抱擁(ho1ding)(関,2000). される体験をすることができると論じている。以上の知見からも,描画という. 非言語的かっ徳性的なものをクラスのメンバーと相互に認め合うことで,自分 がありのままでいることを受け入れられる感覚を体験し,クラスを「心の居場 所」と位置づけるきっかけとなるのではないかと予測される。. また,描画を描く活動自体にも以下のような利点が挙げられている。第一に 内的世界投影の結果産出された作品を通して,観察者側が子どもの理解を深め ることが可能である点である(高良,2008)。第二に,子どもは,自由に表現す ることで絶大な「カタルシス=浄化」効果を得られる点である(宇田川,1988;. 高良,2008)。加えて高良(2008)は,描画によって内なるものが外に表出さ れるとき,そこに見出すことができる意味の一つとして,「外在化」を挙げてい る。r外在化」とは,クライエントが投影によって自ら創造した作品すなわちr情」. を眺め,そこに言葉によるr理」が加えられることで自己洞察が深まることを 指している。また高橋(2008)は,クライエントとセラピストが描画後に絵に. ついて一緒に語り合う対話(PDD:PostDrawingDia1ogue)が大切であると 論じている。そこでこの知見を鑑み,本研究では毎実践ごとに子どもからの自 由記述,描画の内容説明などを参考にしながら,実践者からのフィードバック を行うこととする。. 前述の通り,本研究では「心理的居場所感」促進を目的とするグループ活動 の形式を用いた授業実践を行い,その媒介として個人の描画を用いるが,さら に自然。な自己表現を促進する手だてとして,音楽を用いることとする。これは,. 音楽療法の療法的変化の範囲に表現性やイメージなどが挙げられている (Bmscia,1998)ごとや,音楽は投影的刺激として作用することが示唆され ている(櫻林,1990;國吉,2004)ことから,音楽が自然な自己表現を促進す ると予想されたためである。. ここで,本研究で行う授業実践プログラムと音楽療法の違いを明確にするた め,音楽療法について言及する。音楽療法を定義する際,これが音楽療法だと いうものは存在しないと論じられている(Decker・Voigt,H.,1991)ように,何. をもって音楽療法とするは非常に複雑である。日本では,1996年に全日本音楽 療法連盟(現,日本音楽療法学会)が,音楽療法とは,「音楽のもつ生理的,心.
(11) 理的,社会的働きを応用し,心身の障害を軽減回復,機能の維持改善,生活の 質の向上,問題となる行動の変容などの目的のもとに,意図的,計画的に行わ れる治療のプロセス」と定義しており,それを行う者を「音楽療法士と称す」. としている。また高江洲(2003)は,音楽療法として成立するためには,1). 対象者の特質への理解,2)技法の選択の検討,3)治療の目標の設定,とい う配慮が求められており,これらの三つの視点が検討されない場合は,音楽活 動(muSiCaCtiVity)と呼んだほうが良いと論じている。以上の知見を鑑み,本. 研究で行う授業実践は,音楽療法ではなく,丸山(2002)が提唱する「療法的 音楽活動」と位置づけることとする。丸山(2002)によると,療法的音楽活動 とは参加者に音楽教育や治療を行おうとするものではなく,できるだけ相手の 枠の中に入ろうとする姿勢で行う活動であるとされている。また音楽療法とは 異なり,実施者を間わず,対象者は比較的健康な者とされている(丸山,2002)。. 加えて療法的音楽活動の目的は,参加者たちが楽しさや参加意義を自覚するこ と,および「一人一人は違い,それぞれが大切で,他人と比べて善し悪しを判 断してはいけない」といった自己尊重の感覚を養うことであるとされており(丸 山,2002),参加者の適応や問題領域に焦点をあてるのではなく,主観に焦点を. あてるという点で音楽療法とは異なると解釈できる。これらのことから,本研 究における「心理的居場所感」という個人の主観的な感情の促進を目的とした プログラムを,音楽療法ではなく療法的音楽活動と位置づけることが望ましい と推定される。. 本研究では音楽を「個性」の表現を促進する手だてと位置づけており,國吉 (2004)の,音楽を一つの刺激として受けとめ自らの心的過程を媒介として描. 画という形で反応しそのプロセスを味わい楽しもうとすることを目的とした療 法的音楽活動とその目的が近い。そのため本研究では授業実践プログラム作成 の際,これを参考にすることとする。この國吉(2004)が行った療法的音楽活 動は,「音楽描画療法」(櫻林,1990)の具体的実施内容の開発としてなされた. 研究であり,その概要は音楽を刺激として用い,自由描画を行うといったもの である。刺激となる音楽について,國吉(2004)はクラシック音楽を用いてい るが,その理由は前述のワークは気分が重要な要素となることから,気分変容 に影響する音楽的要素ができるだけ多くの観点で鑑みられているためであると 9.
(12) している。具体的にクラシック音楽は歌詞がなく,比較的安定したテンポと一 定の長さを持ち,流行歌ほどに頻繁に耳にす肴ことがなく,日常性からやや距 離を持ち,メロディーから受ける印象についての抽象度や自由度が比較的高い という点で妥当である,と論じられている(國吉,2004)。加えて,クラシック. 音楽の中でも学校での音楽鑑賞などで聴くような有名すぎる曲や音の動きや高 低が激しい現代楽曲は避け,テンポは穏やかながらも曲調は暗くなく,優しく 雄大な印象をもつ音楽が良いとされている(國吉,2004)。本研究では教室を「心. 理的居場所」とすることを目的にしているため,教室をいっもとは違う「居場 所」としての教室,すなわち非日常の空間として演出したい。そこで以上の知 見を鑑み,また専門家の意見を参考にし,できるかぎり耳にすることが少ない 以下の曲を選曲した。具体的に,第一回目の実践においてAaronCop1and作曲。,. 「Appa1achian Spring,Suite」より第6曲 Meno Mosso,第7曲 Doppi0 Movinmento,第8曲Coda(Moderato)を,第二回目の実践において0tt㎝in0. Respighi作曲,「PinidiRomaPoemaSinfonico」よりI.IpiniaiVi11a Borghese.,皿・Ipinide1Gianico1oを,第三回目の実践においてGustavHo1st. 作曲,「TheP1anets,op.32」より第1曲Venus,theBringerofPeace,第2曲 Mercury,the Winged Messengerを使用することとする。なお本研究で開発す る介入プログラムは,「心理的居場所感」促進に関する萌芽的研究であるため,. 音楽を用いた場合と用いない場合の違いについての検討は行わないこととする。. 加えて本研究の介入で用いる自由描画は,國吉(2004)に倣い「なぐり描き 法」を用いることとする。山中(1992)はなぐり描きは芸術を目指すのではな く,遊戯療法に近いと考えられるほどに遊びの要素が強いと論じている。ここ. での「なぐり描き法」はNaumburg,M.の「なぐり描き法(scribb1e)」や Winnicott,D.W.の「スクィグル・ゲーム(squigg1e game)」のことを指してい. るが,國吉(2004)により「音楽を聴きながらの自由ななぐり描き」は Naumbu㎎,M.のrなぐり描き法(scribb1e)」に近いと論じられていることから,. 本研究におけるなぐり描きも同様であると考えられる。さらになぐり描きの利 点にとして老松ら(2003)は,上手下手がない点,無意識の内容を意識化し得 る点,絵を描くことが不得手な者にとっても楽しい活動となる点の三点を指摘 している。また伊藤(2007)は,自己実現をめざす健常者のための芸術療法で 1O.
(13) あるなぐり描き(Mess Painもing)(Luthe,1976)によって,建謬的に使用し. うる内的資源(想像性,共感性,自己受容,心的エネルギーなど)が主として 開発されることを明らかにしている。本研究で用いるなぐり描きは「自由にぐ るぐる描く。形が描きたくなったら描いても構わない。」といった教示のもとに 行一われるものであり,自由度が高いという点で従来のなぐり描き法に忠実なも. のではないが,上手下手がない,無意識の内容を意識化し得る,内的資源が開 発されるといった点で同様の効果が得られると予測される。本研究ではなぐり 描きの結果産出された描画を言語交流の媒介とするため,上手下手がないとい う要素は傷つき体験を防ぐ上で非常に重要である。また本研究では描画を「個 性」そのものとして扱うため,無意識の内容といった個性的な要素が発現し得 るなぐり描きが「心理的居場所感」の促進を目的とした本プログラムに適して いると推察される。加えて内的資源の開発といった肯定的な要素があらわれた 絵を,他者から受容される体験は「心理的居場所感」の促進に繋がると考えら れる。以上のことより,本研究のプログラムにおける自由描画になぐり描きを 用いることは適当であると推定される。. 第4節 本研究の目的 本研究における第一の目的を,小学生版心理的居場所感尺度の作成および小 学生の「心理的居場所感」の構造の検討,および小学生の「心理的居場所感」 の性差および学年差を検討することとする。. 第二の目的を,小学生の「心理的居場所」の構造について描画法を用いて質 的に検討すること,および教室における「心理的居場所感」の促進を目的とし た介入プログラムを実施しその効果を測定すること,加えて介入プログラムの 効果について事例の検討を通し,質的に検討することとする。. 11.
(14) 第2章 研究I 第1節 目 的 第1章で論じたとおり,小学生の「心理的居場所感」の構造は明らかにされて おらず,測定するための尺度も開発されていない。そこで本章では,小学生版心 理的居場所感尺度の作成および小学生の「心理的居場所感」の構造の検討を行う。. 第2節 方 法 1.調査対象者 1)尺度作成のための調査. 兵庫県内の公立小学校4校の4,5,6年生合計931名。質問紙回収後, 記入漏れや記入ミスのある回答を除外し,最終的に835名(4年生男子152. 名,同女子128名,5年生男子120名,同女子134名,6年生男子162名, 同女子140名;平均年齢10.97歳,β刀=0,864,M刀V=9,MZX=12;有 効回答率89.7%)の回答を分析対象とした。. 2)妥当性検討のための再調査. 兵庫県内の公立小学校1校の4,5,6年生合計126名。 2.調査時期 1)尺度作成のための調査. 2009年2月上旬∼3月上句に実施した。 2)妥当性検討のための再調査. 2009年11月中旬に実施した。 3.調査手一続. 各学校の学校長および担任に依頼し,各学級において集団で実施した。. 12.
(15) 4.調査内容 1)尺度作成のための調査. A4版表面印刷3頁からなる無記名式の質問冊子が用いられた。 (1)フェイスシート. 調査の趣旨の説明,個人の回答の秘匿,回答方法の説明が明記されて おり,一さらに性別,.年齢の記入欄が設けられた。. (2)心理的居場所感尺度項目. 本研究の「心理的居場所感」の定義に則り,小学生の心理的居場所感に 関して,r安心感」「被受容感」r本来感」r充実感」r自己肯定感」の5概念 を仮定し,項目を作成した。 項目収集に関しては,秦(2000),大久保(2000),則定(2007),石本・. 齊藤(2006),斎藤(2007),田中(2002),杉本・庄司(2006)の「居場 所」に関する尺度の下位尺度項目の一部を参考にした。さらに「安心感」. に関しては北村・目高(2002)のリラクゼーション効果尺度よりr弛緩状 態」に関する項目,小池ら(2007)のリラックス感尺度より「気分」に関 する項目,酒井ら(2002)の教室にいるときの気分に関する尺度より「教 室でのリラックスした気分」に関する項目を,「被受容感」に関しては柴橋 (2004)のアサーションの心理的要因についての尺度よりr安心感」に関 する項目を,「本来感」に関しては伊藤・小玉(2003)の本来感尺度項目,. および高井(1999)の対人関係性尺度より「ありのままの自己」に関する 項目を,「充実感」に関しては北村・目高(2002)のリラクゼーション効 果尺度より「積極志向」に関する項目を,「自己肯定感」に関しては板津 (1994)の「自己受容尺度」より「自分自身への満足感」に関する項目,. 宮沢(1988)の自己受容性測定尺度より「自己承認」「自己価値」に関す る項目,柴橋(2004)のアサーションの心理的要因についての尺度よりr率 直さへの肯定感」に関する項目を,それぞれ一部参考に,項目を作成した。. その上で小学校の現職教員を含む専門家(大学教員3名,心理学を専門と する大学院生3名,現職小学校教員4名)で項目を検討・ノ』・学生にわかり. やすい平易な言葉遣いに改良し,最終的に35項目を心理的居場所感項目と. 13.
(16) して決定した(Tab1e2・1)。. この35項目を使用し,「辛くなったとき,例えば友だちと喧嘩をしたと き,悪口を言われたとき,悲しくなったときなどに一番行きたい」と思う場. 所」を思い浮かべてもらい,それぞれの項目について回答を求めた。評定 は「全然当てはまらない」∼「とても当てはまる」の四件法であった。. 2)妥当性検討のための再調査. A4版裏表面印刷2頁からなる無記名式の質問冊子が用いられた。 (1)フェイスシート. 調査の趣旨の説明,個人の回答の秘匿,回答方法の説明が明記されてお り,さらに性別,年齢の記入欄が設けられた。 (2)心理的居場所感尺度項目. 後述の心理的居場所感尺度項目18項目(Ta阯e2・2)を使用し た。評定は「全然当てはまらない」∼「とても当てはまる」の四件法であ った。. (3)階層型学級適応感尺度. 三島(2006)の階層型学級適応感尺度より,総合的適応感覚に関する3 項目,友人関係に関する5項目を使用した。評定は五件法であった。 (4)心の居場所の有無 「あなたにはこころの居場所があると思いますか」という質問に対し,「は. い」・「いいえ」の二件法で評定を求めた。「こころの居場所」という表現. が不適切であるとの指摘がなされることがあるが,この表現は先行研究 (例えば則定,2007)でも用いられているため本研究ではあえてこの表現 を用いることとする。. 14.
(17) Tab1e2−1小学生版心理的居場所感項目 〈安心感〉. ほっとする ずっとそこにいてい気がする. 穏やかな気持ちだ くつろいだ気持ちだ ゆったりした気分だ のんびりした気分た ぶ一つと一息つける 〈被受容感〉. 大切にされている気がする 受け入れられている気がする 誰かが側に居てくれる気がする ここにいて良いのだと思う 必要とされている感じがする 仲間と一緒のような気がする 自分の話が聞いてもらえる 〈本来感〉. したいことを正直に言える 嬉しい気持ちを表しても大丈夫だ 弱さや欠点を隠さないでいられる 自分らしくいられる 好きなことができる 生き生きしている感じがする 心から笑える 思いっきり泣ける 〈充実感〉. 自然と笑顔になる さわやかな気分だ のぴのぴしていられる 明るい気持ちだ 楽しい気持ちだ やる気いっぱいだ 〈自己肯定感〉. 自分が好きだと思える 自分がかけがえのない存在だ 自分の気持ちや考えは大切だ 自分のカを発揮できる 自分に自信がもてる 自分に満足できる 自分には価値がある. 15.
(18) 第3節 結 果 1.心理的居場所感尺度の作成 小学生版心理的居場所感尺度合35項目について平均値および標準偏差を算 出し,天井効果およびフロア効果の検討を行った。その結果フロア効果を示す. 項目はみられなかったが,天井効果を示す項目が13項目みられたため,これ らの項目を除外した。. つぎに天井効果を示した13項目を除いた22項目について,因子分析(主因 子法,プロマックス回転)を行った。その後因子負荷量の低い項目を削除し,. 最終的に18項目を小学生版心理的居場所感尺度の項目として確定した。その. 上で固有値の減衰状況と因子の解釈可能性および累積寄与率から4因子解を 採用した(Tab1e2・2)。. 第1因子は,「誰かが側にいてくれる気がする」をはじめとして,「自分の話 がきいてもらえる」,「大切にされている気がする」「受け入れられている気が. する」に比較的大きな因子負荷量を示すもので,則定(2007)の「被受容感」 を中心に,柴橋(2004)の「安心感」に関する一部の項目が加わり構成される 因子であり,他者を想定し,その他者から受け入れられている感覚に関する項 目から構成されていることから,則定(2007)を踏襲し「被受容感」と命名さ れた。. 第2因子は,「やる気いっぱいだ」,「生き生きしている感じがする」,「自分. の力を発揮できる」に大きな因子負荷量をもつもので,田中(2002)の「充実 感」を中心に,板津(1994)の「自分自身への満足感」に関する項目の一部が 加わった因子であり,積極的志向や明るい,生き生きした感情に関する項目で あることから,「充実感」と命名された。. 第3因子は「自分はかけがえのない存在だ」,「自分には価値がある」,「自分 が好きだと思える」に大きな因子負荷量を示し,宮沢(1980)の「自己承認」,. 「自己価値」および柴橋(2004)の「率直さへの肯定感」の一部の項目から構 成され,自分自身に価値を見出し,自身を肯定する感情に関する項目であるこ とから,「自己肯定感」と命名された。. 第4因子は「穏やかな気持ちだ」,「ほっとする」に大きな因子負荷量を示す. 16.
(19) もので,田中(2002)の「安堵感」および則定(2007)の「安心感」の一部の 項目を中心に構成されており,ほらと安心できる気分に関する項目であること. から「安心感」と命名された。寄与率はそれぞれ第一因子が39.53%,第二 因子が7.80%,第三因子が6.22%,第四因子が5.66%であった。 4つの因子間には相対的に高い相関があり(.50∼.72),異なる側面を表しつ. つも同一の概念を構成する諸因子であることが示されている。. つぎに,各下位尺度についてCmnbacbのα係数を算出したところ,「被受容 感」で.83,「充実感」で.83,「自己肯定感」で.73,「安心感」で.72であり,「自. 己肯定感」,「安心感」に関しては低いが,項目を個別に検討した結果いずれも. 必要であると判断したため,今後の分析に用いることとした。また,尺度全体 については、91であり,十分に高い値が得られた。 Tab1e2−2. 小学生版心理的居場所感尺度の因子分析結果. 項 日 第I因子 被受容感 (α=.83). I. 12誰かが側にいてくれる気がする 32自分の話が聞いてもらえる 2大切にされている気がする 7受け入れられている気がする 22必要とされている気がする 27仲間と一緒のような気がする 第■因子 充実感. ■. 皿. 1V. .73. .04. 一.11. .06. .68. .02. 一.03. 一.06. .66. 一.08. .12. .57. 一.13. .17. .18. .47. .17. .24. 一.10. .46. .39. 一.10. 一.08. .00. .94 .62. .04. 一.06. (α=.83). 29やる気いっぱいだ 28生き生きしている感じがする 20自分の力を発揮できる 30自分に満足できる 25自分に自信が持てる 第皿因子 自己肯定感 (α=.73). .21. ,50. 一.01. .48. .08. .43. 一.06. 一.06. 一.05 .27. .02 一.05 .22 .07 .24 .01. 1ポ層1111. 1O自分はかけがえのない存在だ 34自分には価値がある 5自分が好きだと思える 15自分の気持ちや考えは大切だ 第W因子 安心感 (α=.72). 1111111111割. 11種やかな気持ちだ 1ほっとする 9さわやかな気分だ 因子相関行列. I. II. 皿. 1I .618 IlI .719 ,674 1V .504 ,602 .569. 17.
(20) 併存的妥当性を検討するため,階層型学級適応感尺度における総合的適応感 覚および友人関係尺度と,小学生版心理的居場所感尺度の各下位尺度得点との 相関を求めたところ,すべてにおいて.211∼.584の有意な正の相関が認められ た(Tab1e2・3)。これらの結果から,小学生版心理的居場所感尺度は共通して,. 総合的適応感覚,友人関係と有意な正の相関が認められ,その併存的妥当性が 確認された。. 心の居場所があるという感覚の有無による尺度得点の差異を検討するため, 心の居場所がないと答えた児童と,心の居場所があると答えた児童に分け,そ れぞれの郡ごとに,小学生版心理的居場所感尺度合計得点および各下位尺度得 点の平均と分散を求め,亡検定を行った。その結果,心理的居場所感尺度合計 得点およびすべての下位尺度得点において,両群に有意傾向および有意差が認 められた(Tab1e2・4)。これより,本尺度の基準関連妥当性が確認され,本尺 度が心理的居場所感の包括的な心理状態を測定していることが示唆された。. Tab1e2・3 学級適応感尺度と小学生版心理的居場所感尺度との相関 内 容. 「総合的適応感覚」下位尺度得点 「友人関係因子」下位尺度得点. r心理的居場所感」合計得点. .461舳. .488舳. F1「被受容感」下位尺度得点. .443舳. .584舳. F2「充実感」下位尺度得点. .444榊. .312舳. .230*. .211*. 、263榊. 、476舳. F3「自己肯定感」下位尺度得点 F4「安心感」下位尺度得点 *ρ<.05,**ρ<.01. 18.
(21) Tab1e214. 居場所感覚により2群化した各下位尺度得点の平均と分散の検定 居場所感覚なし群. 内. 容. n=7. 居場所感覚あり群. c値. n=91. 平均(〃). 平均(㎜). 「心理的居場所感」合計得点. 37.43(10.69). 52.29(8.95). 4.19***. F1「被受容感」下位尺度得点. 12.14(3.89). 18.16(3.11). 4.87***. F2「充実感」下位尺度得点. 10.00(3.74). 14.35(2.82). 3.87***. F3r自己肯定感」下位尺度得点. 8.29(2.69). 11.49(4.01). 2.08*. F4r安心感」下位尺度得点. 7100(2.86). 8.31(1.89). 1.75†. †ρ<.1,*ρ<.05,**ρ〈.01,***ρ<.001. 第4節 考 察 1.心理的居場所感尺度の作成について 小学生版心理的居場所感尺度の因子分析の結果,小学生の心理的居場所は, 被受容感,充実感,自己肯定感,安心感の四次元から構成されることが明らか にされた。. 則定(2007)の青年版心理的居場所感尺度では本来感,役割感,被受容感, 安心感の四次元の項目から構成されているが,本研究では本来感に相当する項 目がいずれも天井効果を示し,因子として抽出されなかった。また,弓削・足. 立(2006)の小学生を対象とした居場所研究においても,心理的居場所と本当 の自己との関連が考察されているが,本研究ではこの知見を支持する結果は得 られなかった。この結果に関して,小学生の自我の発達および自己意識の構造 に注目して考察をおこなう。. 思春期は性的な成熟が著しく進み,急激に変化する自分の身体に注意を向け ざるをえなくなり,それと同時にそのような予期しない変化を生み出してくる 自己そのものに視点が向かう。一方児童期では身体上の成長速度は比較的ゆる やカニであるため,子どもが自分の身体に注目することは比較的少ない(岡本,. 1991)。つまり思春期の身体的自己の意識化にともなう「自我意識」の高まり. 19.
(22) を契機として初めて,自己の内面に視点が向けられ,「ありのままの自分」と. はなんであるのか,「ありのままの自分」でいることにどういった意義がある のかについて考えはじめると予測される。すなわち小学校高学年段階は発達の 個人差はあるものの,まだ「ありのままの自分」について深く考え,価値を見 出す段階にない時期であると位置づけられよう。. また,公的・私的自己意識という概念からも考察が行える。私的自己意識は 「『他者からは観察できないプライヴェートな自己』に注目するもめ」(辻,. 1993)であり,公的自己意識は,r他者からも観察可能な(辻,1993)」自己 に注目するものである(天谷,2005)。辻(1993)は,小学校高学年は公的・. 私的自己意識の分化がまだ曖昧であり,小学校中学年ごろから未分化な自己の 意識から公的自己意識が分化しはじめ,小学校高学年かそれ以降になって私的 自己意識が発達してくるのではないかと論じている。加えて天谷(2005)は,. 中学生段階では公的自己意識と私的白己意識はまだ十分に分化していないこ とを明らかにしている。これらの知見より,小学校高学年の段階では私的自己. 意識がまだ十分に分化していないことが推定される。つまり「ありのままの自 分」と「ありのままではない自分」をはっきりと区別できるようになり「本来 感」に価値を見出すようになるのは,個人差はあれ中学生段階以降であると考 えられる。以上の理由により小学生の心理的居場所感尺度において「本来感」 が抽出されなかったと考察される。. 第二に本研究で作成した尺度では青年期版居場所感尺度では得られていな い「充実感」因子が得られた。本研究で得られた「充実感」は「自分に満足で きる」「自分に自信が持てる」といった項目を含むため,弓削・足立(2006) の挙げた小学生の感情次元における「居場所」の構成要素のうち「やったあと 思った」「満足した」といった「満足感jに近い。また関連して,高柳(2004). は高校生を対象にやすらげる「居場所」のイメージに関する調査を行い,「居 場所」があることの意味に関するイメージとして,リフレッシュできる,やる 気をアップさせるといった「回復する」イメージを挙げている。一方本研究で 得られた「充実感」の項目には「やる気いっぱいだ」「生き生きしている」「自. 分の力を発揮できる」といった何らかの対象に対して打ち込んでいる状態に件. 20.
(23) う感情状態を表す項目が含まれている。つまり青年期における「居場所」に居 ることの意義は「回復する」ごとにあるが,小学校高学年段階においては「力 を発揮する」ことにもその意義が見出されていることが明らかになった。以上 のことより,小学校高学年生段階と青年期における心理的居場所の構成概念の 差異が明らかとなった。. 21.
(24) 第3章 研究■ 第1節 目 的 研究Iでは質問紙の作成を通し,小学生の「心理的居場所感」の構造を量的に検討し た。その結果小学生の「心理的居場所」は被受容感,充実感,自己肯定感,安心感の四 次元から構成されることが明ら一がにされた。そこで本章ではさらに描画法を用いて「心. 理的居場所イメージ」を測定し,得られた描画の分析を通して,小学生の「心理的居場 所」の構造を質的に検討することを目的とする。また教室における「心理的居場所感」. の促進を目的とした介入プログラムを実施し,その効果を質問紙による効果の測定およ び描画の形式分析を通して量的に検討する。さらに,介入による効果が顕著にみられた 児童の事例検討を通し,介入プログラムの効果について質的に検討することと一 キる。な. お本章で介入・効果の測定を行うプログラムについて,音楽を用いた場合と用いなかっ た場合の違いについては検討しないこととする。. 第2節 方 法 1.調査対象者. 2クラス合計72名(実践群36名,統制群. 兵庫県の公立小学校に在籍する6年生, 36名)を対象に実施した。. 2.調査時期 2009年6月中旬から7月上句に実施した。. 3,調査手続き. 兵庫県の公立小学校に在籍する6年生のうち1クラスを統制群として質問紙調査お よび描画による居場所イメージの測定を行い,もう1クラスを実践群として質問紙調査. と描画測定ののち,45分×2時間・全3回の介入を行った。介入の内容は調査内容に 記述する。. 居場所イメージの測定時には,各人に四つ切りの画用紙(白色)を1枚,クレヨン 24色人り1箱を配り,教示に従って,絵を描くように求めた。教示は以下の通りであ る。「今からみなさんに絵を描いてもらいます。今日は図]二の時間ではないので,上手. 下手はまったく関係ありません。みなさんが思うままに,自由に描きたいように描いて. 22.
(25) 下さい。好きなように描く,ということが大切です。描いてもらった絵は誰にも見られ ないように私が責任をもって持って帰りますから,安心して下さい。それではどんな絵 を描いてもらうかを説明します。今日みなさんに描いてもらう絵は,『心の居場所』の 絵です。『心の居場所』というのは,みんなが辛くなったとき,例えば友だちと喧嘩を したとき,悪口を言われたとき,悲しくなったときに,一番行きたいと思う場所です。 一人でいられる場所がもしれないし,誰かと一緒かもしれません。一緒にいるのはお友 だちかもしれないし,大切なペットかもしれないし,昔よく一緒に遊んだおもちゃや, 一緒に寝ていたぬいぐるみかもしれません。どんなところでも,誰と一緒でも,もちろ ん一人でも構わないので,自由に思い浮かべてみて下さい。思い浮かんできたら,画用 紙にその様子を描いてみましょう。先ほども言いましたが,上手・下手はありません。 画用紙の全部を使って大きく描いても,端っこだけ使って小さく描いても,真ん中に描. いても構いません。どんな色を使って描いても構いません。クレヨン24色全部を使っ て描いても,1色だけ使って描いても構いません。周りの友だちと相談したり,友だち の絵を覗いたりはせずに,自分が思うままに描いてみましょう。なんとなくぴったりき. た,これでOK,と思える絵が描けたら描き終わって下さい。その後絵の裏に鉛筆で, ①出席番号と名前,②絵の題名,③絵の説明,を書いておいて下さい。③絵の説明は, ここにいるのは○○さんです,とかペットのポチですなどを書いておいて下さい。」. その後面群共に再び質問紙調査および描画測定を実施し,実践群にフォローアップテ. ストとして質問紙調査を1週間の期間をおいて実施した。全ての質問紙調査には研究I で作成した小学生版心理的居場所感尺度を用いた。. 4.調査内容 本研究における介入(以下「療法的音楽活動による心理的居場所感促進プログラム」) は,國吉(2004)の音楽ワークに倣い,「描画段階」「タイトノレをつける」「シェアリン. グ」を1セットとした。小学校教育の実情を考慮し,45分X2時間・全3回の内容を 構成した。お互いの個性を認め合う関係体験の核となるrシェアリング」は,全3回の 実践で段階的に内容を深めていった。以下に各回の詳しい内容を記述する。. 初回は普段図工の時間などに求められがちな「絵画として上手く仕上げること」が目. 的ではないと体験を通して感じること,および個性の視覚的認知を主な目的とし,全3 回のプログラムのオリエンテーション的活動とした。まず「描画段階」では,自由に移. 23.
(26) 動でき自由な姿勢をとれる部屋で好きな場所に座るように促し,各人に四つ切りの画用 紙とクレヨンを配ったうえで,流される音楽を聴きながらそこから感じる気分を味わい,. 音楽の時間内で白紙に自由になぐり描きを行うよう指示した。このとき実施者および担 任の教諭も共に絵を描くこととした。状況に応じて仕上げの時間を設けた。次に「タイ トルをつける」段階において,画用紙の裏に「題名」「絵の説明」「絵の気に入っている. ところ」を記入するよう求めた。最後に「シェアリング」では,実施者が絵を作者の名 前は伏せた状態で壁にランダムに貼り,rそれぞれに個性がある」ということに気づく よう促した上で自由に見て回った。最後に描画体験時の気持ちを振り返りのワ』クシー トに記入するよう求めた。. 第2回は初回に体験した自由な自己表現および解放感の体験に慣れ,思い切り体験を 楽しみ深めることおよび,前回に目の当たりにした「それぞれの個性」を褒め合う活動 を通してお互いを認める経験を目的とした。授業の初めに,初回に描いた絵をポストカ ードにし実施者からポジティブなコメントをつけたものを返しフィードバックとした。. その後r描画段階」rタイトルをつける」活動は初回と同様とした。最後のrシェアリ ング」は6∼7人のグループを予め設定しておき,グループ内で「題名」「絵の説明」「絵. の気に入っているところ」を発表し合い,お互いの絵の「良いところ」を手紙にするよ う求めた。最後に描画体験時の気持ちを振り返りのワークシートに記入するよう求めた。. 第3回は初回・第2回と行った描画活動のまとめ・統合を目指した自己表現をするこ と,および学級の友たちから認められる体験,そしてそれを経ての友だちを認める経験 を目的とした。授業の初めに前回描いた絵をポストカードにし実施者からポジティブな コメントをつけたものと,グループで書き合った「良いところ」の手紙を,実施者が内 容を確認した上で返しフィードバックとした。その後「描画段階」「タイトルをつける」. 活動は前回と同様とした。「シェアリング」は前回と構成員を入れ替え,同様の活動を 行った。最後に描画体験時の気持ちおよびフィードバックを受け取ったときの気持ちを, 振り返りのワークシートに記入するよう求めた。. 最終回に描いた絵をポストカードにし実施者からポジティブなコメントをつけたも のと,グループで書き合った「良いところ」の手紙を,実施者が内容を確認した上で返 し,フィードバックとした。詳しいタイムテーブルをTab1e3・1に示す。. 24.
(27) 「療法的音楽活動による心理的居場所感促進プログラム」の内容. Tab1e3・1 ロ ラム. タイムテー ル. 活動. ねらいと内赤. 第1回 く1時間目〉. O;OO∼0:10 ①オリエンテーション O:1O∼0:30 ②音楽聴取・イメージ描画. ・目的と活動の説明 ・自由な自己表現 ・自己理解. O:30∼O=45 3題名、説明の記述 〈2時間目〉. 0:55∼1:00 1:OO∼1:30 1:30∼1=45. ④オリエンテーション. 0:00∼0:10 0:10∼O:30. ①前回のフィードバックと本時のオリエンテーション ②音楽聴取・イメージ描画. 展開の意図 ①ありのままの自己表 現の習熟. ・目的とルールの説明②個性理解. ⑤シコ=アリング(児童の絵を壁に貼り、自由に見て回る・他者の個性理解. ⑥振り返り. ・活動を通しての気持ち の り返り. 第2回 〈1時間目〉. 3題名言明の記述. 030∼045 <2時間目〉. ・目的と活動の説明. 1自由な自己表現. ③表現を楽しむ、カタル シス. ・自己理. O:55∼1:O0 1:OO∼1:30 1:30∼1:45. ④オリエンテーション ⑤シェアリング(6・7人組で良いところさがし) ⑥振り返り. ・目的とルールの説明④グループでの関わり. O=00∼0:10 0=10∼0:30 0:30∼0=45. ①前回のフィードバックと本時のオリエンテーション ②音楽聴取・イメージ描画. ・目的と活動の説明 ・自由な自己表現. O:55∼1:00 1=OO∼1=30 1=30∼1=45. ④オリエンテーション ⑤シェアリング(617人組で良いところさがし) ⑥振り返り. ・他者理解・他者受容 ・活動を通しての気持ち の振り返り. 第3回 〈1時間目〉. 〈2時間日〉. 3題名言明の蓄已述. ⑤受容体験、 カタルシス. ・自己理. ・目的とルールの説明⑥グループでの体験 1他者理解・他者受容 ・活動を通しての気持ち の り返り. 5.分析の手順 1)分析I 小学生の「心理的居場所」の構造の質的検討 分析Iでは,「心理的居場所イメージ」描画の分析を通し,小学生の「心理的居場 所」の構造を,質的に検討する。 描画の分析については,以下のような手順で行った。三沢(2002),三上(1995),. O’Brien&Pa批。n(1974),扇田(1999),GreggM.Furth(1988)を参考に,分析 項目(Tab1e3・3)と評価基準(Tab1e3・4)を作成した。その概要は①形態要素,② 色彩要素,③構成要素,④構成要素(人物について),⑤動的要素,⑥内容的要素の 6領域からなり,それぞれの項目で評価基準に応じ一て1から5点にスこコアリングし,. 数量化した。評定は,臨床場面で描画を用いた経験をもつ大学教員の指導のもと,. 25.
(28) 筆者と心理学を専攻する院生の2名で行い,両者の評価が一致しない場合には協議 により一致をみた。. その後,描画分析得点と居場所感得点の関連を検討するため,居場所感尺度にお ける下位尺度得点を説明変数,描画の形式分析における各分析項目得点を従属変数 とした,重回帰分析の繰り返しによる,パス解析を行った。. 2)分析皿 「療法的音楽活動による心理的居場所感促進プログラム」による介入効果 の量的検討. 分析皿では,介入前後の「小学生版心理的居場所感尺度」得点の推移および描画 分析得点の推移を検定することにより,「療法的音楽活動による心理的居場所感促進 プログラム」による介入効果の検討を行った。. 3)分析皿 事例研究を通した,「療法的音楽活動による心理的居場所感促進プログラ ム」による介入効果の質的検討 分析皿では,分析I1において介入効果が顕著にみられた児童の事例検討を通し,. 介入プログラムの効果について質的に検討することとする。事例の検討に際し,介 入効果が顕著な児童の特徴を把握するため,毎介入後に記入を求めた振り返りの自 由記述の分析を行った。. 自由記述の分析は以下の手順で行った。①毎授業後に記入を求めた振り返りの自. 由記述から,作品制作に対する姿勢に関する記述を抽出した。その後,同じ意図を 示すと思われる内容でグループ分けし,その意図を的確に示す言葉をラベリングし,. 定義した。②中井・岡本(2006)を参考に,作品制作に対する姿勢の分類の手かか りとなるマニュアルを作成した。その概要は,「内的作業型」(音楽を聴きながらの なぐり描き表現において,作品に積極的に自己を表現しようとするタイプ),「切り 離し型」(作品に自己を表現しようとはせず,作品と自己とを別個のものとして捉え. ているタイプ)の二つのタイプを想定したものである。③①を②で作成したマニュ. アルに基づき,内容ごとにさらにグループ分けを行い,各調査対象者を各タイプに 分類した(Tab1e3・5)。. その後,各事例について介入時の様子,絵の題名・内容,振り返りの自由記述内容 の記述を基に,個別に詳細な検討を行った。また,描画の印象分析について以下のよ. 26.
(29) うな手順で行い,個人のプロフィールを作成した。田中・今野(2007)が開発した,. 誘発線法による描画の印象分析のためのSD尺度を,中心化を避けるために4件法に 変更して用いた。評定は,臨床場面で描画を用いた経験をもつ大学教員および,その. 教員の指導を受けている,心理学を専攻する学生および大学院生18名で行った。描 画の印象分析に関しては,繰り返し行われた描画を個人内で比較し,個性記述的に論 じる際には役に立つが,個人間での比較には意味がないと考えられるため,個人のプ ロフィールを作成する目的でのみ使用する。. Tab1e3・2 描画の印象分析項目 ありふれた. 陽気な. 陰気な. ぼやけた. 暖かい. 冷たい. 明るい. 暗い. 活発な. おとなしい. 浅い. 深い. 理性的な. 個性的な はっきりした. やわらかい. 好きな. 嫌いな. 濃厚な. あっさりした. 複雑な. 単純な. 軽やかな. 優しい. 厳しい. 繊細な. 動的な. 静的な. 強い. 面自い. つまらない. 良い. 現実的な. 27. 感情的な かたい 悪い 重々しい. 粗野な 弱い. 空想的な.
(30) Tab1e3・3 描画の分析項目 1.形態要素. ①統合性のレベル ②筆圧の強さ. ③描線のとぎれの程度. 2.色彩要素. ①色彩数の多さ ②色彩明度の明るさ .③色彩彩度の濃さ. ④色相の暖かさ. 31構成要素. ①遠近感のレベル ②画面の使用の広さ. ③奇妙さのレベル ④画面からのはみ出しの程度 ⑤説明書きの程度 ⑥陰影付けの程度 ⑦視点の数. ⑧大きさの釣り合いのレベル ⑩カプセル化のレベル ⑪地面の描写のレベル ⑮消去の程度. ⑭絵の中の言葉の程痩. 4.構成要素. ②人の簡略化のレベル. 〈人物〉. ③人物描写の細かさのレベル. 5.動的要素. ①運動性のレベル ②コミュニケーションレベル ③協カレベル ④被虐性レベル ⑤加虐性レベル. 6.内容的要素. ①非現実的描写のレベル ②延長物のレベル ③人物の人数 ④人物の向き. ⑥顔の表情の親しさレベル 28.
(31) Tab1e3・4. 描画の評価基準. スコア. 1.形態 ①統合性. 要素. すべて羅列,. 4. 5. 混合的で,一部だけ統合. 一背景のみ統合. メインのアイテム のみ統合. すぺて統合的. 統合性を判断できない ②筆圧. 薄い. やや薄い. とちらともいえない. やや濃い. 濃い. ③描線の とぎれ. なし. 背景の塗り方にあり. 一部あり. メインのアイテム にのみあり. すべてにあり. 9∼10色. 11∼12色. 13色以上. 遠近感をつけようとして いるが比率が不正確. 遠近感をつけようとして 一部きちんとついている. 遠近感がきちんと. 2.色彩 ①色彩数. 6色以下. 要素. 3.構成 ①遠近感 要素. 7∼8色. 真正面からの構図,遠近感遠近感に拘っていないが をつけようとしていない 偶然ついている. ついている. ②画面の 使用. 2/3以上が空白. 半分∼2/3未満が空白. 1/3∼半分未満が空自. 1/5∼1/3未満が空白. 空白が1/5未満. ③奇妙さ. 奇妙な点はなし. 物の形が奇妙, 影や鏡の映り方が奇妙. 生物の形が奇妙. 物,背景の色が奇妙. 生物の色が奇妙. ④はみ出し. はみ出しなし. 重要でないものの 一部がはみ出している. 木や虻など,目立つ物 の一部がはみ出している. 主要人物以外の人物 の一部がはみ出している. 主要人物の一部が はみ出している. ⑤説明書き. 説明書きなし. 特に意味のない説明 書きが,主要なもの以外 になされている. 特に意味のない説明 書きが,主要なものに ついてなされている. 世界観を表すための 説明書きが,主要な もの以外になされている. 世界観を表すための 説明書きが,主要な. ⑥陰影付け. 陰影付けなし. 陰影付けが重要で ない物になされている. 一部なされている. 視点がすべてバラバラ. 視点が4つ. 視点が3つ. 視点が2つ. 視点が1つ. すべての大きさが バラバラ. 明らかに過大・過小な. 2種. 1種. すべてのアイテムの. ⑩カプセル化. なし. 主要人物以外に 半カプセル化がある. 主要人物以外に カプセル化がある. 自己像,主要人物に 半カプセル化がある. 自己像,主要人物に カプセル化がある. ⑪地面の 描写. なし. 空との境目がない. 描写としてはあるが 色がついていないなど わかりにくい. 明らかに描写がある. ⑦視点 ⑧大きさの 釣り合い. ⑬消去 ⑭絵の中 の言葉. 陰影付けが. アイテムが3種以上. なし. 人物の細部(指や目鼻). になされている. ものについてなされている 陰影付けがあきらかに なされている. 大きさが適切. 非現実的であったり,. 足が地についていない 消去なし. 陰影付けが重要な生物. 人物の腕や脚,胴体 などがない. 人物の頭がない. がない,物の一部がない 数字,記号など. 意味のない日本語. 意味のある日本語. 人物の体が半分以上,. 顔の中身全部などがない 台詞など意志のある 日本語.
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