学習性無力感に関する研究

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(1)原. 著. 学習性無力感に関する研究 一その5一自己と他者の遂行期待とその判断要因 青. 柳 The. 肇*. Effect on. 強. 矢. 秀. of正[elplessIless. the. Perform狐ce. Hajime. 夫榊. a皿d. Forecast. Aoyagi非,Hidθo. 高. 島. Attriblltional. of. Self. Kyoya. alld. and. 直. 子榊. Factors. Oth6rs.. Naoko. Takasima}帥. Abstmct. Thepurposeofthisstudy predictions. After. of. self. giving. and. the8others. home. study. at. males. and150females)were. 8ones.And. a. then. wasto. otheτs. day. materials. and. each. examine. weτe. the. asked. subject. inf1uenced. of. the. to. forecast. made. tion. the. probabilities. of. The. results. were. prepared. and. partial. correlation. subject. and. The. a. difficult. main. results. luckies. at. the. between出e the. at. achievement. of. of. the. year),. examinations. hours. spent. for. .353collegestudents(203. a(difficult. achievement. subjectsas8ones). or. and. easy)subject. was. gotten. hoursforstudy. for. to. 砒e. athome. a. .. predicted score. whethertheperfomance. of. achievement. one. and. scores. theirs. and. ofse1f the. and. others,correla−. other3factors. at. a. easy. one,differentially.. were. follows、. ①Theprediction. ofperfomancewas. subject(the. of. score. factors. Execellent(1ast. luckies. predictions. examinations. between. of. of. nmbersofExece1lent(ifyoustudiedthesame day. attributional helplessness.. nエmbers. probabilitities. was. by by. easy. subject. innuencedbytherelativedifficulty. was. higher. than凸e. hard. one)but. was. of. not. by. helplessness.. ②Onlywhen砒esubjectwaseasy,theprediけionofperfomanceinotherswas higher. than. the. one. in. self.. ③Thefactorofeffort(血ehoursofstudying)wasnotc㎝cemedinthe prediction. of. perfom〕ance. except. the. se1f. s. one. ④Hi−he1p1essness虹oupmademoreaccomtof. of. Hi−he1plessness. effoれ. group. in. the. difficult. subject.. thanlow・one,inthepredictionofpe㎡or−. manCe.. ⑤Lo・helPlessnessgroupwasrelatedwith ities. These. of. luckies). results. resistance. to. but. were. was. ability(n㎜bersofExece11ent). not. with. effoれ. different. from. the. he1plessness. 目. was. more. in. ones. comected. the. of. prediction. other. with. of. researches.So,it. 1uck. and¶1uck(Probabi1・. perfom〕ance.. rather凸an. was. effoれ. suggested. that. the. .. 尊心の欠如」「自己不信感」「自己責任性の欠如」. 的. 「消極性・受動性」「意志力の欠如」(青柳ら,. 学習性無力感の概念をパーソナリティ変数とし. (1985)),「失敗に対する過敏性」「自尊心の欠. て提え直した筆者らの研究では,無力感は,「自. 如」「持続性の欠如」「消極性」(青柳・強矢. 人間基礎科学科. ‡1)物γ肋〃oゾBωた肋㎜〃∫6ξ2舳∫. 榊日野市立幼児教育センター 杣‡日本福祉教育専門学校. 州η;2力μ〃〃∫肋たげ∫0〃肋肋. 一35一.

(2) 一その5一. 学習性無力感に関する研究. (1986))などのパーソナリティの因子から構成. の問題点を踏まえて,無力感(抑うつ)の有無と. されている.こうした因子から推定されることは,. 遂行予測の関係を自己と他者での帰属の違いとい. 克服できない障害や失敗体験から悲観的な認知の. う判断過程での要因によって検討することを目的. 仕方が生じているのではないかということである.. とした.. 学習性無力感の修正理論では,より認知要因を重. 方. 視し,将来への悲観性(hopelessness)が強調さ. (1)被験者. れた(Abramson,Seligman&Teasdale(1978)).. 観性の予測(the. expectation. of. hope1essness). 埼玉県下,私立大学学生男子. 203名,女子150名,計353名. さらに学習性無力感は,反応性うつ病のモデルで もあるが(Se1igman(1975)),そのモデルも悲. 法. (2)手続き ①遂行期待の判断1被験者を困難科目群と容易科. 目群の2群に分け,表Iのような調査用紙を配. がうつ病の大きな原因と考えられるようになった. 布した.この調査用紙は困難科目群用で,容易. (Al1oy,C1ements,&Kolden,1985).. そうした観点を踏まえて筆者ら(青柳,高島. 科目群用は,表I中の表1の割合の欄が上から. 順にA40%,B30%,C20%,D10%となって. (1988))は,挙習性無カ感の克服が肯定的(楽. 観的)感情を喚起させることにより可能であるか. いる以外,困難科目群用と同じである.. を検討するために,課題遂行前に肯定的感情また. 被験者には,他者の予想得点と自已の予想得点. は否定的(悲観的)感情を喚起する条件を導入す. を推定させ,自已については昨年度同じ科目を. る実験を行なった.結果は,女子では,無力感の. 履修したと仮定して,Aの数,一日の勉強蒔間, ヤマの当たった確率を記入させた.. 高い群は,課題遂行が悪く,肯定的感情を喚起さ. せると遂行が上り否定的感情を喚起させると遂行. ②無力感の測定1筆者ら(青柳他,1986)の作成. が下がる.(但し,男子ではそのような結果が得. した41項目からなる尺度を実施した.回答形式. られなかった.). は5件法で,得点の範囲は1〜5点である.得 点の高い者ほど無力感が高いとされた.. このような結果となったのは,一つには性差の 問題,一つには感情喚起させられた時の認知要因の. 結果と考察. うちの判断過程を考慮に入れなかったからであろ. 困難科目群と容易科目群をまとめた全被験者の. う.性差の問題は別に検討するとして,ここでは,. 判断過程について考えてみたい.肯定的あるいは. 無力感尺度の得点の平均(M=101.92)により被. 否定的事象後の判断については,Seligman自身 が帰属理論を取り入れて検討している(Selig・ man,1979)が,それによれぱ,抑うつ(無力感). 験者を二分割し,102点以上を高無力感群とし,. 難易群と無力感の高低群の組み合わせで次の4群. 傾向の強いものは,失敗事態で「内的」「安定的」. が設定される.. 101点以下を低無力感群とした.従って,科目の. 「全体的」な要因に帰属するということになる.. 難一高群(困難科目一高無力感群). AbramsonやSeligmanら(1978)は,課題が解. 難一低群(困難科目一低無力感群). 決不可能なのは,その人だけなのか他者も不可能. 易一高群(容易科目一高無力感群). なのかといった観点から個人的無力感と普遍的無. 易一低群(容易科目一低無力感群). 力感を区別し,個人的無力感が抑うつにつながる. 表I中の表2の「昨年度のAの数」「一日の平均. と仮定した.従って,抑うつに関する認知理論で. 平均勉強時聞」「ヤマのあたった確率」は,各々. は,抑うつ老が不確実な事態で結果を予測する場. 帰属理論の「能力」「努力」「運」の要因に相当す. 合,その悲観性はその個人に限られ他者には及ば. ることとした(以下各々の要因を「A」「E」. ないことになる.一方Beck(1967)は,抑うつ 者の悲観性は全体的で自己ばかりでなく他者にた いしても生じると考えている.本研究では,以上. 「L」と記す).なお,群として設定した「科目. の難易」は,「課題の困難度」に相当することと した.. 一36一.

(3) 90、点以上. ,0%. 合格. 70,79.点. 20 合繕. 60〜69点. 30%. 不合楮. 59点以下. 40%. 衰2の中の『予怨循 人々と同じ15科目を及修したとしてとれると星 マのあたる涙塵について予須または繕湖し.衰2. 今. の. つ に か う 息 と る れ と を 教 点. 宰豆入 撒胴肥 やのに 力て由 舵い目 理つで 催に断い 人判き す側のだ でた房く のま目て も たし ■ 一〇んな断. のだかあか一. い ぺせあ判 ● らい隅ま で くさをりら人. どくるはす分 てれでで自 てれわの. 勉め目右断一U叶の. 衰.今詑に−堕がし査うほま. こ平21くも均埋科の判薯簑o のの妄暴てて平をの2ののてわ 度目と度しいの棚−衰人頭へま ξ11年入つ冒当表 はなすた. の均をの旭. し入行もすず のれ以何 蕃こ そ ときにるませ ■ 膀 てよ のヤいた各うぺしほ 量問しお 名 さしによ隅理峻 の崎にで 8問だ活縄のを処相 昌鐘雪畠いの踊く受のどしにと 科勉劣科き他進てを下が曇的人. ■ 斜たい ︑ 資あさて のの下し 慶マて想 隼ヤえ予 咋で答を の炊にか 名吠問; εの質れ ちでのと う童下点. ,たおよモの国塞を. 科衰. 的でし. 3. O−5崎旧. 80%. 点. 3. 1. 4.5崎問. 10%. 、煎. 4. 12. 1.0陶問. 点. 5. 15. グ0時問. 25% 】5%. 6. 0. 3.5崎問. 85%. 点. 7. 14. ;.0崎問. 75%. 、点. 8. 2. 2.0時問. 20%. .壷. 時問. %. 、点. 点. を科 台の. 合椿. の一. A. 副.こ. 讐1合. 点. ?o%. .%. 得点藪擾. 生ら 挙か たす 得で を% 僑O 掃4 各は ︑. 台否. のD ・%. CO 日の. し. !苧庵. 一5 て≡す.肉客ほ、. 敷 が に身 の 身想明よ果 . ︑ ● ︑ ほのす々概自歓下畠予のう渚い 2Aま各のたの書たもこい さ 婁のい名﹂なA一なて とくだ た中て8点あう⑦あいさカたく ま圓し① ② ③ な鰻はて. 37. ・休. A全 ほ て生 俺掌. 拝た 漬つ 成と のを. ︑. 凄八す 隼.ま のえい. 昨ぱ・え 目1ζと ス・. 科たい. ^呵・. おす溢. 表目. 予黎得、点. 受蜴看N0。. D はいな −てか 衰しは. 2. あなた目身. ヤマのあたr加垣寮 18の平匂勉強時問. 昨隼厘のAの絃. 1.5崎問 ]3. 1. 受携書8名の買科 衰2. 咋隼凄の成潰帰価の蛇累 暴j. 慮(易・女〕 氏名 春 隼. 学部. 大挙. 胴蚕 る. 闘 す 〜こ. 雫量. 断 過 半リ. 背. 調査用紙(困難科目群用. 1 表. 1989. 第2巻第1号 早稲田大学人問科学研究.

(4) 学習性無力感に関する研究. 無力感. 難易. 古同. 難. 低 吉同. 易. 低. 表II. 各群の予想得点 自. N 87. 平均値 60.379. 91. 63.264. 94. 70.755. 81. 71.494. S. 表m 他. 己 D. 10.675 12.681. 9.102 10.574. 一その5一. 者. 平均値 66.615. S. 予想得点(S)と能力(A)・努力(E〕・連(L〕 との狗. D. r. 6.539. 67.005. 6.094. 72.653. 6.418. 70.738. 6.298. AS ES LS I■. なお他者については,各被験者の8つの回答の平. AS ES LS. 均値を各被験者の予想得点とした.これに基づい. 注. 表IIは,自己と他者の4群の予想得点の平均 (M)と標準偏差(S.D.)を示したものである.. 均(r). 自. 己. 他. 者. 難一高群. 易一高群. 難一高群. 易一高僻. 0,444舳‡. 0,501‡帥. OI841帥‡ O.622‡榊. O.428,舳. O.202‡帥. O.ヱ45‡榊. O.162榊‡. 0,381‡}. 0,228‡榊. O.253‡柿. O.207帥‡ 易一{氏群. O.642榊‡. 難一低群. 易一低群. 難一低群・. 0,532帥. O.612帥‡. O.619‡帥. 0,224帥‡. O.342‡榊. O.ユ54帥‡. 0,080杣‡. O.528舳‡. O,395榊‡. O.278‡榊. 0,263榊‡. ‡‡^:P<O.O01. て,自已と他者別に科目の難易と無力感の高低の 2要因及び科目の難易別に自已・他者と無力感の. が,科目の難易の効果は見られない(F=1,442. 高低の2要因での各々分散分析を行なった.自己. df11,352).. と他者別では,ともに科目の難易で有意差が見ら. 表mは,自己・他者別の各群の予想得点と帰属. れ容易科目のほうが高得点である(自己:F= 64,934df三ユ,354P<0.OOユ,他者1F=52,258. 理論に基づく「A」「E」「L」の3要因の相関と その有意性を示したものである.但し他者につい. df・1,352P<O.O01)が,無カ感の高低では有意. ては,各被験者が8名の予測をしているので,自. 差が見られなかった(自己:F=2,463df三. 已の各群の被験者数の8倍したもののデータであ. 1,354,他者:F=1,273df三1,352).科目の難易. る.. 自己の易一高群と他者の易一低群を除けば,全. 別では,困難科目で自己と他者間に有意差が見ら. れ,他者のほうが高得点であった(F=24,901. て有意な相関が見られる.但し,他者については,. df・1,355P<O.OO1)が,容易科目では両者間に. 既述のようにデータ数が多いので相関値が低くて. 有意差が見られなかった(F=O.415df三1,349).. も有意な相関値になっていることに注意する必要. また,無力感の高低による予想得点には,ここで. がある.自己で困難科目の場合,無力感の高低に. も有意差が見られなかった(困難:F=2,683df. かかわらず,予測得点は,能力要因と強く関係す. ・1,355,容易1F=O.440df・1,349).. る点は同じである(高群:r=0,444,低群:r. 自已については,他者の場合と異なり「A」. =O.532)が,無力感高群は努力要因と関係が強. 「E」「L」の要因は固定されたものではなく変. い(r=O.428)のに対して,低群は運要因と関. 数である.従って科目の難易や無力感の高低の影. 係が強い(r=O.528)という点で両群は異なっ. 響を受ける可静性がある.そこで,自己の各群の. ている.自己で容易科目の場合も,無力感の高低. 「A」「E」「L」の要因別に分散分析をおこなっ. に無関係に能力と強く関係し(高群:r=O.501,. た.「A」の要因は,科目の難易の影響を受け,. 低群:r=O.612),高群は,努力要因や運要因と. 容易科目のほうが能カを有意に高く評価する(F. の関係が弱いが,低群は,運要因との関係も弱く. =4,366df三1,352P<O.05)が,無力感の高低に. はない(r=O.395).一方,他者では,科目の難. は差が見られない(F=2,408df=1,352).「E」. 易や無力感の高低に無関係に能力要因と強く関係. の要因は,科目の難易(F=3,180df三1,352),. し(難一高群:r=O.641,易一高群:r=O.622,. 無力感の高低(F=1,181df・1,352)とも有意差. 難一低群:r=O.・619,易一低群:O.642),努力要. が見られない.「L」の要因は,無力感の高低の. 因や運要因因との関係は弱い.. 自己と他者の判断要因を比較すると,科目の難. 影響を受け,無力感が低いほうが有意に運が付く と信じている(F=20,192df三1,352. P<O.01). 易に関係なくいずれの群も他者のほうが能力要因. 一38一.

(5) 早稲田大学人間科学研究. 表1V. 表V. 各群の予想得点と3要因との重相関係数. 白. 他. 己. 者. 難一高群. 易一高群. 難一高群. 易一高群. O.595‡帥. O.547ヰ榊. 0,715‡榊. O.682‡榊. 難一低群. 易一低群. 難一低群. 易一低群. O.656‡榊. O.680#榊. O.708榊#. 第2巻第1号1989 予想得点(S)と能力(A)・努力(E)・運(L) との偏相関(r). r. AS ES LS. O.710榊‡. r. 注‡榊p<0.001. AS ES LS. との関係が強い.また他者は自已と比べて,能力 以外の要因との関係は弱い.. 自. 己. 他. 者. 難一高群. 易一高群. 難一高群. 易一高群. O.218‡柿. O.462榊‡. O.677‡帥. O.647榊‡. O.358榊ヰ. O,163榊. O.189‡帥. O.197榊‡. O.337‡榊. O.225帥ヰ. O.397‡榊. O.332帥‡. 難一低群. 易一低群. 難一低群. 易一低群. 0,432‡榊. O.532‡榊. O.660‡帥. O,677帥}. 0.010. O.082. O.206‡帥. O.099榊‡. O.452榊‡. O.367‡帥. O.421‡州. O.395‡榊. 注榊‡:p<O.O01,岬:p<O.01. 次に,どの程度3要因を総合的に見て予想得点. の判断をしているかを検討するために,「A」 「E」「L」と予想得点をまとめて重相関係数を. 自已と他者で比較すると,自己より他者の方が. 算出した.表1Vは,それを示したものである.全. 予想得点と能力要因の相関値が高く,予想得点の. ての群で自己より他者のほうが相関値が高く,他. 判断に能力要因をより重視している.それ以外に. 者は自已より予想得点の判断にこの3要因を多く. は,自他で際立った相違は見られない.. 使っていることを示している.また,自己の場合,. 以上のことから,2つの点が問題として挙げら. 無力感の低群のほうが高群より相関値が高く,こ. れる.第一は,得点(学業成績)を予測するとき,. の3要因で説明されることが多い.他者の場合は,. 無力感の高低がそこに反映されず,課題の難易度. 無力感の高低による相関値の差は小さい.. が強く関係すること,課題が困難な場合だけ白己. さきに,予想得点と要因「A」「E」「L」の 各々との単一の相関を示した.しかし,そこでの. と他者の問に相違が見られ,他者判断の方が予測 は高い.. 第二に,努力要因は,遂行予測に際して自他と. 相関値は,当該の2変数以外の他の2変数(要 因)が関わってのものである.そこで,他の2要. もに関与は大きくない.自已の無力感だけの高低. 因を一定にしたときの予想得点とその要因との関. で比較すると,無力感の高い場合のほうが曙力要. 係を検討するため偏相関係数を算出した.表Vは,. 因を重視しているといえる.さらに,無力感が低. それを示したものである.自己については,科目. い場合,能力要因と運要因を重視し,努力要因を. の難易及び無力感の高低による一貫した傾向は見. 関与させていない.. られないが,課題が困難で無力感が高い場合,努. 以上の結果は,従来の無力感と因果帰属との関. 力要因と予想得点問の関係が強いが,他の群の努 力要因にはそのような傾向が見られない.但し,. 係についての研究結果とは矛盾したものとなって いる.貝口ち,一般的には,内的帰属特に努力帰属. 努力要因は低無力感とはほとんど関係が見られな. は,無力感に陥りにくいとされている(Hiroto,. いから,相対的には高無力感とのほうが関係は強. 1974).但し,のちに,Abramsonら(1978)と Beckら(1974)は,事態と失敗事態に別けて帰 属スタイルを検討しているが,それによれば,抑. いといえる.また難一高群は,他の3群と異なり, 能力要因との関係が最も弱い.. 次に無力感の低群では,運要因が高群より高く. うつ感の高い者は,成功事態を外的に失敗事態を. 内的に帰属させやすい.本研究では,成功・失敗. なっていることが特徴である.. 他者では,どの群も能力を最も重視し,努力は. 事態ではなく課題の困難度の事態であるので厳密. 判断要因として重視されていない.努力よりむし. な比較はできないが,少なくもHirotoの実験結. ろ運要因を重視している.しかもその傾向は,低. 果とは異なっている.しかし本研究の結果から,. 無力感で強い.. 困難な事態あるいは,失敗事態では,努力等の内. 一39一.

(6) 学習性無力感に関する研究. 一その5一. 的帰属よりも「なんとかなるさ」というような外. ⑤無力感の低い場合は,遂行予測の判断に「能. 的帰属である「運」への帰属をしているほうが,. 力」と「運」の要因を重視し,「努力」要因の関. 無力感に陥りにくく,「努力」帰属はむしろ無力. 与は少ない.. 感につながり易いことが示唆される.抑・うつ反応. こうした結果は,従来の無力感に関する諸研究. が悲観性と非抑うつ反応が楽観佳と関係すると. の結果とは異なり,「無力感への抵抗力」は,「努. するAlloyら(1987)の考察とは符合している.. 力」要因より,むしろ「運」要因との関係が強い. これらの点について更に検討を加えたい.. ことが示唆された.. 要. 約. 引用文献. 無力感が自已と他者の遂行の予測に及ぼす効果を. 因果帰属理論の枠組で検討するため,大学生男女. 1)青柳肇,細田一秋,小鳴正敏 学習性無力感に 関する研究 その1,一無力感尺度の作成とその 信頼性・妥当性一. 353名を対象に以下のような実験を行なった.課. 題の困難度(好成績を得るのが容易な科目と困難 な科目のいずれか)を設定したうえで,受講者8. 名の能力の優劣(昨年度の「A(優)」の数),同. 2)青柳肇,強矢秀夫 学習性無力感に関する研究 その2,一無力感尺度の再検討と地域差・性差一 立川短大紀要,,19,23−28 1986 3)Abramson,L,Y.,Seligエnan,M.E.P.,&Teasdale,. じく努力の多少(一日の勉強時間),同じく運の. J−D.Leamed. 良悪(ヤマの当たる確率),の資料を示して8名. and. (他者)のその課題(科目)での成績を満点が 資料の8名と同じ科目を選択したとして,昨年度. Therapeutic. apy. 記入させた.さらに,その. 結果は,自已他者別及び課題の難易別に,得点. の相違を分散分析し,さらに「能力」「努力」 「運」と得点の相関係数,偏相関係数,重相関係. diathesissyress. humans:Critique. Abnomal. of. depression=. S.Reiss&R.Boot−. issues. (pp.379−419).. Psy・. Kolden,G.The. theories. imp1ications.In. zin(Eds.),Theoretical. の「A」の数,一日の平均勉強時間,今までにヤ. をさせた.. in. chology,87,49−74 1978 4)Alloy,L.B.,Clements,C.,& cognitive. マの当たった確率,を. helplessness. refomulation..Jouma1of. 100点として予測させた.また,自已については,. 課題(科目)を選択したとして何点取るかの予測. 立川短大紀要,18,17−24.. 1985.. in. New. behavior. ther−. York:Academic. Press.1985. 5)青柳肇,高島直子学習性無力感に関する研究 その4,一達成場面での肯定的・否定的感情喚起 が遂行に及ぽす効果一 早稲田大学人間科学研究 1,. 1,. 15−21.. 1988 6)Seligman,M.E.P.,Abramson,L.Y.,Semmel, A.,&Von Baeyer,C.depressive attributional. 数を取り比較された.. style.JoumalofAbnomalPsychology,88,242−. 2471979. 主な結果は,以下の通りである.. ①無力感の高低は,遂行予測には反映されず,課. 7)Beck. 題の難易度が遂行予測と関係し,容易な課題のほ うが高い予測をする.. ②自已と他者の予測では,課題が困難な場合のみ 他者が自己より高い.. ③困難課題で無力感が高い自己の場合を除くと遂. A.T.Depression:Clinica1,experimental. and血eoretical. aspects.New. York:Ha㎎r&. Row1967. 8)Hiroto,D.S,Locus of control and leamed helplessness.Joumal of Experimental Psycho1− ogy,102,187−193.1974. 9)Beck,A.T.&Greenberg,R.L.Cognitive曲er− apy with depressed women.In V.Franks&V.. 行予測の判断に「努力」が関与することは少ない.. ④自己に関しては,無力感の高いほうが遂行予測 の判断に「努力」の要因を重視する.. 一40一. Burtle(Eds.)Women psychotheraples. for. a. and. therapy:New. changlng. −1l1).NewYork:B㎜er/Maze1. soclety(PP113.

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