研究科 キリスト教学
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(2) ※ ホームページ等で公表します。 (様式2-1) 立教SFR-院生-報告. 研究成果の概要(図・グラフ等は使用しないこと。). 2 0 1 4 年 度 S F R 研 究 の 期 間 は 、本 研 究 の 博 士 課 程 後 期 課 程 5 年 目 に 該 当 し た 。そ の ため研究内容の大半を博士論文の中間報告書と、博士論文の下書きに反映させた。 最 初 に 、C . S . ル イ ス の 伝 記 的 事 実 や 時 代 的 背 景 と い う 外 的 デ ー タ を 調 査 し た も の をまとめることができた。論文作成に必要とされる一次資料のデータ化が急務であ ったため、デジタル化による保存を行ないつつ、資料の整理を行った。特に英国オ ッ ク ス フ ォ ー ド 大 学 図 書 館 で 収 集 し た 資 料 で あ る C. S. ル イ ス の 直 筆 資 料 、 ノ ー ト 、 メモ、タイプ原稿や未発表原稿など、コピーが禁じられていたために写真撮影した ものを中心として、それらのデータ化を行った。 そ の 上 で 上 記 の 資 料 を も と に 、C . S . ル イ ス が 影 響 を 受 け た 思 想 や 作 品 、時 代 背 景 と い っ た 外 部 的 な 要 素 を 調 査 し た 。 具 体 的 に は 、 ま ず 19 世 紀 か ら 20 世 紀 の 時 代 背 景 の 歴 史 的 な 視 点 か ら の 論 証 と 、 そ れ に 基 づ き な が ら C. S. ル イ ス の 出 自 、 彼 の キ リスト教回心への経緯、そして彼の思想の源となっているとされる、彼が影響を受 け た 人 々 の 思 想 、 著 作 を 概 観 し た 。 さ ら に 、 伝 記 作 家 ら に よ る C. S. ル イ ス 伝 記 な ど を 確 認 し つ つ 、C. S. ル イ ス の 書 簡 や 日 記 、自 伝 と 照 合 さ せ 、 英 国 で 得 た 一 次 資 料 と合わせて精読した。 そ し て 、C . S . ル イ ス 研 究 を い く つ か の 分 野 に 分 類 し て ま と め 、自 ら の 研 究 に 近 い 先 行 研 究 に つ い て の 分 析 、考 察 を 深 め た 。こ れ ら を 踏 ま え た 上 で 、 C. S. ル イ ス の キ リスト教信仰の特質を汲み取り、彼の信仰がアングリカンのみならずカトリックや 他プロテスタント諸派にも受容されてきた信仰の特徴とはいかなるものであったか を探求した。 以 上 の よ う な 経 緯 で 2014 年 度 の 研 究 を 行 っ た 。 成 果 の 概 要 が 以 下 の 通 り で あ る 。 1. 先 行 研 究 と 目 的 の 設 定 先行研究の中でも本研究に関わる研究のいくつかに的を絞って着目した。そして 大きく分けて三つの動向についての研究を収集した。第一に、伝記などルイスの全 体像を見るもの、第二に、キリスト教神学者らによるルイスの著作からキリスト教 思想を汲み取る研究、そして第三に、最も蓄積のある文学研究であった。それらの 先 行 研 究 を 踏 ま え た 上 で 、本 研 究 に お い て は 、C . S . ル イ ス の 作 品 か ら 彼 の 思 想 や 信 仰を拾い、規定の枠にとらわれず、彼の言葉そのものに目を向けて、その思想を紐 解いていくことを本研究の目的として設定した。 2. C. S. ル イ ス の 全 体 像 C. S. ル イ ス の 「 キ リ ス ト 教 」の 考 察 に 入 る 準 備 段 階 と し て 、彼 の 全 体 像 に 照 射 し た 先 行 研 究 を 中 心 に 踏 襲 し つ つ 、 彼 の 「 キ リ ス ト 教 」 へ の 「 回 心 」 と 、「 神 話 」 と の 関連について着目し、検討した。中でも彼の自伝『喜びの訪れ』と、先述の通り、 データ化に今回時間を割いた未刊行資料などから、彼の生涯を客観的、主観的に追 った。さらに、彼の著作『天路逆程』を取り上げ、彼がその執筆過程で「キリスト 教信仰へと後戻りした過程を記述しようと思う」と表現したことを汲み取った。彼 の「キリスト教」への道のりがこの作品で間接的に物語られている特徴から、吟味 された形で彼が「キリスト教」を受け入れた経緯を読み取り、彼にとっての「キリ スト教」の源と、そこへの道のりを追うことができた。.
(3) ※ ホームページ等で公表します。 (様式2-2) 立教SFR-院生-報告. 研究成果の概要. つづき. 3. C. S. ル イ ス の 「 煉 獄 」 「神話」という解釈をきっかけに、彼の「回心」経緯を見たことに加えて、彼 の持つ「煉獄」についての独自の考え方に焦点を当てて考察した。特に、先に扱 っ た 作 品 『 天 路 逆 程 』 や 、「 煉 獄 」 を 明 確 に モ チ ー フ と し た 作 品 『 天 国 と 地 獄 の 離 婚』を取り上げ、彼の記述を見ながら、作品に提示された「煉獄」は全く彼独自 のものでアングリカンが否定するものでもローマ・カトリックが肯定するもので もない、新しい特有の「キリスト教」から生じた「煉獄」であるということを分 析することができた。 4 .「 煉 獄 」 と 関 連 し た 「 救 済 」 「煉獄」についての独自性を瞥見した後、それに関連して、彼の考える「救済」 とはいかなるものであるかという問いを立てた。中でも彼が『ナルニア国物語』 の最終巻で描出している死後の世界に相当する場面で、彼独自の「煉獄」を投影 し つ つ 、「 救 済 」 が 描 か れ て い る こ と に 着 目 し た 。 特 に 、 他 宗 教 の 者 の 「 救 済 」 の 可能性を提示していることについても検討できた。 5 .「 救 済 」 と 関 連 し た 「 自 己 放 棄 」 「煉獄」と「救済」を関連づけて見たことを踏まえて、彼が「真実の神話」と 表現したキリストの物語を、どのように人々に伝えたのかについて瞥見した。特 に 『 キ リ ス ト 教 の 精 髄 』 を 中 心 に 、『 痛 み の 問 題 』 や 『 奇 跡 論 』 に も 同 時 に 目 を 向 けつつ、彼が「自己放棄」して神に従うことを勧めている言葉に着目した。彼の 「自己放棄」の概念を取り上げながら、彼が「真実の神話」を語る中でキリスト の生き方が「自己放棄」そのものであったと彼が捉えていることを見た。その過 程では、彼が師としているジョージ・マクドナルドが提示したキリストの物語が い か な る も の で あ っ た か を 概 観 し 、 そ の 上 で 、 C. S. ル イ ス が 考 え 、 人 々 に 提 示 し た「自己放棄」について検討した。 6 .「 フ ァ ン タ ジ ー 」、「 神 話 」 と い う 執 筆 行 為 C. S. ル イ ス の 著 作 か ら 、 彼 の 「 フ ァ ン タ ジ ー 」 と い う 執 筆 行 為 に つ い て 拾 い 、 彼が「ファンタジー」を最も好む執筆形態としていることを瞥見した。さらに、 J. R. R. ト ー ル キ ン の エ ッ セ イ に 書 か れ た フ ァ ン タ ジ ー に 対 す る 考 え 方 に 彼 が 同 意 し て い る こ と や 、「 神 話 」 の 形 式 に つ い て も C . S . ル イ ス の 記 述 を 収 集 す る こ と ができた。文学批評を中心とした著作『批評における一つの実験』で、彼が「神 話 」 を 6 分 類 し た 上 で 、「 神 話 」 を 読 む 体 験 は 、 怖 れ か し こ む 経 験 を も 生 む も の で あると考えていることを拾い出した。その上で、彼の執筆行為と、先に考察した 彼の概念を連関させて分析した。 7. ま と め C . S . ル イ ス の 著 作 等 か ら「 煉 獄 」 「救済」 「 自 己 放 棄 」の 3 概 念 を 取 り 上 げ つ つ 、 彼の執筆行為との関連について考察し、彼の「キリスト教」とは、執筆行為その ものであったと結論づけることができた。 上記内容の一部を博士論文の中間報告書として提出し、受理された。 また、3 人の有識者に原稿の校閲を依頼して、彼らにもご指導いただいた。そして 結論部分を含む博士論文の下書きが完成した。. ※この(様式2)に記入の成果の公表を見合わせる必要がある場合は、その理由及び差し控え期間等 を記入した調書(A4縦型横書き1枚・自由様式)を添付すること。.
(4) ※ ホームページ等で公表します。 (様式3) 立教SFR-院生-報告. 研究発表 (研究によって得られた研究経過・成果を発表した①~④について、該当するものを記入してください。該当するものが多い 場合は主要なものを抜粋してください。 ) ①雑誌論文(著者名、論文標題、雑誌名、巻号、発行年、ページ) ②図書(著者名、出版社、書名、発行年、総ページ数) ③シンポジウム・公開講演会等の開催(会名、開催日、開催場所) ④その他(学会発表、研究報告書の印刷等). ①雑誌論文 ・岡 田 理 香 、 「『 神 の い ら な い 時 代 の バ イ ブ ル ・ ス ト ー リ ー ズ 』 に 見 る 無 神 論 的 キ リ ス ト 教 作 品 の 意 味 」、キ リ ス ト 教 文 学 研 究( 日 本 キ リ ス ト 教 文 学 会 )、第 3 1 号 、2 0 1 4 年 、9 1 - 1 0 5 頁。 ・ 岡 田 理 香 、「 C . S . L e w i s の T h e L a s t B a t t l e に み る 終 末 観 」、 工 学 院 大 学 共 通 過 程 研 究 論 叢 、 52-1 号 、 2014 年 、 23-34 頁 。 ・岡 田 理 香 、 「 C . S . ル イ ス が『 キ リ ス ト 教 の 精 髄 』で 示 し た キ リ ス ト 教 信 仰 」、 D E R E K ( 立 教 大 学 大 学 院 キ リ ス ト 教 学 研 究 科 )、 3 4 号 、 2 0 1 4 年 、 4 3 - 6 4 頁 。. ④その他 ・ 研 究 成 果 の 一 部 を 、 工 学 院 大 学 情 報 学 部 に お い て 春 学 期 後 半 に 「 C. S. ル イ ス の 『 ナ ル ニ ア 国 物 語 』」 と い う 内 容 で 講 義 し た 。 ・博士論文中間報告書を提出し、口頭試問を通過して受理された。.
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