21 世紀社会デザイン研究科
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(2) ※ ホームページ等で公表します。 (様式2-1) 立教SFR-院生-報告. 研究成果の概要(図・グラフ等は使用しないこと。) 近 年 、社 会 で 取 り 組 む べ き 問 題 や 政 策 に つ い て 、行 政 や 専 門 家 だ け で な く 市 民 を 包 摂 し た 合 意 形 成 の 必 要 性 が 高 ま っ て い る も の の 、既 存 の 合 議 の 場 は 現 時 点 で は そ の 実 践 ぶ り に 反し、市民の期待に応えられるほどには進展していない。 そ こ で 本 年 度 は 、 S F R 申 請 時 に 設 定 し た 「『 合 意 形 成 』 が な ぜ 、 成 果 と し て の 現 状 を み ないのか」の課題設定にそって、以下の 3 項目を分析した。 1.. 合意形成プロセスの実態調査とその問題点の抽出 まず、既存の合意形成プロセスの研究の 疑義を提示するため、報告者は「平等性」の 原 則 や 、「 市 民 参 加 」 の 方 法 を 重 視 し た 市 民 参 加 型 会 議 の 中 で も 「 円 卓 会 議 方 式 」 に 着 目 し た 。分 析 の 対 象 と し た の は 、 「 成 田 空 港 問 題 円 卓 会 議 」、 「 原 子 力 政 策 円 卓 会 議 」、 「三 番 瀬 再 生 計 画 検 討 会 議 」の 3 事 例 で あ る 。そ れ ぞ れ を 分 析 し て 得 ら れ た 知 見 の う ち 、共 通する主な問題点は次の点である。 (1). 合 意 形 成 プ ロ セ ス の 問 題 点 ① 議論空間における二項対立の構図 議論では 、経験 的見 解や意見 を否定 され て「同意」せざる を 得ない市 民や非 専門 家 らと、自分達に則した議論の流れを保有出来る専門家による合意形成の存在のほ か、議論 を重ね ても 解けない 二項対 立構 図の存在 を明示 した 。本研究 では、前 者 を 「前向き」の合意形成、後者を「後ろ向き」の合意形成と称した。 ② 「消極的な」自省的態度の存在 ① の議論空間における立場の弱い側が示す自省的態度が、 「 後 ろ 向 き 」の 合 意 形 成 にしか作用しない点を指摘した。 ③ 「共生社会への展望」という合意に至る点 対 立 構 図 の 中 で 議 論 の 参 加 者 が 互 い に「 共 生 」を 別 様 に 捉 え て い る こ と を 認 め つ つ も 、市 場 原 理 に よ る 解 決 が 不 可 能 で あ る こ と が 自 明 で あ る 以 上 、そ れ に 代 わ る ボ ラ ン タ リ ー な 行 動 原 理 と し て 「 共 生 社 会 へ の 展 望 」 が 提 起 さ れ た 。「 共 生 」 を 提 起 し なければ、合意は不可能であるという合意形成プロセスの実態を示唆した。 こ の 3 点 は 、本 研 究 が 主 に 対 象 と し た 3 事 例 の 会 議 以 外 で も 、ま た 他 の 市 民 参 加 型 会 議 方 式 で も 確 か め ら れ た 特 徴 で あ る 。 こ こ に 「 平 等 性 」「 市 民 参 加 」 の 前 提 を 重 視 し た 合意形成 の問題 点の 一般性が 示され た。だが、こ こで む しろ 指摘すべ きは、既存 の議論 の 場 が 、場 と し て 機 能 し て い な い に も 関 わ ら ず 、合 意 形 成 の 普 遍 性 モ デ ル で あ る か の 如 く存在している点である。 し た が っ て 以 下 で は 、「 平 等 性 」「 市 民 参 加 」 と い っ た 議 論 空 間 を 外 生 的 側 面 で 設 え ら れるのではないアプローチによって、合意形成プロセスの困難性を解き明かした。 (2). イ ン タ ビ ュ ー 調 査 、 文 献 調 査 ― ― 合 意 形 成 の 要 因 と し て の 「 エ ー ト ス 」 上記の① と②の よう に議論空 間には 、経 験的見解 や意見 を否 定されて「同意」せ ざる を得ない市民や非専門家らの「後ろ向き」の合意形成をする 立場と、自己(集団)の立 場 に 則 し て 議 論 の 流 れ を 保 有 出 来 る 科 学 の 専 門 家 ら「 前 向 き 」の 合 意 形 成 の 立 場 が 存 在 することを指摘した。 こ れ を 踏 ま え て 報 告 者 が 議 論 に 参 加 し た 人 々 に 対 し て 行 っ た イ ン タ ビ ュ ー 調 査 、及 び 文献調査からは、次の 2 点が明らかになった。 ① た と え「 後 ろ 向 き 」の 合 意 を 形 成 す る こ と し か 出 来 な い 議 論 の 参 加 者 で あ っ て も 、こ れだけは実現したいという「エートス」が存在すること。 ② かつ、そのエートスは地域風土と親和的である。 な お 「 心 的 傾 向 」 に つ い て は 、 M.ウ ェ ー バ ー の 「 エ ー ト ス 」 の 概 念 に 準 拠 し た 。.
(3) ※ ホームページ等で公表します。 (様式2-2) 立教SFR-院生-報告. 研究成果の概要. つづき. 2.. 「合意形成」に対する独自のイデオロギーとしての「風土」 以上、合意形成プロセスが成立するためには、いかに市民を参加させるのかといっ た方法論よりも、人々に内生的に作用する「エートス」と社会の抱える問題との距離 にあることに着目をし、風土を分析枠組みとした。 (1). 風 土 の 妥 当 性 の 検 証 風土を適切とする理由は、以下の 3 つの特性からである。 ① A・ ベ ル ク ら に 代 表 さ れ る 風 土 の 概 念 ベルクは風土を主観的かつ客観的、現象的かつ物理的であると捉え、風土に二元 論を超えた「利害統合の理論」をみる。二者択一ではないベルクの着想からは、 反目する者同士が絶えずダイナミズムに影響を及ぼし合う可能性がある。 ② 風土の「エートスの規定的契機および要因」という役割 倫理学者和辻哲郎は、自己了解の仕方としての風土というテーゼを導き出した。 人々が「社会の問題だ」あるいは「こうあって欲しい」と思考する根拠とは、そ の客観的な悪化状態を認識する人々のエートスである。ただしウェーバーの「エ ートス」は、あくまで人間社会からの考察に徹していることを鑑みると、実践の あり方に限界がある。そこで本研究では地域に内在する自然観や倫理観の視角と 結びついた「風土のエートス」という独自の分析枠組みを提起した。 ③ 規範的判断への要求 風土には単に個人の主観ではない、現代社会の原理や行動規範(タブーや敬意) に目を向けさせる効果を生む特質がある。 (2). 「 風 土 の エ ー ト ス 」 以上の特質から、従来の合意形成では「専門知」だけが重視されてきたが、地域に 半ば身体化された風土のエートスも「専門知」と同様に実在性を承認していくべきこ とを示した。ここで実在性を認めることの意味とは、形式的平等性の修正として意義 を認めることである。報告者は合意に携わる人々の風土を基層とした「風土のエート ス」という独自の分析枠組みとして提起した。. 3.. 「合意形成」の範囲 合 意 形 成 に 関 し て は 、「 国 民 的 合 意 形 成 」「 社 会 的 合 意 形 成 」 な ど 、 広 範 な 市 民 、 国 民との合意を想定していることが多い。そこで「風土のエートス」の実践の可能性を 考 察 す る た め 、 専 門 家 と 地 域 住 民 の 対 話 形 式 (「PI 方式」)で あ る 『 鴨 川 沿 岸 海 岸 づ く り 会議』分析した。その結果、以下の知見が得られた。 (1). 合 意 形 成 可 能 な 範 囲 形式的な平等や方法論によって議論の場を整えるのではなく、衡平性の視点から風 土「風土のエートス」によることが合意形成の要因であることを論証した。したがっ て合意形成は風土のエートスの共有に寄与出来る射程範囲こそが、合議が捉えうる問 題の規模であり、合意形成が可能な範囲、規模である。よって地域レベルの小さな範 囲でしか合意は成り得ない。 (2). 合 意 形 成 可 能 な 範 囲 か ら 見 え て く る も の ① 合 意 を 普 遍 性 あ る も の と す る に は 、風 土 の エ ー ト ス を 基 に 地 域 を 変 容 さ せ て い く こ とが必要である。 ② 既 存 の 合 意 形 成 プ ロ セ ス で は 、民 意 を 強 調 す る あ ま り 、開 か れ た 場 を ど う 設 定 す る か 、い か に 多 様 な 利 害 関 係 者 を 参 加 さ せ る の か と い っ た 議 論 の 手 法や 手順 、運 営 の 向 上 に 目 が 向 け ら れ て い る の が 現 状 で あ る 。だ が 、問 題 に 取 り 組 む 者 同 士 の「 風 土 のエートス」をもとに自ら問題を検証し、評価し、創造できる議論であるならば、 実践可能であることを示唆した。. ※この(様式2)に記入の成果の公表を見合わせる必要がある場合は、その理由及び差し控え期間等 を記入した調書(A4縦型横書き1枚・自由様式)を添付すること。.
(4) ※ ホームページ等で公表します。 (様式3) 立教SFR-院生-報告. 研究発表 (研究によって得られた研究経過・成果を発表した①~④について、該当するものを記入してください。該当するものが多い 場合は主要なものを抜粋してください。 ) ①雑誌論文(著者名、論文標題、雑誌名、巻号、発行年、ページ) ②図書(著者名、出版社、書名、発行年、総ページ数) ③シンポジウム・公開講演会等の開催(会名、開催日、開催場所) ④その他(学会発表、研究報告書の印刷等).
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