高等学校の教育課程経営に関する研究 : 内発的な改善事例の分析
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(2) 3.考察. また、「産業社会と人間」の導入を規定する要. 特色ある学校を目指して内発的に教育課程を. 因としては、①科目の意義・段的を十分に説明. 改編した事例校4校の調査結果から、教育課程. した上での理解を図り、②企画組織を設立させ. 全体について、および「産業社会と人間」につ. て年間計画や指導案を作成し、③科目のねらい. いての導入要因と定着要因について、得た知見. や教員組織の現状に応じて柔軟に指導者を決め. を元に考察を試みた。. ていくことの必要性についての示唆を得た。. 納会情勢や生徒状況の変化、それに伴う文部. 次に教育課程の定着要因についてであるが、. 省や教育委員会の制度の改善に伴い、内発的に. 事例校のインタビューから様々な問題点につい. 教育課程を改編した事例校は、複雑な学校の組. ての知見を得ることはできたが、その解決策に. 織環境の中で改編を成し遂げている。. ついての知見を得るところまでは行かなかった。. 事:例校における内発的教育課程改編を規定す. ただ、特色ある教育課程を定着させるためには. る要因としては、①背景として、帰属意識の高. 協働性の高い教員風土が少なからず影響はして. いより多くの教師や組織が問題意識・教育課題. いるようだ。なお、教育課程を定着させるとい. を持ち、改善の必要性を感じていること、②改. うことは維持するということではなく、常に社. 革をするか否かについては、通常の職務を抱え. 会情勢や生徒状況を見て、必要に応じていつで. ている既存の組織よりも、専門的に取り組むこ. も教育課程を改善しようとする姿勢を持つこと. とのできる新しい組織を作って検討を開始させ. であって、守りに入ってはいけないことの示唆. る方がよいこと、③学校改革組織が検討を始め. は得た。. るにあたっては、学校内外の多方面からの情報. 「産業社会と人間」の定着要因については、. を収集・整理して分析し、得られた現状認識に. ①この科目の企画組織が、年間計画や授業内容. ついては教員の共通理解を得ること、④改革を. について常に改善する意識を持って企画し、指. 実行するに際しては、現状認識に基づいて教育. 導者が別の教員の場合は、研修も充分に行うこ. 課題を整理し、課題についての共通理解を得た. と、②指導者の選定や引き継ぎについては一定. 上で改革を進めること。以上の内容を順序立て. のビジョンをもって計画すること、③授業内容. て遂行していくことの必要性についての示唆を. に関連する分掌や教科とは綿密な連携を採るこ. 得た。また、一連の改革過程を通して、⑤校長. とについての示唆を得た。. のり一ダーシップは必要不可欠であり、⑥協働. 本研究においては事例校4校を対象に実施し. 性の高い教員風土も改革をバックアップする重. たが、高校の揚合はそれぞれの学校によって学. 要な要因であることの示唆も得た。なお、仮説. 校特性にかなり違いがあるため、今回得た示唆. モデルには書き表せなかったが、⑦教育課程を. が当てはまらない高校も多く存在すると推測さ. 大幅に改編することは、教員の急激な負担の増. れる。より多くの高校の教育課程に関する事例. 加につながるため、それを緩和するための措置. 研究の蓄積の中で、より多くの高校が参考とで. を講ずることが、結果として教員の労働意欲の. きる示唆を得るために本研究が役立てば幸いで. 維持につながり、教育課程の改編によって学校. ある。. が改善されれば、それが次の改善へとつながる ことの示唆を得た。. 主任指導教官. 加治佐哲也.
(3) 平成11年度 学位論文. 高等学校の教育課程経営に関する研究 一内発的な改善事例の分析一. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校教育専攻 教育経営コース. M98056A 長井 勘治.
(4) 目. 次. 第1章 研究の目的 ……・……・…・………・・…・一……・…・……・・ 1 第1節 高校改革の現状と課題 ・…………・…… …………… … 1 第2節 先行研究 ・…・… i一…・…… …・…・…ゲ_….._..._. 2. 第3節 研究の目的と意義 ・…・…………・… ……… ……・…・・ 4 第2章 教育課程政策の動向 ・・……・・…・……・…・・……・・……・・…・ 7 第1節 教育課程政策の動向 …・・・・… …・…・・・… …・……・……. 7. 第1項 教育課程政策の動向 第2項 「産業社会と人間」と「総合的な学習の時問」. 第2節 A県における「教育改革プログラム」 …・… …・…・…・一… 9. 第3章 研究の方法 ・一・…一…・…・…・…・…・・…一…・… …・…… 12 第1節 分析の枠組み ……一 ・……・・…・・…・…・・…・・一…・・12. 第2節 第1次調査 ………・・・・……9・…………・…・……一・17 第1項 調査対象校の選定. 第2項 調査の概要 第3項 調査結果 20. 第3節 第2次調査 ・……… 第1項 調査対象校の抽出. 第2項調査の概要 第4節 記述の枠組み. 21. 第4章 A高校の教育課程経営改革 ……………・…8・……………・… 第1節 インタビュー対象者の属性と収集資料 ・…・………・…・・・… 24. 第2節 学校概要. ……・………・・・…………………・・._..25. 第3節 教育課程の概要 ……・・・・… ……・・………………… 28 第4節 第1期 学校改革組織(将来問題検討委員会)の設立と現状認識・・31. 第1項改革の契機一校長と個々の教員の現状認識 第2項 学校改革組織(将来問題検討委員会)の設立 第3項 将来問題検討委員会による現状認識. 第5節 第2期 新教育課程の成立と実施 ……・…・… …・… ……・40 第1項 新教育課程の編成過程. 第2項新教育課程の特徴. 第3項産業社会と人間 第4項 内発的教育課程改善の要因. 24.
(5) 第6節 第3期 新教育課程の評価 … …………・・…・……・…… 54 第1項 新教育課程運営上の評価 第2項 「産業社会と人間」の評価. 第5章 B高校の教育課程経営改革.・・………・…・…… …・・…・……… 60 第1節 インタビュー対象者の属性と収集資料 ・…・…………・……・60. 第2節 学校概要・…・…………・・…………………・・……・・60 第3節 教育課程の概要. ……・……・……・……・….・…・・…・・63. 第4節 第1期 学校改革組織(フォーラムB)の設立と現状認識 …… 67 第1項 改革の契機一旧教育課程設立の経緯と個々の教員の現状認識. 第2項学校改革組織(フォーラムB)の設立 第3項 フォーラムBによる現状認識. 第5節 第2期 新教育課程の成立と実施 ……・……・… …・……・7g 第1項 新教育課程の編成過程 第2項 新教育課程の特徴. 第3項産業社会と人間 第4項内発的教育課程改善の要因. 第6節 第3期 新教育課程の評価 …・…………・…・…・……… 89 第1項 新教育課程運営上の評価 第2項. 「産業社会と人間」の評価. 第6章 C高校の教育課程経営改革 ・………………… ……・・……・… 94 第1節 インタビュー対象者の属性と収集資料 …・・…・…・……・・…94. 第2節 学校概要……・・……・・…・・……・…………・・一…… g5. 第3節 教育課程の概要 ……・…・………・・∵∵一……・…… 98 第4節 第1期 学校改革組織(Cプロジェクト2Dの設立と現状認識 ・・102 第1項 急減期対策委員会設立の経緯と教育課程の改編. 第2項 新たな学校改革組織(Cプロジェクト21)の設立. 第3項 Cプロジェクト21による現状認識 第5節 第2期 新教育課程の成立と実施 …… …… …・…… ……109 第1項 新教育課程の編成過程 第2項 新教育課程の特徴 第3項 産業社会と人間 第4項 内発的教育課程改善の要因 第6節 第3期 新教育課程の評価 ・… …一・・…・・…… ……・…・・l18. 第1項新教育課程運営上の評価 第2項. 「産業社会と人間」の評価.
(6) 第7章 D高校の教育課程経営改革 …・……………・・…・……・・……弓24 第1:節 インタビュー対象者の属性と収集資料 ……・………・・……124. 第2節 学校概要. ………・……・……・…・………・・………125. 第3節 教育課程の概要 ……・…・…………………・・日……128 第4節 第1期 学校改革組織(将来構想委員会)の設立と現状認識 …9131 第1項 改革の契機一個々の教員の現状認識 第2項 学校改革組織(将来構想委員会)の設立 第3項 将来構想委員会による現状認識. 第5飾 第2期 新教育課程の成立と実施 …………・…・…・・……142 第1項 新教育課程の編成過程. 第2項 新教育課程の特徴 第3項 産業社会と人間 第4項 内発的教育課程改善の要因. 第6節 第3期 薪教育課程の評価 ・・………………・…………・152 第1項 新教育課程運営上の評価 第2項. 「産業社会と人間」の評価. 第8章 内発的教育課程の導入要因および定着要因 ・………………・・一…156 第1節 内発的教育課程導入の要因 …………・……・・一…156 第1項 学校内外の現状に基づき、教師や各組織が抱える教育課題の存在 第2項 学校改革組織の設立. 第3項 現状認識 第4項 教育課題の共通理解に基づく教育課程編成 第5項 教育課程改編時の留意点 第6項 校長のり一一ダーシップ. 第7項 教員風土 第2簿. 「産業社会と人間」導入の要因 ・…・…・…・…・…・………164. 第3節 教育課程の定着要因 …・・……………・…・……………166 第4節 「産業社会と人心」の定着要因 ・………・………・………167 山雪舌的考察 第5節 ・・一… @n一・・u一・… 5・・一9・∴… 一・一・一・一・一・168. 参考文献 ………・……・…・……・・…ロ……… ……………・…・・雪73 あとがき ・…一一・・…一…… ……・・・・・・・・・・・・… 一…一・・… 一・…・8・・¶75. 資. 料.
(7) 第簾章 研究の段的. 第1章 研究の屋的. 本章では、第1飾で丸現在の高校における学校改革の現状、特に教育課程改革の現状と 課題を検証し、第2飾で、教育課程改善を規定する要因を研究対象にしたことについての 動機と目的を記述した上で、第3節で、関連する研究に基づいて、特色ある教育課程の編 成過程についてのモデル図を提示する。. 第1節 高校改革の現状と課題 近年、高校教育を取り巻く事情は着実に変化してきている。たとえば、‘牽校5日制への 移行や生徒急減期問題、申三生の増加や問題行動の増加、様変わりしつつある高校入試や 大学入試、地域や近隣の申学校・高校などとの連携、産業就業構造の変化による情報処理 技術の必要性、高齢化社会に対応するための福祉に対する知識の必要性などがあげられる。. このような諸問題に対処するため、高校における学校改革の必要性は今まで以上に急務で あると考えられる。. 今までも、いわゆる「46答申」ωを契機として、臨時教育審議会の4次にわたる答申、. 第14期中央教育審議会答申など、国レベルの教育改革の流れの中で、様々な改革の試み が下国の高校で行われてきた。その中で総合学科高校、単位舗高校、中等教育学校などが 創設され、それぞれの学校で様々な成果を上げている現状がある。このようにして学校改 革は着実にその実施校を増やしているとは思われるが、その数はまだ少なく、教師個人の レベルで改革の必要性を感じつつも、学校としては実行できていない高校が少なからず存 在することも事実である。これは、高校、特に普通科高校の場合は大学進学をその中心課 題としてきた歴史から、高校教師は主に教科教育が職務であり、学校運営方法や教育課程 は所与のものであると認識している教師がいることも学校改革がうまく進まない要因であ ると考えられる。そのような学校は一体どうずれば改革を実行することができるのであろ うか。. 改革を実行するに際しては、その中身が重要であることは言うまでもない。教育課程に はほとんど変更を加えず、各科目の教材や授業内容をより生徒のニーズにあったものにし ていくことも学校改革であれば、「特色ある学校づくり」を目指して多様な選択科目を導 入したり、識一ス制を導入したりすることも学校改革である。大切なことは、改革の中身 が地域や生徒のニーズにあっているか、つまり各学校の持つ教育課題の解決の方向を指向. 一1.
(8) 第1章 研究の自的. しているかである。そのためには、在籍する生徒の実態や学校の置かれた現状などを最も よく知っている教師が、内発的に学校改革に取り組むことが必須であると考える。. 学校運営は所与のものであると捉えていた教師が学校改革に取り組む際、何をよりどこ ろとし、どのような経緯を踏まえる必要があるのだろうか。また、学校改革が実行できた としても、それが生徒や保護者や地域にとってうまく機能しているか、また教師にとって 無理なく実施できるものであるかなどについて、常に評価し見直されていくものでなけれ ば学校改革がうまくいったとは言い難いと考える。. 第2節 先行研究 学校で編成する教育課程とは、「教育課程に関する法規に従い、各教科、および特別活 動についてそれらの目標を達成するように教育の内容を学年に応じ、授業時数との関連に おいて総合的に組織した学校の教育計画」でありω、その編成の条件とは、①国の法令や 教育委員会の規則、基準に従うこと、②学習指導要領を基準とすること、③地域や学校の 実態および生徒の心身の発達段階と特性を考慮することである④。学習指導要領は教育課. 程の編成にあたって、第1章総則で「生徒の人間としての調和のとれた育成を目指し、地 域や学校の実態、課程や学科の特色、生徒の心身の発達段階及び特性などを十分考慮して、 適切に編成する」としている“)。. 天野は、教育課程編成のポイントを、①どのような人間を育てるのかという人間像の確 立。各学校に即した教育目標の設定。そのための地城、学校、児童の実態把握、②領域、・ 教科の決定。各教科、特別活動の目標分析、目標設定。学年目標、単元(基本的指導事項). 構成、③指導内容の選択と組織。年間指導計画や週案の作成、授業時数の配当、④指導案 の作成、教材の選択と組織、評価計画の立案、評価方法の吟味、⑤教授法、教授・学習組 織の決定、⑥教育課程の評価と改善、⑦幼・小連携、小・中・高一一貫性の検討、⑧文化と統 合(in重egration)、共通必修と選択の調節としている(5’。. また永岡は、教育課程を編成する際の留意点として、①編成の基本方針を学校として確 立していくこと、②児童・生徒の心身の発達段階、特性、学校や地類の実態を十分考慮し て編成する、③基本方針を明確にしていくことと、それが教職員に可能なかぎりくいちが いなく共通理解されていくこと、④学校の経営的特性や実態を考慮していく必要があるが、. 学校規模、教職員の構成と各教師がどのような専門性や得意性を持っているかなどの、特 性を考えながら編成していく、⑤教師の共通理解として確立していく、⑥編成のための事. 一2一.
(9) 第1章 研究の目的 前の研究と調査(・地域・学校の実態、児童生徒の学力や生活環境などの実態を、できる かぎり調査して、編成に必要なデータを準備する、・国・都道府県の教育課程の基準やカリ. キュラム行政の重点目標などを検討していく、・他の市町村や学校での教育計画や教育課 程のモデルについて調査研究を重ねておく)が必要であるとした上で、特色ある学校づく りをするための条件として、柔軟性のある組織や教職員の協力的な相互関係の必要性を述 べている(6)。. 教育課程は、このような基本的事項を踏まえて編成するわけであるが、改革の契機をい わゆるトップダウンではなく、校内の現状認識から発生した内発的な形とし、編成の目的 を「特色ある学校づくり」とし、さらに「産業社会と人間」(「総合的な学習の時間」に も通ずる)を導入した大幅な教育課程の改善とする、というふうに編成の条件を絞った場 合、上記のような教育課程編成上のポイントや留意点をどのような順序で、何を重点的に 編成していけばよいのであろうか。また別のポイントや留意点が必要となってくるのだろ うか。. 内発的な教育課程の編成に関する研究として、谷本は、公立普通科高校における校内意 思形成としての教育課程の編成・開発をそれぞれの学校の教育課題の解決への過程として 捉え、教員組織の編成と運営の実態からその手がかりを得ようとした事例研究の中で、教 育課程の開発は・学校改革委員会の立候補公選制に由来する組織的開放性や教科を編成華 盤にしない教科横断的な組織系に規定されるとしている。また、公立普通科高校に通底す る課題として存在する教育課程の所与性や教科への依拠性について、教員組織による解決 の可能性を示唆している⑦。. また中村は、学習指導要領の改訂という外生的な契機で提起された教育課程の編成を内 生的なものに転化させ得る教育課程編成システムの在り方についての事例研究で、編成理 念を踏まえること、学校の存在意義を明らかにすること、教員の負担軽減を図ることなど も教育課程編成を進める上での要因として挙げられるとし、学校の解決課題を教師の日常 の教育活動の中から発見し、授業に結びつく実践的な課題とすることが内生的な教育課程 の編成につながるとしている⑧。. 特色ある学校づくりの実施過程に関する研究として、小島は、高校における特色ある学 校づくりの事例分析を通して、学校改革の制度的・経営的特徴を解明することを目的とし た研究で、①教育行政からの指導や財政的支援は、改革のための経営資源とし、また教育 政策を改革を正当化する手段として活用する、②改革のスタートにおいては、見通しを曖 昧にしておくことによって未知の可能性が確保される、③範囲を限定した校長のリーダー. 一3一.
(10) 第1章 研究の目的. シップが学校改革を萌芽させる、④改革委員会の存在は、改革を主導するだけでなく、改 革の継承とポテンシャルの拡大に大きな役割を果たす、⑤学校のシンボル形成は、教育的 意義と経営的意義という実質的な成果と学校存在の正当性確保という有効性を与える、な どの示唆を得ているゆ。. また、内発的に教育課程を改善することの必然性について、北神は、「学校での意思形 成・決定は、高度に教育専門的であり、教育実践を直接担う教職員の専門的意志の集約な くしては到底なし得るものではない」と述べている㈹。. 第3節 研究の胃的と意義 文部省は、1999年3月に新高等学校学習指導要領を告示し、2003年から学年進行で実 施していくこととした。この改訂は、「ゆとりの中で生きるカを育成する」ことを基本的 なねらいとした上で、①豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚の 育成、②自ら学び、自ら考えるカの育成、③ゆとりのある教育活動を展開する中で、基礎 ・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育の充実などと共に、④各学校が創意工夫を 生かして特色ある教育、特色ある学校づくりを進めることをねらいとしている。. 中でも特色ある教育、特色ある学校づくりをねらいの一つとしたことから、今後の学校 運営については、学校の自由裁量の部分が拡大されていくことになるであろう。換言すれ ば、これからの高校は各学校の実態に基づき、在籍する生徒にとって真に必要な教育課程 を編成することのできる可能性が拡がったと言える。しかし、このことを手放しに喜んで いる学校ばかりではないと私は考える。なぜならば、「できるようになった」ということ と、「できる」とは違うがらだ。多くの学校の現状は、「できるようになった」ことを学 校運営に生かそうとしつつも、「できる」ようにするために何から手を着=けていくかを模 索している段階であるように思われる。学校教育方針や教育課程を所与のものとして捉え、. 教科教育や学級経営などに多くの時間を使ってきた教師にとって、特色ある学校を作るた めに、学校の将来像を見据えて改革を推進していくことは容易なことではない。. そこで本研究では、内発的に学校改革を実行した高校を事例校として、どのような経緯 をもって改革に対する校内合意形成ができたのか、その要因を調査することで、今後の高 校での学校改革における示唆を得ると共に、改革後の状況を知ることで、改革によって起 こりうる実施上の問題点や、その解決策についての示唆を得たいと考える。. 研究を実施する際、学校改革と…言に言っても様々なジャンルが考えられることから、. 一4一.
(11) 第1章 研究の屠的 本研究では具体的に、学校改革を「普通科高校において、特色ある学校づくりを目指して 内発的に教育課程を大幅に改編すること」と捉える。また、内発的な教育課程改善の指標 として、「産業三会と人聞」を教育課程に導入した高校とする。. 教育課程改善を「内発的に」とした理由は、学校によって生徒に提供される学習の機会 の総体である教育課程の改善は、文部省や教育委員会での教育課程政策の動きを踏まえつ つも、各学校のおかれた環境や諸条件などに対応して、内発的なものとして編成・改善さ れなければならないと考えたからである。これについて永岡は「学校が教育課程編成にお いては、中心的な位置を占めることが重要であって、一方に学習指導要領があり… 。 学校自らが、地域や学校の実態をふまえ、児童・生徒が望ましい成長発達を遂げるために、 教育活動の全体計画を作成しなければならない。」ωと述べている。. 内発的な教育課程改善の指標を「産業社会と人間」とした理由は2つある。1つ目は、 この科目は普通科高校では「その他特に必要な教科(新学:習指導要領からは、「学校設定. 教科」となる)」に関する科目として位置付けられており、教科横断的な科目であるとい うことだ。つまり、普通科高校におけるこの科目の導入は、学校裁量で導入する科目であ るということである。ただでさえ週あたりの授業時数(履修単位数)が減ってきている現 状の中で、教科主義・教科教育偏重と言われている高校が既存の教科の単位数を減らして までもこの科目を導入するということは、既存の教科に勝るとも劣らない必要性を学校と. して認識したからであり、まさしく内発的な改善であると考えたからだ。2つ目は、「総. 合的な学習の時間」との関連である。学習指導要領の改訂に伴って2003年からすべての 高校において聡合的な学習の時間」が導入されることになった。「塵業社会と人間」の 指導のねらいは、「総合的な学習の時開」のねらいと共通する部分があり、事例校も「産 業社会と人間」のねらいや教材を大きく変えることなく「総合的な学習の時間」へ移行す ることを計画している。なお、「総合的な学習の時間」と「産業社会と人間」は、指導に 際してどちらもどの教科にも属さず、新たな指導組織を編成することが必要であるという 観点から、教育課程経営上の共通性もある。そこで、「産業社会と人間」導入の経緯や要 因を知ることが「総合的な学習の時間」導入についての示唆にもなるのではないかと考え た。. つまり、本研究では、特色ある学校づくりを目指して、「産業社会と人間」を含む大幅 な教育課程の改編を実施した高校が、どのような経緯や要因をもって改革の校内合意を形 成することができたのか(導入を規定する要因)、また、特色ある教育課程を運営してい く中でどのような実施上の問題点があり、それをどのように解決しようとしているのか(定. 一5一.
(12) 第1章 研究の貝的. 着要因)について、事例校から示唆を得ることで、改革に踏み切れないでいる多くの学校 の一助になればと考える。. このような事例研究に関連する研究には前節のようなものがあるが、「産業社会と人間」 を教育課程に導入している普通科高校の改善:事例から、教育課程の導入を規定する要因や. 定着要因を見いだそうとする研究は管見する限り見あたらなかった。私は、「総合的な学 習の時間」.に対する教師の意識や教材の内容が、各学校が特色ある学校となるための一つ. の鍵になるのではないかとも考えてもいる。このような理由から、「産業社会と人間」導 入校を事例校とする本研究には意義があると考える。. なお論文構成については、2章で教育課程政策の動向を確認した上で、3章で研究の方. 法を、4章から7章で事例校の教育課程経営についての調査結果を記述する。8章では調 査結果を元に、特色ある学校づくりを目指す普通科高校における内発的教育課程の導入要 因および定着要因について考察する。. (1). 昭和46年6月n日、.「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」. (2). 熱海則夫 1987「教育課程の法制と行政」日本教育経営学会編『教育経営と教育課程の編成・実 施』P2、ぎょうせい. (3). 加治佐哲也、竺沙知章 1998「学校経営と教育課程」清水俊彦編著『現代学校経営の法制と実 態』P20、行路社. (4). 文部省. lgg9『高等学校学習指導要領』第1章総則第1款教育課程編成の一一般方針. (5). 天野正輝 1989『教育課程編成の基礎研究』文化書房博文社. (6). 永岡順 1983『学校経営』、p5、 pp.25.26、東信堂. (7). 谷本恒雄 1gg8『高等学校における教育課程開発の可能性とその条件に関する研究』未公刊、鳴 門教育大学修士論文. (8). 中村清… 1998『高等学校における教育課程の編成過程とその改善に関する研究』未公刊、鳴門 教育大学修士論文. (9). 小島弘道 1998『学校の改革過程における経営の構造とカー高等学校における特色ある学校づく. りの事例分析を通して一』平成8,9年度文部省科学研究費補助金基盤研究、「学校 の白己革新と校長のリーダーシップに関する経営学的研究」最終報告書 (10). 北神正行 1998「学校の自主性と職員会議の運営」教職研修『これからの校長の権限と責任一教. 育委員会改革と校長の裁量権拡大一』教育開発研究所 (11). 永湖順. 前掲書、p.『140. 一6一.
(13) 第2章 教育課程政策の動向. 第2章 教育課程政策の動向. これからの普通科高校が特色ある学校づくりを目指して教育課程を改善しようとすると き、生徒や地域の現状把握はもとより、国や都道府県の教育委員会が提示する教育課程に 関わる政策を、各学校は有効に利用する必要がある。そこで本章では、教育課程政策の動. 向を概観したいと考える。第1節では国の動向、および「産業社会と人間」と「総合的な. 学習の時間」について、第2節では都道府県の動向としてA県教育委員会が1999年4月 に発表した「教育改革プログラム」について概観したい。. 第1節 教育課程政策の動向 第1項 教育課程政策の動向 「56年体制【1}」が徐々に崩壊し、いわゆる「46答申(㍉を契機として、今日の改革を最. 初に具体化したのが4次にわたる臨時教育審議会の答申であろう。この答申の中では8項 目にわたる「改革の基本的考え方」をもとに多岐にわたる答申が出され、現在では数多く. のものが実行に移されている。学習指導要領の大綱化はかなり進んでおり、6年制中等学 校や単位制高等学校などの新しいタイプの高校も既に設置されている。「社会科」の改編 や「家庭科」の男女共修もこの答申からのものであり、初任者研修制度が創設され、教科 書検定制度や教員養成制度が改善されたのも同様である。. この答申を機に教育改革は着実に進み、1987年の教育課程審議会の答申をもとに2年 後(平成元年)には現行の学習指導要領が告示された。その後、14から16期の中央教育 審議会答申や高校教育改革推進会議、教育改革プログラムによって様々な改革が実施され、. 1998年の教育課程審議会答申をもとに1999年には高校の新学習指導要領が告示された。 この学習指導要領は2003年から学年進行で実施されていくことになっているが、現行学 習指導要領からの変更点は多々ある。教科「外国語」や「情報」が必履修科目となり、「総. 合的な学習の時間」が新設され、必履修科目が31単位に削減された。教科内容も3割削 減され、卒業に必要な修得単位数も74単位となった。. 2002年から学校完全週5日制となることで週あたりの授業が2単位減り、「総合的な学 習の時間」や既存の教科に属さない教科「情報」が必修となったことで、既存の教科教育 に使用できる単位数は相当減ることとなる。既存の教科に属さない科目や「総合的な学習. 一7一.
(14) 第2章「教育課程政策の動向. の時間1は教員の誰かが担当しなければならない。その上で、いわゆる「不易」にあたる 基礎・基本を押さえることができるのか、大学の進学保障ができるのだろうか。このよう な課題を解消できるか否かについては、今後各校が編成する教育課程や指導組織、教師の 指導方法・授業内容などにかかっていると言えるだろう。. 第2項. 「産業社会と人間」と「総合的な学習の時間」. 「産業社:会と人間」『は、1994(平成6)年度に開設された「総合学科」の原則履修科目. として設けられた科目である。この科目は、その目標を「自己の生き方を探求させるとい う観点から、自己の啓発的な体験学習や討論などを通して、職業の選択決定に必要な能力 ・態度、将来の職業生活に必要な態度やほミュニケーション能力を養うとともに\自己の 充実や生きがいを目指し、生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度の育成を図る」とい.. 指導上のねらいを3つ挙げている。1つは、「職業を選択し決定する場合に必要な能力と. 甑を養う坤あり・2帽は「将来の職業生雛恥キに具な態度やコヤニケーシ ョン能力を培う」、3つ目は「自己の充実や生きがいのある人生を築くことを目指して、 生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を育成すること」である。この科目を導入する にあたって㊧標準単位掌は3から4単位である③。. その後、1999(平成1ρ年に告示された学習指導要簿には、「産桑杜会と人間」は、学 校設定教科に関する科目として明記されたρそこには、ほぼ同様の目標が記されているが、. 「生徒の主体的な各教科・科目の選択に資するよう、就業体騨などの体験的な学習や調査 ・研究など」を通して、「自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の 履修計画の作成について指導することに配慮する」という内容が盛り込まれている④。. 一方聡傘的な学習の醐」につセ’て1ま・そρねらいを噛螺題を見ρけ・自ら学び・ 主体的に判断し、よりょく問題を解決する資質や能力を育てるこξ」、f学び方やものの. 考え方鶴につけ澗題の鰍や探求活動に主体的・髄纏取獺む甑蒲て泊己, の在り方生き方ξ考えることができるようにすること」の2点としている。また、このよ うなねらいを踏まえての学習活動として、「国際理解、情報、環境、福祉、健康などρ横 断的・総合的な課題についての学習活動」や「生徒が興味・関心、進路等に応じて設定し. た課題について、知識や技能の深化、総合化を図る学習活動」と共に純益の在り方生き 方や進路について考察する学習活動が例示されている。さらに学習活動を行うにあたっ. 一8一.
(15) 第2章 教育課程政策の動向. ての配慮事項として、「自然体験やボランティア活動、就業体験などの社会体験、観察・ 実験・実習、調査・研究、発表や討論、ものづくりや生産活動など体験的な学習、問題解 決的な学習を積極的に採り入れること」、「グループ学習や個人研究などの多様な学習形 態、地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導にあたるなどの指導体制、地域 の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫すること」などが記されている。. そこで、「産業社会と人間」と「総合的な学習の時間」を比べてみたとき、ねらいにつ いては自己確立や問題解決能力、進路意識の高揚などの部分で共通点があり、具体的な学 習方法についても体験的な学習、地域社会や企業との連携、グループや個人での調査・研 究などの面で共通点が多い。つまり、「産業社会と人閤」を教育課程に導入している高校 は「総合的な学習の時間jへ容易に移行することができると考えられ、「産業社会と人聞」. 導入の経緯を調査することは、「総合的な学習の時間」導入についての示唆を得ることが できるとも考えられる。. 第2節 A県における「教育改革プログラム」 ここでは事例校の存するA県の高校教育に関わる現状と、これからの教育課程政策の方 向性を知ることで、各校が活用できる部分や今後の課題を知ることを目的として、A県が 1999年4月に公表した「教育改革プログラム」を概観したい。. A県では、1998年に公表した「A県における教育改革の基本方向(案)」をもとに、あ らゆる方面からの意見や「新学習指導要領」などを踏まえ、「教育改革プログラム」を公. 表した。これは、向こう10年間について策定されたものであり、A県における学校教育 の再構築および総合的な教育力の再構築などを柱としている。内容は、「(1)A県の教 育の現状と課題」、「(n)A県の教育改革」、「(皿)教育改革プログラムの推進にあたっ て」、の3つに大きく項目が分かれている。. 高校教育に関わる部分として、「(1)A県の教育の現状と課題」の項では、生徒数が 昭和62年度をピークとして平成10年度にはピーク時の6割にまで減少していること、高 校進学率が96%程度で推移しており生徒状況は多様化してきていること、進路状況は大 学・短大など39.4%、専門学校など293%、就職20.0%など(平成玉0年3月卒業者)多 様になってきていることなどが分析されている。また、各学科に在籍する生徒数の推移や 工学科への志願倍率から高校の特色づくりの必要性が課題となっていることや、職業学科. 一9一.
(16) 第2章 教育諜程教策の動向. や定時制課程に対する在り方の検討についても言及している。なお、非行・不登校・中途 退学などの教育課題解決の必要性と共に、今後取り組みを強化すべき教育課題として、国 際化・科学技術や情報化の進展・高齢社会・環境問題を挙げている。さらに、学校運営の 現状と課題として、①学校運営体制について機動性や透明性を確保しつつ組織体剃の充実 を図ること、②学校と家庭・地域社会の連携強化、③教員の年齢構成の平準化について触 れている。. 「(H)A県の教育改革」の項では、①社会の一員としての自覚と規範意識を身につけ る、②基礎・基本の上に、自ら考え、判断し、行動するカを養う、③進取の精神とたくま しく生きるための健康・体力を養う、④生命と人権を尊重し、他者を思いやる豊:かな人間. 性をはぐくむ、⑤自然や美への感性を磨き、個性と創造力をはぐくむ、⑥郷土への誇りを 持ち、世界に目を向けた生き方を養うと、6つの目標を掲げた上で、「1.、学校教育の再 構築」として様々な項冒を掲げているが、その中で普通科高校が独自に取り組むことので きる課題については、新たな教育システムとしてこ二期生、授業聴問の弾力的運用、教科・ 学年の枠を越えた学習の導入、学校間連携、学校外における学習機会の充実などが、また、. 「学校支援人材バンク」などを利用した多様な人材の活用や、中学校との連携などが挙げ られτいる。,「教育内容と教育方法の改善」としては、個に応じた融育の推進や人権教育. の推進、情報教育の推進など11項演ある。ギ学校の自主性・自立性の確立」の項では、学 校運営体制の見直し、生徒や保護者・地回社会に開かれた学校運営の推進などが挙げられ. ている・また鞘墾会として取粥む課題とレては・新たなタイプの学校’学科9設置・ ハブ高稼(拠点校)の創設、高校の再編整備、教職員の効果的な配置、教職員研修などを 挙げている。. 臆)教龍革㍗グラムの推進に献って」の脚ヰ・人勢予算醜どでの轍 裁量権限を拡大することや教育内容や指導方法の改善のための支援を充実させていくこと 参どが謳われている。なお、教育センターにヵッキュラムセンター機能塗整備することや 行政評価システムの導入についても記されている。 ,この「教育改革プログうみ」は\国の動向を踏まえっつ、県の実態を気まえて積極的・. 先進的に改革に取り綿もうとする意欲が伺えるものである。しかし、向こう10年閂を見. 据え⑩プげラムであることから・どの内容1こつレ}ていつか弊施するのかや・やの実 施内容についてまだ具体化されていない部分も磨る・そこで各高校は・こρ「教育改革プ ログラム」の今後の動向に注目し、その実情に応じて活用できるシステムを積極的に活用. ・10一.
(17) 第2章 教育課程政策の動向. し、特色ある学校づくりを進める必要があると考える。なお、教育委員会が用意している システムを有効に利用するためには、校長の果たす役割は大きいであろう。. また、A県では教脊センターに1999年度からカリキュラム研究室を設置した。ここに は教育課程に関する調査・研究として、教育課程・学習指導要領に関する研究を主に行う 教育課程研究委員会と、教科教育・教育課題に関する研究を主に行うプロジェクトチーム が設置されている。各校の教育課程編成に際しては、情報提供機能や相談機能などが用意. されている。これに伴い、今まで作成されていた三等学校教育課程編成基準」は廃止さ れることになったようだ。. (D 1956年に制定された「地:方教育行政の組織および運営に関する法律」によって秩序づけられた教. 育行政、学校経営のシステム (2) 昭和46年6月n日、「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」 (3) 文部省 1993『「産業社会と人間」揃導資料』、および平成5年3月22日初等中等教育局長通知 (総合学科について). (4) 文部省 1999『高等学校学習指導要領』第1章、第2款、5学校設定教科. 一11一.
(18) 第3章 研究の方法. 第3章研究の方法 本章では、第1節で分析の仮説モデル図を提示し駈上でその説明を試み、第2節では第 1次調査の方法およ:び結果の概要を示す。第3飾では、第2次調査の概要を示した上で、 第4章から第7章における調査結=果の臨画の枠組みについて説明する。. 第1節 分析の枠組み『 本馬究は内発的な教育課程導入を規定する要因を見いだすことを主目的としていること から、先行研究によって導き出された要因を踏まえつつも、教科横断的な教科・科目の導 入を含めた教育課程の改善であるという条件の違いを念頭に遣いで、事例研究を進めたい と考える。研究を進めるにあたり、特色ある学校づくりを目指し内発的に教育課程を改編. する揚合、導入を規定する要因について以下の6項目が重要ではないかと考え、仮説モデ ルを提示した上で、6項目についての説明をする。. 新 教 育 課程 の 実施. (5). (6). Z長のり1ダ∫シップ. 内発的教育課程の改善(特色ある学校づくり). 新科臼の企画・指導組織 教育課程評価. E学校設定科目(その他の科目). E学校設定教科(その他特に必要な教科). @ 「産業社会と人間」を含む. (3)組織による現状認識. 〈4)教員の共通理解. @ 学校改革組織 @ 教育課程経営組織 @ 教育課程編成組織. @ 現状認識の共有化 @ 教育課題の共有化 @ 教育目標の共有化. (2)学校改革組織の設立. (1)個々の教師や各組織が抱える教育課題. @ 学年・教科・分掌・委員会 (1)現状 内的現状:生徒・教員・教員組織・教育課程 @ 外的現状:教育行政・地域・保護者. 図3−1−1 教育謙程改編のモデル図(導入を規定する要因を中心として). 一12。. ウ員風土.
(19) 第3章研究の方法 (1)各学校内外の現状に基づき、教師や各組織が抱える教育課題の存在 学校教育内容は、社会情勢や生徒状況の変化によって常に左右される部分がある。教師 はその状況にも常に注意を払い、適切に対応する必要があると考える。変化する部分とし て生徒に関しては、毎年入学してくる生徒の状況や在校生の高校に対する期待の内容、進 路意識などがそれにあたるであろう。また、生徒の現状や社会情勢などを勘案して改訂さ れる学習指導要領も同様である。多くの学校では、教師個人のレベルや組織レベルで、そ のような変化に対応できていない部分について問題意識を持ち、教育課題としているので はないだろうか。その教育課題が教育課程全般に関わる場合には、教師個人や単独の組織 (学年・教科・分掌など)だけでは対応できない。. つまり、変化に対応するために、学校教育全般に関わる教:育課程を内発的に改善しよう. とする場合、問題意識や教育課題を持つ教師が多ければ多いほど、またその課題性や緊急 性が高ければ高いほど校内での改革に対する気運は高まる。逆の場合は、内発的に教育課 程が見直されることはあり得ないであろうことから考えても、これは教育課程改善の大き な要因であると考える。. (2)新たな学校改革組織の設立 多くの教師が間題意識や教育課題を持つ中で、その現状を集約し、課題を共通理解にま で高め、その解決方策を模索するためには、よほどの小規模校でない限りは、それを実行 する組織が必要になると考える。学校には教科・学年・分掌・委員会などの組織が存在す るが、それぞれの組織は様々な日常業務を抱えている。目常業務に加えて、薪たに学校改 革に関連する職務が実行できる組織を既存の組織から選ぶのは、実際問題として可能だろ うか。学校評価を常に行い、学校改革を職務とする組織が既に存在する学校では可能であ ろう。しかし、そのような組織を持たない学校においては、私は、どの組織にも属さない、. または複数の組織にまたがるような教育課題についてその解決方策を模索する組織、つま り学校改革を専門的に扱う組織がこれからの高校には必要になってくると考えている。佐 古は教育課程の編成にあたって、「情報収集・整理システムの整理、研修や指導体制の充 実などによって全校的な組織化を図りながら推進していくことが必要」と述べている①。 教育課程の編成に関わって全校的な組織化を推進していくためにも、その核となる学校改 革組織は必要となってくる。. このような組織を設立させるにあたっては、私は、その構成員に一定の専門性が必要だ. 一13一.
(20) 第3章 研究の方法. と考えている。ここで言う専門性として考えられるものは、教育行政や地域を含む学校内 外の情報を収集し集約する能力や、今後の学校の方向性について企画・デザインする能力 などである。このような能力は、今後の校長は当然持つべきものであるとは考えられるが、. 学校改革は内発的に実行されるべきであるという観点からは、3年前後で転勤する校長だ けでなく、これからの教師にこそ求められるものであろう。また教育課程を改善するにあ たっては、学習指導要領や教育委員会が作成している教育課程基準などの知識を持ち、そ れを有効に利用できる教師や、進路情報に詳しい教師も必要となってくるであろう。 なお、専門性とは言えないが、この組織の構成員に必要なものとしては、学校全般に関 わることでもあるので、リーダー性のある教師も必要であろうとも考えているが、最も大 切なものは、改革に対する熱意なのかも知れない。 ともあれ、新たな学校改革組織の設立は、学校改革:を成功させるための重要なポイント であると考える。. (3)学校改革組織による現状認識 多くの教師の持つ問題意識、教育課題は多岐にわたり、断片的であることが多い。これ は、現在の学校経営が複雑化していることと、それに伴い教師の職務が分業化されてきて いることが原因の…つであると思われる。他にも、学校運営、特に教育課程編成のほとん どの部分を行政によりコントロールされてきた過去の歴史から、教育課程は所与のものと して捉える教員が多かったことも原因の一つであろう。また高校の場合は教科毎のまとま りが強く、他の教科に対して口を出しにくいという面も原因としてあったように思う。. このように考えた場合、今までは、日常的な学校運営に伴う評価活動は実施されてきた であろうが、教育課程の改編を含む学校改革を念頭に置いて、総合的に学校内外の現状認 識を実施するということは、あまりなかったのではないだろうか。. 特色ある学校づくりを目指して、教育課程の大幅な眼張を含む学校改革を実施する場合 は、日常の学校運営に伴う総括や評価に加えて、より広い範囲に渡って、よりきめ細かい 現状認識が必要であると考える。これには、日常の学校教育活動に最も密接に関わってい る教師の現状認識を充分に集約した上で、教育政策の現状や生徒・保護者・地域などのニ ーズを集約することが必要となってくる。これなしには、学校改革をスタートさせること はできないし、成功させることも難しいであろう。. 一14一.
(21) 第3章 研究の方法 (4)現状認識に墓つく教員の共通理解 集約された学校内外の現状やニーズを教育課程に反映させるためには、多角的にかつ充 分に分析することが必要である。分析結果は、教育諜題として具体化される。具体化され た教育課題の中で、解決の必要度が高いものや緊急性の高いものから改革は実践に移され ることになる。内発的な改革の場合、この過程の中で学校改革組織が全教員に対して共通 理解を得なければならない局面が少なくとも3回はあるように思われる。. 1回目は、現状認識の集約時である。同じ教員でも教科や学年が違えば、違う認識をし ていることはよくあることだ。学校改革組織が集約した現状認識を、できるだけ多くの教 師が充分な議論の元に、立場を越えて共通理解しておかなければ、分析を間違えることに もつながるし、教育課題を析出することも困難であろう。』. 2回目は学校改革組織が析出した教育課題の共通理解である。分析方法にもよるであろ うが、高校教育の現状を考えれば、教育課題はいくらまとめようとしても相当数出て来る であろう。ここは学校改革組織の腕の見せ所ではあるが、教育課題の共通理解を得ること ができれば、この後の改革は多くの協力が得られるであろう。. 3回目は教育課題の必要性や緊急性に基づいて、どの課題から解決に向けての改革に着 手するかを決める局面である。これについては、多くの教師の意見を聞く必要があるとは 思うが、気をつけなければならないのは、学校改革組織は、他の教育課題との関連性を常 に頭に入れておかなければならないということである。せっかく改革しても、次の改革時 に前回の改革内容を変更しなければならないようでは、学校改革組織は信用されなくなっ てしまう。そこで、状況によっては、学校改革組織が教育課題の全容をしっかりと見定め た上で、改革の順番を積極的に提案する必要も出て来るであろう。. (5)校長のり一ダーシップと協力. 上記の(1)から(4)については、順序性がある。(1)から(4)の順に進んでい くであろうが、(5)の校長のリーダーシップと、(6)の教員風土については、順序性 はないと考えている。. 教育課程の改編に関する校長のリーダーシップについてであるが、その発揮の方法は校 長によって違うであろう。ある校長は、職員会議などの公的な場で自分の考えをどんどん 発言する中で学校を引っ張っていくであろうし、別の校長は、個人的に教師と話をする中 で自分の考えを伝えていき、リーダー性を持つ教師に学校運営を任せていく方法を採るこ. 一15一.
(22) 第3章 研究の方法. とも考えられる。学校改革組織が改革の方向を模索しているときに、自分の考えを積極的. に簸ていく搬もいれば組織の考え鱒重して搬と・してできることや・校長織か できないことをしつつ、協力していく方法を採る校長もいるだろう。積極的に地域や地元 中学校に出向いて情報を収集してきたり、学校をアピールしたりする校長や、改革動向を 研修するなどの目的で、教師を改革に先進的な高校の見学に行かせる樺長もいるだろう。 いずれにせよ、校長のリーダーシップや協力なしに改革を進めることは無理があると考え る。. 改革を実施する際のあらゆる場面においても同じことが言える。上記の(1)から(4) のどの場面をと?ても・校長は前面に出る場合とぞうでない場合を使衿分ける年豆はある,. と思われるが、舵取り、助言、情報の提供、行政との折衝など、特色ある学校づくりを目 指す学校の校長のり一ダーシップや協力は、改革を成功させるための大きな要因となるで あろう。. (6)良好な教員風土 教育課程の大幅な改善を目指すとき、改編の方向が必ず学校改善につながると断言する ことは不可能である。言い換えれば、教育課程改編を実行するというこどは、授業内容が 変わることになるため、教材研究などが忙:しくなることを教師は覚悟しなければならない. が、教師がそのような努力をしても、生徒の状況が思うように改善されるとは限らないと いうことだ。つまり、教員の負担が増えることにつながり、必ず改善されるとは限らない 教育課程の改編が、職員会議で過半数をもって採決されるためには、教員の信頼関係が必 要不可欠なのではないかと考えた。この信頼関係こそが翻意な教員風土と言えるだろう。 仮に良好な教員風土を持たない学校が改革を実行したとしても、それを定着させることは かなり困難なのではないだろうか。堀は、「教師の意志決定への関与度の強い組織特性を 持つ学校では、そうでない学校に比較して、それが改革に対して触媒的作用困として働く」 と述べているω。、. もともと良好な教員風土を持つ学校もあるが、教育課程改革を進めていく中で徐々に教. 鯉土纏成される場合もあるように思湾・私は浪好な教員趾締?学校であるカ’ど うかを測る指標については、0か100かというものではなく、50より少し上か下かとい うふうに見るものだと考えている。そういう意味では、徐々に教員風土が醸成されていく. 学校というのは、どの段階で50を越えるかということになる。もともと良好な教員風土. 。16・.
(23) 第3章 研究の方法 を持つ学校は改革のスピードが速いであろうし、そうでない学校は良女子な教員風土を醸成. するために時間がかかるため、改革のスピードは鈍いだろう。この点について、どちらが よいかについては一概には言えない。しかし、良好な教員風土は教育課程改善には必要な 要因であることには変わりはないと考える。. 以上のように、特色ある教育課程の改善を規定する要因の仮説モデルについて、解説を 試みたが、私は、その教育課程がより多くの教師や生徒に受け入れられなければ意味がな いと思うし、仮に受け入れられたとしても、常に見直しをする必要はあると考える。その ような観点から、事例校へのインタビューに際しては、新教育課程導入後の現状として、. 実施していく中で浮かび上がってきた問題点やその対処方法などについても聞いていくこ とで、教育課程経営についての何らかの示唆を得ることができればと考える。. 第2節第1次調査 第1項 調査対象校の選定 A県において1999年度までに「産業社:会と人間」を導入した公立全日制普通科高校は. 8校あり、その8校を調査対象校とした。A県としたのは、公立普通科高校でこの科目を 導入している高校がまとまって存在していたからであり、他府県によるこのような例はほ とんどない。なお、A県において1999年度までに「産業社会と人間」を導入した高校は、. 全目制普通科8校、定時制普通科5校、専門学科5校、総合学科4校の計22校である。. 第2項 調査の概要 8校から事例校を絞るため、学校訪問を行った。訪問先では学校教育計画を収集し、こ の科目の企函・運営に中心となって関わっておられる先生にインタビュー形式で調査し た。調査目は1999年3,月∼5月、調査時間は各校約1時間である。 〈調査内容〉. ①学校特性、 ②地域、家庭特性、 ③生徒状況 ④新教育課程の概要、選択科目の設置状況、⑤「産業社会と人間について」. 一17一.
(24) 第3章 研究の方法. 第3項調査結果(表3−2−1参照) (1)学校特性・生徒状況. 1校を除いて創立16∼26年と比較的歴史の浅い学校がほとんどであり、クラス規模も. 1校を除いて1学年6∼8クラスの中規模校ばかりである。ただし、入学時の4年制大学 への進路希望の割合は、2校が80∼90%、6校が20∼40%と違いが見出せた。. (2)地域、家庭特性 在学生の保護者は、学校教育に対して比較的関心の低い学校がほとんどであった。学校 からの地域に対するアプローチとしては、特にしていない学校から、地域や中学校の教師. に対する公開授業、中学3年生への体験授業などの取り組みをしている学校まで様々であ った。. 「産業社会と人間」に絞ると、科目指導に精力をかけているため、どの学校も学外とはあ. まり連携していないようである。ただし3校については、授業内容の中に卒業生や堆域の 方々、また地元の企業の方々との連携を取るプログラムが用意されていた。. (3)選択科目の設置状況. すべての学校が2・3年次に選択科目を設置しているが、単位数は学校によってかなり 差がある。. (4)「産業社会と人間」について. 基本的には1年生の必修科目として設定しているが、2年連続の必修科目として設定し ている学校も見られる。設定単位数は、概ね2∼4単位である。中には選択科目として設 定している学校や2年生からの必修科目として設定している学校もあった。 授業内容については、学校ごとに目標別指導内容の割合がさまざまであるが、生徒の反 応は概ね好評のようである。 む 導入のきっかけについては、学校改革委員会からの発案が5校、人権教育委員会からの. 発案が1校、教務部長の発案が1校、コース制の導入が1校であった。また、表立った教 育委員会からの援助はどの学校も受けていない。つまり、すべての:事例校が教育委員会な どからのいわゆるトップダウンで「産業社会と人間」を導入したのではないということだ。. 。18一.
(25) 第3章 研究の方法. 企画組織については、教科・分掌の枠を超えたプロジェクトチームによる企画が6校、. 進路指導部主導が1校、教科主導が1校である。指導組織については、教科・分掌の枠を 超えたチーム指導が5校、学年団による指導が3校である。 また、この白鞘の指導効果について十分な実態調査を行っている学校は1校もなかった。 「総合的な学習の時問」導入後の扱いについては、どの学校も十分な検討はされていな いようである。. 表3−2−1 第1次調査の概要. A. B. C. D. E. F. G. H. 創 立. 17年. 17年. 16年. 22年. 20年. 21年. 50年. 26年. 学年規模. 8クラス. 7クラス. 8クラス. 6クラス. 7クラス. 7クラス. 1クラス ??│科1. 6クラス. 四大進学希望. 90%. 30%. 80%. 40%. 20%. 20%. 20%. 20%. 退学者数. 少ない. 多い. 少ない. 多い. 多い. 多い. 多い. 多い. 2−8.3−9. 2−8.3−11. 学校名. 学校特性. 選択科目. 学年一単位数. 2−4,346. 2−10,. 2−2,3−4. 3−2. 3−8. 2−63−10 ,. R−20. 産業社会と人間(科目目標と指導内容). 導入年度. H9年度 H8年度 H9年度 H10年度 H8年度 HlO年度 H11年度 Hll年度. 学年一単位数 i)内は選択. 14,2−1. 導入のきっかけ. 改:革委. 1−2. 1・2(2). 1。2.2−2. R一(2). 改革委. 2,(2>. 改革委. 改革委. コース. ァ導入 企画組織. 進路指. ア部. 教科. 1−2. 2−2.3−2. 人権教. 教務部 改革委. 1−1. Q・(2). 辷マ. キ. プロジェ外. プロジェ外. プロジェ外. プロジェクト. フ㌔ジェ外. プロジェクト. `ーム. `ーム. `ーム. `ーム. `ーム. `ーム. 指導組織 @ (人数). 学年団. チーム @ (7>. 学年団 @ (40>. チーム @ (4). 学年団. @ (12). @ (14). チーム @ (4). チーム チーム @ (2). @ (4). 連携プログラム. なし,. あり. あり. あり. なし. なし. なし. なし. 2003年以降. 移行予定 検討中. 移行予定 検討中. 一19一. 移行予定 残す方向 検討中. 検討中.
(26) 第3章研究の方法. 第3節第2次調査 第1項 調査対象校の抽出 第1次調査の調査の結果、学校改革を実施するに際して、新たな組織を設立した学校と 既存の組織で対応した学校に分類することができた。この中で、新たな組織である学校改 革委員会の設立は、内発的学校改革の必要性を多数の教員が認識している結果として設立. されたものであると考えられる。そこで、学校改革委員会を組織している学校5校(A・. B・C・D・H)に絞った。次に、生徒の進路希望状況が教育課程編成の重要な要因の一 つであることから、「産業社会と人間」のねらいの一つでもある「職業観の育成」に着目. し、生徒の進学希望状況から4年生大学への進学希望率の高い学校(A・C校)と比較的 低い学校(B・D・.H校)に分類し、それぞれから2校つつ抽出した。4年生大学への進 学希望率が比較的低い学校のうち、H校については「産業社会と人間」の導入が今年度か らであり、まだ1年を経過していないので実施に対する評価が難しいと考え、それ以外の. 2校(B・D校)に絞った。. 第2項 調査の概要 (1)調査対象. 「産業社会と人間」導入時の校長、教頭、教務部長、進路部長、人権教育主三者、該当 学年主任、教育課程委員会委員長、教育改革組織の代表、各教科代表、「産業社:会と人間」. の企画・指導組織の代表、「産業社会と人間」導入の中心となった教諭の中から、了解を 得ることのできた校長・教頭・教諭からインタビューした。. なお、調査日は1999年6月∼9月と11月、調査時間は4校合わせて約46時間である。. (2)調査内容. ①学校改革組織について 設立に至るまでの経緯とその要因、および設立に対する慎重論 組織の必要性・委員の選出方法・既存の組織との関連など 組織の現状と評価. ③教育課程改善について 改善に至るまでの経緯とその要因、および改編に対する慎重論. 一20一.
(27) 第3章 研究の方法. 改善に関わった組織とその役割など. 新教育課程の特徴と運営方法 新教育課程の実施状況と評価 ④「産業社会と人間」について. 導入に至るまでの経緯とその要因、および導入に対する慎重論. 年間計画とその特徴 企画運営組織・指導組織について. 授業の実施状況と評価. 第4節 記述の枠組み 「特色ある学校づくり」を目指した高校における、教育課程改善の流れを次のように3 つに区分して記述する。. 第1期 学校改革組織(総称)の設立と現状認識. 第2期 新教育課程の成立と実施 第3期 新教育課程の評価. 通常の学校教育活動を遂行していく場合、P−D−Sサイクルの考え方では、第2期が rP(計画)」「D(実施)」、第3期が「S(評価)」に該当する。ただし学校改革に着手す る場合は、通常の教育活動に対する実施過程の評価だけでは不十分であるという考えから、 今回事例校とした学校は学校改革委員会を設立し、より詳細な学校評価活動を行っている。. つまり、より詳細な学校評価活動の必要性とそれを実行する組織の必要性から、第1期の 過程が必要となるのである。事例校として抽出した4校は、いずれもこの流れを確認でき た。もちろん三期の始まった時期やそれに要した期問はそれぞれ異なるが、実際に多くの 学校が「特色ある学校づくり」を目指して教育課程の改善を実行する際、このような手順 を踏むであろうと考えて上記のように設定した。. 第1期は、個人の現状認識に基づく学校改革の必要性から改革組織の設立を発案し、職 員会議に提案され実際に設立されるまで、および設立された学校改革組織を中心として現 状認識を行うところまでを記述する。学校改革組織は既存の組織には存在せず、学校改革 (特に教育課程改善)を目的として新たに作られた組織であり、4校すべてに存在している。. 発案は学校長の場合や教師の場合、また提案についても管理職の場合や既存の分掌組織の 場合など様々である。また組織構成員の人選方法についても、様々な工夫が見られる。馳い. 一21一.
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