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第6節 第3期 新教育課程の評価
ここではC高校で現在実施されている新教育課程について、どのような効果があり、ど のような問題点が出て来ており、それに対して今後どのようにしていこうとしているのか について見ていきたい。なお新教育課程全体については第1項で、「産業社会と人間」に ついては第2項にて記述する。
第1項 新教育課程運営上の評価
「特色ある学校づくり」を目指したC高校は、多様な進路、興味関心に応えようと選択 科目を設定した。その数は、おそらく公立普通科高校ではトヅプクラスであろう。この多 様な選択科目を含む教育課程をいかに運営していくかが、C高校における教育課程運営の 大きなポイントであると思われるω。
生徒の科目選択行動から見ると、生徒は1年生と2年生の秋に次年度に履修する科目を 決めなければならない。C高校生の進路は大学だけでなく専門学校、就職など多様である。
学校としてはこれに対応するため、進路HRや「産業社会と人間」を通して生徒の進路意 識を喚起し、生徒それぞれの進路や興味関心に対応すべく指導を続けている。多様な選択 科目を設定していることについて、C高校が実施しているアンケートでは約6割の生徒が
「選択科目があってよかった」と答え、「ないほうがよかった」と答えている生徒は約1 割である。また実際の選択結果については、「自分の進路、興味関心、学力に応じて選択 科目がとれてよかった」と答えている生徒が約3割で、「自分の進路、興味関心、学力に 応じて選択科目がとれなかった」と答えた生徒は約1.5割である。この結果から見ても、
生徒の選択科目に対する評価は概ね好評のようであるが、より生徒のニーズにあった選択 科目にする必要はあるようだ。
これを実際に指導する教師側から見ると、少人数授業であることや目的意識の近い生徒 に対しての授業であるということなどから肯定的に見ている教師がいる反面で、教師一人 ひとりの持ち科目数が増えることから教材研究に時間が十分かけられず、よい授業ができ なくなることを懸念する教師もいるω。中には、選択してきた生徒に「選択してよかった」
と思われるような授業をしなければならないと、意欲を燃やしている教師もいるようだω。
次に、実際に教育課程を運営する立場にある教務部としては、限られた教員数の中で、
できるだけ生徒の希望する選択科目を開講しようと努力されている。系列別選択科目表を 通して、生徒が選択した科目をできる限り不開講にはせずにクラス分けを行い、時間割編
第6章 C高校の教育課程経営改革
成をするのは大変で、専門性の高い教師がこれに関わっているようである。今後、より多 くの教師が関わることができる方策を、C高校では模索されているようだ。
このような教育課程の運営状況の中でC高校は毎年見直しを行い、よりよい教育課程の 運営を目指している。
なお、C高校は2001年度から「普通科総合選択制高校」となることの指定を教育委員 会から受け、学校改編のための検討を始めているところである。
第2項 「産業社会と人間」の評価
最初に、この授業を実施してどのような効果があったのかについて見ていきたい。まず このような授業を設定したことで、入学生の意識が変化してきているようである。今まで は学力の序列化構造の中でC高校を選んでいた生徒達が、今までの高校にはあまり期待し ていなかった「自分探し」や「自己実現」などの付加的な魅力を高校に対して持つことで、
積極的にC高校を選ぶという生徒が増えてきたようだ。これには中学校の教師も協力して いる(4x5)。また、実際に授業を受けた生徒も積極的に授業を受けている(6)。進路目標を持 って入学してきた生徒の中には、その目標をより確かに持って進路実現に向けて頑張って いる生徒や、授業を受ける中で別の進路を見つけ、新たな進路に向けて努力している生徒 も出てきているようだ(7x8)。具体的に見てみると、ドリカム講座では、学校では体験する ことのできない体験をすることができたり( )、学校の教師以外の授業を教育ボランティア
(社会人講師)から受けたり(10}、進学対策の講座があったりする(11)が(資料、表6−5−
4参照)、押しつけではなく自分で選択できることで、その満足感は高いようである。C 高校が実施したアンケートでは、「満足している」「まあまあ満足している」と答えた生 徒が約8割いる。また学校見学会や講演会についても多くの生徒に好評のようだ働( 3)。ド リカム研究については初めての体験だと感じている生徒が多く、レポートをまとめて発表 することの意義はもちろんだが、テーマを決めるにあたって生徒が葛藤することに対して 意義を見いだしている教師もいる( 4)。この授業を実施することによって、既存の教科では 見ることのできない生徒の側面を見ることができ、生徒との距離が縮まったという教師や
(5)
Aこの授業が生徒への登校刺激になっているのではないかと分析する教師もいる(16)。
以上見てきたようにC高校の教師のほとんどはこの授業の効果を認めているが、多くの 問題点も抱えているようだ。先ず授業の中身については、内容が盛りだくさんすぎるとい
う点である。これは、Cプロの委員の持つ教育課題の解決や、今後の教育に対するビジョ
ンのほとんどを取り込む形で年間計画が作成されているという経緯からこのようになって いると思われる㈲。その結果としてこの授業の指導を担当する教師は、教材研究や事前研 修に追われ、疲労感を持つ教師が出てきているようだ(18X 9)。特に導入の経緯を知らないま まに転勤して来た教師にとっては厳しいようだ⑳。また各教材の配置が悪いために年間を 通しての授業の流れがうまくいっていないという指摘もあり⑳、この授業の定着を考えれ ば、授業内容の精選ωと教材の配列について見直す必要性が出てきているようである働。
同時に他の授業との関連性についても検討する必要性が指摘されている(餌x25)。次に運営・
指導者組織についての問題点であるが、指導者組織については2種類ある。1っはドリカ ム講座だが、教師が指導する講座と付き添う講座を合わせて約30講座開講されているた め、30人の教師が必要となる。また講座を見て回るチーフと補欠の教師も必要だ。もう 一つはドリカム講座以外のドリカム授業の指導であるが、1、2年生合わせて16クラス あり、各クラスの副担任16名が担当している(26)。なお講演会や校外での学校見学会など には担任が入ることもある。ドリカム講座とドリカム授業の両方を担当している教師もい るが、それでも多くの教師がこの授業に関わることとなる。特にドリカム授業については、
副担任が同じ学年を2年連続でするということはほとんどないので、教科教育のような指 導の継続は難しい⑳。このような問題の解決を目指して、Cプロはドリカム授業の担当者 を数名の指導者チームを作ってすべてのクラスを担当するという提案をしているが否決さ れている(28糊。しかし現在の指導者の現状から、再提案することを検討しているようであ る㈲。運営組織について、実際に中心となって運営しているのはドリカム代表者会のよう だ。この組織は中心となるCプロの委員と毎年替わる教師から構成されている。Cプロの 委員は年間計画の作成やドリカム科会、ドリカム講座班や授業班の会議も運営しなければ ならない(3D。またCプロ以外の教師は毎年替わるために引き継ぎも難しいようだ(32)。
この授業の意義をほとんどの教師が認めていることから考えても、このような問題点を 少しずつでも解消していくことで、この授業をC高校で定着させることが必要であると思
われる。
なお、C高校ではこの授業を「総合的な学習の時間」に移行する方向での検討も進めら
れている(33)。
(1) 多様な層の子、興味関心の子、そういう子らにどのような積極的な意味での多様なプログラムを示 してやれるのかと、積極的な意味での興味関心を伸ばしてやれるのかということですね。(A)
(2) 忙しすぎますね。ここは多彩な選択科目があって、しかも新しい教科もあるし、… これは最低 限必要やと思う授業についての教材研究ができてないと。その教材研究の時間が全くないです。C