Z・ 地 刹謔
第5節 第2期新教育課程の成立と実施 第1項 新教育課程の編成過程
1993年3月に教育課程の改編が決まったC高校ではあるが、これは大枠が決まったに すきず、2年生や3年生で導入された多様な選択科目の具体的な科目名や、生徒の選択方 法についてはほとんど決まっていないという状況であった。
選択科目の設定については生徒の興味関心を探る目的で開設してほしい科目をアンケー トし(資料、表6−5−1参照)、その結果を参考にしながら教育課程委員会と教科との ピストンをしつつ、設定されていった。
生徒の選択方法については教務部が担当し、系列選択制という方法を考えた(表6−5
−2参照)。この系列選択制とは、C高校が独自に考え出した方法であるが、コース制と した場合に選択したい科目が2コースにまたがる場合の問題や、選択科目をいくつかの科 目群にしてそれぞれの科目群から1科目ずつ選択させる場合に、選択科目群に複数の選択 したい科目がある場合や選択したい科目が科目群にない場合の問題などを解消することを 目的として採られた方法である。この方法は、生徒にとってはかなり有利な方法ではある が、選択方法が複雑となり、クラス分けが難しくなるという難点がある。ここで問題とな ってきたことが2つあった。1つは、2年生の選択科目は1年生の段階で選ばなければな らず、自分の将来について十分考えられていない生徒に、どのようにして自分の将来を考 えるきっかけを作り、それを元にして選択させることができるかという問題である。もう 1っの問題は、数多く設定されている多様な選択科目の内容や具体的な選択方法を生徒に どのようにして伝えるかである。
一方でCプロは、現状認識に基づいて作成された改革のテーマを念頭に、どのような教 育課程の改編がよいかという改革のポイントについての審議に入っていた。その中でCプ ロは、生徒・地域・教師それぞれの課題の解決を目指したC高校独自の科目を考案した。
これは3学年一斉に2時間連続の授業を行うという大胆なものである。その中身であるが、
一つはこの科目の中に、5回ほどで完結する短期集中の選択科目を設定している。この選 択科目としては、地域の人材を活用できるような科目や放課後に実施されていた進学対策 講座的な科目を設定する。これによって地域連携を深めたり、教員の放課後を保障しよう という意図である。生徒はこれを学年の枠を越えて選択できる。もう一つは、生徒の自己 確立や職業観の育成を目指して実施されていたLHRの中身をこの科目に移し、3年間を
見通して指導していくというものである。
この教務部の持つ問題点とCプロが考案した独自の科目が合わさり、Cプロが中心とな って具体的な年間計画の編成作業に入っていったω。このような科目を教育委員会は認め るのだろうかという不安が委員にはあったが、それを払拭したのは校長であった。校長が
「産業社会と人間」という科目を普通科高校においても導入できることをCプロに助言し たのだ。これをきっかけとして教育課程の改編作業は進み、新教育課程案はCプロと教育 課程委員会の合同提案という形で職員会議に提案されたω。当時の教務部長は教育課程運 営上からも6単位実施を推していたようだがω、「産業社会と人間」が各学年に2単位ず つの計6単位導入された教育課程案は、「産業社会と人間」のイメージを多くの教師が掴 みにくかったことや、それによって既存の教科・科目の大幅な削減につながることなどの 懸念から否決されている(4x5)。その後、 Cプロは「産業社会と人間」を1、2年忌で2単 位ずつの計4単位に修正し、再提案することで可決されている。
第2項 新教育課程の特徴(新旧教育課程表参照一表6−3−1、2、3)
このようにして可決された新教育課程は1997年度から実施されるが、その教育課程の 特徴として、ここでは多様な選択科目の選択制度についてみていぎだい。
C高校は普通科でありながら2年生で約25科目、3年生で約45科目の選択科目が設定
されている。この選択科目の中には、A県の教育課程基準で定められている「その他の科 目」や「その他特に必要な教科」に関わる科目などが数多く含まれているが、教育課程差 上では多様なコースや類型は設定されておらず、文系と理系の2類型に分かれているだけである。
この選択科目の選択方法としてC高校では系列選択制という方法を採っている。これは、
生徒が2年生で4から5科目10単位、3年生で7から8科目17単位選択できるメリット
を最大限生かせるように配慮されたものである。生徒は「産業社会と人間」や進路HRで 進路や職業観に対する意識を高めた上で、用意された系列別選択科目表を見ながら科目を 選択する(表6−5−1参照)。生徒は自分の進路や興味関心がどの系列に属するかを見 極めた上で、その系列に属する科目を各科目玉から選択するというものだ(6)。この表の特徴は、コース制のように、コースを選んだ段階で履修科目がほとんど決まっ てしまうというようなコース必修科目が少なくなっていることと、いわゆる科目群制のよ
第6章 C高校の教育課程経営改革
うに各科目がどれかの群にしかないというのではなくて、生徒のニーズが高いと思われる 科目は複数の群に入っているということである。その結果、生徒は福祉系列を選択しても 他の系列関連の科目を一部採ることができたり、1つの群に選択したい科目が2つあった 場合に両方とも選択できる可能性があるということだ。もう一つの特徴は学校の実務上の
ものであるが、同じ科目が複数の系列に配置されており、そのような科目が複数あるので、
科目の選択者数の調整や開講講座数の調整が可能となる。また同じ科目が複数の系列に配 置されているので、生徒が選択した科目を変えることなく生徒を系列間移動させることが できる。C高校では、この表にしたがって生徒が選択した科目をコンピュータに入力し、
開講講座数の調整やクラス分けに利用している。
表6−5−1 系列別選択科目表一1997年度入学生3年次
(職員会議資料)系列
1群
II群 III群 IV群V群
VI群② 一群② V二三②A
A1 化学 教養 数学 リーデ 日本史B 古典II(
IA
国語 演習 イング 政治経済 化学II 古典II福
A
④ 基礎化学 生物II古典A
祉 化学 現代 1」t 手話点字 英語読解演習 日本史B
}
)
IB
文 ② 溜 文書処理地理B
演習 社会福祉II 倫理
生物 数学 一 一 9 一 一 一 謄 一 幽 一 一 一 曹 ■ 一 F 冒 一 薗 一 一 一 一 一 麿 一 一 一 一 課題研究
A2
IA
演習 古典II世界史B
数学演習C( ②
B
政治経済 実習理科 ライフスホ。一ツA情 生物 ② ライフスポーツA 工芸1
報
IB
情報処理1 ライフスホ。一ツB 鑑賞演習) 音楽III 実用書道
地学 美術III
IA
} 曽 一 一 伽 一 F 一 一 9 一 一 冒 一 9 書道III 食物A3
蠣
日本 古典II 英語読解灘 情報処理II( ③ 文法一
史A
政治経済 被服 社会福祉1国
越
進学美術 文書処理 第二外国語際
鑓
②) ② 地球市民
B (
数学皿+数学C+
数学
縁KS
古典II 物理IB+II
化学IB+II+日本史A
環 数学 白文 数学 リーデ 生物IB+II 日本史B+英語文法作文演習
境 縮X+灘+ 演習Y イング ④ ④
) ⑦ ②
※太字・アンダーラインの科目は、他の群にも存在している。
第3項 産業社会と人間
(1)「産業社会と人間」の導入
C高校における「産業社会と人間」は「ドリカム(Dreams Come Tlue)」という名称で 1年忌と2年生に各2単位ずつ設定され、同一曜日の同一時間に一斉に実施されている。
導入の経緯であるが、Cプロが「産業社会と人間」を導入しようと考えた当初は、委員 の持つ教育課題の解決をこの科目に詰め込むという形で考えられていった。そのために中 身が膨らみ、3学年で2単位ずつの計6単位となったようだ。当時のこの科目名はC高校 の中では「Eタイム」と呼ばれていた。ここで特徴的なことは、Cプロの委員はこの頃「産 業社会と人間」の存在を知らず、全く独自の科目ということで計画を進めていたようであ る。このような例は他の事例校にはなく、いずれの高校も「産業社会と人間」をイメージ しながら授業内容を計画している。C高校では、結果として6単位案が否決されたが、科 目のねらいは理解されており、4単位での導入となった(η。科目名は「Fタイム」という 名を経て「ドリカム」となっている(8》。
なお、新教育課程案が承認された後、Cプロは「産業社会と人間」を運営していくため に必要な組織として、運営委員会の中にドリカム推進委員会を、教科会としてドリカム科 会やドリカム代表者会を設立している。
次に導入時のねらいであるが、C高校では次の3つがねらいとされていた。
・ 自己の生き方を探求させるという観点から、さまざまな特別活動やドリカム講座など を通して、進路の選択決定に必要な能力、将来の職業生活に必要な態度やコミュニケー ション能力を養う。
・ 高校生活を通して自己の充実や生きがいを目指し、生涯に渡って学習に取り組む意欲 や態度の育成を図る。
・ 多様な選択科目の開講とドリカムは車の両輪としてとらえ、ドリカムを通して自己の 興味関心、進路適正を深く見据えて、より適した選択科目を選択し、授業全般への関心 を高める。
(2)「産業社会と人間」の年間計画と指導組織
C高校で3年目を迎えた「産業社会と人間」の年間計画(資料、表6−5−3参照)は、
「知ろう!試そう!つながろう!」をテーマに構成されており、授業を、2学期に実施す