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第4節 第1期
改革の流れ 1995 (H7)
1996 (H8)
第4章 A高校の教育課程経営改革 学校改革組織(将来問題検討委員会)の設立と現状認識
1997 (}19)
。8 将来問題検討委員会(学校改革組織)の設立
。8 新教育課程の骨子承認
。12 1997年度入学生の教:育課程決定
.12 二業社会と人間」の指導組織の設置承認
.4 新教育課程実施
第1項 改革:の契機一校長と個々の教員の現状認識
A高校は前述したように校区の地元集中受験運動により、開校当初は様々な学力を持つ 生徒層が安定して入学してくる高校であった。しかし1990年頃から地元集中受験運動が 徐々に崩壊してくるω。生徒状況についても同じ頃から低下傾向を見せ始めたA高校は、
学校説明会や学校見学会の実施など状況改善のための努力をしている。しかし生徒状況は なかなか好転しない。
このような状況を甘受する教員はほとんどおらず、それぞれ生活指導上の問題や学習指 導上の問題などを抱えそいたが、それは教員個々のレベルであった。しかし、多くの教員 はその原因の一つに地元集中受験運動の崩壊と、それに起因する輪切り化の問題や定員割 れの危機をうすうす感じていたようであるω。より大きな学校改革の必要性を感じながら
も⇔)ω(5)⑥、具体的な方策を提案するまでには至っていないというのが現状であった。
そのような状況下のA高校に1995(平成7)年度赴任してきたのがA校長である。A
校長は赴任早々、地域や地元の中学校を中心に精力的に訪問し、また校内では運営委員を中心に一人ひとりから様々な場面を捉えて話をする中で、A高校の現状認識に努めた。そ の中でA校長は次のような点に着目した。地域との関係では、地元の小中学生の数がA県 下の他の学区と比べてもかなりのカーブを描いて減少していること、この地区には高校が
9校あるがすべて普通科高校であり、同じようなカリキュラムばかりで子どものニーズに 応えられていないこと、地元集中が崩れつつあるが地域や申学校はA高校に期待している
こと、A高校と地域とのつながりは以前からあったが、より強くより深くつながることの 必要性(点のつき合いを面に、個々のつながりだったものを組織のつながりに一・A校長談)
などである。教員については熱心な教員が多く、多くの教員が問題意識を持っており、今
のままではいけないと感じているが、問題意識が断片的であり下一タルにっかんでいる者 がいないこと.、教員文化は良好で風通しがよく共通理解が得やすいみ一ドがあること、改 革に積極的な教員がいることなどである。
校長は以上の現状認識から学校改革を決意する。
第2項 学校改革組織(将来問題検討委員会)の設立(1995年8月)
日常の教育活動を通して膨らんできていた教師の問題意識と、それをいち早く察知した 校長のり一ダーシップがA高校を改革に踏み切らせた。
A校長は先ず教員や生徒の現状把握を行った上で精力的に地域や中学校の現状認識を行 い、そこで得られた情報を、様々な場所や機会を通して積極的に教員に伝えているω。地 元集中受験運動の崩壊問題についても、前述したように小中学校の児童・生徒数の減少の 状況などをデータを使って説明することにより、教員の「たぶん」という意識を「やっぱ り」という危機意識にまで高めている。地域や中学校がA高校に期待しているということ が申学校のニーズとして現れてきていることや、この地区におけるA高校の置かれた状況 などを話すことで、教員全体の改革の気運を高めようとしている。
またA校長は、この学校改革は既存の組織ではなく、新たな学校改革組織を作って改:革 に着手しようと考えた。それは、すべての教員の知恵を集約することのできる組織である こと、運営委員会はルーティーンの業務が忙しいということ、分掌ではどうしても分掌の 枠組みを離れられないであろうということなどが理由である。
A校長は、このように教員全体の改革意識.を高めた上でC教頭とも協議し〔8)、学校改革 組織設立の提案を運営委員会にすることとなる。提案はC教頭からであった。なお、この
ときA校長は学校改革組織に立候補するであろう教員の感触もつかんでいたようである。
A校長は新たな脚下改革組織配下のために、問題意識を持つ教員や学校改革に対して意欲 やビジョンを持っている教員に自分のビジョンを話すことにより、その教員の改革意識の 高揚にも努めていたのである。
教員も改革するなら新たな組織が必要だということを認識しており脚。)ω、A校長が赴 任して5ヶ月を経過した1995年8月の職員会議で学校改革組織(=将来問題検討委員会)
の設立が賛成多数で承認された。承認された具体的な内容は、「構成メンバーを校長、教 頭および教員6名とし、自薦を受サ付けた上で充足されない場合は公澤とする。任期は1
第4章 A高校の教育課程経営改革
年とし、再選は妨げない」というものであった。この具体案については運営委員会で検討 されている鋤。
第3項 将来問題検討委員会による現状認識
(1)将来問題検討委員の選出
初年度の将来闇題検討委員の選出については、5名が希望し1名は公選で選ばれた。希 望した5名の教諭の人選については、A校長だけではなく教頭や、委員となって積極的に 改革に関わろうとする教員も加わって、メンバー構成についての配慮がなされている。つ まり同じ問題意識を持った教員ばかりにせず、できるかぎり多様な改革の方向性を持つ教 員が集まることによって、A高校の将来を見据えようという配慮からであろう。二つの職 員団体も参画するが、それですべてを占めることは避けようという配慮もあったようであ
る㈲ω。公選の1名についてはベテランではなく若い先生が選ばれている。これは今後の A高校を担っていって欲しいという考えが投票に現れたのであろうか( 5)⑯。
(2)将来問題検討委員会について
様々な改革の方向性を考えτいる教師の組織として、この委員会は発足した。後に委員 会は様々な改革案を打ち出していくことになるわけであるが、教育課程改革についての構 想一つを見ても、決して委員の意識は皆が同◎方向を向いているわけではなかった。教育 課程改革に対して積極的な教師もいれば、学校改革=教育課程改革というふうに短絡的に 結びつけることに対して慎重な意見を持つ教師もいたのである。実際に「将来問題検討委 員会への提言」という形で、委員会に対しての問題提起をした教科もあったω)ことから考 えても、この組織は学校改革に対する方向性を決めるには、多くの教師の意見をバランス よく反映することのできる委員構成であったとも言えるようだ。
委員会は当初学校改革の方向性を模索することになるが、会議を重ねる中で、この改革 は学校内だけに目を向けているようではだめで、常に地域や中学校との連携、地域や申学 校へのPRを念頭に置いて考えていくということについて、委員間では共通理解をしてい
る( 醐伽)。これを元にして改革の方向性はまとまっていくω。
ここで、改革委員についての力量について触れておきたい。改革をするときは、日常の 教育活動で必要とされる教師の力量以外の力量が必要とされる。それは学校改革に必要な
情報の収集能力や多くの現状認識データから改革の課題を焦点化していく能力、また創造 力なども必要な力量と言えるだろう。力量のある教師が委員会の中にどれだけいるかが、
改革の中身やスピードを左右するといっても過言ではないであろう。その点、将来問題検 討委員には力量の高い教師が存在していたことが、A高校の教育改革を着実に前進させた
ようである(22)ω。
次にこの委員会の組織の開放性について述べたい。この委員会は学校改革という、その 学校の今後を左右する重要な内容について審議する組織であるから、当然多くの教師がそ の審議内容や進行状況について注目している。特に改革に慎重な考えを持つ教師などは、
一つ間違うと噛分の知らないところで勝手に進められてしまっている」とか「校長の諮 問機関になっている」という危惧を抱いても不思議ではない⑳。このようなことに配慮し て、委員会では常に審議内容や進行状況を職員会議や教師向けのニュースという形で報告 するように努めている。また必要に応Oて委員以外の教師を招いての拡大将来問題検討委
員会を開いたりもしている¢5>(26)(271㈱伽)働。
(3)将来問題検討委員会による現状認識
将来問題検討委員会は改革の推進に当たり、先ず現状認識を実施している。現状認識に 必要な情報として、A高校は大きく分けて3つの情報を現状認識に活用している。1つ目 は校長や将来問題検討委員の持つ情報である。2つ目は特色ある学校づくりを実践してい る高校について、その特色の内容や教育課程の特徴などについての情報を集めている。3 っ目は校内における教師と生徒を対象としたアンケートの実施である。
1回目については、校長は既に述べたように地域の詳細な情報や教育行政に関する情報 を、また将来問題検討委員はそれぞれの教育実践における地域や学校についての情報を持 ち寄っている。
2つ目は他校の実践例の情報収集であるが、A校ではA県や他府県を含めて約20の高 校について、実際に訪問したり資料を送ってもらうことで情報を収集し、現状認識に役立 てている。
3つ目はアンケート調査の実施であるが、教員に対しては、①現在、実際授業に採り入 れている工夫、方法など、②多様な生徒に対して効果的な指導を行う方法などに対するア イディアということで、多様な学力・進路・興味関心の3点から1③その他将来問題検討